スパルタの星戦記
by JUNKMAN

突然地球に現れた2500倍もの巨大な身体を持つ異星人に対して、地球防衛軍は考えられる全ての手を打ってきた。
このブロンドの髪をどんくさい三つ編みお下げにして紺色のセーラー服をきっちり着込んだ巨大な女子中学生風の異星人は地球の各地に出没し、そのたびに地球防衛軍はスクランブルをかけて雨あられと砲弾を撃ち込んだ。
彼女は特に反撃するわけでもなく正面から堂々とその攻撃を受け止めてきたが、しかし地球防衛軍はそんな彼女にかすり傷一つ負わせることができなかった。
業を煮やした地球防衛軍は国連事務総長の制止もきかずミサイルで戦略核まで撃ち込んでみたが、驚くことにそれすらも彼女には全く無効であった。
そうこうしているうちに、度重なる迎撃によって地球防衛軍は疲弊消耗し、ついに全ての砲弾を撃ち尽くしてしまった。
すなわち地球はもはや丸腰も同然となったのである。
・・・
そんな無防備状態になってしまった地球のNeo-Tokyo Cityに、今日もまた彼女は現れた。
もちろん全砲弾を撃ち尽くしてしまった地球防衛軍はもう彼女を攻撃することなどできない。
そして巨大な侵略者は、地球防衛軍が攻撃してこないことを確認すると、既に抵抗する能力はないと見なしたのか、以下のように言い放ったのだ。

「こ・・・この星は、わ、わ、わたしがいただくわ。み、みんな、命が惜しかったら、大人しく、こ、降参して、わたしの、し、支配の下で、ど、ど、奴隷に・・・な・・・なってください・・・」

*****

話は少し遡る
・・・
ヒューマノイドタイプの高度知的生命体でありながら、同時に卓越した身体能力を誇るドデッカ星人
その身体の大きさは高度知的生命体標準サイズのざっと100倍、質量にすれば1000000倍である。
ドデッカ星人を含む高度知的生命体の多くは巨大化装置で武装できるが、ドデッカ星人はわざわざそんなものを使わなくても素で大きいところが一味違う。
それだけではない
ドデッカ星人の身体はありえないほど強靭だ。
そのパワーはハンパなく、スピードや跳躍力も限界を知らないほどで、それでいてナチュラルに核攻撃にも耐える頑丈さである。
高度な文明+先進科学技術+巨大な体躯+超人的身体能力
これに傲慢な気質まで加わるのだからドデッカ星人が好戦的な民族となるのも無理はなかった。
地球がたった一人のドデッカ星人女子高生に征服されてしまったのも当然と言えば当然である。
・・・
ところがドデッカ星人が侵略して隷属化させた数多の知的生命体の中でも、地球人は飛び抜けてキャラが立っていた。
小さいのである。
高度知的生命体標準サイズのわずか1/25
ということはドデッカ星人に比べたら1/2500
質量比ではなんと1/15625000000である。
地球上に棲む全ての地球人の質量を足し合わせても、ドデッカ星人一人の質量に及ばない
圧倒的な小ささだ。
それでいて身体能力もお話にならず、はっきりいってメチャ弱い。
この小ささ、弱さに、一人のドデッカ星教育省キャリアが着目したのである。

*****

ドデッカ星教育省職員食堂
同期の若手キャリア3人組が、いつものように仲良くお昼の生姜焼き定食を食べていた。
そのうちの一人が唐突に切り出す。

「・・・わがドデッカ星人は銀河系最強だ」

「どうした?何を今更・・・」

「その銀河最強のドデッカ星人の少年少女は思春期ともなれば一人で異星を侵略する。」

「当然だな。」

「ところが最近の子供たちはそうでもないんだよ。」

「ん?」

「気が優しいというか、臆病というか、原住民にちょっと反撃されるとそこで侵略を止めて引き上げるひ弱な子たちが増えているんだ。」

「おいおい」

「情けないなあ、俺たちが小さいころは、週末になるたびに惑星の一つや二つ侵略したものだが」

「ドデッカ星人たるもの、そのくらいのワイルドさは欲しいよね」

「でもいまどきの子供たちはそうでもないんだよ」

「嘆かわしいものだな」

「愚痴ってるわけにもいかないさ。そこで対策を立てるのが俺たち教育省キャリアの役割だろ?」

「そうだね」

「で、君の腹案は?」

言い出しっぺの若手官僚は我が意を得たりとばかりに身を乗り出してくる。

「・・・『地球』という惑星がある。いまはうちの星のとある女子高生の所有物だ。」

「ふむふむ」

「この星の原住民である地球人は、一応知的生命体の、しかも見た目が我々ドデッカ星人にそっくりのヒューマノイドタイプであるにも関わらず、なんと大きさが我々の1/2500しかない。」

「なんだって!」

「そんなに小さいのか?」

「ああ、圧倒的な小ささで、ありえないほど弱いんだよ」

「・・・なるほど、読めたぞ」

「ん?」

「その最小最弱の原住民が棲む惑星にわが星のひ弱な子供を送り込んで侵略の練習をさせよう、って算段だな」

「ご名答。抵抗する原住民を蹴散らして、足元にひれ伏させ、様々な屈辱を与える、という楽しい体験をすれば、ひ弱な子供も侵略好きな逞しいドデッカ星人に成長できるんじゃないかな?と思ったのさ。」

「名案だね」

「さっそく実行しよう」

「じゃあ俺はまず所有者の女子高生に使用許可をもらう。なあに簡単さ。学校の管理職を介して留年をちらつかせれば高校生なんていくらでも言うことを聞く。」

「腹黒いなあ。では俺はその惑星に送り込むパイロットケースの子供を選ぶよ。軟弱で根性を叩き直す必要のある子を探し出してこよう。」

「そうしたら俺はその地球という惑星の方を担当するよ。ちょっと時間を巻き戻してドデッカ星人に支配されていた事実をデリートし、新たに送り込まれた子供が有史以来初の侵略者であったことにしよう。」

「いいねいいね」

「じゃあ、善は急げだ!」

教育省同期の3人の若手官僚たちは、自分たちが立案した新しい教育プランを実行に移すため、慌ただしく職員食堂の席を立った。

*****

14歳のメリーヌちゃんはドデッカ星人には珍しい内気でおとなしい女の子だ。
辛うじて二次性徴はきたもののまだ小柄で華奢な小児体型
ブロンドの髪を二本の三つ編みにまとめた、もの静かで心優しい美少女である。
でもちょっと引き籠り気味
とりあえず学校には通っているけれど、クラスメートたちがどこかの星から捕まえてきた小さな異星人を虐めて遊んでいる時は決してその仲間には加わらず、一人で席に着いたまま詩集とかを読んでいる。
弱いもの虐めは大嫌いなのだ。
やがて自分が大人になって他星を侵略するときも、その星を蹂躙するつもりなんてない。
そうじゃなくて、征服したこびと異星人さんたちとお友達になって、仲良く可愛がりながら優しくその星を支配してあげようと考えていた。
基本お花畑系のように見えてこれはこれで十分に傲慢な気もするのだが、そこはいくら心優しいとはいえドデッカ星人の発想の限界である。
そんなメリーヌちゃんは身体を動かすよりは一人でじっとしている方が好き
でも運動音痴というわけでもない
実際に体育の授業でやらせてみれば大抵の種目は人並み以上のレベルでこなせる。
できないといえば、理科の授業のフナの解剖は怖くて見ていられなかった。
眼を真っ赤に泣き腫らし、教室の隅っこで小さく蹲っていた。
・・・
・・・
14歳
これでもメリーヌちゃんはもうすぐハイスクールに入学する年齢なのである。
なのにこの有様だからドデッカ星に暮らす子供としては由々しき発達障害であった。
ほどなくして学校に1通の通知が届いた。
メリーヌ・イヴォネッタ・ニールセン(14歳)
心身の発育に大きな問題があり、特別教育を要す
・・・
この通達の結果、内気なドデッカ星人美少女メリーヌちゃん14歳は、発達障害を克服するために地球での侵略研修が命じられたのである。

