・ジャンル:ほのぼの……というか、甘々

・叔母:紗枝
 30代前半といっても通用する容姿の専業主婦。
 両親を失った甥を引き取る。
 夫が海外出張で帰ってこないことをいいことに、
 甥を慰める、という建前を隠れ蓑にして筆下ろしを行ない、
 以降持て余した性欲等をぶつけるようになる。
 「触れたもののサイズを操る力」がある。

・甥:真吾
 高校生、容姿的には普通。
 交通事故で両親を失った際、叔母に引き取られた。
 しばらく塞ぎ込んだが、叔母と関係を持ち、のめり込むようになる。
 ある日、叔母の能力を体験し、最初は恐れていたものの、
 今では自ら進んでお願いするまでに至った。





はぁはぁと息を切らしながら走る一人の男子高校生がいた。
肩に下げたカバンが走行の邪魔にならないよう抑え、ただひたすらに前を見て足を動かしていた。
少し道が開けた通りに出る。
彼はポケットからスマートフォンを取り出した。
そして前方に注意を払いつつ、素早く文章を打ち、メールを送信した。
宛先は叔母で、内容は「もうすぐ着く」だった。

季節は夏。
連日猛暑が続き、この日も変わらず気温は30度に達していた。
駅から20分ほど離れた家に歩いて向かうだけでも汗を掻いてしまう。
にも拘らず彼は走っていた。
その理由は2つ。
1つは早く家に帰りたかったから。
もう1つは汗を掻くといいことがあるからだ。

時々苦しそうに顔を歪めていたが、家が見えると、彼の口元には笑みが浮かんだ。

「ぜぇ……はぁ……ただいま……!」

扉を開くと、彼を出迎えたのはひんやりとした空気だった。
冷気が全身を包み込んでくる感触を感じ取りながら、彼は膝に手をついて荒い呼吸を繰り返す。
そこにぱたぱたと、スリッパがフローリングの床を叩く音が近づいてきた。

「おかえりなさい」

次いでふわりと少し甘いコロンの香りが漂い、温かな声が降り注いでくる。
顔を上げると、叔母の紗枝が立っていた。
肩まで伸びたダークブラウンの髪。
闇のように暗い黒の瞳。
その豊満な胸の膨らみをあえて強調するかのようにレースが入った薄いピンク色の半袖Tシャツを着、むっちりとした肉感的な太ももをジーパンで覆い隠している。
片方の耳にはイヤリングをつけ、その左手には指輪が輝いていた。

「あらあら、すっかり汗だくね♪」

指輪がついた左手を少し赤い頬に添えて、うっとりとした表情でそう口にする。
美味しそうと云わんばかりに、深紅の舌がそのピンク色の唇を艶めかしくなぞった。
彼、真吾は膨らむ期待を胸に、慌ただしくスニーカーを脱いだ。

「早くシテほしかったんだよ」
「明日から夏休みだから時間なんてたくさんあるのに」
「そうだけど……、楽しみだったから」
「ふふっ、最初は怖がってたのにねぇ」

からかうようなコロコロとしたその声には答えず、真吾はカバンを廊下の端へと置く。
向き直ると、すぐさま紗枝が傍に寄ってきた。

「……大きくなったわね」

慈しむような温かい目を紗枝は甥に向ける。
もうすっかり叔母の背を追い越した真吾がまあね、と軽く笑った。


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彼が叔母の家にやってきたのは中学に上がる前、実の両親が交通事故で他界したことがきっかけだった。
一気に親を二人とも亡くした真吾は現実を受け止めきれないまま葬式に参列した。
可哀想、気の毒に、と見知らぬ大人たちに憐れむような目を向けられても、それを気にする余裕もなかった。
滞りなく式が進み、親族が一堂に揃ったお通夜の席である議題が上がった。
どこの家が引き取るか、だった。
どの家も、経済的に厳しいとかそんな暇は無いと責任の回避から始まり、やがては互いに押し付け合うようになった。
真吾は、次第に口論と化していく大人たちを見て絶望するより、まるで自分が物のように扱われている事実に哀しさを覚えていた。
そんな時、一人の女性が声をあげた。
「私が預かります」
それが叔母である紗枝だった。
親族は皆ほっと安堵の表情を見せるばかりで、誰も自分の無力さを苦々しく思うことも恥じる様子も見受けられなかった。

