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 仙居へ続く道は急峻だった。

 或いは、“峻厳”というべきかもしれない。

 切り立った山々は、神が岩を縦に置いたように垂直的。とぎれとぎれの道も、通ることを念頭に置いたか訝しい。人を拒んでもいないが歓迎しているわけでもない、複雑な距離感を感じさせる道程。仙人への通じる道としては、ある意味ふさわしいのかもしれない。

 出来ればこんな悪路、何度も登りたいものではない。
 とはいえ、引き受けてしまったものは仕方ない。
 というのはそう、つまるところ。

 旅人はまた、使い走りにされていたのだった。

──変な近道を通らなければと、今でも思う。
 自分は単に、玉京台から港へ向かいたかっただけなのだ。
 それがどういう訳か、このザマ。
 いや、総務司の職員が額を合わせ相談していたのを見た時点で、嫌な予感はしていた。見つかるまいと、そそくさと足を速める。だが彼女らは目敏い。一人がこっちを見た気がする。いや目が合った。既に、こちらに駆け出している。

「良いじゃないか旅人! どうせ今は用事もないんだし!」
 能天気なことを言うパイモンだが、正直ふわふわ空を飛んでるこの二頭身のせいで目立ったんじゃないかと言いたいところ。そこをグッと押さえて話を聞けば、玉京台が留雲借風真君によんどころない用があるという。しかし甘雨は生憎不在、誰もあの仙人のもとに行くのに気が進まない。
 そこにのほほんと自分が歩いてきたのだから、渡りに船だった。多分最初から自分の名前は浮かんでいたはず。それを口に出す前に、鴨が葱をしょって来たのだ。

 いいように使われてるようで気が進まないが、断る理由も特にない。
 使い走りを断らない、自分もよほどお人好しなのかもしれない。

 自分の答えに、目を輝かせる役人たち。空飛ぶ非常食もついてこようとしたが、お礼の米まんじゅうに釣られてどこかへ行ってしまった。

 というわけで、久しぶりの一人旅。

 琥牢山を通って奥蔵山へ。一人行く山道は厳々として、璃月特有の地形が続く。……のだが、坂道にボコボコと石珀が生えているのはどう考えてもあの鶏肉たちのせいだろう。物好きな仙人たちは、妙なものを作っては披露したくなる習性らしい。それに助けられたことも多いが、面妖なものを作りたがるのもまた彼女らの悪癖。異様に作りにくい料理器とか、踏むと石珀に取り込まれる罠だとか。由緒ありげな碑文が経っているのも、目的地に近づいていることを伝えていた。

 そして、ついに開ける山の頂。

 大きな岩の影から、ようやく山上湖が視界に飛び込んできたのだった。

「──留雲借風真君?」
 あたりに呼びかける異郷人。相変わらず名前が長い。それでも数度呼びかける。二度、三度。
 だが、帰ってくるのは静寂ばかり。山上の湖面は明鏡のごとく、凡そ誰かいる気配がない。
(留守だろうか……?)
 念のため仙府も訊ねてみたが、返事はなかった。申鶴の様子でも見に行ったのかもしれない。
 無駄足のようだった。

 若干の徒労感に襲われながら、どうしたものかと頭を悩ます。広大な璃月を探すのはとても現実的ではない。第一、突然港や山奥に現れたあの鷺のこと。見つけ出すのは不可能だろう。

 書置きでも残そうか。
 ちょうど、テーブルもあることだし。

 そう思い、仙人の食事を置いた食卓に目を落とす。頂上に不自然にしつらえられた石卓に、食事を供しようとして奔走したのももはや懐かしい。
 ふと、そこに見慣れない物体の影。
 奇妙なものが浮いている。
「…………?」
 どういう原理か、空に浮いている謎の道具。丸く、中心に宝石がはまっている。
 なぜこんなところにアイテムが……?
 訝しみ、何も考えずに手を伸ばした時、はたと既視感を抱く。

 これ、物質変化器に似てる。

 けれど、そう思った時には既に食器に触れていて──

「っ!?」
 眩く光り始めた時には、もう遅かった。
 気づけば周囲の景色は一変していて。

 どこか広大な場所に、立っていたのだ。

 どうも、異常事態に巻き込まれたらしい。

「なっ……!?」
 呆然と立ち尽くし、一転して一気に焦燥感が押し寄せる。怪我は? ない。敵は? いない。差し迫った危機はないようだけど、肌がどうにも粟立って止まらない。異常感は本物で、何か圧倒的に危険な立場にいることだけが確かだった。もう、自分がどこにいるかもわからない。
 ワープポイントにでも触れたかのか……?
 そんなことを思いながら、あたりを歩き回って。
 見つけたのは、岩山のように巨大な物体。
 それが、一つの木の実だと気付いた時。

──自分が、数百倍の世界に放り込まれていることに気付いたのだった。

「そんな…………」
 その場にへたり込む極小小人。
 だが、後悔してもすべては遅すぎた。
 どうもあれは、仙人の罠だったらしい。料理に触れられるのが嫌で仕掛けたのか。或いは単に、作ったものを放置しただけかもしれない。そう言えば以前、調理器を洗うのはイライラするだとか言っていた気がする。今回も、作るだけ作って適当に置いておいたのか。そんなものに何も考えず触れて、変換されてしまったらしきこの体。おまけに自分は異郷人。不可解な反応を示しても不思議ではない。

