ハル 「どうしよう…」

ハルはひとり部屋で呟く。
椅子に座るハルのその足元には、5人の100分の1サイズの男がいた。


  *


学校からの帰宅途中、ハルは突然周囲をこの5人の男達に囲まれた。
ヘラヘラと笑いながらチャラついた言葉を並べてナンパしてくる男達。
いくら断っても開放してくれる様子の無い男達にうんざりとしたハルは男達の間を通り抜けて立ち去ろうとしたのだが、そのときに男の一人に手を捕まれた。

するとその瞬間 男達は100分の1サイズに縮んでしまった。
アスカが付与してくれた痴漢迎撃用アイテムの効果である。
自分の手を掴んでいた男の手の感触が無くなり、振り向いてみれば自分の足元には今しがたまで自分を取り囲んでいた男達が突然の状況の変化を理解できずにオロオロしている。
自分の履くローファーの周囲を這い回るその姿はまさに虫の様であった。
このまま放っておいて帰ってしまってもよかったが、なんとなくバツが悪い気持ちもあり、ハルは男達をつまみ上げ家に持って帰ることにしたのだった。


  *


そして今にいたる。
ハルの足元におろされた男達も最初ほど動き回らなくなっていた。
自分が置かれている、100分の1サイズに縮められたというあまりに非常識な状況を呑み込み始めたのだろう。自分たちの前で椅子に座る、100倍サイズの超巨大なハルを見上げていた。

 ハル 「はぁ…」

ハルはため息をついていた。
連れて帰ってきたものの、その後どうするかなどまるで考えていなかったのだから。
しかしだからとてこのままではどうにもならない。
とりあえず話しかけることにしよう。

 ハル 「あの…大丈夫ですか…?」

ハルは自分の履く黒ソックスのつま先の前に集まる男達を見下ろして話しかけてみた。
男達の体がビクリと震えるのがハルの目にもわかった。

 ハル 「えっと…、一応わたしは警告しましたからね? 触らないでくださいって。みなさんが悪いんですよ?」

触られたら痴漢撃退用アイテムが作動することは忘れていたが。

しかしハルがそう言うと男達は声を荒げて反論し始めた。
自分達は何も悪くない。
こんな非常識なことがあってたまるものか。
声を荒げ、手を振り上げ、暴れ始めた。

 ハル 「…」

大の男達が暴れれば恐ろしいものだが、それも100分の1サイズとなってはお粗末なものだった。
暴れる彼らを、ハルは恐れるどころか、最初はそれに気づくことも出来なかった。
指先ほどの大きさしかない100分の1サイズの小人達が足の前で動き回ったところで滑稽ですらなかった。

最初は好きなだけ暴れてればいいと思っていた。
しかし彼らの自分勝手な物言いは段々エスカレートしていき慰謝料を請求するだの裁判にかけるだのと言い出した。
最初に不埒を働いたのはそっちの方なのに…。と、ハルの中にも苛立ちが募っていく。
同時に、奥底の衝動のスイッチが入る。

改めて見下ろしてみれば自分のつま先の前で豆粒サイズの男達が暴れている。
あまりに卑小なその姿は恐怖や怒りを通り越して嘲りと哀れみすら湧いてくる。
思えば、全く無関係な人間を縮めてしまったのはこれが初めてかもしれない。
彼らの顔も名前も知らない。ついさっき会ったばかりだ。情も何も湧いてこなかった。

くすっ。
ハルは自分の足元を這いずり回るその虫けらのように小さな男達を見下ろしてほくそ笑んだ。

 ハル 「ふふ、なんか色々意味不明なこと言ってますねー。でもそもそも最初に手を出したのはそっちですからね? ちゃんと理解してしゃべってます? そんなこともわからないくらいちっぽけな脳みそなんですね」

ハルは嘲りながら笑ってやった。
そんなハルの言葉にプライドの薄っぺらい男達は頭が沸騰する。
いきり立った男のひとりが目の前のハルの右足に駆け寄るとそのつま先を思い切り蹴りつけた。