次の日、真吾は紗枝に連れられて新しい家へ向かっていた。
道中、夫が単身赴任していて寂しかったから、と手を握りながら叔母は語った。
ふーん、としか彼は言わなかった。
しばらくして家に着き、紗枝が優しげな表情で、おかえりと口にした。
すると、それまで泣きもしなかった真吾の瞳から大粒の涙が溢れ出た。
ようやく新しい自分の居場所を見つけたような気がしたからだった。
泣きじゃくる甥を、紗枝はぎゅっと抱きしめた。

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「それじゃ、始めましょうか」

そう言って優しく真吾の頬を両手で包む。
彼が小さく、ぅんと首を縦に振ると、紗枝は触れるだけの軽いキスをした。
瞬間、真吾の体に変化が起きた。
紗枝よりも少しだけ高い彼の身長がみるみるうちに小さくなっていく。
二人とも慣れ親しんでいるからか、慌てる様子は微塵もなかった。

相手の身長を操る。
それが紗枝の持つ不思議な力だった。
いつから使えるようになったのかは自身覚えていないが、高校時代には既に使えていた。
発動条件はただ対象に触れるだけ。
ちなみに海外へ単身赴任中の夫はこの力を知らない。

5秒も経たずに、真吾の丈は1cmほどの大きさになった。
周囲にはそれまで彼が着ていた制服があった。
微かに尿の臭いがするボクサーパンツの地面。
取り囲むようにそびえるズボンとワイシャツにはたっぷりと汗が染み込み、凄まじい臭気を発生させていた。

そんな臭いコロシアムの中心にぽつんと立つ彼を、紗枝は熱を帯びた眼差しで見下ろしていた。
頬は紅潮し、口からはうっとりとした溜め息がこぼれる。
彼女が小さくなった真吾に近づく。
振り下ろされた巨大な足による震動で、真吾は立っていられず、尻もちをついてしまった。
ただ歩いただけなのに転んでしまう甥の姿があまりにも可愛らしくて、彼女は微笑む。
腰を折って、真吾に手を伸ばす。
真吾の目にはエッフェル塔のような巨大な叔母が腰を折った瞬間、一段と豊かさを強調するかのように揺れる胸が映っていた。
しかし、すぐに彼の視界は紗枝の手のひらでいっぱいになった。

紗枝が、真吾が苦しまない絶妙な力加減で摘み上げる。
顔と同じ高さに持ち上げると、真吾のチンポが既に勃起しているのが見えた。
体に合わせて小さいけど、だからこそ余計に微笑ましくなった。

ふふっと紗枝のぷるんとした唇の隙間から吐息がこぼれ出る。
それを目の前にいた真吾は直に浴びた。
紗枝から漂うコロンの少し強い香りと、その吐息から香る歯磨き粉の匂いが肺を満たす。
もっと嗅ぎたくて深呼吸を繰り返した。
そのことに気付いた紗枝は少し大きめに口を開いて、はぁー……っと息を吐きかける。
全身を包み込むような吐息の生温かさ。
一層強くなった歯磨き粉の匂いに混じる生臭さ。
唇でできた楕円状の輪郭の中に見える、綺麗に並ぶ白い歯と肉厚な赤い舌。
その舌を、透明な唾液がコーティングしていて、とても艶めかしく見えた。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚を一度に刺激されて、興奮のあまり真吾のチンポは更に硬くなっていた。

そんな彼に、紗枝は少し濡れた目で見つめたまま問い掛ける。

「……そろそろいい? 私も、美味しそうな真吾ちゃんを見てたら我慢できなくなってきちゃった」
「うん、いいよ」
「ふふっ、それじゃあ……いただきま~す♪」

ぐあっと、さっきの倍近く紗枝の口が開かれる。
剥き出しになった歯が、これから食べるぞと主張していた。
叔母が、小人の顔が下向きになるように手首を回転させる。
そして真吾を頭から口の中へ入れていく。
奥の方まで入れると、まずは唇を閉じる。
次に甥を摘んでいたその指をゆっくりと引き抜いた。