 途方に暮れる。
 どうしよう……。

 そんな時だった。
 鋭敏になった小人の感覚に、何かが引っかかる。

 何か、巨大なものが近づいてくる。

(今度は何……っ!?)
 慌てて武器を構える小人。正直今は、戦うどころか風に吹き飛ばされる心配をしなければならない大きさだ。木の実にさえ潰されるかもしれない。だが広い座面に逃げ場はない。降りようにも降りれるはずもない。バクバク鳴る心臓。こんなに怖かったことは他にない。

 一方、訪れたのは、華奢な人影。
 空色の髪をした、少女の姿だった。
 一本に結わえた髪は長く伸び、朱の混じった角に鈴の音、ぴっちりとした特徴的な服装。体のラインが浮き出たその姿には、確かに見覚えがある。

 甘雨のようだった。

『──真君? 留風借風真君……?』
 師匠を訊ねてやってきたのか、或いは別の職員から同じ用事を頼まれたのか。キョロキョロとあたりを見回す、麒麟少女。一見心細げな様は、確かにいつも通りの甘雨といえばその通り。
 けれど、驚くべきはその威容。
 数百倍もの巨大甘雨の姿は、もはや想像を絶するスケールで──
(こ、これが、人……っ!?)
 もう自分は、巨大なそれが人間であることさえ信じられないほどだった。だって今の甘雨の大きさは500mほど。寝そべればモンド城など上半身ですら収まりきるまい。もはやこの女神の大きさは山脈レベルだ。

 そんな、300倍の超巨人と化した美少女が、大地を震わせ迫ってくる。
 みるみる視界を占領するあの煽情的な立ち姿。巨躯は天空の島にさえ届いてしまいそうなほどに天高く、目前はむちむちの黒スト太ももでいっぱいだ。もう視界に体一つ収まらない。ただただ、肉感的な黒の陰影で埋め尽くされるだけ。

 絶望的な光景だった。

 けれど、自分にはこの巨大な存在しか頼れない。
『留風真君……、は、ご留守ですか……』
 同じく、無駄足を踏んだ様子の麒麟娘。それに懸命に声をかけるのは、胡麻粒より小さな異郷人だ。こんな絶境、人が来るはずもない。今を逃せば、からくりの制作者自身が帰ってくるまでひたすら待たねばならない。後は、魈でも呼び出すか。だが、こんな姿正直見られたくない。
 必死だった。

 そんな思いが通じたのか。
『仕方ないですね……』
 キョロキョロあたりを見回しながらも、こちらを見下ろす300倍甘雨。一瞬、期待に胸が膨らむ。一層声を張り上げ呼びかけた。

 けれど、それに気づきもせず、甘雨は、
『ここで待つことにしましょうか……』
 
 座面へと、腰を下ろし始めたのだ。
 5mmサイズの、ノミ人間の上へと。

──凄まじい光景だった。
 魚眼レンズを覗いたように歪んだ視界、それいっぱいに甘雨のタイツ巨尻が広がっているのから視界はむっちむち。尻の谷間にみっちり食い込むレオタード、ばるんっと張り出す安産型の桃巨尻、そのどれもが狂気的なスケールで迫ってくる。尻と裏腿が作る逆ハート型もむっちり膨らんで女性的、見るだけでずっしり重そうな質量兵器。当たり前だ。だってこの天体はあの甘雨の豊臀。限界まで張り詰めたタイツ繊維は、格子模様を尻いっぱいに張り付けて、ギチギチと音が鳴りそうなほど。立体感の強調されたデカ尻は大きく突き出されてさらにどっちり。見るだけで圧迫感を覚える重量級の桃尻は、もはや尻鈍器というにふさわしい。
 それが、天体サイズ。
(し、死ぬ──ッ!?)
 層岩巨淵からさえ収まり切らないようなボリュームは、見るだけなら官能的。けれどその前に立たされるとなると話は別だった。こんなものに潰されたらタダじゃすまないのは明白。逃げ出した。脱兎のごとく逃げ出した。けれど、駆けても駆けても距離は離せない。どころか官能的な巨尻は隕石のように迫ってきて、とてもじゃないけど逃げられそうになかった。前のように空が飛べたなら。そんなことを思う始末だ。
 だが、そんな思いも無駄。
 
 タイツ巨尻は猛スピードで飛来してきて。

 “どむ゛んッ!!”と。
 手心なくその全質量を叩き込んでしまったのだ。

「 ────ッ!!」
 声も出なかった。
 いきなり黒い怪物に襲われ、地面に叩きつけられたと思えば。
 “ずっどんッ!”と大地に激突し、“ばるるんっ♡”と弾力豊かにバウンドする尻鈍器。
 その、猛烈な尻の激震が収まると──

 “ずっしいいぃッ♡♡”と、女体の全体重が世界にのしかかったのだ。

『ふぅ……』
 そう言いながら、圧倒的な臀部を椅子に落ち着ける麒麟娘。体重をかければ、いよいよ黒ストヒップは圧し広がった。臀部の若々しいハリととてつもない質量が均衡を取り、座面にタイツ巨尻をみっちり密着させる全身黒スト娘。思案するあまり、尻のど真ん中に友人を圧し潰していることなど気づきもしない。おっとりと物思いに沈み、その重尻も椅子に沈める。ぽわぽわとした雰囲気で、巨尻を座面に沈めていくむちむち娘。
 そして、遠慮なく自分の肉鈍器を小人に練りつけるのだ。