走りよってきた男がソックスに包まれた自分の足の指を蹴り上げたのは見えていたがその感触はほとんど感じられなかった。
ちっぽけな彼の貧弱な全力の蹴りはこのソックスに威力のほとんどを吸収され痛いどころかくすぐったいとすら思えない。
怒りの一撃であるその蹴りが指先をツンとつつく程度にしか感じられないことに、ハルは優越感を感じていた。

 ハル 「あ。女の子を蹴るなんて酷いですね。じゃあこっちも正当防衛しますよ」

言うとハルは、今しがた男の一人に蹴られた右足の足指だけをひょいと持ち上げた。
目の前に鎮座していたソックスに包まれた巨大なつま先がガバッと勢い良く持ち上がり、男達は驚き悲鳴を上げた。
つま先を蹴り上げるために近寄っていた男は、恐怖のあまりに腰を抜かし尻餅を着いていた。
黒いソックスに包まれたつま先はその高さだけでも彼らの身長ほどもある。幅に至っては8mを超える。
そんなものが前触れも無く突然持ち上がれば大の男とて悲鳴はあげる。

つま先を持ち上げただけで右往左往する小人達の様はなんともシュールなものだった。
そしてその足指を持ち上げた右足をほんの少しだけ前に出し、足指の前で腰を抜かしている男が射程に入ると持ち上げていた指をおろして元に戻した。

バフッ。ソックスに包まれたつま先が男に覆いかぶさる。
足指の下敷きになってしまった男の姿は、他の男達からは見えなくなってしまった。

 ハル 「見えなくなっちゃいましたねー。どこに行ったのかなー」

ハルはクスクスと笑いながら男に被せている足指をくにくにと動かした。
4人の男達の目の前で黒いソックスの巨大なつま先がゴゴゴゴと動く。同時に、その巨大なつま先の下から、仲間の男のくぐもった悲鳴が聞こえてくる。

少しの間つま先を動かし続けたあと、ハルは足を男の上からどけてみた。
男は床の上に大の字になって動かない。
白目をむいて気絶しているようだった。

 ハル 「あらら、貧弱。お兄ちゃんだったらこのくらいじゃへこたれませんよ」

ハルの嘲笑が床の上の4人の小さな体をビリビリと震わせた。
男達が倒れた仲間のもとに駆け寄らなかったのは、もとより大した友人関係でもないこととハルへの恐怖に動けなかったこと以上に、その仲間の体が強烈に臭うからだった。

この暑い季節、ハルは一日中この黒いニーソックスを履いていた。
学校への登校中はローファーを、学校についてからは上履きをずっとだ。
足とて汗はかく。それも靴の中という密閉された空間で靴下に包まれたままではなおさらだ。
強烈に蒸した靴の中でじっとりと汗ばんでいた足のその汗を吸い続け、さらにその気温と体温で暖められ続けた靴下は凄まじい悪臭を放っている。

と言っても、ハルにとってはこの季節は日常の事。
確かに自分でも顔をしかめるほどの臭いがすることもあるが、気絶するほどではない。
ただ、今の100分の1サイズに縮んだ彼らにとっては、相対的に100倍の巨人となったハルの足の臭いが、その大きさに比例して強烈になっているのだった。
顔をしかめるどころではない。あまりの刺激臭に鼻が痛くなり目から涙が出るほどだ。

気絶した男は、その足の下に数十秒も下敷きにされたのだ。
巨大な足の指によって覆われる密閉された空間。その空間の気温はハルの体温と気温によって一気に急上昇しまるでサウナのように熱くなる。
更に密閉された空間にこもる臭いはどんどん濃密になり男の周囲を埋め尽くしていった。
狂いそうになる暑さと臭いの中に閉じ込められ、更にはその元凶である足の指にのしかかられ身動きも取れないままに激しくいたぶられる。
ハルのすべてに対して防御が出来ないまま、男は気を失った。

そして今、開放されたあとも男の体にはハルの足の臭いがたっぷりと染み付いていた。
仲間の男達は、自分達の感覚で数mもの距離をあけねばならなかった。それ以上は、物理的に近寄れなかった。

ハルも、男の状況を察していた。

 ハル 「もう、足のにおいだけで気絶しちゃうなんて弱すぎ♪ しかたないなー…」

言うとハルはそれぞれの足を持ち上げるとそのニーソックスをぎゅーっと引っ張り脱ぎ捨てた。

  ズズン! ズズン!

