§
 式は終わった。

 俺はもう、既婚者だ。

「何見てるのかな?」
 立ち尽くしチャペルの十字架を仰ぎ見る、そんな俺の背筋をなにかが這い上がった。
 タキシードの背を這う、繊細な指使い、まとわりつく、蔓のような感覚。
 間違いなく、それはサヤの指だった。

「ひぃッ!?」
「ふふっ、ボクだよ? 怯えることないじゃない。ねえ? "あ・な・た"♪」
 純白の人影が目に飛び込む。たっぷりした三つ編みと、女性的なライン、蠱惑的な笑み。怯える俺をニヤつく女の姿。
 それは、ウェディングドレスを着た少女の姿だった。
 うら若く匂い美しい小娘。しかしその雰囲気は、どこか毒蛾を想起させる何かを纏った。
 這わせた指先軽く口元を押さえ、その目は妖しく歪む。
 その白手袋をわずかに膨らませるのは、今しがた俺の嵌めた指輪に他ならない。

 それを見た瞬間、絶望感が一気に押し寄せる。
「俺は、なんでここに、いや、どうして、どうしてこんなこと……」
「あはっ♪ それが結婚したての殿方の顔? こんなに綺麗な花嫁と結ばれたっていうのに♪」
 クセのある笑い声で自賛する女を、俺はキッと睨め付ける。しかし、そんな怒気など彼女に届くはずもない。俺の鋭い視線は、クスクス笑う美貌に受け止められ、絡みつかれ、手繰り寄せられては萎えてしまう。それは魔性の笑みとしか言い得ない。匂い立つ美しさは白百合に似て、醜い感情を立ち枯れにしてしまう魔力があった。

 その魔に憑かれてしまったのだ。
 俺は、この魔女と結ばれてしまった。

「これからボクはキミのものなんだよ? 嬉しくないの? 毎日毎日ボクを好きにできるのに。ねえ?」
 思わず俺はハッと笑う。
「"俺が、お前のもの"、の間違いだろ?」
 自嘲気味の呻きも軽く受け止め、サヤは己の唇をなぞってみせる。透き通る肌と、スッキリとした輪郭。そこにあるのは、ねっとり肉厚の唇だ。
 男を誘うフェロモンを放ち、堕ちたら離さない食虫植物。それがサヤだった。

「そうさ。キミはもう、ボクんだ♪」
 結局、俺は負けたのだ。
 この美少女の、魔力と狂気に。
「そんなこと言って、キミも本当は嬉しいんでしょ?」
 頰を撫でるしっとりした手。細い手。狂気の魔の手。

 そんなヤンデレ娘の手に触れたのは、ふとした出来事。無自覚に与えた優しさを誤解され、弱みを握られ、爛れ切ったゴールイン。
 いや、先に道を踏み外したのは或いは俺の方だったかもしれない。
 彼女の美貌に毒され、疚しい行為を働いた。恐怖で焼き捨てるまで、俺の部屋には彼女の下着があった。それを受け入れられた時、どれほど嬉しかったかわからない。そして、それが釣るための餌だと知った時、どれほど慄いたかも。

 異常者。ヤンデレ。ストーカー。およそありとあらゆる恋愛狂者の名を冠する娘に、つきまとわれ、襲われ、結婚させられ……。そしてまんまと俺は堕ちたのだ。
「ボクたちは一緒だよ。一生、一生、一生ね♡」
 その偏執狂的執着心からは、逃れられないと知ってしまった。
 文字通り、彼女は魔女だった。
 俺を堕とすため、悪魔と契約を結んだのだ。
「愛してる、愛してるよ♡」
 魔女の甘い抱擁が、俺の背に絡みついく。

「〜〜♡」
 俺を絡め取る、力の弱いハグ。

 そんな、女性の、長い長い抱擁の後、彼女はクスッと笑った。
「さ、始めようか」

 そして、パチリと指を鳴らしたのだ。
 世界の糸を断ち切るようにして。

 その途端グニャリと背景は歪みだす。

 それはまさに非現実的光景。
 現世の灯火が潤みだしたのだ。
 サヤの使った魔法で、霞む世界。溶け行く次元。
 俺たちを囲むチャペルも遠く消えた。
 サヤだけがそこにいる。
 狂愛のあまり悪魔に魂を売った魔女が、特製の舞台を用意しようというのだ。

 俺は逃げられない。
 結婚してしまった。
 契りを結んでしまった。
 魂を結わえてしまった。
 逃げられない。絶対に。

 そして、若い新婚男女のしとねが現れた時。
「ふふっ、キミの初夜権はボクのものさ♡」
 最後にサヤは、そうさえずった。


§
 サヤが、面妖な力で俺を連れ去った先。
 その空間は、なるほど高級ホテルに似て美しく、清潔豪奢なスイートルームだった。
 夢見がちなボクっ娘にとっては、まさに理想的、きらめく夜景に星空、間接照明で落ち着いた部屋はロマンティックな雰囲気を醸し出し、望むべき全てがあるかに見える。