口に含んだ小人は塩辛かった。
汗を掻いてたんだから当然か、と紗枝は思う。
同時に、私の為に汗だくになってまで急いで帰って来てくれたことを嬉しく思った。
以前、お風呂に入る前の真吾を味わった時に「いつもより塩っ気があって美味しかったわ」と何気なく言ったのだ。
その感想を覚えたようで、外出の際はなるべく汗を掻いて帰宅し、求めてくるようになった。
紗枝にとってはただ口の中で悶えてくれるだけでいいのに。
それでも更に好かれようと必死な真吾が、とても愛おしかった。

「(今日も目一杯しゃぶってあげる。)」

頭の中でそう言葉を浮かべ、紗枝は軽く揺するように舌を左右に動かした。
これから始めるわよ、という彼女なりの宣言行為でもあった。
すると、真吾は手足を軽くバタつかせた。
待ち切れずに急かす、もしくは御褒美をねだる子供のような行動に、紗枝は口元に笑みを浮かべる。

「(……ちょっと趣向を変えてみましょうか。)」

軽くしゃがんで、床に散らばったままの制服や下着を回収している最中、ふとそう思った。
いつもだったら真っ先に上顎に押し付けて搾り取る。
だが最近は少し倦怠している気分もしたのだ。
紗枝は急遽、思いつくままに舌を動かし始めた。
まずは、歯を食いしばったまま合図の時よりも激しく左右に動かす。

唾液のローションによって滑りやすい環境下、唐突に緩から急に切り替わったら対処できない。
最初こそしがみついていた真吾も例外ではなく、容易く舌の上から振り落とされてしまった。
硬い歯茎に体を打ち付け、そのまま下顎の方へと転がっていく。
下顎の最深部に到達し、真吾は唾液の海にその身を沈める。
溺れるほど叔母の唾液を飲みながらも、なんとか起き上がる。
しかしその瞬間、とてつもない質量の物体が降ってきた。
あまりの重さに、真吾は押し潰されるように再び唾液の海に沈められた。

舌の上から甥を振り落とすと、根元から持ち上げるようにして、舌を上顎に押し付けた。
神経を研ぎ澄ませ、唾液が溜まる蟻地獄に真吾が吸いこまれていく僅かな感覚を味わう。
そしてタイミングを見計らって、舌を元に戻した。
巨女にとってはたったそれだけでしかなかった。
けれども、小人にとっては大変なこと。
自然と満たされていく唾液の水位。
舌を退かす力もなく身動きが取り辛い状況。
現に真吾が今、苦しそうにもがいているのが舌に伝わってきている。

思わずふーっと、紗枝は鼻から息をはく。
舌から脳天、そして全身へとを駆け巡る快感の波。
甥にこんなことしているという背徳感。
小人を思うがままにできる巨女としての征服欲が満たされる。
気分がどんどん高揚していく中、汗を吸って重くなった制服等を腕に抱えながら廊下を歩き出した。

舌の重圧から逃れようともがく真吾の感触を楽しみながら、紗枝は脱衣所のドアを開けた。
手に持っていた甥の制服等を洗濯機に放り込む。
と、下敷きになっている小人の反応が薄くなってきたことに気がついた。

「(そろそろ離してあげましょうか)」

舌を持ち上げると、すぐに下顎に微弱な振動が伝わってきた。
真吾が移動し始めたのだ。
おそらく舌が退いてチャンスだと思ったのだろう。
けれど残念ながら、蟻地獄に落ちた蟻は流砂によって這い出て来られない。
小人である真吾も同じく、巨女である叔母の口内から出ることは愚か、豊潤な唾液によって途中でころころと転がり戻ってしまった。
その様子に、あらあらと内心笑いつつ、一度舌を奥に引っ込ませる。
そして舌先を真下に移動させ、蟻地獄の巣穴に戻った甥を掬いあげる。
そのまま舌の上に再び乗せようと試みたのだが、上手く出来ず、前歯の裏に押し付けるようになってしまった。
剥き出しの歯に勢い良くぶつけられた真吾が痛そうな悲鳴を上げる。
瞬間、紗枝の悪戯心が湧き起こった。
甥が上げた苦痛の声に気付かない振りをして、舌全体を前方に出す。
「前門の虎、後門の狼」ならぬ「前門の舌、後門の歯」状態になった真吾が押し潰されるんじゃないかと思うくらい、じわじわを圧迫感を強めていく。
すると不意に、舌先で小人が微かに震えるのを感じた。

