「うーん、あれ?どこだっけ?」

相変わらず自分がどこで何をしているか分からない。
この状態はどうにかならないものか。
はぁ。とため息を吐き周りを見回す。

「銀色の…筒?」

自分の他に綿棒や銀のハサミ、ガーゼが一緒に入っている。
治療に使う道具達だ。それらから自分の大きさをなんとなく推測した。

「病院かな?」

銀色のコップから身を乗り出すと白衣を着た大人の女性と目が合った。
もちろん巨大だ。
どうやら彼女の机の上にいるらしい。

「こーら、大人しくしていなさい」

そう言って人差し指で頭を押される。
長い爪にヒヤッとしながらも先生は指の腹で優しく押してくれた。
優しそうににこやかに笑う。
ツリ目で真っ赤な唇。長い髪を後ろで縛っているが、毛の束が何本かはみ出している。
なんだかエロティックな雰囲気だ。フェロモンというやつだろうか。

「ヒロの出番が来たらお願いするね?それまでは休憩してて」
「俺の出番って何?ここから出して欲しいんだけど」
「ダメよ。踏まれたら壊れちゃうかもしれないでしょ?」

壊れるという言葉。また物として扱われるのだろうか。
まぁ、ハサミと一緒に入ってる事でなんとなくは分かっていた。

「俺って何するための道具?」

そう聞くと先生は困惑した表情で答えようと口を開いた。
が、そこから答えが返ってくることは無かった。

「失礼します」
コンコンとドアを叩く音とともに女性の声が響いた。

「どうぞー」
先生は自分に背を向けてドアの方へ向き直った。
それに合わせて筒から身を乗り出す。どんな危険が自分に訪れるのか不安でたまらない。

「すいません。なんだか体調が悪くて。熱があるみたいなんですけど」
「委員長が体調不良で授業出ないなんて珍しいわね」
「私だって風邪くらいひきますよ」
「顔が赤いわね。熱計ってみるわね」

そう言って先生はこちらに目もくれずに、手だけで自分を掴んだ。

「嫌だっ!!もうそんなのばっかり嫌だ!!」
脇か、口で咥えるタイプか。最近は耳のタイプもあると聞いた。頼むから耳であってくれ。
先生の手のひらで素っ裸のまま叫ぶ。逃げようとするもスベスベな指が身体に絡む。

「これちょっと暴れるけど、お腹押せば黙るから」
そう言ってグイッと力を入れる。

「ぐぇっ」
まるでカエルが潰れたような声が出る。

はい。と先生が女子高生に自分を渡す。
受け取った女子高生と目が合う。顔がほのかに赤い。本当に熱があるのだろう。
辛そうだ。だが、そんなことは関係ない。このままいくと辛いのは自分だけだ。

「ごほっごぼっ」
と咳き込む度に彼女の菌を乗せた咳が自分に向かってくる。
ちょっと息が臭い。ちゃんと歯を磨いたのか?

「先生、コレどうやって…」
「腰のところ摘んで、そうそう。そしたら脇で顔を挟むだけよ。30秒で結果が出るわ」

彼女が左腕を上げる。脇が自分を迎える準備が出来たようだ。
右手で摘まれたまま胸の位置までぐおぉと上がって行く。
そして委員長は制服の胸元を開けて自分を差し込む隙間を作った。
白のブラで固定された二つの乳房が深い深い谷間を作っているが見えた。

「うっ…。」
谷間もそうだが、胸元を開けた時に昇ってくる彼女の熱気に驚く。
こんなの測るまでもなく熱あるだろ。

遂に彼女の服の中に差し込まれた。肌と制服の間に入った瞬間彼女の匂いでいっぱいになる。
彼女の服の中は熱で蒸し返すような暑さと匂いだった。

匂いに鼻を抑えながらブラ紐を越えてすぐに彼女の脇があった。

「ゔぇぇぇぇ」
無理だ…。こんなの無理だろっ。
目の前で自分を包み込もうとする委員長の脇は凄い量の汗をかいている。
テラテラと脇の汁で濡れ、制服に脇シミを作るほど臭い液体が溢れていた。
それにこの匂い。彼女の胸元はまだマシだった。この脇に比べれば。

「挟んだらぎゅっと二の腕で潰すような感じで」
先生が委員長に使用方法を説明している。

彼女の脇の下に差し込まれた時に激しく暴れた。

「むりだよぉ!!!むりむりむりむりぃぃ!!」
脇が締まる直前で止まった。もう既に身体のほとんどが包まれそうになる。

「あっ、先生…凄く暴れてるんですけど」
「大丈夫よ。ヒロは安物だからしょうがないのよ。予算ケチりすぎなのよ」

そして委員長はそうですか。と一言言うと脇を締めた。
「ーーーー!!!!」
ヒロは言葉にならない叫び声を上げた。

暑い。臭い。しょっぱい。気持ち悪い。吐き気がする。
委員長はぎゅっと脇を締めた。肉布団が身体をまんべんなく圧迫する。
身体の自由は効かず、脇の間で暴れるも固定されてほとんど動かない。
その割に委員長が少し動くだけで脇で擦れる。

擦れる度に鼻から、口から、彼女の脇汁が入ってきて嗚咽を漏らした。

「また遅くまで勉強してたんでしょ?」
「そんなことないんですけど、通勤電車で咳してる人が…」
「夏風邪ねぇ」

委員長の脇で自分が死にそうになっている間の会話がそれか。
意識が朦朧とし出した。

「そろそろ出しても良いわよ」
30秒間委員長の脇で潰されたヒロは脇汗でベトベトになっていた。

「ベシャッ」と委員長によって机に投げ出される。

「うーん、これは…」
先生はベトベトになったヒロをまるで臭いものでも触るかのように摘み上げて言った。

「熱だわ…」
「…」
「…」

ピクピクする自分を放置して先生は委員長をベッドに寝かせに行った。

彼女の汗でべちょべちょになった自分。
臭すぎて堪らない。もうこんなことこらえられない。
なんで何個も年下の女の脇で生死をさまよらなければならないのか。

気持ち悪い体液を口いっぱい、体いっぱいに浴びた。
もう立ち上がって逃げる気力すらなかった。

「ヒロ君お疲れさま」
にこっと笑う先生に焦点は合わない。
優しい指使いで身体を拭かれ銀の筒に戻った。

「次の出番ま…」
その時ドアをノックする音が。
「熱っぽくて…」

先生が立ち上がり自分をちらっと見て女生徒に向き直った。

「とりあえず熱測りましょうか」