 しかし、出口だけがなかった。

「たっぷり、たっぷり愛してあげるよ……♡」
 ほのかに頰を紅潮させた花嫁は、大きく膨らんだウェディングドレスを揺らし一歩近寄った。歩きやすいようにスカートの前面に開けられたスリットから、白タイツを纏った美脚が一歩こちらに踏み出す。フリル地獄に純白の海。キュッと締め付けられたくびれに、溢れ出す豊満な胸と寄せた谷間。その清純な姿が、俄かに色情を滲ませる。
 ゆさっと、無数のレースの擦れる音が響いた。
 思わず後ずさるのは当然だ。華奢な体は、俺より頭一つ分小さく可愛らしい。しかしそれだけ、どこかそこにいないような軽さ、弱さ、非現実味を帯びていた。
 万能の少女が、発情と幻想を背負って近寄ってくる。人形のような出で立ちが一歩、白磁の乳房を揺らす。
 それを前に、俺の鼓動は否応なく速められた。

 白状しよう。魅せられた。魅了されていた。
 滑らかなチョコレート色の髪は、豊かな三つ編みで肩から垂らされている。それは理想的な花嫁の姿そのもの。
 そんな小さな娘が、俺を見上げ恍惚と近寄ってくるのだ。
 そんなこの上ない幸福が、同時に毒蛾の罠に思えてならなかった。

 二歩と進まないうちベッドに行き当たる。
 これ以上近づかれば、俺は逃げられない。
「う、あ、ああああ!!」
 衝動的に俺は叫んでサヤを突き飛ばした。キャッと、陶器のぶつかったような声が上がる。それにも構わず、俺は魔女から逃げんとベッドをよじ登り這い出した。必死だったのだ。

 そして俺が、三度目手をつこうとした瞬間。
「痛いじゃないか」
「わっ!?」
 突如仰向けに叩きつけられた俺は、見えない腕にベッドへ押し付けられ、あとはもう微塵も動けはしなかった。
 ベッドの向こうでは、イテテ、と埃を払う音。
 続いて、ゆっくりと衣擦れの音が近づいてくる。
「ダメじゃないか、女の子を突き飛ばしちゃ。そういうのDVって言うんだよ? せっかくの初夜だっていうのに。……ふふっ、でもボクは怒らないよ。キミがそういうことするって、わからないボクじゃないもの」
 サヤの魔法で、見えない手が俺を押さえつけていた。がんじがらめにベッドへ縛り付けた俺を、ゆっくり覆っていくドレス型の影。逆光でよく見えないサヤの口に、けれど、美しく狂った笑みがあることはわかっていた。

 花嫁が、ゆっくり俺の上に這い上ってくる。
 わさわさと音を立てたフリルの海に、徐々に体が飲まれていく。
 そして、天を仰ぐ視界に少女の小さな顔が映ったと思うと。
 柔らかな唇が、俺の口にのしかかったのだ。
 初めは優しく、乾いた俺の唇に少女の肉厚なリップが広がった。夫とのキスの喜びに少し震えると、上唇を、下唇を、プルプルの口元が甘く食み始める。嫌がろうにも嫌がれない、極上の接吻に俺は引きずりこまれるばかり。
「あむ、ぅ、んっ……♡」
 ねっとりと唇を舌先で潤され、トントンと突き、それから一気にねじ込まれる。くぐもる男の声も、女の発情した喘ぎに隠された。サヤの手は、何度も何度も頭を優しく撫でる。そこから感じる愛は本物。その愛情を、拒絶できない俺がいた。脳に渦巻く葛藤も、娘のトロトロした舌で舐めまわされた。口内を犯され、触られたくない口のあちこちを撫で回され、ただただ美少女にされるがまま。俺の7割程度の体重しかない、そんな小さな体に乗っかられ、好き放題口内を舐めまわされるのだ。
 それに、どうしても下半身は熱くなってしまう。
 スカートを俺の上に広げ、その影で、少女の膝先が俺の股間に触れる。身を乗り出し俺の口を貪り、その度サワサワと言うドレス、その白いストッキングにガーターベルトさえ、俺の体を襲っていく。
 そうだ、この、この媚態。この女性性。極上の体つきをした少女に、俺は争うことが出来ない。
 脳内に響く、唾液の水音がクラクラさせた。魔法で腕を封じられ、片手で頭を撫でられ、頰を撫でられたり、胸を撫でられたり。大の男が泣きそうになりながら、ただひたすら小娘に慰みものにされていた。