*****

場面は異星からやってきた巨大女子中学生に侵略されてしまった地球に戻る。
それでなくても貧相な顔立ちの国連事務総長は、地球防衛軍長官の報告を聞いてますます貧相にがっくりと肩を落とした。

「そ、それでは、もはや我々地球人には、あの巨大なエイリアンを撃退する軍事力は全く残されていないと・・・」

「はい」

「・・・」

事務総長は顔面蒼白になって呟く。

「・・・致し方ない。地球人は彼女に全面降伏して、その奴隷となるしかあるまい」

「いえ、事務総長、お待ちください」

「待てといわれても他に地球人の命を救う方法はないだろう!」

開き直った事務総長が食って掛かるが、地球防衛軍長官は一歩も退かない。

「降伏ならいつでもできます。その前に、我々は地球を守る全ての手段を模索すべきです」

「そんなこと言っても地球防衛軍にはもう戦闘継続能力がないのだろ?それとも君はまだ他に手立てがあるとでもいうのかね?」

地球防衛軍長官は小さく頷いた。

「・・・あの巨大女子中学生は、異星への侵略者としてはちょっと解せない点があるのです。」

「?」

「そこを突けば、あるいは勝機がつかめるやも・・・」

地球防衛軍長官
幾多の修羅場をくぐり抜けてきた百戦錬磨の剛の者にして戦闘に関してはプロ中のプロ
その明晰な頭脳に、あの憎き侵略者と戦ってきた攻防戦の状況が甦る
・・・
・・・
・・・

*****

指導に従ってはじめてその地球という惑星にやって来た日
メリーヌちゃんはその光景を見て驚いた

「ち、小っさ・・・」

もちろんドデッカ星で予習はしてきたので、この星に棲む原住民が自分たちの1/2500しかない超小型サイズのこびとであることは知識として知っていた
でも百聞は一見に如かず
実物を見てみるとその印象はまるで違う
よーし
しゃがみこんで地面に顔を近づけ、もっとよく観察してみよう

「・・・可愛い♡」

ほんっとに小っちゃくてカワイイ
地球人ってアリさんより小さなこびとさんなんだね
しかも地球ではこびとさんだけじゃなく、その乗物や、建物も、みーんな超ちびちびのミクロサイズ
それどころか山や川までもすっごく小さくて、まるで星全体が箱庭みたい
わたし、クラスでは小柄な方なんだけど、この地球では山よりも大きな超大巨人さんだよ
えっへん
なんだか気分いいな

「ねえねえかわいい地球人のこびとさん、みなさんはどうしてそんなに小さいの?小さいのってどんな気持ち?やっぱり惨めな気持ちなんでしょ?可哀想ね♡」

あ、慌ててる慌ててる
すごくでっかいわたしを見てびっくりしてる
でも地球人のこびとさん、怖がらなくてもいいのよ
わたしはこーんなに大きいけど、小さなこびとさんたちを虐めたりはしないから
だからお友達になりましょ
ほらほら掌にのせてあげるわ
みんな遠慮なく登ってきていいのよ
わたしの掌は大きいわよ
キミたち超ちっちゃなこびとさんたちなら何人くらい乗れるかなあ?
うふふふふ♡
・・・
・・・
・・・
ぴかっ
ぴかっ

「!」

その時はじめて気が付いた
地面を這っている小さな小さな金属製の乗物がぴかぴか光って、そこからわたしの差し出した手に向かって何かが撃ち出されてくる

「!」

周りをぶんぶん飛んでいる小さな羽虫みたいなやつも何か撃ち込んできた
これって
これって
もしかして

「・・・こびとさん防衛軍の攻撃?」

我に返った
そうよ、これは侵略研修なのよ
地球での侵略研修を課せられるにあたって、メリーヌちゃんにはいくつかの指示が与えられていた。
1) 地球の防衛軍を速やかに壊滅させること
2) 地球の防衛軍が壊滅したらすぐに惑星全体の征服宣言をして、逆らうものを始末すること
3) 地球人たちに征服者として自分の強さ、大きさを見せつけ、傲慢に振る舞うこと
どれも内気で心優しいメリーヌちゃんにはなかなかの難題だ。
中でも気が進まなかったのが1)の「防衛軍を壊滅させる」という課題である。

「・・・もしもこれがこびとさんの防衛軍の攻撃だとしたら、わたしはそれを撃退しなきゃならないの?」

できない
そんなことできない
だって地球人のこびとさんって、こーんなに小さいのよ
そんな軍隊なんか、ぷちっ、と踏んだだけで全滅しちゃいそう
・・・
可哀想じゃない!
できないわよそんなこと!
・・・
じゃあどうすれば良いかしら?
・・・
メリーヌちゃんには答が見つけられない
それで「どうしようどうしよう?」と途方に暮れて突っ立っていたのだ。
・・・
・・・
・・・
結果的に、それが大正解だった。
この初めて地球にやって来た日もそうだったが、それからもメリーヌちゃんが地球に姿を現すたびに律儀にこびとさんの軍隊が追いかけてきて、せっせと無駄な攻撃を仕掛けてくる。
メリーヌちゃんはぼーっと突っ立ってそれを眺めているだけ。
それだけのことだったが、それを何回も繰り返しているうち、こびとさん防衛軍は勝手に戦力を消耗し続け、ついに今日はもう攻撃してこなくなっちゃった。
・・・
これって、もしかして戦力を完全に使い果たしたってこと?
ってことは、無駄な殺生を行わずに1)の課題をクリアしちゃったってこと?
・・・
・・・
うひょーラッキー♡
そうなれば後はこの小っちゃなこびとさんたちがわたしのいうことを聞いてくれればそれでいい。
みんながいうことを聞いてくれれば反乱者を始末しなくてもいいし、ましてやわざわざ傲慢に振る舞う必要もない。
というわけで、次は指示通り速やかに征服宣言ね。
ここはお約束というか形式美だから「降参しろ」とか「奴隷になれ」って言わなきゃならないんだけど、でもわたしは地球人のみなさんを奴隷さんにするつもりなんてないの。
そうじゃなくて、わたしのどんな言いつけでもしっかり守る素直なお友達になってほしいだけ(注:「どんな言いつけでもしっかり守る素直なお友達」って「奴隷さん」とどこが違うんだ?というツッコミはあくまでも地球人的発想で、ドデッカ星人としてはこれでも十分すぎるくらい心優しい考え方らしい)。
だからこびとのみなさんが怖がらないように、でもちゃんとわたしのいうことを聞いてくれるように、上手に征服宣言しなくちゃ♡
・・・
うまくできるかな?
・・・
・・・
内気なメリーヌちゃんは緊張で胸をどきどきさせながらNeo-Tokyo Cityのど真ん中に聳え立って「征服宣言」してみたのだった。

*****

「こ・・・この星は、わ、わ、わたしがいただくわ。み、みんな、命が惜しかったら、大人しく、こ、降参して、わたしの、し、支配の下で、ど、ど、奴隷に・・・な・・・なってください・・・」

身長3800 メートル、体重600メガトン(推定)の堂々たる超大巨人が、このような征服宣言をした。
足元のNeo-Tokyo City市民たちは腰を抜かす。
で、でけええええええええ!!!
ありえないほどのでかさ!!!
もの凄いド迫力!!!
しかも侵略者は自分の巨大な体躯を誇示するように堂々と胸を張って
・・・
・・・
あれ?
・・・
胸を
張ってないよ
・・・
なんだか内股気味で前屈姿勢になってスカートの上から両手で股間を押えながらおどおどとキョドってる。
そもそも征服宣言のはずが口調もどうしたことか妙に丁寧語だったりするし
やっぱり大巨人といっても見た目は幼気な女子中学生だからこんなものなのかな?
しかもよく見ればつぶらな瞳でめちゃめちゃ可愛いし
・・・
・・・
いや、正直違和感は拭えないけれども、でもそれを払拭して余りある圧倒的な巨大さだ。
高層ビルはおろかそこらへんの山だって余裕で踏み潰しちゃえそうである。
でかっ!
この超巨大少女の前では、われわれ地球人などアリンコ以下の惨めなこびとだ。
しかもその地球人はもはや軍事的には丸腰なのだから、悔しいけれど彼女の足元にひれ伏して命乞いするしかない。
誰もがそう観念していた
・・・
・・・
この男を除いては