「(あら、イっちゃったのね)」

真吾が射精してしまったのだと気付く。
水鉄砲で当てられたような感触が一瞬だけした。
だが裏を返せば、小人サイズの射精ではその一瞬だけしか感じることが出来なかったのだ。
味の方も、どんなに濃厚だったとしても、少量すぎてわからない。
唾液の泉に、精液という墨が一滴垂らされたみたいなものだから仕方ないけど。
鼻から抜ける息にはイカのような生臭さが僅かに香っているが、集中しなければわからないほどの微香。
所詮その程度でしかない。

けれども、紗枝にとっては、その一瞬こそが甘美な瞬間だった。
正常な大きさの男性とは比べ物にならないほど、すべてが劣っている異常性。
身長は勿論のこと、身体能力も、純粋な力も、声量も、そして射精に関することも、すべてが小さい。
圧倒的に自分の方が上。
その事実も相まって、紗枝はいつも小さくなった真吾が射精する瞬間が何よりも快楽的だった。

歯の裏側に磔にされ、舌とサンドウィッチ状態になり、挙句の果てにそのびしょ濡れの壁に向けて精を吐き出してしまった小人が、ぐったりとしているのを知覚する。
恐怖で漏らしたのか、それとも気持ち良くて出したのか。
どちらにしても、紗枝にとっては情けなくて可愛い甥でしかなかった。

もう一度あの征服欲が満たされる快感的瞬間を手に入れようと、紗枝は舌に少しばかり力を込めた。
今度はただ押し潰すように圧迫するのではなく、真吾の下腹部にある小さな肉棒を責め立てるつもりで舌を動かす。

「(すり潰しちゃうとマズイから、小刻みに……っ!)」

さっきの射精による快感が続いていたのか、紗枝が舌の動きを変えてからものの数秒で再び真吾が震えるのが伝わってきた。
余程気持ち良かったのか、今度は悦楽に浸った悲鳴まで聞こえてきた。
小さかったけど。

……だけど、正直にいえば巨人には少し不満が残った。
またもや呆気なくイってしまったのはしょうがないし、そのこと自体は嬉しい。
けど紗枝自身には、イかせた、という実感が無かったのだ。
不満を表情に顕わにしていた叔母だったが、すぐさまその色は消え、代わりに笑みが浮かんだ。
どうせ主導権は私にあるんだから干乾びない程度に好きにしちゃおう、という考えに切り替わったからだった。

「(もっともっと、射精してもらうわよ♪)」



――それから30分間。
真吾は紗枝の激しい舌の動きに翻弄され、何度も射精し、快感の波に溺れ続けた。
射精した数が二桁に突入した段階で数えることをやめた彼は、紗枝が口からつまみ出す頃には、動くことすら億劫になるほどぐったりとしていた。
流石にやり過ぎたかもと思いつつも、満足した紗枝の表情には満面の笑みが浮かんでいた。

巨人があらかじめ洗面台に栓をして満たしておいたぬるま湯に、小人を浸ける。
指の腹で優しく真吾の全身に纏わりついた自身の唾液を落としていく。
終えたら、すぐ側に準備しておいたハンドタオルを押し当てるようにして、水分を拭き取る。
最後に、髪の毛をドライヤーの微風で乾かして仕上げる。

依然として力尽きている甥を部屋まで運び、彼にとって大きいベッドに寝かせる。
そして真吾に触れながら紗枝は彼の身長を元に戻した。
全裸のまま横たわる元小人に布団をかけ、額に軽くキスをして叔母は部屋を出たのだった。