 心ゆくまで、サヤにキス責めにされる。
 それから充分時間がたち、やっと口を離してもらえた時、俺はもう息も絶え絶えになっていた。
 ぷはっと音を立てて、サヤが唇を離す。トロンと恍惚の表情で俺を見下ろし、ねろりと唇を舐め上げ、それでも俺から視線は外さない。
 そんな様から、俺も目を離せずにいた。蕩けた顔、上気した頰、潤んだ瞳に男を求めるメスの顔。
 キスの後のサヤは、美しくエロかった。

 しかしベルトを弄る金属音がした途端、俺は思わず青くなる。
「な、何をっ……!?」
「何? 何って、ナニさ♪」
 カチャカチャとベルトを外され、無抵抗のままスラックスを下げられる。
「……あはっ♪ やっぱり嬉しいんじゃないか♪」
 笑声に淫らな狂気を漂わせ、サヤは俺を裸に剥いていく。服をもぎ取られ、不遜な下僕に不相応な衣装をはぎ捨てるのだ。そして、彼女が見出したのは、フリルスカートの帳の下、みっともなくサヤを求め屹立したペニスがあった。
 薄暗い中、ガターベルトと太ももの間で膨らんでいたそれは、間違いなく俺の興奮を告白していたのだ。
「切ないだろう? ボクが欲しいだろう? 我慢することはないよ。大丈夫、美味しくいただいてあげるから……」
 サヤの待望の時。うっとりと頰を染め膝立ちにそびえ立つと、純白の少女は己の清純さを解いていく。本性を見せ出したのだ。ショーツからはすでに一筋、緊張とも興奮とも取れる水滴が垂れ落ちていた。スカートの隠し部屋の中は、その白さ、清純さからは想像もつかないほどに少女のフェロモンが立ち込めて蒸し暑い。
 そんな様を、膝立ちでサヤは見せつけた。
 血色のよくなった生の太ももにガーターベルトをはべらせて、ほんのり染まったショーツを見せつけたのだ。
 それから、ゆっくり大事な下着をずり下ろしていく。
 それは、純潔と処女性を体現したウェディング姿からは最もかけ離れた、極度にエロティックな行為だった。ストリップのように、淫らに己の脱衣を見せつけていく。縛り付けた男に、無理やり恥部を見せつける行為。そんな行為に、確実にサヤは興奮していた。俺の視線を釘付けにする、その支配感と愛欲に身を痺れさせながら。
 俺の目の前で、湿った下着は太ももの上を転がり、クシャッと丸まっていく。そうすれば、真っ白な太ももが、その付け根が、鼠蹊部のV字、滑らかな白い下腹部、その全てが現れ、秘めるべき場所さえもう隠すことはない。そしてサヤがひざ下までショーツをずり下ろせば、もう秘部は丸見えだ。少女のまんこはほんのりピンクに色づいて、練り菓子のように一条走ったスジが美しい。しかしもう表面は濡れていて、トロみある輝きを放っているのだ。
 思わず息を飲むような美しい女性器。

 しかしそれが、俺を犯し倒そうというサヤの淫部だと気づけば、途端俺はもがき出しなんとかその魔の手から逃げようとした。

 が、悲しいかな、それが不可能なことは、本能がわかっていた。

 無様な姿を晒し暴れる俺に、余裕の表情でサヤは覆いかぶさる。
 そして、ぽそぽそと声を潜め耳元で囁いた。
「ふふっ♪ 無駄だって気づいてるの、ボクにはわかるよ? それでも無駄な抵抗しちゃうの、すっごく可愛い♡ これから、キミをたーっぷりぶち犯してあげるよ。結婚当日花嫁に逆レイプされた、世界で一番惨めな新郎にしてあげるんだ……♡」
 そして、ゆっくり腰を下ろし始める。

「いやだ、こんな初夜、あ、ありえない! 訴えてやる、この、このイカレ女!!」
「なんとでも言うといいよ♪ ボクは喚いてるキミがすっごく可愛くて可愛いくて仕方ないんだ♪ 嬉しいくらい泣き叫んで、誘ってるのかな? じゃあ言う通りにしてあげる♡」
「つきまとわれて、結婚させられて、犯されて……。こんな、こんな惨めなこと、いやだ、いやだいやだいやだ!!!」
 スウィートルームに俺の叫びが響く。
 が、緊縛され無防備な俺に、抵抗権はない。
 そうするうちにも、みるみる少女の割れ目は降りていく。
「やめろ、やめてくれえっっ!!」
「やーだよっ♪」

