えっちなバイブでビルを破壊



 階段をのぼる足音が近づいてくる。ドアが開いた。
 高価なVR機材が設置された自室に、一人の少女が入ってくる。
 据え置き機の電源を入れる。テレビは必要ない。
 脳とゲームを接続するヘルメットを被り、横になる。据え置きのゲーム機から伸びる小型のスイッチをONに切り替えると、彼女の意識はゲームの中へ吸い込まれていった。


 少女は仮想現実の自室にて目を覚ました。ヘルメットはかぶっていなかった。
 窓の外から聞こえる雑音や、NPC由来の人間たちが忠実に再現されている。
 窓を開けて世界を見渡す。太陽の日差しがまぶしかった。

 なにもないところに手をかざす。VRゲーム内にのみ存在する特殊な粒子が集合し、タッチパネルが現れた。
 何度かページめくりに相当する操作をおこない、地図のようなものを表示すると、地図を数回スライドして人が多そうなところを探す。無難に東京がいいだろう。
 少女が東京23区の適当な場所をタップするとテレポート確認のメッセージが表示された。イエスとノーの選択肢も付属している。彼女がためらいなくイエスをタップすると、彼女の姿は自室から一瞬で消え去った。

 外回りのサラリーマンや買い物に繰り出す主婦、空きコマを利用してゲームセンターへと足を運ぶ大学生など、様々なジャンルのNPCたちが、忠実に再現されている。
 この仮想現実の中に暮らす人間たちも現実世界に暮らす人間たちと同じように意識を持ち、たとえば人の波の中で肩がぶつかれば謝罪したりあるいは激怒したりして、喜怒哀楽に表情を変化させる。

 中空に浮いているパネルを操作、アイテムインベントリを開いて、性的に愛用しているバイブを取り出した。
 見た目だけで、わかる人にはわかる。落ち着きのない少女の様子をチラチラとうかがう視線がぐんと増えていた。とくに多いのが男性の視線だ。私服のスカートを風になびかせる少女が、これから手に持ったモノで何をしようとしているのか、彼らは気になって目が離せないらしい。
 キュンキュン、と無意識な締め付けを感じながら、太ももをなまめかしく動かす。たくさんの視線に彼女は少しの恥じらいを感じていた。
 しかし結局はNPC。これから自分がどんな行為に及ぼうとも、それを記憶に残すのは自分だけだ。

 迷いを振り払った彼女はゆっくりとスカートを降ろしていく。華奢でありつつも肉感ある脚部が惜しげもなく晒されると、まるでシステム的に決まった動きを繰り返しているかのようだった雑踏から、何人かが外れて集まってきた。スマホのシャッター音が鳴り響く。
 顔を赤らめる少女の胸のうちで、性的な興奮が高まっていく。だが、これは前菜に過ぎない。さっさと済ませてしまおう。

 続いて薄い布切れが降ろされると、淡いピンク色の卑猥な割れ目が姿を現す。純粋さを醸し出す白いパンツとは裏腹に、可憐な少女の行為は下品だった。いわゆる露出狂である。
 オモチャの充電は満タンだ。操作パネルを閉じる。この間に警察を呼ばれてしまうと面倒なので、ためらいを飲み干してバイブの電源を入れ、振動の強さをMAXに、そのまま乾いた股間にあてがった。

「ああ……んっ……あああ!」

 強さをMAXにしたところで、いきなり絶頂を迎えるのは難しいと思ったもののそうでもない。男たちの下心満載の視線、そして女たちの汚いものを見るような侮蔑の視線。これらが少女の興奮を引き立てて、快楽となって下半身に渦巻く。
 足元からトロトロに溶けそうな感覚に襲われたと思えば、一気にその感覚が頭のてっぺんまで登りつめる。