(~~~~~~ッ!!!!)
 巨大甘雨の尻に潰される、それは強烈な感覚だった。
 どっしりとした安産型ヒップは大型スライムより重く柔らかく、その重量は群玉閣でさえ比較にならない。そんなデカ物がぴちぴちにタイツを張り付けのしかかっているのだから、まるで柔い月に潰されたかのよう。草を折らず虫を履まずの麒麟の子も、小人は踏むらしい。柔らかデカ尻の重圧は過酷で、並の人間なら圧死していたかもしれない。小人を圧殺する甘雨の凶悪尻鈍器。

 それが、300倍。
 重さ、2700万倍で。
 思いっきり、自分を圧し潰していた。

(ダメ、だ、潰れ、っ、~~~~ッ!)
 壮絶な、10万トン尻プレス。
 だって相手はあのタイツ尻なのだ。ボリューム感たっぷりな巨尻が今や幅100m以上、地形レベルの広大な柔肉で全てを面制圧している。椅子に“ぎちっ♡ み゛っちいぃ~~ッ♡”と圧し広がるメス巨尻。真っ平になるまで座面に密着し、尻肉の重しを小人の上にしつらえるばかり。まるで柔らかい岩盤だ。その尻火力を叩き込まれ、自分はもう指一本動かさない。
『今日は道が少し急に感じました。仕事ばかりで、体力が落ちたのでしょうか……』
 無意識に、小さく呟く麒麟娘。だが普段控えめな彼女も、椅子相手には極上の女体美を隠しもしなかった。生々しいほど肉感的な尻鈍器を、“ずしっ♡ ぎちちぃっ♡”と押し付けて憚りもしない。誰も見ていないと思って押し付ける、ずっしりむっちりタイツデカ尻。だから、遠慮がない、手心もない。全力で尻戦力を小人に叩き込むと、有無言わさぬ火力をそこに注ぎ込むばかり。

 もう、肉感のことしかわからなかった。
 全身を襲い掛かる、蕩けるような肉尻の柔らかさ。むにむにとした弾力は柔らかいのに、尻の有無言わさぬ巨重が抵抗をねじ伏せる。そのエロスには、強靭な人工繊維さえ屈服し、第二の柔肌と化してしまうほど。そして、独特の蒸れたすべすべ感で小虫を包み込み、質感の集中砲火を浴びせるのだ。
 甘雨のお尻が、こんなに凶悪だったなんて。
 思い知らされるも小虫はただただ潰されるだけ。
 もはや光すら漏らさない尻監獄。空気もタイツのまとう甘雨のアロマのみ。じわじわとのしかかってくる巨大娘の膨大な体熱に、圧倒的無力感を教え込まれる。足搔いても足掻いても無駄、無意識に座り潰されて立場を分からされるなんて。屈辱感さえ甘美に捻じ曲げられる。タイツ巨尻が崇高に思えてきて、触れられること、潰されること、染め上げられることに矮小な快感さえ覚える始末。

 おかしくなりそうだった。

 身じろぎするたび、いや、血流の脈拍さえ、甘雨巨尻は容赦なく小人に自身のエロスを炸裂させた。多段ヒットする300倍の尻エロス。それが性行為だと気付いていないらしい。おっとり娘の無意識ヒップが、極大の弾柔尻火力でのしかかる。“む゛ちっ♡♡ ぎちっ、みっちいぃ……ッ♡♡♡”と、とんでもない性的弾力を叩き込むのだ。

 一方の甘雨は、なお自分の体力にご懸念の様子で。
『……少し沐浴が必要のようですね。仙力も少しは戻るといいのですが……』
 思い立ったように、立ち上がったのだった。

 尻肉の間に、小人を挟んだまま。

 “キュッ♡”と、300倍ヒップを締め付けて。

(ッ!? ダメ、し、ッ~~~~!!!)
 壮絶なまでの巨大尻鈍器、その間で“ぎゅむっ♡”と挟み潰されればもはや息もできなかった。さっきまで自分を死ぬほど圧し潰していた岩盤雌尻がふわりと舞い上がれば、左右から絶対的な力で挟み潰してきたのだ。パツパツに膨らんだ甘雨巨尻は、ボリュームのあまりみっちりせめぎ合い密着するほど。300倍娘の尻圧に潰されれば、小人に抵抗の余地などあるはずもなかった。
『ここを使うのも、随分久しぶりですね』
 何も知らず歩き出す巨大甘雨。
 フリフリと振られる巨尻、スリスリと擦れ合う尻タイツ。揉み潰すように捻り潰すようにお尻は揺れ動き、小人を弄ぶ。質量兵器の戯れで、小人は哀れにも虫の息。おまけにその肉感で感じさせられて、もう心はズタズタだった。
(早く逃げないと、早く、早く……っ!)
 自分が何をしているか気づけば、きっと甘雨は羞恥のあまり遁走してしまうに違いない。いや、自分の尻に友人を閉じ込めて、振り回して、揉み潰しただなんて恥じない人はいないはず。それを寄りにもよって彼女のような人間がしているのだから、余計に事態は倒錯的だった。豊かに揺れる尻肉、甘くこねくり回す尻タイツ。みっちり尻奥に挟まれたまま、連れ去られていく。