 そしてまさに、サヤのスジとペニスの先端が触れようとした、その時。

 ピタリと花嫁は腰を止めた。
「……、そうだった」
「……え?」
「さっき、ちょっと痛かったんだよね」
 笑みの音を漏らし、小さく言葉を零したサヤ。
 蒼白になって謝り出す俺の口を、そっと指で黙らせると。
「これはちょっと、躾が必要かな?」

 そして、これまでずっと我慢していた、とっておきのお仕置きを始めたのだ。
 縮小の刑。
 俺から、体格差という最後の優位さえ奪い去る。最低最悪の刑だった。
 
§
 泣き叫んで許しを請うも、サヤの脚の間、男の体はみるみる縮んでいった。
「縮んでいくキミも素敵だね。これでキミは、ボクから絶対に逃げられない♡」
 覆いかぶさる花嫁の下、俺は怨嗟の声を吐き続けた。見上げるのは、履き直されたショーツの天蓋と、ニマつく恋狂いの美貌だけ。
 生活も、自由も、尊厳も、何もかも奪われた挙句体まで掌握される。ただ愛されてしまっただけで、ヤンデレ娘に全てを握られてしまったのだ。こんな不条理、到底許されるはずがない。一方的な愛の押し売りはもはやとどまることを知らず、今からは丸腰同然の体格差で逆レイプしようと言うのだ。
 しかし同時に、体格差は本能的な恐怖を呼び起こす。男であれば知る由もない、自分を圧倒する体格差。それが、性別を逆転させ、子供と大人、そして、赤ん坊と母親の体格差へと広がっていく。
 初めて知る恐怖と畏怖。震撼を、禁じ得ない。
「どうだい? 怖いかい? 重いかい? さっき突き飛ばしたボクの軽さとはもう比べ物にならない。余裕がなくなってきて、まるで吠える駄犬だね♪」
「てめぇ、こんな、くそ、クソクソクソ!! 殺してやる! 殺して、いや、死んで、いつか、絶対、絶対罰が……」
「ふふっ、駄犬の勢いも無くなっちゃたみたいだ。つれないなあ、もっと元気よく吠えてよ。つまんないキミなんて、全然面白くないもの」
「うるさい!! この、強姦魔め……!」
「あはっ、嬉しいことを言ってくれるね♡ じゃあ、ウェディングドレスのまま犯されちゃうのはどこの男の子かな? キミはもう一生ボクのペットさ。結婚しちゃったんだから、当然だよね? 泣いたって無駄だよ? これは初夜なんだから。愉しまないと♪」
 俺の上に覆い被さった少女は、勝ち誇った恍惚顔で囁いた。耳を甘噛みされる、顔を舐め回される。どんなに押しのけたって意味はない。今やサヤは俺の3倍、27倍の体重は乳房だけで俺を超えていた。嬰児が母親を突き飛ばす以上に不可能だ。俺は今、レイプ魔と化した新妻から逃げられない。しかも、体格差は加速度的に開き続けているのだ。
 花嫁の巨体を押しのけようとしても、ぴっちり締め付けられた豊満なバストに押し返されるだけ。その巨乳で下半身はぺったんこ、足はすべすべしたドレスのお腹に下敷きになり、長い白手袋に絡みつかれた体は手の重さだけで動けない。サヤの三つ編みさえずっしり重いのだ。裸の細い肩が、少女の麗しいとろけ顔が、面積9倍の迫力で圧倒した。
 がっしり魔女に抱き着かれれば、腰は完全にバストで下敷き。その圧力にはただただ絶望感を覚える他ない。
 キュッと締め上げられたお腹が俺の脚を押しつぶした。そして動けないところを、色っぽい唇が、無茶苦茶にキスで俺を埋め潰す。パクリと頭さえ咥えられそうな唇が、肉厚の花弁を俺に押し付けるのだ。すぐ顔はどデカイキスマークで埋め尽くされた。それでもサヤはやめない。肉で出来た枕のようなむちむちの唇が、何度も何度も俺に吸い付くのだ。