「んっ……っああ! ダメっ! 見られて……んんっ……くぅ……はぁはぁ……っ」

 足の筋がピンと張り、汗の粒が浮かび始める。気がついたときには声とともに漏らした愛液で股間を濡らしていた。
 接続器のヘルメットを被った時点で、体の内部まで丁寧に再現されているらしく、二時間前に飲んだレモネードと思しきものが愛液と一緒に排泄された。激しく振動するバイブで四散し、熱せられたアスファルトに降り注いだおしっこは、蒸発して少女自身や他の人々が吸い込む空気の中に溶け込む。
 足元に脱ぎ捨ててあったスカートやパンツはびしょびしょだ。

(このおしっこは、メインディッシュに使ったほうが面白かったかもなぁ……まぁ仕方ないか)

 がくん、と倒れ込みそうになる。そこに二十歳すぎくらいの青年が駆け寄ってきて、少女の身体を支えた。

「大丈夫……?」
「頭は大丈夫じゃないかも。なんちゃって」

 NPCとはいえ、彼らは実在する人間の記憶データに基づいて構築されている。街なかで露出オナニーをしても、こんなふうに駆け寄ってきて支えてくれる男がいることを思うと、世の中捨てたもんじゃないな、なんて笑みがこぼれた。
 事実、唯一アスファルトに触れてしまった手のひらはめちゃくちゃ熱くて、露出した太ももやふくらはぎなんかが接触していたら火傷もあり得たかもしれない。感謝だけはしておこうと思った。

「まぁ殺しちゃうけどね」

 ポロッとこぼした物騒な独り言。
 首を傾げる青年を気にすることなく、少女はふらりと立ち上がった。おしっこに濡れた太ももが光を反射して輝く。
 雨に濡れたような脱ぎっぱなしの衣類、そして自分の脚に視線が集まることも気にせずに、彼女は再度操作パネルを開いた。片手にバイブを持ったままいつも開くページまでめくる。

 自分のアイコンをタップ。
 その後、「Height:144.00cm」と記載された部分をタップし、数値を変更可能の状態にする。中空に出現した入力エリアに、30000.00と入力して30000.00cmにした。300メートルだ。
 しばらくもしないうちに少女は巨大化する。

 現時点で身につけていないスカートやパンツも自分自身の一部と認識していたためか、同時に巨大化した。せいぜい数センチの女性器が、時を重ねるごとに数十センチ、数メートルと面積を増し、女の子のえっちな臭いが街中に広がっていく。
 数百は下らない数の人間で作られた人の波、そして今の今まで少女を支えてくれていた青年は、重量25トンとなったパンツに飲み込まれてしまった。
 若い娘のきめ細かな肌が通りの両端に生える街灯や雑居ビルを押しのける頃、ようやくその膨張は止まる。

(みんなが見上げてる……私のえっちなところ……)

 シャツに見え隠れする臀部を振りながら、巨人となった少女があたりを見下ろす。
 スカートとパンツが一緒に約200倍の大きさになったとはいえ、彼女はそれらを身につけていない。三種の体液に濡れた下半身はより多くのNPCの前に――いや、上に晒され、何本もの道路や建物に扇情的な影を落としていた。

「女の子のおまたに覆い尽くされた気分はどう? しかもコレでさっきオナニーしたばっかり……私の単なる体の一部がみなさんには怪物みたいに見えたりして……」

 バイブを目線で示して見下すように言う。そこにあるのは恐怖と絶望、そして少しだけの下心。表情は読み取れないが伝わってくる。変態的な格好と発言に、小さなNPCたちが恐れおののくギャップがたまらない。
 無意識に太ももの間に片手が伸びている。割れ目に触れた指先は、しっとりと濡れて粘ついた糸を引いていた。切れた糸が舐めるように道路に落ち、先ほどの比ではない量の愛液が蒸発して空気に混じった。一瞬で変貌した空気の味に、小さな人間らが咳き込む。
 少女は自分を下から見た様子を想像してみる。挟むように伸びる肉の柱。それが交わる中間地点で、色素沈着したピンクの大口がよだれを垂らして極太の指をしゃぶっている。
 この世の終わりのような様相を呈するそれはまさしく怪物の襲来――。