 そして辿り着いたのは、山上湖の、その湖畔。
『誰も……、いませんよね?』
 麒麟娘は進み出ると、辺りを見回す。豊かに水をたたえた湖面は静かに風にそよぎ、大空の青を映し出すばかり。周囲に人影がないことは確か。もちろん、お尻の小虫など知る由もない。
 少しためらう甘雨。
 それから、ホルターネックに手をかけると、
『昔は、していたことですし……』
 やおら、服を脱ぎ始めるのだった。ぴっちりとしたコスチュームから首を抜くと、そのままスルスルと脱ぎ捨ててしまう。
 霊泉で、沐浴をするつもりらしかった。

 首を抜き、下へズリおろせば現れたのは滑らかな白肌だった。神々しいほど美しい姿が、生まれながらの素肌を外気に晒す。ふわぁっと漂うその香り。服もまた、むちむち女体からはがされていく。あれほどパツパツだったことが嘘のように、強靭な張力を緩めていくぴっちりコスチューム。第二の肌は人工繊維であったことを思い出し、キュッと萎んでいく。
 そして、甘雨が足を引き抜けば。
『ふぅ…………』
 巨大少女は服を地に脱ぎ置き、水面へと進んでいくのだった。後には、豊満な肉体で引き延ばされクタクタになった甘雨の抜け殻が残るばかり。

 ……一方その、残り香漂うタイツ生地の中。

 残された小虫は、上も下もわからず、もがき抗っていて……。
(だ、誰か、出して……っ!!)
 あまりの物量に、ただただ絡めとられるだけだった。体熱と甘雨のアロマでしっとりとした生地は、あまりのむちむちボディにくったりと疲弊しきっている。そんな膨大な量の脱ぎたてコスチュームはずっしり重く、押しても押してもしな垂れかかってくる。折り重なった服はどちらが出口かも不明。がむしゃらにその表面を這い回らされて、まるで惨めな虫の気分だ。這えば這うほど、巨大甘雨の、色んな部位の香りが染みついていく。甘く、じっとり濡れていく。色香にまみれていく小人の体。このままでは、頭の中まで虫にされてしまう。
(なんで、なんでこんなこと……っ!)
 服がたっぷり孕んだ甘雨の甘い果実のような香り、それが温く体にまとわりつく感覚はあまりに強烈だった。おまけに、天衣のように滑らかなタイツ生地が肌を撫でまわすのだ。さっきまで甘雨の生肌と密着していた、美しく煽情的な仙人のタイツ服。背徳感が生々しく、だのに猛烈な濃度で甘雨のアロマが襲ってくる。もう、この感触を忘れられそうにない。

 そして、ようやく。
 ようやく、日の光を仰いだ時。

(ここは、…………首元?)
 打ち上げられたのは、いつも胸元に揺れている鈴の上だった。何に使うのかずっと気になっていたが、そういえば聞けずじまいだったそれ。どうも、彼女の尻から首元まで、その100mものタイツ肌を這い回ってしまったらしい。

 だが、そんなことを思っている場合じゃない。
 早く立ち去らないと、大変になることは明白。
 水面を掻き分けるように足掻く小虫。一方500m娘の服は広大だった。しっとり冷え始めた生地は肌に張り付き脚に絡みつき。
 そうこうしている間に。

 沐浴を終えた巨大甘雨が、戻ってきてしまうのだった。

『ふぅ……。こんなことでしたら、新しい服も用意しておくべきでしたね』
 むちむち裸体のまま、服の上へ屈みこむ巨大美女神。自分のいる服を、再び着込むつもりなのだろう。見上げれば、蒼穹いっぱいに広がるのは美しい甘雨の顔。はるか上空のドアップの美貌は、確実にこちらを見ているはずなのに気づくそぶりも見せない。
 そして、逃げ出すよりも早く。
 麒麟少女は服を手に取ると。
 服に足を通し始めてしまった。

「待っ、────ッ!!!」
 何もできなかった。
 急浮上するタイツ生地に、しがみつくことしか出来なかった小人。後は容易く、連れ去られるだけ。滑空しようにも無駄、巨大娘の着衣に巻き込まれなどしたら何が起こるかわからない。だって相手は巨神のような存在だ。その動作は天変地異も同然だった。目の前を通過する巨塔のような美脚。視界を埋め尽くす肌色が、脛の形を、太ももの形を見せつけては通り過ぎていく。シルクのように滑らかな甘雨生脚の曲線美。それが過ぎれば、お腹が、次いで途方もなく巨大な胸元が生の媚姿を惜しげもなく晒してくる。目を奪われるのも仕方がないことだった。
 一方、さっぱりした面持ちの仙人の子は手早く衣服を着込んでいく。裸であるのが慣れないに違いない。あの鶴の姿が見えないとも限らない。自然と、その手は急ぎ足になって……。

 あまりの激震で、小人を服から振り落としてしまう。
「あっ──」
 あ、死んだ。そう思った。霹靂のような一太刀を目の当たりにしたときでさえこんな思いはしなかったかもしれない。急降下する体。400mもの高さからまともに落ちれば、さすがに自分も生き残れない。

 けれど。
 小虫を受け止めたのは大地ではなかった。
「…………ぐッ!?」
 一転、全身を包み込んだのは、“どゆんっ♡”と柔らかな大地。真っ白な丘陵へと、叩きつけられたのだった。自分を受け止めわずかに“ふにぷにんっ♡”と揺れる白い水面。その姿は柔らかく、ひんやりと涼やかな雪原のよう。あまりに大きすぎるそれは、けれど女性的な丸みを持って行って。