男達の前に、今度は素足となった巨大な足がおろされた。

 ハル 「ほら、靴下を脱いじゃいました。これでみなさんが蹴ったりしても私に通用しますよ」

ハルの笑い声が床の上に轟く。
今しがた靴下を脱いで床の上に下ろされた足の衝撃で床の上を転がっていた男たちは床の上に這い蹲ったままその巨大な足を見ていたが、男たちはそれまで以上に近づけなかった。
確かに例の靴下は凄まじい刺激臭を放っていた。物理的に近寄るのが困難なほどに。
そしてその靴下は取り除かれたわけだが、それは匂いが取り除かれたということではない。
むしろその匂いの大本こそハルの足であり、その足は靴下という覆いを取り除かれて完全に開放された。
封ぜられていた匂いが、熱気が、ハルの足の周囲に広がる。

男たちは悲鳴を上げて逃げ出した。
こんなにも巨大な女を前に恐怖したのは当然だが、それよりも何よりも、ふんわりと広がってくる臭いから逃げるためだ。
スンと一回でも臭いを嗅げば鼻がもげそうなほどの凄まじい刺激が襲ってくる。
だから男たちはハルの足から少しでも離れようと全力で走り出したのだ。

そんな男たちの様を優越感たっぷりに見下ろしていたハル。

 ハル 「あー、逃げるなんて酷いですね。女の子なんだから気を遣ってくださいよ。おしおきしちゃいますよ?」

そう言ったハルは片足を持ち上げその場にズシンと踏み落ろした。
男たちは全員揺れ動いた床の上ですっころんでいた。
ハルはそんな男たちが転がっている間にひょいとつまみ上げてしまう。
そしてその男たちを、右足の指の間にひとりひとりそっと挟み込んだ。

 ハル 「あはは。これでもう逃げられませんよ。さぁ、たっぷり堪能してくださいね」

ハルはニヤニヤと笑いながら言った。

男たちの周囲は一瞬にして地獄となった。
凄まじすぎる足臭。強烈な熱気。男たちは身動きもとれない臭熱地獄に放り込まれたのだ。
男たちの体は彼らの身長ほどの太さもある巨大な足の指の間にミッチリと挟み込まれていた。いくら力を込めてもビクともしない。これがただの女の子の足の指の力だと思うと想像を絶する。
ソックスを脱ぎたての足の周囲の気温は熱すぎるくらいだ。しかもここ足の指の間は汗をかいていることもあり温度も湿度もかなり高い。水の中にいるかのような窒息感を覚える。
そして極めつけはその臭いだ。男たちが挟まれているここ足の指の間はこの凄まじすぎる臭いの源泉だ。大元である。ゴウゴウと湧き出る足臭が男たちの周囲を比率100%で埋め尽くしていく。それにハルの足の体温が加わり、男たちのいるつま先周辺は呼吸も満足にできないほど劣悪な環境となっていた。

「ぐあああああああああああ……!!」
「た…助け…ゲホッ! ゲホッ!」

ハルの足の指の間で、男たちが泣き叫んでいる。
両手を振って顔の周囲の臭いを払おうとも周囲の空間が足の臭いで埋め尽くされているのだから意味がない。
鼻をつまんだところで吸い込む空気の強烈な刺激臭は鼻だけでなく口や喉にもダメージを与えてくる。呼吸するたびに肺が痛い。

そんな地獄に、更に圧力まで加わった。
ハルが男たちを挟んでいる右足の指を、くにくにと動かし始めたのだ。
足の指は間に男たちを捕らえたまま握ったり擦り合わされたりした。