「ってさすがにそれはないか!」

 いくらなんでもそんなにおぞましく見えるはずがない。だって女の子の可愛らしい身体の一部に過ぎないのだから。少女はそう結論づけて、さらりと流した。

「今日はですね、このベッタベタのバイブで遊ぼうと思うんだよね。面白そうなことを思いついちゃったので、この街にはその実験台になってもらいたいのです」

 無機質なそれを左右にフラフラと傾けるたび、生物的な臭いが繁華街に振りまかれる。本来ならこんなにも広範囲に広がるはずのない、長時間嗅ぎ続けるはずのない悪臭が、まるで目の前で放たれているかのように彼らの嗅覚を刺激している。
 耐え難い状況下に置かれた人間たちは、蜘蛛の子を散らすように立ちそびえる少女から離れようとしていた。

 そんな様子にいたずらっぽい笑みを刻む少女。足元に放られたままのスカートとパンツを無造作に足でどかす。先ほどまで埋め尽くしていた人の波は、とっくにどこかへ行っていたか、あるいは下着に包まれて一緒に彼女の足に薙ぎ払われたか。いずれにしても彼女の眼中にない。
 振動の強さをMAXにしたまま無言でバイブのスイッチを入れる。付着していたまだ新鮮な愛液が吹き飛び、何滴かNPCの上に着弾した。響くモーター音に空気が大きく振動し、近くのビルの窓ガラスにヒビが入った。

「これ、地面に当てたら面白そうじゃない?」

 刻まれた笑みをさらに深くした少女が、邪魔くさいビルをシャツで隠れたお尻で押しのけながらかがみ込む。面白いようにドミノ倒しになる雑居ビル群が崩れる音を聞きながら、高速運動するバイブを地面に当てた。
 自分が地震に襲われているわけではない。なので実際にやってみるとあまり面白くないと思ったのだが、注意深く周囲を観察してみれば、小気味よい音を立てるバイブが触れている部分ではまるでドリルで穴が開けられているかのように道路が削られている。強く押し込んでみると、現在進行形でバイブの先端が内部へと突き進んでいることがわかった。

「あっは! みんな動けなくなってて笑えるんですけど!」

 かがんでいるため、先ほどよりも近い位置で街の住民たちにあどけない女性器が見上げられている。しかしそんなことなんて気にもせず、無邪気にバイブを大地に押し付けて人々の反応を楽しんでいた。
 細かすぎるかつ強すぎる振動に大地はまたたく間に液状化現象を引き起こし、アスファルトが至るところで隆起、陥没する。液状化した大地はまるでアリジゴクのようにビルを根本から飲み込もうとする。

 彼女の横目ではキラキラとしたものが降り注ぎ、いくらかシャツの袖に付着した。ビルの窓ガラスが粉々になって落ちてきているのだ。
 触るのはさすがに危ないと思い、ふっ、と息を吹きかける。飛んでいったガラスの粉末は思いの外大きかったようで、ガラス片を含んだ突風となって街灯や街路樹をなぎ倒した。

 やがて二分ほどが経過した。小さな街の住人たちは、未だに大揺れに動けないでいる。自然発生した地震であれば、数秒か長くても一、二分で揺れがおさまるため、揺れが収まってから安全な場所へ避難するものだ。
 しかしこの地震は違う。あくまでVRとは言いつつも、地球という自然が引き起こすものではなく、少女の使用済みバイブという電化製品で引き起こされている。残存容量90%を示すバイブの充電がなくなるか、少女が飽きるまでこの大地震は収まらないのだ。
 それを理解している一部のNPCたちは、深く絶望していた。

