以下は「幸せなりし人の街」のサンプルです。
数千倍のミニチュアシチュで、内容は街ペロ、膣監禁、都市破壊などを含んでいます。
魔力栽培のために小人を養殖している魔法学園で、とある女の子が個人的にペットとして可愛がり女神さまと慕われてたものの、
小人から魔力を取り込まないせいで成績が鈍化、見かねた友人らに無理やり巨大ボディへ“摂取“させられてしまうお話
ミニチュアシチュがお好きな人はぜひ!

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 美しい、あまりに美しい少女が微笑んでいた。
 亜麻色の髪はほろほろと、白い頬は朱を差して、現実離れした美少女の顔。
 慈愛の表情は絵画のごとく、けれど、たしかにそこにいる、その感覚だけが生々しい。

 それが、霞の向こう、空いっぱいに広がっていた。

「女神さま!」
 街の一人が天の彼女に呼びかける。
 ホログラムのように半天を占めるその美貌は、そっと、それに応え笑みを返した。

§
 いつも街を見つめるその少女は、街の守護神として慕われていた。
 人間のはるか数千倍、いや、それ以上にして、その身は崇高なまでに美しい。年の頃およそ17、8に見えるその少女は、されど女神、天を仰げば当たり前のようにそこにいてくれる。ニコニコと笑い、はるか数百メートルもの高みから民草を見守る姿は女神そのもの。麓から見上げた巨山のような存在感は、家の中にいても呼吸さえ届くほどだった。
「ふふっ、今日も皆さんお元気ですね♪」
 軽やかな声が、広大な街に触れ、染み渡る。まるで地から湧き出すような優しい声が、食器を鳴らし赤子を泣き止ませ、胸の内に深く愛着を沸き起こさせた。
 歓声をもって、人々が地上から天に応える。そんなもの、山頂の山小屋に声援を送るようなもの。だのに彼女の耳に、しっかりそれは届くのだ。ニコリと笑み返されれば、どこからともなく感激の声が湧き上がる。身綺麗なシャツに長い髪、街人と似た格好の少女は、それでも彼らの守護神だった。

「私が守ってあげますね? 外は怖いものが沢山います。本当はあなた達だって食べられちゃってたんですよ? ふふっ、可愛いあなた達、食べさせたりなんて絶対しません♪」
 そう言っては彼らに祝福を下すのだった。かざした手から降り注ぐ、濃厚な生命力。それが彼らを癒し、心を満たし、格別の寵愛をその身に注ぐ。
「どうですか? お腹いっぱいになりました?」
 そう口にしながら、無意識に女神は髪をかきた。その指の間、細い細い髪が煌めき、はらりと落ちる。
 クモの糸のように空を舞い、緩やかに落ち、街へ身を横たえれば。
 鈍い音と共に、家屋を粉砕した。
 悲鳴が上がる。叩き割られた屋根から瓦礫が降り注ぐ。高さ数百メートルから落下したそれは、太さ40センチ重量1000キロを優に超える巨大なロープ。高速落下する金属ポール同然のそれは、二、三軒破壊するには充分だった。
「? どうしたんですか?」
 当の女神は、へたり込む人々を見下ろし小首をかしげるだけ。
 塵のような人間は声も出ず、曖昧に笑う他ない。雲のかなた、霞のかなた、その美貌を彩るのは、見分けられないほど無数に流れる美しい髪の毛だ。その一本、たった一本が目の前に現れれただけでこの威容。1000メートル超えの髪は艶を放って鎮座する。何軒もの屋根にのしかかり悲鳴をあげ、ずるりと落ちれば土埃を上げ地を穿った。
 これが、数千倍ものスケールの差。
 彼らは決して触れ合えない。今とて女神の力がなければ、彼らは吐息で押しつぶされ、音圧で吹き飛ばされ、もはや何も残ってはいないだろう。況して触れでもすれば、肌に張り付き帰っては来れず、鼓動だけで骨折してしまうかもしれなかった。
 そんな超絶的な存在に愛されている。
 考えられないような繊細な手で愛されて、暖められる。
 彼らは幸せだった。
 それは女神も同じはずだ。
 間違いなく。


 しかし数日後。
 笑みに差した影に、人々は気づく。

「どうなされましたか……?」
 どことなく気ぜわしげな顔を見れば、誰であれたまらず叫んだろう。その声に、ただ切なげに少女は報いるだけだった。
「あなたたちは、私が護ってあげますから、ね?」
 そして優しく手をかざし、例のごとく癒しを与えたのだった。やつれた表情を浮かべながら。

 それが数日続いた。


 そして、終わりは突然のこと。

 人々は女神の悲痛な叫びで飛び起きた。
 見上げても空に彼女はいない。ただ、空の向こう、どこか遠くからその悲鳴が届いてくるのだ。
「やめて、入らないで! だめ、ダメったら!」
 つんざく声にあらゆる窓が悲鳴をあげ、次々と弾けては雨を降らした。なおも響き耳を射る悲鳴に、頭上から降り注ぐガラス片、もはや人々は身を丸めその場にうずくまるほかない。