「可愛い、すごく可愛い……! 子供ができたみたい♡」
 ぺたんと女の子座りになったサヤは、眼下の縮小劇を色っぽい眼差しでみおろしていた。
 あれよあれよという間に、膨らんでいくベッド、世界、狂女。
 俺は赤ん坊へと、人形へと、小鼠へと縮んでいく。
 そして縮小が止まると、まるでハムスターでも持つようにつまみ上げ、手の中で縮んでいく俺の胴の細さに感嘆の声を漏らす。
「とりあえず、100分の1くらいかな? ああ、なんて可愛いんだろう♪ 食べちゃいたいくらいだ。ふふっ、大好き、大大、だーいすき♡ ……ボクはこんなに愛してくれないのに、なんでわかってくれないのかな? でももう安心だ。だってキミはもうボクの花婿♪ 二人の仲はみんなも法律も認めてくれる♪ だから、これからゆーっくり時間をかけて、キミを……」
 躾けてあげるんだ。
 そう彼女は言った。
 断崖絶壁から突き落とされた、そんな恐慌に貫かれる。
「こんな……こんな人生嫌だ! イヤだイヤだイヤだ! 殺してくれ! お願いだ、殺してくれ!!」
「あはっ♪ 死ねば逃げられると思ってるのかい? 死ねると思ってるのかい? ううん、死んだって魂がボクの魂から逃げられる訳ないじゃないか! だって今日は結婚初夜。ボク達の魂は永遠に結ばれたんだ♪」
 堪らない、とでも言うように、喉奥から病んだ笑いを漏らすサヤ。その言葉に、胃の底が寒くなる。目前の100倍花嫁は超然と聳えたって、これ以上なく美しく扇情的だ。一生忘れられないほど蠱惑的な美少女だ。しかしその現実離れしたほどの美しさが、俺の魂を縛る魔性に思えてならなかった。

「ヒッ……!」
 サヤが美しくて、美しすぎて、思わず俺は後ずさる。
 そして、弾かれたようにシーツの海を駆け出した。けれど荒波のようなうねりは行く手を阻み、小さな小人を嘲弄する。サヤの巨体でねじれ乱れたベッドのシーツ。そこに残る少女の香りが、どこまでいってもなくならない。
「あはっ♪ 逃げようたってそうはいかないよ? だってボクらは夫婦♪ 死ぬまで、ううん、死んだって一緒さ。キミは死んだってボクから逃げられない。これからたっぷり教えてあげるよ……♪」
 まるで雪化粧したモンサンミッシェルのような、サヤのドレス姿。それがわずかに重心を移すだけで、地面は大きくたわみ足をすくった。
 そうすれば、コロコロと蟻地獄のように俺は少女の元へと押し戻されていき……。
「ふふっ、健やかなる時も、病める時も……、ってね♪」
 巨大な蜘蛛のように、俺に襲い掛かる真っ白な手。
 白手袋の感触に包まれ、その快さに思わず気が緩んでしまう。
「バカな子だね、逃げられると思うのかい? そんな体で? ふふっ、ボクから逃げられるはずないんだって、分からせてあげる……♪ そうだね、どこがいいかな……?」
 すべすべの白手袋で俺をこねくり回しながら、うーんと思案顔を作る。
 そして、フッと微笑むと。
「ボクのでっかいおっぱい、たんと味合うがいいよ♡」
 俺を、その凶暴な乳の中にねじ込んだのだ。

 ぎゅっと小人を押し付けられ、一瞬ムニッとたわんだ谷間。サヤの巨乳はドレスでキュッと締まり、容易には異物を受け入れない。凹みを作って主人と小人の侵入に争い、それから、ツプッと、俺の足先だけを受け入れた。
 その瞬間の、震えるほどの感触。
 少女の巨乳に挟まれ、エロティックな底なし沼に足を突っ込んだ気分だった。全身サキュバスなサヤのバストだ。多幸感は足から脳天へ一気に駆け巡った。
 しかし同時に感じたのは、凶悪なまでの締め付け。
 ウエディングドレスで締め付けられた乳房は、その張りをいかんなく発揮していた。若々しい弾力は、まるで限界まで詰めた水風船。マシュマロみたいな柔らかおっぱいも、今じゃパンパンにミチミチに張り詰めている。
 そんなデカ乳の間にねじ込まれたのだ。肉の壁はもはや圧搾機のようだった。
 乳白色の、透け感ある肌。それが、パンパンに弾力ある壁となって俺を挟んだ。式を終え、汗とフェロモンをむんわり漂わす肌。しっとりと湿った少女の気体に包まれて、けれどその圧力は凶悪だった。寄せ付けられたバストが、こんなに窮屈でパツパツになっていたなんて。そんな息苦しさを感じながら、乳圧の中で俺が潰れる感触を、幾度となく妄想したに違いない。ムワッと上る蒸気は、狂愛を込めて俺を抱き込んだ。みっちり詰まった乳腺や乳肉は、我先にと俺に殺到する。そして哀れな花婿を、その色香の犠牲にするのだ。