「・・・お前は、この星を侵略し、征服しようというのか?」

超巨大女子中学生異星人の足元に一人の男が歩み寄り、手に持ったスピーカーシステムを使って話しかけてきた。
地球防衛軍長官である。
地球征服宣言をしたメリーヌちゃんは、慌てて耳元のイヤホンのチューニングを合わせ、この足元の砂粒みたいに小さな地球人に返答した。

「は、はい・・・わたしは、この地球を侵略し、せ、せ、征服・・・す、いや・・・さ、させてください」

またまた最後は勢いも尻すぼみながら、一応勇ましい返答ではある。
地球防衛軍長官は苦虫をかみつぶした表情のまま小さく頷いた。

「俺はこの惑星の防衛の最高責任者である地球防衛軍長官だ。お前がこの星を真剣に侵略するつもりなのならば、もう我々は抵抗しないでおいてやらないこともない。」

「ほんとですかっ?」

メリーヌちゃんの声が裏返った。

「ありがとうございますっ!ありがとうございますっ!これでわたしは平和にこの星を支配でき・・・」

「待て」

地球防衛軍長官の低く鋭い声がメリーヌちゃんの言葉を遮った。

「お前がこの地球を侵略しにきたのはわかった・・・だが、お前は本当に我々を征服して支配する覚悟があるのか?」

「!」

意外な問いかけにメリーヌちゃんはフリーズする。
それでなくても内気なメリーヌちゃんは想定外の行動に対して臨機応変に振る舞うことが苦手なのだ。

「・・・それは・・・あの・・・その・・・」

「はっきりしろっ!」

びくっ!
一喝されてメリーヌちゃんは震え上がる。

「は、はい・・・その、地球を侵略して、で、もう抵抗はしない、って約束してもらったので・・・じゃあ、征服できるのかな?と・・・」

「甘いっ!抵抗をやめたのは我々地球人独自の判断だ。お前につべこべ言われる筋合いはない」

「は・・・はい」

またしてもすくみ上がるメリーヌちゃんに、地球防衛軍長官はたたみ込んで攻めかかる

「はっきりいってお前にはこの地球を支配しようという覚悟というか、意気込みのようなものが感じられないのだ」

「・・・」

「そもそも何ださっきのあの『征服宣言』は?『征服宣言』とはもっと堂々と背筋を伸ばし大都市の上で大股ひろげて仁王立ちになって高らかに行うものだ。それがお前はどうだ?何だかへっぴり腰に前屈みになって、股間は両手で覆うわ、声は小さいわ・・・」

「だ、だって・・・」

さすがにメリーヌちゃんも反論する

「だって、この大都市の上で両手を腰に当てて仁王立ちなんかしたら・・・足元の地球人の皆さんに・・・パンツが丸見えになっちゃうじゃないですか」

こう言い返すだけでもメリーヌちゃんはぽっと頬を赤らめ、少し涙目になっている。
キラーン
地球防衛軍長官の眼光はいよいよ鋭く光った。

「・・・なるほど、お前は我々地球人にパンツを見せるのが恥ずかしかった、と」

「はい・・・」

「ならば脱げ」

「は?」

「・・・パンツを見せるのが恥ずかしいとか甘っちょろいことを言っているのなら、いっそのこと余計なものは脱いでしまえっ!!!」

*****

地球防衛軍長官の傍らでは、国連事務総長が相変わらず蒼い顔をして震えている。

「き、君、そんな居丈高にふるまって大丈夫かね?」

気の弱い事務総長は心配でたまらない。
なにしろ相手は年端も行かない女の子とはいえ超絶的な大巨人なのだ。
こうして足元から見上げるだけでこちらがナチュラルに気圧されてしまうばかでかさである。
もしその機嫌を損ねたりなんかしようものなら、自分たちは速攻でこのNeo-Tokyo Cityの街並みもろともぷちりと踏みつぶされてしまうだろう。
・・・
ところが地球防衛軍長官は眉毛一つ動かさない。

「・・・大丈夫です」

「ほ、ほんとにそうかね?」

「はい。先日申し上げましたように、この侵略者の行動パターンには巨大少女の行動パターンとしては解せない点があるのです。」

「・・・」

「侵略してきた巨大少女が地球を征服する際は、だいたい残酷に、傍若無人に、そしてなによりも堂々とえっちに振る舞うものです。どこのGTS小説を読んでもそうなっています。」

「・・・」

「逆にいえば、そういう行動をとれない者は満足に地球を征服などできないはずだ」

「・・・」

「ところが今回の一連の侵略行動を分析してみると、彼女は突っ立っているだけで典型的なGTSらしい振る舞いをしない。いや、そういう行動パターンがむしろ苦手であるように思われるのです。」

「?」

「そこを逆手にとる。すなわちこちらから彼女をどんどん典型的なGTSの行動パターンに追い込んでいく。」

「・・・」

「その仕掛けに向こうが付いてこれるならば彼女の勝ち。我々は潔く彼女に隷従するしかありません。しかし、付いてこれなければ、我々はこの難しい防衛戦に勝利できる可能性があります。」

「・・・」

地球防衛軍長官は拳を握りしめて力説する。
その迫力の前には、完全に納得できたわけではないけれど、さしもの国連事務総長も黙りこくるしかなかった。

*****

「・・・どうした?何をしている?早く脱げ!脱がんか!」

再び足元の地球防衛軍長官に急かされて、メリーヌちゃんは頭の中が真っ白になった

「ど、どうして?・・・パンツを見せるのも恥ずかしいのに、そのパンツを脱げって・・・酷い」

しくしくしく
メリーヌちゃんはついに泣き始めた
あーあ、幼気な女の子を泣かすなんて最低だな
・・・
というような優しい思いやりなど地球防衛軍長官はかけらも持ち合わせていない。

「・・・お前、知ってるか?」

「?」

「支配者は下品で傲慢に振る舞うものなのだぞ。被征服者たちの頭上に丸出しの下半身を見せびらかすくらいのことができなければ、とてもとても征服したとはいえんな。」

「は!」

そこでメリーヌちゃんは思い出した
与えられた課題の3)
「地球人たちに征服者として自分の強さ、大きさを見せつけ、傲慢に振る舞うこと」
・・・
それってこういうことだったんだ
・・・
・・・

「・・・よし」

メリーヌちゃんは覚悟を決めた。
やっぱりちゃんと課題はこなさなくちゃならない。
そのために遥々この地球という惑星にやってきたのだ。
恥ずかしいけど
・・・
乗り越えなくちゃ!
メリーヌちゃんは凛とした面持ちで立ち上がった。

*****

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
侵略してきた異星人少女の超巨大な姿を見上げていたNeo-Tokyo City市民は一斉にどよめいた。
さっきまで恥ずかしそうに内股で前屈みになってスカートの上から股間を押さえていた超巨大少女が、何を思ったかいきなりすっと姿勢を正すと、するするとパンツを脱ぎ捨て、そのままノーパンで女の子の大事なところどーぞご覧下さいませとばかりに両手を腰に当て開脚して背筋を伸ばす典型的仁王立ちポーズになったのだ。
もちろん足元からスカートの奥を見上げる市民たちは秘密の三穴物語が全てまるっとお見通し状態である。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これは市民たちがどよめくのも無理なかろう。
うーん征服されるのも意外と悪くないかもな?という雰囲気すらうっすらと漂いはじめた。
しかし国連事務総長は立場上そんなこと言っていられない。

「おいおいおい、彼女、やっちまったじゃないか」

「敵ながら天晴れですな」

地球防衛軍長官は余裕の笑みである。

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ?こっちの要求に付いて来られちゃったらやっぱり我々地球人は彼女の奴隷になるしかないじゃないか!」