 ……無限の乳大地。甘雨のボリューム豊かな巨乳だと、気づくのだった。

(嘘…………っ!?)
 衝撃だった。目に映るのは一面の肌色だけ。水平線のように大きく切ない曲線を描く乳白色の世界、それが友人の乳房だなんて。けれど、漂う香りは明らかに生きた美女のもの。見上げれば空には鎖骨の稜線がかかり、細い首筋の先では顎肌が広がっている。明らかに女性的なその輪郭は、女体の形をした大自然のように壮大だった。あまりのスケールに目が眩みそうなほどだ。

 でも、そんなことを言ってる場合じゃない。
 こんなところに、いつまでもいてはいけない。
 その上目の前には、限界まで引き延ばされた透けタイツが迫っている。閉じ込められたら一巻の終わりだ。既に“ふわあぁっ♡”と吹き荒れ始める甘い香り。開放的だった空間が、刻一刻と服の中へと変わっていく。小虫は仙女の乳大地を走り抜け、滑空して逃げようとした。みるみる着込まれていくぴっちりコスチューム、その危険なフィールドから抜けようと一歩駆け飛んだ、
 
 のだけれど。
『んっ……』
 巨大娘は、着衣を続け。
 ホルターネックに首を通すと。
 
“ぎゅむっ♡”と。
 豊満なバストを、薄布で包んでしまったのだった。

(わッ!? ~~~~~っ!!!)
 視界に突如現れたタイツ被膜。
 そのエッチなとばりが世界にのしかかってきたと思うと、後は一瞬だった。表面に絡めとられ、一気に叩きつけられたのはひんやり乳肌。そして“きゅうぅッ♡”と締め付けられると、もう身動き一つ取れはしない。甘雨のぴっちりとしたコスチュームの中、そのベールの向こう側に閉じ込められてしまったのだ。
 貼り付けられたのは、泉水に冷えた少女の肌。豊満な300倍乳房の、悩ましい丸みを帯びた地表だ。

『ふぅ……』
 “やっと落ち着いた”、といった様子で息を漏らす甘雨。いつもの格好に戻り、当然と言えば当然のこと。乳房の上で藻掻く5mm小虫のことになど、気づくはずもない。あとはただ、服の中の乳房の位置を調整したり、確かめたり。
 自分の、無意識な動作で。
 小人を、揉み殺していることも知らず。

(甘雨、やめ゛、ッ、~~~~~~~~っ!!!)
 おっぱいゲレンデ、その無辺の大地が“もんにゅうぅッ♡”と動き始めればもう無茶苦茶だった。締め付けの強い服の中、途方もなく大きな生巨乳が柔軟に動き回るのだ。“ふにんっ♡ む゛んにゅううぅッ♡♡”と動く300倍おっぱい。黒い手袋をまとった美しい手が、重そうに自身の乳房を持ち上げたり、押し付けたり。そして50万人分の体重にさえ勝る超重量で、世界をふにふにと、むにむにとすべてを揺れ動かした。服の中に手を差し入れ、持ち上げたり、寄せ付けたり。少女の生々しい手つきが小人に押し寄せては、容赦なくもみくちゃにしていった。
 マシュマロのような雪原が、エッチな陰影を伴ってたわむ、身を擦り付け合う。ぴっちり生地に押し寄せては押し返され、服内で限界まで膨らむどたぷん肉感。スベスベの肌に抱き着かれ、揉み潰され、放心状態のところに包み込むのは甘くエッチな甘雨の香り。冷えた肌の奥から、徐々に、徐々に膨大な体熱が押し寄せてくる。そこに、スリスリと擦り付けられるタイツ生地。巨大娘の体温が、小人を包み込もうとしていた。このまま、甘雨の柔らかく香しい体熱に囚われたら。もう自分は、一生その甘熱を忘れられなくなってしまうかもしれない。
 奇妙な恐怖に襲われながら、必死に乳肌の上を這いずり回る小虫。美少女のおっぱいを這いまわり、迫りくる倒錯から必死に逃れようとする。ぴっちりタイツの国境まではもう少し。
 ついに、ようやくタイツおっぱい地獄から解放されようとした、
 その時。
『…………?』
 目の前に現れたのは、薄手袋に覆われた巨神の指先だった。自分のバストを這いずり回る、何かの感触が痒かったのかもしれない。違和感に気付いた女神は、無意識にそれを指で押し込んでしまう。
 そんなもの、横乳へと半身乗り出した豆粒のとっては蹂躙もいいところ。視界一面の横乳と、そこから見える腋肉のエッチな光景。そこに突如細い指の巨塔が挿入される。そしてこちらへ飛び掛かり、もみくちゃにするのだ。“むにゅ゛っ♡”と乳肌に押し付けると、“ぐりぐりぃッ♡”とどたぷんおっぱいへと練り付け、そのまま胸の中へ、ぴっちりおっぱいの中へと、叫ぶ小人をねじ込んで──

 やがて、悲鳴さえ聞こえなくなってしまった。

『では、行きましょうか』
 一歩、踏み出す甘雨。爽やかな色の髪をふわりとなびかせ、歩み始める。

 その爆乳に、小人を閉じ込めながら。
 一歩。
 地をも揺るがす足を、投げ出せば──
(やめっ…………!!?)