 締め付けられたおっぱいの柔らかさも、この矮躯ではシリコンの塊と遜色ない。強靭な乳肉に、俺は徐々に体を包まれていった。巨大な球の密着面、その内部に真空パックのように閉じ込められ、乳圧は血流さえ滞るほど。それでも、若く瑞々しい肌はしっとりと情感に富み、エロスは足を弄り脚を舐め回す。膨大な圧力と繊細な女体美の板挟みで、俺はどうかなりそうだった。
 どんどん体を飲み込んでいく、淫魔の乳肉。女性の力強さを誇示しては、俺を嘲笑った。俺の角ばり惨めな体を、ムニムニで真っ白な肌の割れ目が取り込んでいく。強引に谷間に押し込まれ、下半身はもはやシリコン型で固められたようだ。そんな牢獄に上半身が追随していく。
 俺は丸太のようなサヤの指にすがって助けを乞うた。何度助けてくれと叫んだかわからない。しかしはるか高みからは、空のように巨大な美少女の悩ましくニマついた顔。顔だけになっても俺は絶叫をやめない。そして滲んだ涙が乳肌に拭われたと思うと、男の声はもう聞こえなかった。

「入ったぁ……♪ ボクのおっぱいに、入っちゃってるんだ……。それだけでゾクゾクしちゃうね♡ 僕よりずっと強かったキミも、もうボクのおっぱいに捕まったら出られない♪ ふふっ、ペンダントだってひしゃげちゃうボクの乳圧、たっぷりと楽しむといいよ♪」
 楽しげな声とともにゆさゆさ揺れる少女の爆乳。ヤンデレミルクさえ波打つほどの乳揺れに、俺は苦悶の声もあげられない。乳房を叩く巨娘の鼓動に、乳の隅々まで駆け巡る血管の音、その全てが俺の中に流れ込んでくるのだ。俺など乳に挟まれた粘土も同然。ただひたすら乳の一部にされて、有るか無きかの意識は、乳圧と猛烈な蒸れの猛威に曝されていた。
 肌を溶かす、熱く甘い媚薬の汗。水を弾くゆで卵のような肌は、真一文字になるほどくっ付き合う。そしてそんな全てが、たまらなく俺を興奮させたのだ。だって、サヤの乳は見るだけで劣情を催すような極上のおっぱい。その中、クスクス笑うサヤの声にビリリッと股間は弄られ、いきり勃つペニスはおっぱい肌に痛いほど押し付けられて。平気でいられる方がどうかしていた。
 異常な状態の中、混乱した脳に直接流れ込むサヤの笑いと乳と鼓動と呼吸。100倍少女と化したサヤのバストは、20メートルもの乳袋となって俺にのしかかる。

 そして、"ずににっ……"と不穏な音を立て肌同士が擦れあったと思えば……!
「このまま挟んで、キミを最っ高に気持ちよくしてあげるよ♪ 天国に行くくらい、ボクのおっぱいの味を叩き込んであげるんだ……♡」
 突如自身の巨乳を鷲掴みにし、少しずつ、少しずつ力を加えていったのだ。
 俺を中心に円を描くように、パツパツのバストを擦り合わせるサヤ。そうすれば、ただでさえ弾け飛びそうな乳圧は、さらに過酷なものになっていく。
 ヌチヌチと、花嫁の汗は俺をびしょ濡れにした。
 ズリズリと、花嫁の乳は俺をもみくちゃにした。
 それはまるでエッチなプレス機だ。全身はおろか、内腿から耳、指の隙間に至るまでを舐め尽くす極上の肌。超体格差なパイずりの音は、直接鼓膜に響きわたり、そして、聞いたこともない骨の軋む音が混じり始める。もはや、苦痛など感じることもない。とうに限界を飛び越えていた乳圧に鼻もペニスもねじ曲がり、ただひたすらサヤのおっぱい、おっぱい、おっぱい……。

 だのにそれが、同時にどうしようもなく気持ちいいのだ。

 サヤが細工したに違いなかった。惨めにも嫁の巨乳でクラッシュされようというまさにその時、俺は生と引き換えに特上の性を与えられようとしていたのだ。サヤのおっぱい牢獄から、もはや生きて帰れるはずもない。そうなれば、一切の苦痛は快感となって押し寄せた。ひどいことをされればされるほど気持ちいいのだ。少女の谷間で、プチトマトのように潰されようとしているのに、その惨めさが股間を直接締め付けた。
「あはははっ!! もがくこともできないのかい? この、チビ虫♪ キミの体がギチギチ言ってるの感じるよ。苦しいかい? 気持ちいいかい? 女の子のおっぱいだけでキミなんかぺしゃんこにできるんだ! ボクのでっかいおっぱいで、キミなんか粉々♪ いいの? キミはこれからボクのおっぱいで潰されちゃうんだよ? おっぱいなんかで殺されちゃうんだよ? どうだい? 惨め? 怖い? 恥ずかしい? なのに気持ちよくて、キミは今頃きっと大混乱なはず♪ そうさ、キミは潰される度とびっきりの絶頂で死んじゃうんだ♪ どんどんボクのエッチで死んじゃって、その度生き帰らされて、クセになるまで、何度も、何度も……♡」
 うっとり湿った吐息を漏らしながら、これからの日々に思いを馳せ濡れてしまうサヤ。抑えきれない興奮で思わずジワっと汗ばむと、毛細管現象で一瞬のうちに汗は広がった。そうすれば、ぺったんこにされた俺にヤンデレサキュバスの媚薬が襲いかかるのだ。
 ハリあるおっぱいで、俺は骨格さえ歪むほどにプレスされていた。乳白色の肉壁に、虚しく股間をすり寄せようとしながら快感に喘ぐ。まるで寸止め地獄のような快楽だった。何人もの女体に包まれながら、肌の奥まで女の媚薬を練り込まれ、ひたすら亀頭を攻められる。乳圧が増せば増すほど、サヤの嘲笑も吐息も甘い喘ぎも大きくなった。