「まだ闘いは始まったばかりですよ。」

地球防衛軍長官は慌てふためく事務総長を片手で制しながら、自分に言い聞かせるように繰り返した。

「・・・わたしと彼女との命をかけた闘いは、まだ始まったばかりです」

*****

恥ずかしい
顔から火が出るほど恥ずかしい
・・・
でもこうやって下半身丸出しにしてみんなに見せつけたことで、何か一つ吹っ切れた。
股間がすーすーして、ちょっと爽快な感じすらする。
これが征服というものなのか
・・・
メリーヌちゃんは一種の達成感というか、陶酔感に浸っていた。
・・・
・・・
・・・
その束の間の恍惚をぶち壊したのは、やはり地球防衛軍長官の冷たい一言だった。

「・・・お前、それで脱いだつもりか?」

「!」

慌てて真下を確認する
例の地球防衛軍長官が鋭い眼光で睨みつけていた
メリーヌちゃんは口を尖らせる。

「ちゃ、ちゃんと脱ぎましたよ!ほらっ!もうパンツ穿いてないでしょ!」

「それだけか?」

「え?」

「脱ぐのはパンツだけか?と訊いているんだ!!!」

地球防衛軍長官の剣幕にメリーヌちゃんは思わずたじたじしてしまった。

「だ、だって、見せるのが嫌ならパンツを脱げ、って・・・」

「誰が『パンツを』脱げと言った?」

「へ?」

「俺は『余計なものを』脱げと言ったはずだ!お前はパンツ以外にも余計なものをいろいろ着ているだろう!まずそれを脱げ!みんな脱げ!脱いで全裸になれっ!!!」

「!」

メリーヌちゃんは蒼ざめた表情で小刻みに首を横に振った。

「ダ・・・ダメよー、ダメダメ」

「時事ネタは旬を過ぎると辛いぞ」

「もう過ぎてるけど、でもダメ、これ以上脱ぐなんて・・・それはできない・・・」

「なぜだ?」

「だって・・・だって・・・(そうだ!)こ、校外に外出するときはちゃんと制服を着ていなければならないって、ほら、校則で決まっているからよ!」

メリーヌちゃんは胸ポケットから生徒手帳を取り出すと、足元の地球防衛軍長官に校則ページらしき一節をドヤ顔で見せつけた。
ドデッカ文字なんか地球人に読めるはずもないのだが、とりあえず自信満々である。
これで完璧に論破した

思っていたのだが
・・・

「・・・なるほど、校外では必ず制服着用なのだな」

「そうよ」

「ではお前は家に帰ってもそのセーラー服を脱がないのか?」

「え?」

「家に帰って寝るときも、風呂に入るときも、お前はその中学校の制服を着たままなのか?」

「・・・」

意外な切り返しに対してメリーヌちゃんは咄嗟に対応できなかった。
この隙を見逃すような地球防衛軍長官ではない。

「早く答えろっ!」

メリーヌちゃんは両掌を立ててぷるぷると首を横に振りながら答える。

「そ、そんなことないわ・・・お家に帰ればプライベートな時間だから私服に着替えるし、ベッドに入るときはネグリジェだし、お風呂には裸んぼで入るし・・・」

「ではなぜいま脱がない?」

「だって、自分のお家とお外では意味が全然違うでしょ?」

「ほう・・・」

地球防衛軍長官の眼が冷たく光る。

「・・・それではお前にとってこの地球とは、まだ自分だけのプライベートな空間ではない、ということなのだな?」

「・・・」

メリーヌちゃんは黙ってこっくり頷く。
間髪入れず地球防衛軍長官が一喝した。

「未熟者!!!お前がこの地球を支配するということは、この地球全体がお前のプライベート空間になるということなのだ!!!すなわち、お前にとってこの地球は自宅の風呂場も同然になるのだ!!!ならば脱げ!!!毎日お前が風呂場でしているように、全部脱いで全裸になれ!!!それができないようではお前がこの地球を支配していることにはならない!!!」

がーん
・・・
・・・
メリーヌちゃんは雷に撃たれたようなショックを受けた。
・・・
確かにこのおじさんの言うとおりだ。
見られたら恥ずかしい
恥ずかしいから全裸になれない
それはすなわちこの地球がまだわたしのプライベート空間になっていないということ
それではこの空間を支配しているとはいえないのだ
この惑星を征服しているなんていえないのだ
・・・
この地球を
自分のお家のお風呂と同様に考える
・・・
・・・
・・・
ふうううう
メリーヌちゃんは大きく息を吸った
肚は決まった。

「わかったわ・・・脱げば、いいのね?」

*****

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
Neo-Tokyo City市民は再び大きくどよめいた。
パンツを脱いで仁王立ちポーズをしていた超巨大女子中学生が、今度は手早くセーラー服を脱ぎ去ると、次いでキャミソール、ブラジャー、スカート、おまけにローファーとニーソまで脱ぎ捨てて一糸まとわぬすっぽんぽんになってくださったのだ。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
なにしろ身長3800メートルの超ビッグな身体である。
しかも最近では法規制が厳しくてなかなかお目にかかることも難しくなった清楚なローティーン美少女のオールヌードだもんなあ
もちろん上品なマニアの皆様を唸らせる推定Aカップのがっかりおっぱいもぽろりんこ
このがっかりおっぱいは遠くから見れば儚くも頼りなく片手で掴めちゃいそうなローティーン美少女特有の発展途上乳なんだけど、ところがそのバストを実測してみるとサイズは2000メートルもあり、先端にちょこんと乗っかっている小っちゃなサクランボみたいな乳首だけでも普通の地球人の家より大きい。
まだまだ成長はこれからでしょ?と思われた乳房自体も近寄って見てみれば実は普通に郊外の里山くらいの標高があるんだからそのギャップがもうマニアにはたまりませんわ
Neo-Tokyo Cityに住む1000万人の市民、いやいやそれどころかNeo-Tokyo Megalopolis都市圏に住む3500万人の地球人の視線はもう彼女に釘付けだ。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
そんなふうに全裸で胸も股間も敢えて隠さず両手を腰に当てNeo-Tokyo Cityのど真ん中に聳え立って仁王立ちポーズをとり続ける異星人女子中学生は、どーだまいったかこれを見ろ!とばかりに堂々と自分の超巨大な身体を誇示している
・・・
わけでもなさそうで
・・・
・・・
確かに胸を張って仁王立ちなのだが、でも頬を真っ赤に紅潮させて、くしゃくしゃになったつぶらな瞳からはぽろぽろ涙をこぼし、そして力いっぱい唇を噛みしめ、小刻みに震えている。
・・・
耐えている
耐えているんだ
この巨大女子中学生は、恥ずかしさに耐えながら、それでも支配者としての矜恃を示すため、公衆の面前で全裸仁王立ちというはっきり言って変態行為としか言いようのない罰ゲーム、もとい、難行苦行に挑んでいるのだ。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
なんと健気な女子中学生!
これはもうマニアだけじゃありませんな
おじさんならもう誰でも力いっぱい応援してあげたくなっちゃうシチュエーションじゃあーりませんか
・・・

*****

メリーヌちゃんはもう恥ずかしさで気が遠くなりそうだった。
どうしてこんな辺境宇宙のこびとの惑星でわたしがまっぱにならなきゃならないの?
どうしてこびとたちにわたしのまっぱを見られ放題にならなきゃならないの?
どうしてわたしはこびとに見られ放題になるためにわざわざまっぱになって仁王立ちしなきゃならないの?
・・・
侵略って、そんなに厳しいものなの?
・・・
・・・
メリーヌちゃんがそんな風に悩んでいたとしたら、それはまだまだ甘かった。

「・・・全裸で仁王立ちするのがそれほど辛いか?」

足元から例のおじさんの声がした。
地球防衛軍長官である。
ああ、やっと赦してもらえる。
メリーヌちゃんは涙目で力いっぱいヘルプアイを送りながら足元の地球防衛軍長官に向かってうんうんと頷いた。

「ふん、仕方ないな。では、しゃがんでいいぞ」

「あ、ありがとうございます」

お礼もそこそこにメリーヌちゃんは巨体を折ってその場に速攻で座り込むと恥ずかしそうに膝を抱え込んで蹲った。
ずずうううううううううううううん
間髪入れず地球防衛軍長官の怒号が飛ぶ。