「ずっとこうかがみ込んでるのも飽きたな」

 そんな中で放たれたこの一言は、小さな人間たちにとってはある意味救いの言葉だった。
 地面を揺らすことに飽きた少女が、今まで無機質に騒いでいたバイブの電源をオフにして立ち上がる。揺れが一瞬で収まった。未発達な体のラインを映す影がどんどん伸び上がり、街を、世界を覆っていく。
 NPCたちは今まで感じていた細かい振動に違和感が残っているが、身体が動かないというわけでもない。小人たちはここぞとばかりに走った。
 が、彼らの上にさらに濃い影が覆った次の瞬間、降ろされた足の下敷きになって、幾人もの人生はそこで終わった。少女二倍の人生を生きた者でさえ、何気ない歩行に巻き込まれて命の灯火を消されたのだった。

「じゃあ、今度はこれに当ててみよっか」

 十数の歩を進め、自分の足のシミになった存在にすら気がつくことなく、次の遊び場を見つけた少女はあっけらかんとしている。少女が獲物に認めたのは、他のビルとは比べ物にならないほどに大きな高層ビル。しかし、それでも自分のお腹ほどの高さまでしかない。
 いきなり振動MAXでやってしまうと面白みにかけるので、今度は最低まで下げてからスイッチを入れる。ぶぶぶ、と再度モーターが声をあげ始めたのを見て、子供っぽい笑みを見せる少女。そしてそれに恐怖するNPCたち。

「あっはは! 女の子がオナニーするためのオモチャのスイッチを入れただけなのに、何? その慌てようは。笑っちゃう」

 女性が自らの性器をもてあそぶための玩具に、命をもてあそばれる小さな人間たち。少女はそんな彼らを挑発するようになじり、興奮をより強いものとしていく。

 さらりと髪をかき分けながら膝を折って膝たちになる。膝小僧をつけた一点ではアスファルトが砕け散り、もう一点では運悪く自動車が押しつぶされていた。
 ガラス貼りのビル壁に顔を近づけると、ガラスには興奮に火照った長髪の女の子が一面に映し出された。

 蔦のように外壁にめぐらされた非常階段にはすでに何人かの姿が見える。しかし、自分の顔が映し出されるその向こう側にも、たくさんの人間たちがひしめいているのがうかがえた。
 内部の人間からは黒目がちの可愛い瞳が、怪物の目玉のように映っている。キョロキョロと動くさまや、すばやくおこなわれる瞬きに、余計に恐怖を与えるのだ。

「それでは! 当てていきたいと思いまーす」

 のぞき込んでいた目玉が去ったと思えば、今度は大気を震わせ尿と愛液の飛沫を上げる巨大な電動バイブが迫り、窓の外を覆い尽くした。無慈悲なビルの耐震テストが始まる。
 ワークデスクやプリンター、タンスなどの重いものは動かずにいるものの、書類や本棚の中身などは一気に散乱した。外壁に張り巡らされたガラスもそこら中にヒビが走り、日光が蜘蛛の巣状の影を作って室内に注がれた。彼女は内部でパニックを起こしたNPCたちをあちらこちらへと走り回っている様子を可愛らしく思った。
 うんうんと満足げに首を縦に動かす少女が、少しずつ振動の強さを変更するボタンを押していく。ピピ、ピピ、ピピ、という電子音が繰り返される。あふれるはずの悲鳴はすべて、えっちなオモチャの振動音によってかき消えていた。

「うわー、やばいやばい。こんなんじゃ仕事にならないね。のぞき込んでみても小刻みに震えまくっててなにがなんだか」

 まだビルは整った形を保っているが、それも時間の問題だ。さきほどまで無事だったパソコンもプリンターも床に落下、タンスは中身を吐き出して、その周囲はめちゃくちゃになっている。
 