 襲ってきたのは、激しい乳揺れ。
 巨乳が立てる、とてつもない乳バウンドだった。

(あ゜ッ!? ッ〜〜〜〜〜〜!!!)
 小人はもう、叫ぶことすら出来なかった。甘雨にして見れば、視界に張り出した乳房が“ふるるんっ♡ ふるるんっ♡♡”と揺れるだけのこと。けれど、それが300倍スケールに拡大されれば天変地異としか言いようがない。
 加えて、甘雨が山道を下り始めれば。
(~~~~~~~~~~~ッ!!!!)
 どっぷんどっぷん跳ね回る大質量おっぱい。乳揺れはいよいよ、“ばるんっ♡ どすんっ♡♡”と揺れ始めるのだ。ゆっさゆっさと揺れ始めるどっしりおっぱい。それに巻き込まれたのだからたまったものではなかった。指で押し戻され、乳ゲレンデへと貼り付けられて。疲弊しきった体に、ばるんばるんの超巨乳はあまりに過酷で。満月ほどもあるどたぷんおっぱいのバウンドで、小人の体はメチャクチャだ。
(ダメだ、お、落ち……ッ!)
 跳ね回る大地は、小人を休ませてはくれなかった。一歩ごとにむっちり乳肉へ沈み込んだり、浮き上がった乳惑星ごと限界までタイツ生地に押し付けられたり。そしてシャッフルされれば、切なく大きな曲線に沿って“ずりっ♡ ずりっ♡♡”と落ちていくのだ。
 必死に乳肌にしがみつこうとするけど、甘雨の肌はツルすべでとてもじゃないけど掴まれない。沐浴でさっぱりとした肌はただただ柔らかく、指をかけようにもむんにぃっとたわむだけ。加えて、這い上がろうとしては下から突き上げてくる重乳暴力。甘いおっぱいの香りも体を蕩けさす。暴れおっぱい相手に、なすすべもない。体が、乳房の表面を、徐々に、徐々にずり落ちていく。どんどん急になるその傾斜。目指す先は、ぎっちり詰まった乳房のせめぎ合う、凶悪密度のぎっちり谷間だ。

 あっけないものだった。

 一歩、巨大甘雨が踏み出し、“ばるるんっ♡♡”とたぷたぷおっぱいが跳ね上がった時。
 暴れる巨乳、動き出す体。
 そのまま、勢いよくノミの体は滑り出し。

 絶望のぎちみち谷間渓谷へと、引きずり込まれてしまったのだ。

「待っ────」
 悲鳴を取り残し、無情にも吸い込まれていく体。そうなればもう、乳地獄への道は一方通行だった。スベスベの乳肌を滑落したと思えば、背後からは反対側のマシュマロ乳肌が迫り来た。どんどん狭隘になっていく豊満バストのわずかな隙間。ノミの小さすぎる体は、谷間の奥へ奥へと堕ちていく。

 そして、ついに爆乳に挟まれ、動けなくなった時。
 ノミ虫の体は、途方もない曲面の、その間。
 ぎちぎち乳房の密着面で、完全に潰されてしまったのだった。

──すさまじい乳圧だった。

 だって挟むのは300倍おっぱい、ぴっちりコスチュームに無理やり収められた巨乳の密度は強烈で……、
(これ、死ぬ、圧死、す、────っ!!)
 小虫は、極限まで乳肉に挟み潰されてしまったのだ。むにむに乳房は、その蕩けるような柔らかさにもかかわらずぎっちぎち。巨重のあまり押し花になるほどに圧し潰し、限界まで乳密度を教え込んでくる。
 甘い香り、独特の弾力。密着したせいで、既に乳プレス面は蒸れ始める始末。 “どっくん……♡ どっくん……♡”とゆったりとした心音は落ち着くけれど、巨大な拍動にもはや輪郭すら曖昧になるくらい。広大な乳空間を巡る血流の音に混じり、“とぷとぷんっ♡”と母乳の跳ねる音さえ聞こえてきそうだ。乳内部の環境音は耽美だった。それが余計に、頭をぼうっとさせる。なくなっていく肌感覚。乳肌に溶けあう体と、音、蒸れ、甘い甘いその香り。
 もう自分は、甘雨乳房の一部も同然だ。

 乳圧で、気絶しかける極小小人。
 だけれど、それが許されるはずもない。今も、小人をそののうちに閉じ込めたまま、爆乳は壮絶な乳揺れで、自分をシャッフルしているのだから。それも、さっきのように表面に張り付けているだけではない。その中にぎっちりみっちり閉じ込めて。

 直接、全方位から肉火力を叩き込んでいるのだ。

(ぐっ!? ッ~~~~~!!!)
 全世界を包み込めるほどの乳惑星。それがゆっさゆっさと爆揺れするものだから凶悪だった。だって相手は大ボリュームおっぱい、“ぶるるんッ♡♡”と跳ね上がったと思えば“どっぷんッ♡♡”と深くたわみ暴れまわる。その高低差は数十メートル、柔らかくたわんでは飛び上がる甘雨巨乳の乳監獄は過酷の一言。一度や二度ではない。“どぷんっ♡ どぷんだぷんどっぷんッ♡”と揺れては弾み、まるで柔らかさと豊かさを主張するがごとく。きっと甘雨にしてみればいつもの乳揺れ。けれど300倍にまで拡大されたおっぱいバウンドは、凄絶の限りを尽くしていた。
『ここも整備した方がいいのですが……。真君も頑なな方です』
 険しい山道のせいで、甘雨の足取りは到底静々としたものではない。麒麟の子は不安定な足場も慣れたもの、けれどそれも比較の上のこと。道行きの悪さはいかんともしがたく、その足つきは自然と大きく激しいものになっていった。
 結果思い知らされる、どたぷんおっぱいの超ボリューム。2万トンを超える爆乳は、きっと璃月港さえ一撃で粉砕できる質量兵器だ。それが揺れるのだから、300倍少女が歩くだけで天変地異だった。おまけに崖を下るとなれば、巨乳シャッフルは破滅的。重量にもかかわらず、ゴムまりのように跳ね回るぎちぎちおっぱい。タイツ生地に押し付けられた潰れおっぱいが、全方位から自分に襲い掛かった。