「何をやっている!!!」

メリーヌちゃんは蹲った姿勢のまま首だけ上げて目を丸くする。

「だ、だって、しゃがんでいい、って言ったじゃないですか」

「しゃがんでいいとは言った。だがそのしゃがみ方は何だ?体育座りどころか引き籠りのポーズじゃないか!威厳のかけらもない。それでも支配者のつもりか?」

「!」

確かにこのポーズは引き籠りそのものだ。
つーか、だからもともと引き籠り気味だったメリーヌちゃんには馴染みのポーズであったともいえる。
威厳がない、と評されても返す言葉はない。
これでは支配者失格なのか
・・・
・・・
メリーヌちゃんはおずおずと訊ねた。

「じゃあ・・・どんなふうにしゃがめばいいの?」

「征服者として君臨するからには、常に堂々と胸を張っていなければならない。」

地球防衛軍長官はにこりともせず言葉を続けた。

「・・・そのためにはまず大きく両脚を開いて、両手を膝に当て、そのまま膝を曲げながらぐっと腰を落として、そして大きく胸を張る。ほら、やって見ろ!」

素直なメリーヌちゃんはこっくり頷くと、まずすっくと立ち上がり、そして両足が肩幅より少し広くなるくらいに脚を開いて、そこで腰を前屈して両手を膝の前に当て、次に膝を曲げながら腰をゆっくり深々と落とし、そして反っくり返るように胸を張ると・・・

「・・・」

絶句したのも無理はない
これはまるでお相撲さんの土俵入りみたいなポーズではないか
こんなポーズを身長3800メートルの超巨大女子中学生が全裸すっぽんぽんでやっちゃったのである
しかも大都会Neo-Tokyo Cityのど真ん中、というか真上
当然その真下には至近距離から見上げる市民の皆様が大勢いらっしゃったわけで
・・・
・・・

*****

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
本日何回目のどよめきであったことだろうか。
その中でも今回は桁外れに大きなインパクトだった。
なにしろNeo-Tokyo Cityの上空で全裸の巨大女子中学生が堂々と貫録の土俵入りポーズをとり、「どーだこれを見ろ」とばかりに地上300メートルの地点で股間をくっぱーしてくださったのだ。
しかもその巨大さ
ド迫力なんてものじゃありませんよみなさん
まるで大空のスクリーンに映し出された大画面ハイビジョン映像のように、豪快な大陰唇や可愛らしいクリトリスは言うに及ばず、もはや産毛ではなく陰毛だろうな、と判定できるふさふさした下の金髪のその根元の形状までばっちり識別可能だ。
それぞれのパーツの複雑な色合いや細かい皺や微妙な質感まで手に取るようにわかっちゃって「ほう、なるほど、こうなっていたのか」と皆さん思わず右手の拳を叩いてガッテンのポーズである。
もちろん匂いとか温度とか湿り気とかまでリアルタイムで伝わってきてその迫力というか臨場感はもーただものでない。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
Neo-Tokyo City市民のどよめきは、もはや驚きの声に留まらず、この勇気ある侵略者への心からの称賛が込められていた。

「・・・き、君、ほんとうにこれで良いのかね?」

そんな中、相変わらず国連事務総長だけは弱気である。

「巨大異星人とはいえ、見たところまだ中学生だろ?猥褻物陳列+未成年ポルノにあたるんじゃないかい?後でユニセフの担当者が噛みついてくるかも・・・」

「事務総長・・・」

地球防衛軍長官は国連事務総長に向き直ってその両肩をがっしりと掴んだ。

「地球の危機なのです。地球を救うためには多少の犠牲もやむを得ない・・・わたしたちは命をかけて闘っているのです!事務総長、おわかりいただけますね?」

「あ・・・ああ、そうだね」

勢いに押されて国連事務総長はこっくりと頷いた。
その間もNeo-Tokyo City市民たちのどよめきは止むことがない。
地球の支配権を巡る侵略者と防衛軍の闘いは、いま最高潮を迎えようとしていた。

*****

こんなことなら仁王立ちポーズの方がまだましだった。
股間の真下あたりで小さな地球人のこびとさんたちが妙に熱狂している。
もう恥ずかしくてたまらない。
ここからすぐにでも逃げ出したい。
でも
でも
ああ、ここでまたあの怖いおじさんの声が

「・・・おい」

「は、はい」

「お前がいま大股おっぴろげて地球人の前に曝け出しているものは何だ?」

「え?」

「だから、お前が下品に大開脚して地球人に見せつけている股ぐらのその尻穴の前にある薄汚くて臭っさい穴の名前は何だ?」

「い・・・言えません・・・そんなこと・・・・ほ、放送禁止用語じゃないですか!」

「甘ったれるなっ!!!」

またしても地球防衛軍長官の一喝である。

「お前は自分の立場がわかっているのか?この地球を征服に来たんだろ?人前で放送禁止用語も言えないとはどういうわけだ?まだ誰かに気兼ねをしているのか?それでも支配者か?」

「ううう」

「ほら言え!言ってみろ!言えなければ支配者失格だ!」

「・・・お・・・お、まん・・・」

「聞こえないっ!!!」

「・・・お、まんこ」

「声が小さいっ!それだけでかい図体して、そんな声しか出せないのかっ!」

「・・・はい」

メリーヌちゃんは両目を瞑ると、大きく深呼吸してから叫んだ。

「・・・お・ま・ん・こ・・・まんこですっ!!!」

「よーし、やっと言えたか。ほんっとに手のかかるガキだな。」

「ごめんなさい」

「それじゃあ次はその単語を使ってちゃんと文を言ってみろ」

「文?・・・文って、何を言えば・・・」

「かああああ、手がかかるなあ。仕方がない、じゃあ俺が例文を作ってやるからそのとおりに言え」

「はい」

「じゃあいくぞ。『地球人のみなさん、よく見てください、これがわたしのまんこです。どうですか?でっかいでしょ?このわたしの超巨大まんこには、地球上のどんな建物でも挿れることができます。では、実際に挿れてみましょう。』ほら、言ってみろ」

「ええっ!そ、そんなこと・・・」

「さっき俺が作った例文通りに言うって約束したばかりだろ?つべこべ言わずそのとりに言え!!!」

「・・・はい」

メリーヌちゃんはおっぴろげポーズのまま首うなだれて地球防衛軍長官の作った例文をぼそぼそと暗唱した。

「・・・ち、地球人のみなさん、よ、よく見てください、これがわたしの、ま、ま、まんこです。どうですか?で、でっかいでしょ?このわたしの超巨大ま、ま、まんこには、地球上のどんな建物でも・・・い、挿れることが、で、で、できます。では、じ、実際に、挿れて、み、み、みま、しょ・・・」

「声が小さい!!!やり直し!!!」

「はいっ!」

仕方がない
メリーヌちゃんはもうやけくそになって大声で叫んだ。

「地球人のみなさん!!!よく見てください!!!これがわたしのまんこです!!!どうですか?でっかいでしょ?このわたしの超巨大まんこには、地球上のどんな建物でも挿れることができます!!!では、実際に挿れてみましょう!!!」

間髪入れず地球防衛軍長官が突っ込んできた。

「よし、それなら早速お前のそのでっかいまんこにこの地球の建物を突っ込んでもらおう」

「え?」

さすがにメリーヌちゃんもこれは承服できない。

「そ、そんなつもりで言ったんじゃありません!・・・は!さては、わたしを陥れようとしましたね?」

「陥れるも何も、一度口にしたことは容赦なく実行するのが支配者の風格というものだ。」

地球防衛軍長官は全く平然としている。
山よりも巨大な女子中学生の足元でこの態度を貫けるのだから実に卓越した胆力だ。

「それにそもそもその無駄にでっかいまんこは何のためについているんだ?被征服者の象徴的な建造物をぶち込んでえっちな玩具扱いにしてやるためにだろ?そして自分こそが新しい絶対支配者であることをみんなに思い知らせてやるためにだろ?おい、わかってるか?そのためのまんこだろ?そのためにその薄汚い股ぐらにまんこをつけてきたんだろ?」