「でもビル自体は結構耐えるなぁ、一気にMAXまでいっちゃおっか」

 ピピピピピピ――。少女の指が数秒間ボタンに押し付けられ、振動の高速化を示す電子音が無数に鳴り響いた。ビルにヒビが入り始める頃には、振動が地面にまで伝わって、下にいたNPCたちもその揺れに膝を折る。
 バイブがあげる雄叫びはさらに激しいものとなり、最終的に少女を絶頂へと導いた振動速度に達した。ビルはまだ崩壊しない。
 だが耐えたのも数秒のこと。頑強に作られたはずのビルは想定をはるかに超える長期的な大揺れに屈し、バイブの触れた先から砕けるように崩壊していく。
 粘ついたバイブの先端には、こぼれ落ちた鉄筋コンクリートの残骸とともに、まだ息がある人間たちがいつの間にやらへばりついて脳を揺さぶられていた。

「女の子のオモチャにめちゃくちゃにされるビルを見てたら……もう一度したくなってきちゃった」

 バイブの振動部に絡め取られた瓦礫を見るや、少女はまた面白いことを思いついたというように一旦バイブのスイッチをオフに。膝たちの姿勢を楽にして、何が下敷きになろうと構わず、その女性的な曲線を魅せる尻を大地に押し付けた。自動車やバス、街灯や街路樹がその肉塊の中に食い込んでいき、やがてその形を失う。
 少女はビルの谷間や立体駐車場の内部に手を突っ込み、逃げそびれている小人たちを拾い上げ、ふりかけのようにバイブに落とす。まだ乾ききらない愛液に、数十、数百を超えるNPCがこびりつく。

「やっぱ、最後はコレだよね」

 5mm程度の粒がえっちなオモチャから逃れられなくなっている。助けを求める声が不協和音の合唱を奏でている。彼女はうっとりとした表情で片手を自身の頬に当て耳を澄ませていた。それらを興奮の糧へと変換しているのである。

 胸を高鳴らせ、無数のゴミが付着したそれをゆっくりと自らの股間へと近づけていく。
 迫る化物の口により一層悲鳴が強くなったのもつかの間、振動速度がMAXになったままのバイブレーターのスイッチがオンになった。ぶぶぶ、という激しすぎる振動音に、バイブに囚われた人間たちの声は、叫びを上げる当人たちの耳にすら届かない。

「あっ……んん……っ! あへぇ……っ」

 震える先端が女性器に押し当てられた。膣口はあっという間にそれを飲み込んで、吐き出してを繰り返す。
 一度目の往復をした際には、もう半数以上の人々が膣の肉壁に捻り潰されて肉塊と化しているか、あるいは少女の胎内というとうてい人間が生命活動をおこなえない場所へと放り捨てられていた。
 しかし運良くバイブの先端に貼り付いて生き延びられた者たちも、快楽を求めるためだけに縦横無尽に動く少女の性的玩具から逃れることなどできるわけもなく、肉に擦り付けられる終焉が待ち受けていることには変わりない。

「んん、あああ! やめ……っ! いっぱい、たくさんの人が……っ! 私のナカにはいってくりゅ……ぁっ」

 少女の周りにあった建築物は、ほとんどがはだけた肌にすり潰されていた。たくさんの主婦が買い物を楽しんでいたはずのショッピングモールも、たくさんのサラリーマンが汗水垂らして働いていたはずのオフィスビルも、何もかもが身をよじって喘ぎまわる彼女の下敷きとなってしまったのだ。

「ごめん、みんな、ごめんなさい! 私のえっちでめちゃくちゃにつぶしてごめんなさいいぃ! あっあっ……あああ!」

 意味のない言葉を繰り返すのも飽きたので、悦楽にゆがむ笑みを浮かべたまま、謝罪の言葉を口にした。
 無論、誠意など微塵も含まれない謝罪である。
 下半身で何かが膨らんだような感覚に足の筋をピンと張る。津波のように押し寄せる快感。それがそのまま形となって、ナカに閉じ込めた小人たちとともに吹き出した。


 ――目を覚ました世界は現実だった。
 何気なしにスマートフォンでニュースアプリを開いてみる。しかし、特別目立つニュースは掲載されていなかった。
 誰も自分がオナニーをしていたことを知らない世界。
 これだからVRでひとりえっちするのはやめられないのだ。