 しかし動揺は、それだけに留まらなかった。
「貴女のために言ってるの! 早く何か食べなさい。じゃないと貴女、本当に追い出されるわよ!?」
 女神さまとは違う少女の声。くぐもった声は、まるで至高天の声が恒星天を突き抜けてきたかに思えた。
「とにかくマナを摂りなさい! 魔術師が魔法を使えなくてどうするのよ!」
「開けなさいよリタ! 貴女、小人を隠してるの知ってるんだから!」
そこに連なる別種の声。リタ? 女神の名を初めて告げた声が、果たして誰のものなのか、人間にわかるはずもない。
「いやよいや! ダメ、私の部屋に、入らないで……!!」
 ドアを叩く音に塞ぐ音、世界をこじ開ける神話のような事態に、人々はただ途方にくれるほかない。部屋? 理解が追いつかない。ただ女神は、なんとかドアを守っているらしい。
 しかし、弱った彼女に守り通す力はなかった。
「鍵、開けるわよ? ……ふん、弱ってる貴女じゃ魔法を防ぐこともできないみたいね?」
 カチャンという金属音とともに、近づいてくる無数の足音。続くリタの金切り声。神々の工房に塔が一棟崩れ落ち、地響きによりいくつかの壁がそれを追った。

 しかし、狂乱はそれに終わらなかった。

 女神がいるべき空、それが覆いのごとく剥ぎ取られると、そこにズイっと別の少女が現れたのだ。
「……ふふっ、やっぱりいたじゃない♪」
 バカにした、生意気少女のような笑い顔。その背後には、少女の一室のような景色が広がっていた。しかし、それも皆女神サイズ。そして女神大の少女が、民草を一瞥に見下ろしていた。
 そしてニマニマと笑むと、まるでアリの巣を覗くような無遠慮な眼差しで、人間どもを観察したのだ。
「あはっ♪ 粒人間がびっしり♪ こーんなにたくさん、どうやって飼育小屋から持ち出したのかしら? まさか、殖やしたの?」
 長い睫毛が大気を乱す。少女の熱が振り落ちる。そしてフッと鼻で笑えば、その惨禍は天変地異そのものだ。鉄塔がへしゃげ家屋が地に叩きつけられる。吹き荒れる暴風は辻々をめぐり人々を壁に叩きつけた。大切に護られた街、そこに解き放たれた荒ぶる巨人は、しかし、制服に身を包んだ少女に過ぎない。
「やめて! いや、逃げて、逃げてみんな!! じゃないと私、……いや、いやぁ!」
「"みんな"、だって♪ みてよ、みんな。リタったら、こんなの隠してたのよ?」
「これ? なに、このでっかいテーブル……。勉強机にしては大きすぎるわね、って、……わっ!? マナ用の粒人間じゃん。すっごい、何匹いるの?! 机の上にあるけど、魔法で隠してたのね。……これ、食べちゃっていいの?」
「ふふっ、マナ用の小人が街作ってるようね。リタったら、こっそり飼ってたみたいよ? ペットのつもりかしら、変な子♪」
 2人目の少女が現れた時、恐慌は頂点を打ち限界を超えた。いや、2人ではない。周囲をぐるりと巡る神々は、数えて5人はいるか、それも皆女学生の形をとって現れたのだ。

 そして一人の腕に、羽交い締めにされた女神の姿を見たとき。
 人々は、女神が単なる魔女の生徒に過ぎないと気づいたのだ。

「ぼ、僕たち、餌だったの……!? 机の上で暮らしてた、餌!?」
「女神さま、答えて、答えてください!」
 うろたえる小人らを見て、巨人たちは嗤った。マナ用に栽培された粒人間は、自分たちがリタのテーブルの上で暮らしていたとは知らずにいたのだ。
 騙され、女神と崇拝し、しかし本当は捕食者たる魔女見習い。そんな滑稽な関係を、笑わない方が難しい。

「食べるのは後ね。まずはリタにあげないと……。情が移って食べてないみたい。……でも、ちょっと味見♪」
 クスリと笑った生意気娘が、ボタンを押すように指を街へ近づけた。小さな指さえ、直径100メートル級の小天体。それが四、五区画まるごと絡め取ったと見るや、チョコでも舐めるように口へと運んでしまう。指先という丘、指紋の壁に小人が並び家屋が挟まる。しっとりとした湿気に貼り付けられたまま、かれらの向かう先は艶かしい少女の口だ。
 阿鼻叫喚の指先で、身を動かし次々と落ちていく人や物。しかし逃げねば、これからこの巨大娘に喰われ、消化され、マナとして永遠にその肉体に埋め込まれることになる。魔力となり、少女の体内に取り込まれる日々。来る日も来る日もその中に溶け込み、力として使われては儚く消えていくのだ。そんな魔力抽出炉が、まさに、目前へ迫っていた。
 視界を埋める瑞々しい唇。それが不意に甘酸っぱい吐息を漏らし、上下に大きく開いたと思えば。