「!」

メリーヌちゃんは顔面蒼白だ
・・・
そうだったのか
GTSの侵略者がこびとの面前でやたらえっちな遊びをしたがるのには、そういう大切な意味があったのか
知らなかった
・・・
・・・

「そんなこともわからずに侵略に来たのか?」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

メリーヌちゃんは地球人の真上ではしたない股間おっぴろげ蹲踞ポーズのまま、両手で顔を覆って泣き出した。
それでも地球防衛軍長官は攻め手を緩めない。

「・・・お前、オナニーはしたことあるか?」

「しくしくしく・・・え?」

「だからオナニーはしたことあるかと訊いているんだ!!」

「は、はい・・・ありま・・・す・・・」

おおおおおおおおおおおおお
周囲のNeo-Tokyo City市民から小さなどよめきが上がる中、地球防衛軍長官は追及の手を緩めない。

「まあ、もうすぐ高校生ともなれば当然かな」

「すいません」

「で、道具は?」

「は?」

「道具は使ったのかと訊いている!!」

「!」

メリーヌちゃんは顔を赤らめながら答えた

「・・・ど、道具は、まだ使ったことがありません。いつも、ゆ、指で・・・してます・・・」

おおおおおおおおおおおおお
またしてもNeo-Tokyo City市民から小さなどよめきが上がる
地球防衛軍長官は満足そうに頷いた。

「そうか。わかった・・・それなら、今日は俺たち地球人がお前に素敵なプレゼントをしてやろう」

地球防衛軍長官は東南東の方向を指さす。
そこに遥かに聳え立つ孤高の尖塔
それこそが地球人の誇るスーパー高層建築物Neo-Tokyo Skytree Towerであった。

「・・・あれをお前にくれてやる。くれてやるからお前のその無駄にでかいまんこの中にずっぽりと根元まで挿入してみろ。」

「ええっ!」

「何を逡巡している!これはお前の記念すべき道具オナニー第一号だぞ!しかもこの地球人の誇る高層建築を凌辱してやることで支配者としてのお前の立場を盤石にしてくれるのだ!こんな有難い申し出はないだろ?」

「あ、はい」

「なら行け!いますぐ行け!いますぐ行って、Neo-Tokyo Skytree Towerを跨ぎ越し、そこで下品にがに股になって、腰を落として、そしてそのくそでっかいまんこにずっぽしと挿入して見せろ!!!」

「・・・はい」

メリーヌちゃんはうなだれたまま立ち上がり、夢遊病者のようにずしんずしんとNeo-Tokyo Skytree Towerに向かって歩き始めた。

*****

Neo-Tokyo Skytree Tower
高さ634メートル
地球人の2500倍の身長を持つ大巨人のメリーヌちゃんにしてみれば、体感的に25cmくらいである。
小さいといえば小さいが、でも経験の乏しい中学生としてはちょうどいいともいえる
ただ、地面から25cmの高さに立っている土筆みたいなものだから、挿入するためには腰をかなり深く沈めなければならない。
幸いメリーヌちゃんはけっこう下付き気味だったので、その真上から思いっきりうんちスタイルでしゃがみ込めばいい感じに挿入はできた。
・・・
ずぶ
・・・
・・・
太さは指ほどもないけど、ひんやりしたメタリックな感じが新鮮
今までに経験したことがない感覚だ
・・・
みんなが見てるのに、こんなことするの恥ずかしいなあ
・・・
でも仕方ない
それも全てこの地球を支配するためだ
・・・
ずっぽし挿れた位置から腰を浮かしたり、また思いっきり沈めたりしてピストン運動を試みる。
けっこう膝に負担のかかるハードワークだが、そこはまだローティーンらしく華奢で体重が軽いメリーヌちゃんなので何とかこなしていける。
・・・
挿れたり
出したり
また挿れたり
また出したり
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
・・・

*****

ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
・・・
Neo-Tokyo City市民は、もはやどよめきの声を上げるのもやめ、固唾を呑んでこの超ド迫力の公開オナニーショーに見入っていた。
・・・
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
・・・
天上から降ってくるそのリズミカルな音に合わせ、大地がぐらんぐらんと揺れる
その大地の揺れに乗って、あのNeo-Tokyo Skytree Towerが犯されている
犯しているのは、さっきまで自分たちの真上に君臨していたあの少女の巨大な膣である。
一方的に弄ばれている
玩具だ
性具だ
地球人の誇り、Neo-Tokyo Cityの誇り、孤高の超高層建築であるNeo-Tokyo Skytree Towerは、この超巨大少女にとってはただのえっちなオモチャなのだ
・・・
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
・・・
Neo-Tokyo City市民は、この可愛らしい女子中学生のありえないほどの巨大さを改めて思い知らされながら、それでも視線を外すことなく、食い入るようにその豪快なオナニーを仰ぎ見続けた。

*****
・・・
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
・・・
結構な運動量だからだろうか
身体がだんだん火照ってきた
・・・
あれ?
それだけかな?
・・・
なんだかちょっと変な気持になってきちゃった
・・・
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
ぐっちゅ
・・・
あああ
息も
はあ
荒くなって
はあ
きちゃったよ
はあ
はあ
はあ
身体中が
はあ
熱くなって
はあ
だんだん恥ずかしくなくなってきちゃったよ
・・・
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
・・・
みんな見てるね
大勢の、すごく大勢の地球人たちが、わたしのこのはしたない一人えっちを見ている
・・・
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
・・・
でも
なんだろうこれ?
すっごくいいかも
・・・
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
・・・
みんなが見てるのが恥ずかしいんじゃなくて
みんなが見てるからもっと気分いい
みんな、もっと見て
わたしの恥ずかしいところをもっと見て
もっともっと見てよ
その分だけわたしがまた気持ちよくなるから
・・・
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
ぐっちゅ
はあ
・・・
・・・

*****

Neo-Tokyo Cityの市民たちは、なおも静かに超巨大異星人女子中学生の大公開オナニーショーを見守っていた。
・・・
・・・
彼らは感動していた
地球防衛軍長官が繰り出す数々の無理難題
まだ年端もいかない少女にはあまりにも過酷な試練の連続だ
しかし、この少女は挫けなかった
ひ弱な小娘だとばかり思っていたのに、耐え、忍び、歯を食いしばり、その全てにくらいついてきた
育ちのよさそうな清楚でおとなしいこの14歳の美少女が、地球防衛軍長官の命じるがままに、素直にパンツを脱ぎ、すっぽんぽんになり、公衆の頭上で大股おっぴろげ、放送禁止用語を口走り、そして今はNeo-Tokyo Skytree Towerをその超巨大まんこにぶちこんで神々しいほどに豪快なオナニーをぶっこいている
・・・
頑張った
君は十分に頑張ったよ
それだけ君は頑張ったんだから
もういいよ
僕たちの負けだ
・・・
ああ、いいとも
征服されてあげよう
君はこの地球の支配者になればいいさ
僕たちは喜んで君を新しい支配者として受け容れてあげるよ
僕たちは喜んで君臨する君に隷従してあげるよ
・・・
・・・
一心不乱にオナニーぶっこく超巨大女子中学生の姿を見上げるNeo-Tokyo City市民たちは、いや、その様子をTV中継で見つめる世界上の全地球人たちは、みな同様の思いにとらわれていた
・・・
・・・
・・・

*****

「・・・致し方ないかな」

ここに至ってついに国連事務総長も肚をくくった。

「もう市民たちも認めている・・・我々地球人はあの異星からやってきた巨大女子中学生に降伏し、彼女を新たな地球の支配者と認め、隷従していくことを条件に命乞いするしかなさそうだな」