 絶望の行程。巨大甘雨の闊歩が、5mm小人を責め苛む。

 それも、さらに過酷さを増しながら。

『やっぱり、今日は暑いですね……』
 山を下るにつれ、上がっていく気温。氷属性の半人半仙娘も、その陽気には汗ばまずにはいられなかった。密着したままの乳肌から、不意に、“じわぁ……っ♡♡”とアロマが分泌されるのだ。密着する乳肌すべてから甘い蜜が染み出してくる。
 乳蒸れ地獄の始まりだった。
『うぅ、もう汗が……』
 ただでさえ蒸れやすい巨乳は、みっちりぎちぎち黒タイツの中。すぐに服内は乳蒸気に煮えたぎった。エッチにエッチに蒸れまくった。狂おしいほど香り良い美少女サウナが、濃厚フェロモンを噴出し始めたのだ。柑橘と桃の混じったような甘く華やかな仙女の香り。その原液がじっとりねっとり乳肌を濡らし始めれば。
 無慈悲な雌火力を、ノミ人間に練り付け始めるばかりだ。
(これっ、ダメだ、コワれる、おかしく、っ──!!)
 濛々と立ち込める甘い香り。甘雨の快い芳香は限界まで濃く充満し、濃縮された乳肌を伝い始める。微小な体などすぐに乳汗まみれ、むせかえるほどのフェロモンが無意識に小人を悶えさせた。あの甘雨が、あのおっとりと清楚な仕事人間が、こんなにエッチな乳蒸れを秘めていたなんて。蒸れ蒸れ乳房の最奥に閉じ込めて、しかもそのことに気付きもしない。気付かないからこそ乳火力は強烈だった。手加減なしの限界乳サウナ。しっとりエロく輝くそれが、歩く度揺れる、揉み込む、押し寄せる。小人が壊れるほど、女体エロスを叩き込んでやまなかった。
 蜜煙たなびく服の中、甘雨爆乳は豊満に揺れる、上へ下へ。濡れた乳肌が“ぬちっ♡ じゅっちいぃっ♡♡”と身をくねらせ合うのだ。もう耳にさえエッチな水音が聞こえてくる。心音、母乳の音に汗の水音。全身に生おっぱいミストを練りつけられて、甘雨快楽のことしか考えられない。マシュマロおっぱいは蜂蜜まみれ、むせかえるその香りは小人の中をメチャクチャにした。
 濡れる乳肌が擦れ合い、甘く甘く小人をこねくり回す。自分のエロさを隠しもしない。生々しいほどに蒸れ蒸れおっぱいは煽情的。媚薬を乳女体でなすりつけ、揉み込み、密閉したまま揉み殺す。逃げ場のない無限乳地獄。甘雨は、自分の中で繰り広げられるそれに気づきもしない。

『帰ったら、もう一度水浴びしないとダメでしょうか……』
 暑いのかパタパタと乳布を仰ぐ巨乳仙娘。そうすれば“とっぷんっ♡ とぷとぷとぷぷッ♡”と柔らか巨乳が小刻みに揺れた。波打つ乳房は中に閉じ込めた小虫を逃がしはしない。猛烈な粗密波が、ダイレクトにノミ虫を襲うのだ。無意識のエロ乳津波で小人を揉みくちゃにし断続的にその肉量を叩き込んだ。締め付けが緩んだり強まったりするのも悩ましい。一瞬乳房が“どっぱぁ……♡”と緩めば“みちちっ♡♡”と押し付け合わされ、極上の柔らかさと弾力を交互に叩き込む。

 弛緩と緊張を繰り返す凶悪乳圧。谷間に隙間を生んだと思えばぎちちっと押し寄せて、谷間の中に熱波を巻き起こす。
 自然と、それはびしょ濡れ小人を翻弄し、

(お、落ちてる──!?)
 エッチな乳肌を、滑落させるのだった。

 しっとりと汗ばみ始めた爆乳にもみくちゃにされ、少しずつ、少しずつ女体の中を落ちていく小虫。服を煽げば“どぷんっ♡ ばむばむばむっ♡♡”と乳肉で小人を襲い、吹き込んだアロマの熱暴風がそれを後押しする。そこに“どっぷんっ♡♡♡”と壮絶な乳揺れが加われば、もはや助かるはずもなかった。

 ぴちぴちタイツの中、天体級おっぱいを落ちていく砂粒小人。
 下乳から産み落とされ、下へ、下へ。
 綺麗なおへそにひっかかり、それでも止まらない。
 タイツの底へ、更に奥へ。

(ダメだ、このままじゃ──!!)
 趨勢は明白だった。このままでは甘雨の、迷宮のようなぴっちりタイツをどこまでもどこまでも落ちて行ってしまう。出口から遠のき、より濃い甘雨アロマの奥へと引きずり込まれる。そんなことになったら、自分は、自分は──!
 それでも容赦なく甘雨の中を落とされ、その生肌の味を教え込まれるノミ小人。
 無限に思えるほどの時間を、汗だく蒸れ蒸れ巨体に振り回されてしまう。

 そして、結局。
 小人の滑落が終わったのは。

『甘雨です。えぇ、今戻りました』
 甘雨が、仕事場に戻った後のことだった。

『ふぅ……。だいぶ時間を使ってしまいました……』
 書斎に入り、少し疲労の色を見せながら甘雨は呟く。穏やかな声は眠たげで、すこしぼんやりとさえしている様子。なんだか雰囲気もぽやぽやとして、どうも意識は散漫なようだった。

 だから、甘雨は気づかない。

 その美脚に、小人を閉じ込めていることに。

 そのむっちりとエッチな太ももに、友人を張り付けていることに──!