ゴゴゴゴ…!
巨大な指が、間の男たちなどまるで存在しないかのように自由に動き始める。
その最中で、男たちの小さな体は今にも潰されてしまいそうな凄まじい圧力にさらされていた。

足の指たちがキュッと少しでも握られればそれだけでその間に捕らわれる4人の男たち全員の体が限界まで締め上げられる。メキメキと音を立てながら握り込まれていく足の指の間で、男たちは自分たちの小さな体がミチミチと音を立てるのを聞いた。自分たちの体が今まさに潰されかけている音だった。
男たちはあらん限りの悲鳴を上げた。しかしそれは無慈悲な足の指を止めるのに何の役にも立たない。むしろそれらの主であるハルの耳に届いては、ハルを楽しませるだけだった。

足の指が擦り合わされればその指の間にいた男の体はゴミくずのように弄ばれた。自分の体を左右から挟み込んでくる別の足の指が、それぞれ別の方に動くのである。左から挟み込んでくる親指は上方向に、右から挟み込んでくる人差し指は下方向に。指がそれぞれの方向に動くとその間に挟まれている男の体はそれぞれの方向に引っ張られ動こうとする。体がねじれていた。ハルがほんの少しでも力加減を間違えれば、そのまま捻り潰されてしまうだろう。

そうやってハルは足の指を動かして小さな男たちをたっぷりといたぶった。
自分の足の臭気の中で呼吸もままならない男たちの体を押し潰して酸素を絞り出させ無理やり呼吸をさせる。
息を吸い込ませる。
そうすることで男の体の表面だけでなく、体内にも自分の足の臭いを浸透させる。
男たちの小さな体を足の臭いだけで蹂躙する。足の臭いに染め上げる。
貧弱な体たちはちょっと足の指を動かすだけで簡単に屈服してくれるから面白い。彼らの体も、プライドも、足の指の間に納まっている。こうして足の指を動かしているだけで男たちの存在のすべてをこねくり回すことができるのだ。



それを続けていたら男たちはすっかりグロッキー状態だった。
しかし気絶はさせてやらなかった。男たちが一人でも気絶しそうになったら足の指をギュッと握って締め上げて、無理やり起こしていた。
ただもう、抵抗する気力はなさそうだ。男たちを挟む足の指に、彼らの動きをほとんど感じなかった。

ハルは足の指を開いて男たちを解放した。
グバッと開かれた指の間から男たちがポロポロと落下する。
汗で指に張り付いて落下しなかった男もいたが、それは足の指をぐにぐにと動かして振り落とした。

ドサ ドサドサ
足の指の間に捕らわれていた男たちは最初に靴下に踏みつけられて気絶した男の周囲に落下した。
男たちは男たちの感覚で10m以上の高さから落とされたことによる激痛と指の間でさんざん嬲られたことによる苦痛から、落下した後そこから動くことができなかった。

 ハル 「もう動けないんですか? 女の子が足の指をちょっと動かしただけで動けなくなっちゃうなんて、もうみなさんなんて虫けら以下のゴミですね」

ハルの愉快そうな笑い声が心身ともに極限まで痛めつけられた男たちの体にとどめを刺すように襲い掛かる。
彼らが挟まれていたハルの足は未だに彼らの頭上にあり、ゆらゆらと揺れ動くそれの作り出す影に5人の男たち全員が収まっていた。
他人の足の裏を頭上に見上げる。それは相手にとって自分たちが足元にも及ばない存在であり、地面を這い蹲る虫と同じであり、何の価値も無いということだった。

 ハル 「それじゃあゴミは始末しなきゃいけませんね」

ゆらゆらと頭上で動いていた巨大な足がピタリと止まる。

 ハル 「さよなら」

この巨足の持ち主が遠方でクスッと笑ったような気がしたが、それはこの巨足に遮られて見ることはできなかった。

  ズシン!