 そして、それが最高潮に達した瞬間。
「ボクのでっかいおっぱいで、つぶれちゃえ♡♡」
 ギュッ、と。
 己の乳を押し付けたのだ。

 プチッと、小気味良い音が響く。

 それは、極彩色の快感だった。
 巨大娘のパイずりに圧死して、清純なウェディングドレスの中に真っ赤な花を咲かせたのだ。
 平たくなるほどせめぎあった巨乳が二つ。その猛烈な圧力で、俺がいた場所になだれ込んだ。そしてサヤのおっぱいが全神経を撫で回し、細胞の隅々まで舐め回し、愛おしげにサヤの汗が俺と混ざり合い。その魔力で俺の隅々を咀嚼した。

 その瞬間、完全に俺は正気を失ったのだと思う。
 イった、と思った瞬間には俺はサヤのおっぱいと同化していた。"えいっ!"と可愛らしい声とともに乳を寄せられ、破裂し、巨乳で圧死し、ペニスがわりにされた俺の体は全身で射精した。

そして気づけば、さっきまでの世界は何処へやら消え去っていた。
 元の体で、ウェディングドレスの腹の上に倒れていたのだ。
 
「……え?」
 呆然と見上げたのは、恍惚として快感に震える花嫁姿だった。
 純白のドレスには一点の曇りもない。
 
「……ふぅ。ずっとやってみたかったんだ。病みつきになりそうだよ♪」
 余韻を冷ます吐息が、お腹の上にいる俺を揺らした。ふぅっと、少女が甘い甘い吐息を漏らす。俺の髪を揺らし、大気を揺らし、乱れたドレスをわずかに揺らす。
 そして、俺を一気に酔いから覚ました。

「あ、え、し、しん……」

 死んだ?
 殺された?
 サヤに? おっぱいで? 潰されて?
 でも、じゃあ。
 なんで俺は生きてるんだ……?

「……ん? どうしたんだい? まさか、死んだだけでボクと離れられると思ったのかな? 喜びの時も悲しみの時も、さ♪ ボクが愛しきるまでキミは死ねない。ううん、魂を結わえたんだから、死んでもボクらは一緒だね♪」
 ニコッと、それはそれは可憐な笑み。
 しかしそれは、戦慄さえ誘う絶望の火種だった。
「そんな、いや、違う、俺は、俺は……」
 いつか、別れればいい。証拠を集め、警察へ。そう思っていた。
 そんなこと、不可能だ。このケッコンが、取り返しもつかないことだと悟ってしまった。

「あ、あ、ああああ!!」
 先ほどの逃走とは違う、それは絶望に満ちた遁走だった。コルセットを巻かれたお腹の上を走り、白波のようなレースの上を転がり落ち、どこに続くかもわからない白い道を、ただ理性のない頭で走り続けたのだ。
 肌色の領域を走り抜け、両端の断崖絶壁に震え、とにかく先へ、先へ、先へ……。
 そしてたどり着いたのが、可愛らしい少女の足先だったと気づいた時。
 俺はやっと、花嫁の上を走っていただけだと気づいた。
「大丈夫、そんなに急がなくてもこの体は毎日探検させてあげるさ♪ それとも、このドレス姿が良かったのかな? ボクを見くびらないでよ、キミの願いだったらなんだってきいてあげる。何度だって着てあげるさ! この体はキミだけの遊園地。一生老いない体でキミを愛してあげるんだ♪」
 "本当だよ?"と笑いながら、長い脚の一本道の先、そびえる少女は笑った。ドレスを山なりに広げ、白い城塞に似たその巨体は、けれど、この足元まで全てひとりの少女だ。
「あはっ♪ 足の先にいるといよいよ小さく見えるね。ボクの親指とどっちが大きいかな? キミのために一生懸命綺麗にしたんだ。これからはずっとキミのものさ。そして、キミはボクの足のもの……♪」
 足を伸ばし、甲に乗せた俺を揺らしてみせる。慌てて靴下にしがみつく俺を、キャハハとサヤは笑った。こんなに小さくなっても、俺を知り尽くしたサヤの目からは逃れられない。狼狽も恐怖も、全て掌握され支配されていた。