「~~~~~~~~ッ!!!!」
 タイツの底へと堕ちていった小人。それが尻のあまりのハリに引っかかってしまえば、もう身動きは取れなかった。大きく張り出した巨尻とぴっちりタイツ、そのはざまに完全に囚われてしまったのだ。歩く度形の変わる巨尻は柔らかく、かつぎっちりみっちみち。そこに引きちぎれるほど張りつめたタイツが抱き着くのだから、動けるわけがない。そして絡めとられたまま、巨大な闊歩に付き合わされる。汗ばんだ生肌と、動きに合わせ伸縮するタイツ。悩ましいそれは、蠕動運動のように自分を連れ去った。落ちながら、動きの少ないところへと、徐々に徐々に引きずり込まれていく。
 結果の、太もも監禁。ギチギチと繊維の悲鳴が聞こえるむっちり太ももの、内側に貼り付けられ、そのエロい生肌に、真空パックされてしまったのだった。

 対する甘雨は、疲れの色を見せながら、
『さすがに今日は疲れましたね……』
 少し伸びをし、肩を回してから、深呼吸を一つ。
『それでは、そろそろ……』
 そして、ソファへと向かうのだった。

 甘雨の昼寝の習慣は知っている。
 加えて、それが長く深いことも。
「甘雨っ!? 気づい、て、あ、ああっ…………!!」
 おみ脚の一部にされたまま、叫んでも足掻いても何も変わらなかった。
 ソファに屈みこみ、寝ころんで。
 美少女は、嫋やかな体をそこに横たえると、
『ふぅ…………』
 “ばむっ♡♡♡”と、太ももを重ねてしまうのだ。
「ぐ、ッ、~~~~~~~~~~~~~!!!!」
 汗ばみ匂い立つエロさの生太ももと、上から“ぎっちぃ…………♡♡♡”とのしかかる黒スト太もも。その間に生まれたのは、特甘の女体密着空間だった。とてつもなく重くエロいあの美脚が、みっちりせめぎ合う肉のはざま。甘美なのは当然のこと。けれどそこに強烈なもっちり腿圧が加わると、拷問レベルのむちエロプレスへと変わってしまう。胸や尻とも違うむっちりと嫋やかな肉付きが、特有のエロスで小人に集中砲火を浴びせるのだ。生肌とタイツから発散される香りは、甘く華やかでむせかえるほど濃い。しっとりもちもちの生肌は、吸い付くように密着しながらゼロ距離で柔らか肉感を叩き込んだ。そして悩殺の太ももで圧殺すれば、小人など全身にねっとりとした巨大な快楽を叩き込まれる他ない。
『ん、ふぅ…………♡』
 そのまま、寝心地を探るように“すりすりっ♡ ずりぃ……ッ♡♡”と美脚を擦り合わせる300倍甘雨。豊満な肉付きを執拗に練りつけ、比較にならないほど小さな小人にその性感を教え込む。山をかぶった山脈のように長く美しい甘雨美脚が、二つの巨体で小人をなぶり殺しにするのだ。自重でたわみ、“みちちっ♡ む゛んにいぃッ♡♡”とせめぎ合う肉の海。何が何だかわからない。認識不可能な快楽の塊が、壮大なスケールで自分を犯していた。
 たぷたぷとウォーターベッドのように蕩ける、しっとり蒸れ肌。
 ぎっちぎちにすべてをねじ伏せる、圧倒的な2700万倍太もも。
 タイツに肉、香り、汗媚薬、何もかもが小人を狂わせる。
 快楽責めだ。
 
 一方、そんな性災害を内股で巻き起こしつつ、甘雨は既に眠りの世界。
 ようやく好みの体位を見つけたのか、体を丸めると、“ずっしぃ……♡”と体を弛緩させる。
 そして、すぅ……っと心地よさげに息を吐くと。

 健やかに、寝息を立て始める巨大娘。
『……………………♪』
 甘雨が心地よい眠りに落ちるまで、そう時間はかからなかった。
 だが、その間にも絶望的な太さ重さのむちむち太ももは、持続的にノミ虫に性ダメージを与え続けている。
 無論、甘雨が起きるはずもない。

「△∴×ッ!!? ◇∃※~~~~ッ♡♡♡!!!」
 ぴっちり太ももの中、叫び続ける小虫の声も遠く届かない。タイツと生肌の二つの質感に揉み転がされ、肉感的無意識性地獄に堕とされるだけ。甘い。重い。狂おしい。ここにいてはフェロモンに発狂させられると、本能が告げている。けれど逃げられない。甘雨のタイツ監禁から、脱出できるはずもない──

 絶望の、太もも監禁、蜜地獄。

 無意識な快楽責めは、まだ始まったばかりだった。