同意を求めて地球防衛軍長官に向き直る。
当然、彼も賛同してくれると思ったのだが、ところが彼の返答は意外なものだった。

「・・・事務総長、今日、彼女がNeo-Tokyo Cityに姿を現してから何時間くらいたちました?」

「ん?・・・そ、そうだな、もうかれこれ5〜6時間はたったかな?」

「5〜6時間・・・そして彼女はいまオナニーぶっこくために下半身に刺激を与えている・・・」

にやり
地球防衛軍長官は不敵な笑みを浮かべた

「そろそろです」

「ん?」

「そろそろ頃合いです・・・わたしと彼女の命をかけた闘いの、最終ラウンドが近づいてきました」

あたかも地球防衛軍長官のこの声を聞きつけたかのように、遠くでオナニーぶっこいていた巨大異星人女子中学生はふいにピストン運動をやめ、その場におどおどと立ち上がった。

*****

「・・・どうした?」

急にオナニーを止めて脱ぎ散らかしていた制服を着始めたメリーヌちゃんを、地球防衛軍長官が問い糺した。
メリーヌちゃんはもじもじしながら答える。

「ちょ・・・ちょっと帰ってくる」

「帰ってくる?・・・帰ってくるって、お前の母星にか?」

メリーヌちゃんは少し目を泳がせながら頷いた。

「帰るのはほんのちょっとだけよ!すぐにまたここに戻ってくるから!ワープを使うんで行き帰りは瞬時で済むのよ!」

「ふむ」

地球防衛軍長官は氷のような冷たい視線でメリーヌちゃんを睨みつける。

「なぜ・・・帰ろうとする?」

「え?」

またしてもメリーヌちゃんの目が泳ぐ
勝負どころだ
地球防衛軍長官は一気に攻勢に出た。

「・・・おしっこ、だな?」

「!!!」

メリーヌちゃんの顔面がさーっと蒼白になった
図星だ、と自白したも同然である
地球防衛軍長官はここぞとばかりに言葉を続ける

「・・・お前はこの地球上では今のところ飲食をしない。ということは、毎回地球にやってくる前に母星で十分な飲み食いをしてきているはずだ。そして今日お前がこのNeo-Tokyo Cityに現れてから、もうかれこれ5〜6時間がたつ。しかも、オナニーで股間を刺激してしまった。ということは・・・お前はいま間違いなく強烈な尿意に苛まれているはずだっ!!!」

おおおおおおおおおおおおおおおお
久しぶりにNeo-Tokyo Cityの市民たちがどよめいた
何と無駄に鋭い推理なのだ
確かに論理的で的を射てはいるが、しかしこの場でそんなことを言い当ててみて何か良いことでもあるのだろうか?

「この地球では『♪オシッコハ、マエモッテスマセ!』と歌にも歌われているくらい基本中の基本だ。そんな準備も怠ったことはお前のミスだったな。」

「・・・確かにわたしはいまおしっこに行きたくてたまらないわ」

観念してメリーヌちゃんも白状した。

「でもそれがどうしたの?おしっこしたければトイレに行くしかないでしょ?この地球にはわたしが入れるトイレなんかないのよ。だから、いったんドデッカ星のお家に帰るしかないじゃない!」

「ここでしろ」

「え?」

「トイレがなければ今すぐここでおしっこしてみろっ!」

この言葉にはメリーヌちゃん自身もそうだが国連事務総長も腰を抜かした。
慌てて地球防衛軍長官の傍らに駆け寄ると、大声で怒鳴り散らした。

「き、君、何を考えているんだ?見ろ!彼女を!あの巨体だぞ!体積は我々地球人の15625000000倍もあるんだぞ!そんな超大巨人がする一回のおしっこの量はどのぐらいになると思っているんだ?」

地球防衛軍長官はメリーヌちゃんにも聴こえるようにわざと大きな声で返答する。

「・・・そうですね、今まで我慢していたことを考えれば、まず600万立方メートルは下らないでしょう。」

「ろ、600万立方メートル!」

「このNeo-Tokyo Cityの郊外にある『多摩湖』という湖の貯水量のざっと2倍です。」

「そ、そんな大量のおしっこが急に放出されたらどうなると思ってるんだ!」

「まあNeo-Tokyo City市民は全滅とまではいきませんが、でも数百万人の溺死者が生じる大惨事にはなるでしょう。」

「ひ、ひ、他人事のようなことを言うな!簡単に数百万人の溺死者と言うが、もしこの場で本当に彼女がおしっこしてしまったら、その股間の真下にいる我々自身も助からないじゃないか!」

「当たり前です。ですが溺死はしないでしょう。その前に、尿道口のすぐ近くにいる我々はそのスーパー強力なおしっこジェットの直撃を食らって木っ端微塵に粉砕されてしまうでしょうから。」

「ひ、ひえええええ、そ、そ、それでも君はいいのかね?」

「もちろんですとも。」

地球防衛軍長官は国連事務総長に背を向けると、メリーヌちゃんに向かって人差し指を突きつけながら言い放った。

「もとより俺はこのお前との闘いに命を賭けていると言ったはずだ!だがお前はどうだ?お前がこの地球を本当に支配する気概があるのなら、さっきこの地球を風呂場に見立てて全裸になれたように、トイレに見立てて排泄行為をすることだって可能なはずだが・・・」

「!」

メリーヌちゃんはそれまでにも増して鬼気迫る地球防衛軍長官の言葉にたじろいだ。
Neo-Tokyo Cityの市民たちもごくりと固唾をのむ。
闘いは、いよいよクライマックスを迎えたのだ。

「・・・そこまでお前の覚悟があるのなら、俺たちはお前を地球の支配者だと認めてやろう。その支配者のおしっこジェットで粉砕されても構わない。俺だけじゃないぞ。それはこの地球に生きる地球人全ての心意気だっ!!なあみんな、そうだろ?」

おお!
そうだ!
そうだ!
そうだ!
そうだ!
熱弁を振るう地球防衛軍長官を十重二十重に囲むNeo-Tokyo Cityの市民たちも次々と賛同の声を上げた
あの頼りなさそうな国連事務総長までもが顔を紅潮させて頷いている
みんな自分の命を賭けたのだ
・・・
ついさっきまで、彼らは敗北を覚悟していた
彼女の前に屈しようとしていた
しかし今は違う
我々は地球人だ
地球人の誇りにかけて最後まで闘おう
決してこの際だからレアものであるローティーン巨大少女様の黄金水を拝領してみたいとかいうけしからん気持ちが湧き上がったのではない
地球を守り抜く
そうだ
いま地球人は一つになった
勝利に向けて、地球人の心は一つになった
一つになった地球人の心を背に、地球防衛軍長官はひときわ高く声を張り上げた。

「さあ見せろ!!!お前の覚悟を見せろ!!!お前がこの地球の支配者となるその覚悟を見せてみろ!!!そしてこの俺たちを、お前のおしっこジェットで粉砕してみせろっ!!!」

「・・・」


・・・
ずずうううううううううううううううううん
・・・
・・・
・・・
メリーヌちゃんは脆くもその場に崩れ落ちた
・・・
・・・
地球防衛軍長官は、穏やかな声で問いかける

「・・・どうした?」

「ダメです・・・できません」

「・・・」

「わたし・・・地球を支配するためなら、どんな恥ずかしい思いでも・・・耐えてみせるつもりでした」

「・・・」

「・・・でも、地球人のみなさんを、虐めるのはダメ・・・自分のおしっこジェットで粉砕し、その上何百万人も溺れて死なせるなんて・・・そんなこと・・・そんなこと・・・できません!」

「・・・ということは?」

「諦めます」

「・・・」

「わたしには無理だったんです。この地球を侵略し、征服し、支配するなんて・・・そんなこと、無理だったんです!」

「・・・」

「ごめんなさい。わたしの力不足でした。ごめんなさい。ほんっとうにごめんなさい、う、う、う、うわーん」

メリーヌちゃんはその場に突っ伏してわんわん泣き始めた。
・・・
その様子を地球防衛軍長官は黙って見つめる。
・・・
・・・
・・・
闘いは終わった。
この激しい闘いに勝利したのは、地球人だった。