ハルは足を踏み下ろした。
その下に収めていた男たちは一人も残さず下敷きにできたようだ。
それを確認するべく足を持ち上げると、足の裏には五つの小さな赤いシミができていた。

 ハル 「あはっ、ゴミがシミになっちゃいましたね。何の価値も無いみなさんが唯一残せたのがこのシミなんですね。まぁでも…」

ハルはもう一度足を床におろすとグリグリと動かして床に押し付ける。

 ハル 「こうしてこすりつけちゃえば…」

そしてまた足を持ち上げて足の裏を見た。

 ハル 「なくなっちゃうんですけどね」

足の裏の赤いシミはほとんどなくなっていた。
彼らと言う存在は彼らと言う存在も痕跡を残すことも許されなかった。

そしてハルは脱ぎ捨てていた靴下を履きなおした。
今しがた5人の男たちを踏み潰した巨足が黒いソックスの中に納まりすっぽりと覆われる。
これでもう、この部屋の中に男たちがいたことを証明するものはずべてが隠匿された。

 ハル 「ふぅ…楽しかった」

ハルは満足そうに息を吐き出した。
が、チラリと時計を見てビクンと体を震わせる。

 ハル 「ああっ! もうお兄ちゃん帰ってきちゃう…! 夕飯の支度しないと!」

慌てて椅子から立ち上がったハルは駆け足で部屋を出ていった。
この時にはもう、たった今自分が踏み潰した5人の小さな男たちのことはすっかりと忘れていた。


  *


 アスカ 「…ていう」
 ハル 「なんですかそれ…」

アスカが言った。
ハルはため息をついた。
そのため息は手のひらに乗せられている男たちに突風となって襲い掛かり、男たちはハルの手のひらの上から落ちそうになって悲鳴を上げた。

ハルは男たちを縮めてしまったあとアスカに相談していたのだ。
とりあえずアスカにウチに来てもらって、この男たちの処遇について考えてもらったのだが。

 アスカ 「いやーハルちゃんならこんな感じに嬉々として潰してくれるかなーって」
 ハル 「し、しません! いくらわたしでも見ず知らずの人をいきなり潰すなんて…。ていうか、わたしの足そんなににおいませんから!!」
 アスカ 「えー真面目なんだからー」

アスカがケラケラと笑う。
そういう問題じゃないでしょう…。ハルはまたため息をついた。

 アスカ 「んじゃあとりあえず記憶を消して元の大きさに戻して交番の前にでも放り出しとく? 記憶ないから捕まったりはしないと思うけど」
 ハル 「そうですね…。まぁそれでいいと思います」
 アスカ 「うんうん。…ところで話は変わるけどトラさんに新しい変身パターンつくったのよ」
 ハル 「トラさん? ああ、あの別のものに変身できるアプリですね」

前にお兄ちゃんとアスカさんが蚊になってたアプリだ。
色々なものに変身できるようにするとは言っていたけど、アスカさんは飽きっぽいからパターンが増えるのは結構遅い。

 ハル 「それで何に変身できるようになったんです?」
 アスカ 「ハムスター。ちっちゃなハムスターになったシュウを手のひらに乗せたりゲージに入れて滑車を回させたりしたいね。種とか口いっぱいに頬張っちゃたりして」
 ハル 「それはステキですね!」

アスカの言葉に目をキラキラと輝かせるハル。
シュウを小人としてではなく小動物として愛でるのはまだ経験が無い。兄があのちっちゃくて丸い毛玉になるかと思うと思わずよだれが出てしまう。
シュウをゲージの中に入れたりして遊ぶのはもちろん、横になった自分の体の上に乗せて体の上を走り回らせたり、あ、あわよくばアソコの中へ…。

ハルは目に星を入れて輝かせ口元からよだれを垂らし祈るように両手を組み合わせ妄想を膨らませる。

 アスカ 「あ。ハルちゃんハルちゃん」
 ハル 「はい? ……あっ!」

ハッとしたハルは自分が握り合わせている手に男たちを乗せていたことに気づいて慌てて手を離した。
恐る恐る手のひらを覗き込んでみる。
すると両手の平には、5つの小さな赤いシミができていた。