*****

わーんわーんわーん
・・・
・・・
いつまでも泣き続けるメリーヌちゃんに向かって、地球防衛軍長官は訊ねた

「お前・・・名前はなんという?」

「は・・・はい」

メリーヌちゃんは涙に濡れた顔を上げ、声を絞り出した

「わたし・・・メ、メリーヌといいます」

「メリーヌか・・・いい名前だ」

地球防衛長官の声は、さっきまでとはうって変わって、優しく、慈愛に満ちていた。

「・・・メリーヌ、頑張ったな」

「ひっく、ひっく、ひっく」

「確かにこの地球を支配するには、お前はまだ力不足だった。」

「ひっく、ひっく、ひっく」

「だが、お前は健闘したぞ。それは認めよう。我々を土俵際まで追い詰めたその戦いぶりは、今のお前の実力ならば十分に称賛に値する」

「ひっく、ひっく、ひっく」

「次はちゃんと異星を征服できるように、今後も精進して、実力を磨きなさい」

「ひっく、あ、あ、あ・・・ありがとうございますっ!」

メリーヌちゃんは涙をぽたぽた流しながら地球防衛軍長官にお辞儀した。
その様子を見て、Neo-Tokyo City中の市民たちも口々にコールした。

「メリーヌちゃん!!!」

「ファイトッ!!!」

「メリーヌちゃん!!!」

「ファイトッ!!!」

「メリーヌちゃん!!!」

「ファイトッ!!!」

「メリーヌちゃん!!!」

・・・
・・・
市民たちの激励の声は、敗北に打ちひしがれたメリーヌちゃんの心に温かく滲みわたる。
メリーヌちゃんは立ち上がり、地球人たちに向かって、深々と、深々と、お辞儀をした。

「み、みなさん・・・ほんとうに、ほんとうに・・・ありがとうございましたっ!!!」

*****

巨大な侵略者は去った。
国連事務総長は眼鏡もずり落ちんばかりに小躍りして大喜びである。

「やった!君、やったね!素晴らしい!素晴らしい!」

しかしその事務総長に絶賛された地球防衛軍長官の表情に笑みはなかった。

「・・・事務総長、これはまだ始まりにしか過ぎません。」

「ん?」

天空の彼方を指差す

「ご覧下さい。宇宙は広い。この広い宇宙にはまだきっと数えきれないほど多くの危険な知的生命体が棲息しています。今後もわが地球は侵略の脅威に曝され続けることでしょう。幸いにして今日の防衛戦に勝利することはできました。しかし、次はわかりません。」

「・・・」

「勝って兜の緒を締めよ。これからも我々は地球のために闘い続けます。それではこれにて失礼」

地球防衛軍長官は、小さく一礼すると、厳しい表情を緩めることなく立ち去っていった。

*****

ドデッカ星の自宅に帰ると、メリーヌちゃんはまずトイレで思いっきりおしっこをして、それから自室に引き籠り机に突っ伏しわんわん泣き続けた。
・・・
・・・
他星を征服するなんて、まだわたしには無理
自分には決定的に足りないものがある。
それを思い知らされた。

「・・・で、でも、良い経験にはなったわ」

このままではダメだ
このままでは立派な大人にはなれない
頑張って、この壁を突き破って、一人前のドデッカ星人にならなくては
・・・
・・・
思い起こす
あの防衛軍長官さんの厳しくも慈愛に満ちた愛の鞭
そして温かい地球人のみなさまの激励
・・・
頑張らなくっちゃ!
せっかく鍛えていただいたのだから、せっかく励ましていただいたのだから、次こそは頑張らなくっちゃ!

「・・・この次にどこかの惑星に侵略にいくときは、今日の経験を生かして、自ら進んで傲慢に、下品に、そして残酷に振る舞おう・・・」

メリーヌちゃんは目に涙を浮かべながら、そう心に誓うのだった。

*****

ドデッカ星教育省職員食堂
今日も仲良くもやし炒め定食を食べながら、例の3人の若手キャリアがことの顛末に付いて相談している。

「・・・あの例の娘の侵略研修、見たかい?」

「ああ、偵察衛星が送ってきた映像をじっくり見せてもらったよ」

「で、どう思う?」

「どうもこうも、失敗だろ?あの娘、あろうことかあの地球って惑星のこびとヒューマノイドたちの言いなりにさせられたうえ、挙句の果てには泣きべそかいて退散だぜ。どうしようもなかったじゃないか」

「うん、確かにそうなんだけどさ・・・」

言い出しっぺのキャリアは皿に残ったもやしを突きながら言葉を続ける。

「・・・冷静に振り返ってみようぜ。あの娘はまずあの地球って惑星の防衛軍の攻撃を跳ね返し、征服宣言をして、そして大都市の真ん中に聳え立って堂々とえっちな遊びを始めたんだよな」

「堂々と、っていうか、地球人たちに言われてしぶしぶと、だろ?」

「まあそうなんだけどさ、でもやった事実だけを冷静に列挙してみれば、これってあのくらいの年ごろの女の子が惑星を侵略した時の定番行動パターンそのものだろ?」

「うーん・・・そういえばそうだな」

「ちょっと待てよ!でもあの娘は自分から進んでやったんじゃなくて、みんな地球人にそそのかされただけじゃないか!」

「だから素晴らしいんだよ」

言い出しっぺのキャリアは確信に満ちた表情で頷いた。

「考えてみろよ。あの内気な子の自発性に任せておいたら、あんな典型的な侵略者の行動をとったと思うか?」

「うーん、そういえば確かにそうは思えんなあ・・・」

「征服した星のこびとヒューマノイドたちを優しく飼いならしてあげるだけの生温い結果に終わってしまっていたかもな」

「そうだろ?ところがあの惑星のこびとヒューマノイドは、ちゃんとした侵略行動ができない欠陥のある子供を、ドデッカ星人の若者らしい行動パターンの方向に矯正して導いてみせたんだよ」

「!」

「あいつら・・・実は教材として素晴らしいポテンシャルがあるんじゃないか?」

「なるほどおおおおおおおお!」

二人の同僚も思いっきり納得である。

「侵略されながらもこれほど力強く指導してくれる教材なんて、ちょっと思い当たらないな」

「あの泣きべそかいて帰った娘も、とりあえず正しい侵略行動パターンの経験にはなったんだから、きっと次は自分の力でもっとうまくやれるよ」

「ふふふ、実際にこういう資料があるんだよ」

言い出しっぺの若手キャリアはアタッシュケースからぴかぴかの報告書を取り出して見せる。

「あの心を病んだ女の子、えーとメリーヌ・イヴォネッタ・ニールセン、だったかな?」

「うん」

「あの侵略研修の後、こんどは一人で自発的に他星を侵略してみたんだそうだ。」

「ほう」

「それでそれで?」

「なんと今度はその星を見違えるほど残虐に蹂躙し、そのうえ下品で卑猥なデモンストレーションのオンパレード。あっという間に絶対支配者の地位に収まったということだぜ」

「ほう」

「教育効果抜群じゃないか!」

「いけるかな?」

「いけるいける!これはいいぞ!」

「大臣に報告だ!」

三人のドデッカ星教育省若手キャリアは早々に昼食をかき込むと、教育大臣に今回の報告書&意見書を提出した。

*****

ドデッカ星教育省若手三人組の意見書は大臣はじめ高官一同に高く評価され、地球は晴れてドデッカ星の問題児を矯正するためのスパルタ教育に特化した惑星に指定されることになった。
てなわけでこの頃は毎週のように心に問題を抱えた女子中学生が侵略研修を受けに地球を訪れる。
すなわち、地球防衛軍長官が予測した通りの事態になったのだ。
侵略してきた巨大女子中学生は、そのたびに地球防衛軍の攻撃を華麗に跳ね返すものの、その後は立ちはだかった長官から逆に思いっきり根性を叩き直され、泣きながら母星に帰る。
その結果、地球人は形の上では一応独立を回復するわ、長官はますます男を上げるわ、ドデッカ星人の娘は鍛えられるわ、ついでに野次馬の地球人たちは毎週のように結構なものを拝ませていただくわでwin-win-win-winの 八方丸く収まる関係ができあがった。
おおお
これは
めでたしめでたし
・・・
・・・
・・・
なのか?

スパルタの星戦記・終