 しかし、自身の足がどれほど俺を魅了したかは、どうも理解していないらしい。
 俺が張り付く足先、それはまさに理想的な造形だった。
 ガーターベルトと白いサイハイソックス、そのすべすべの表面は磨かれた陶磁器のよう。その輪郭が、美脚の曲線美を浮かび上がらせる。むっちりとした太ももから細い足首まで、その造形はまるで彫刻のように絶品だ。そして、足を包むなめらかな起伏と、すべらかな感触。白百合のようにほっそり柔らかい足にしがみつきつつ、密やかな体温に息を飲む。そして不意にペニスが生地に触れると、取り憑かれるほど強烈な感触に、ゾクゾクっと肌を粟立てたのだ。
「いくらでも触っていいんだ。何度だって汚させてあげる。そして、汚しあって、愛し合って、一生キミはボクの足に飼われちゃう♪ そう、今日からボクの足はキミのご主人様さ。キミは女の子の足のちっちゃな下僕だ……♪」
 優雅に足先を揺らしながら、足に張り付く小虫をサヤは嗤う。男を愛しすぎておかしくなった少女は、俺を全身の下僕にし、飼い殺そうと言うのだ。
「ふふっ、毎晩キミはでっかいボクの素足に襲われるんだ。足指でクリクリしごかれて、足指を涙で濡らしながらイっちゃうのさ。キュッと足指で潰してあげて、時にはアクセサリーがわりに足首に縛り付けてあげるのもいいね♪ 靴下に閉じ込めて、靴のベッドで寝て、足でご飯を食べさせられる。どうだい? 素敵だろう?」
 クスクス笑いながら、サヤは楽しげに未来を語る。俺専用の煉獄となった少女が、爛れた色の新婚生活を描くのだ。

「あははっ! 怖いのかい? 毎日毎日ボクと遊べるのに? 死ぬほど気持ちよくされて、死ぬほど惨めにされて、それのどこが不満なんだい? おっぱいから血の一滴まで、この体は全部全部キミのもの。それって幸せだろう? ふふっ、ボクの足の上で暴れたって逃げ場なんかないよ♪」
 雪原に似た丘陵の上、必死に俺は悪魔の足先から逃げようとしていた。
 が、指輪のようにつま先に乗せられ、退路はどこにもない。女の足に這いつくばる屈辱に頭は割れそうで、だのに、数十階分はあろうという高度に心はねじ伏せられてしまったのだ。いや、サヤのストッキングに指をかませなければ、いますぐにでも俺の体は美脚でスキーをすることになるだろう。そうすれば、待っているのはフワフワのドレススカートと、その中にある淫靡な密室だ。ヤンデレ少女のショーツの中へ滑り込む、これほど危険なことはほかにあるまい。
 そんな葛藤がおかしいのか愉しいのか、サヤは足指を揺らして俺をからかう。ほっそりと、白薔薇の花弁に似た足先は、見るだけなら今にも頬ずりしたくなる美しさ。だが、100倍サイズの花嫁の足に頬ずりしている当の俺からすれば、それは巨大なシロイルカに乗せられているも同然だった。学校のプールでさえそのヒールの容積には敵わない。そんなバカでかい少女の足なのだ。それが絹を引っ張りきしませつつ、足指を揺すりうごかす。
「ひっ!? お、落ちる……!」
 荒波のようなシルクの蠢き。サヤがキュッと足指を握った瞬間、俺の体はみるみるつま先の方へ転げ落ちていった。
 そして必死にしがみついた美少女の足先、ストッキングに着いた糸くずのようにぶら下がってしまったのだ。
 そんな男、可笑しくないわけがない。
「キャハハッ! ダメじゃないかちゃんと捕まってなきゃ! 女の子のつま先から落ちて死んじゃうなんて惨めだろう? それに、そっちにあるのはボクのハイヒール。女の子のずっと履いてたヒールに落ちちゃうよ? それとも、そこに住みたいのかな? じゃあ……」
 踏まれちゃえよ。
 そしてピンと指先を弾けば。
 あっけなく俺はヒールの中へと落下した。

 尾を引く長い男の絶叫。
 美少女の足指から落ちた豆は、吸い込まれるように白い巨靴へと墜落していく。
「ぐっ……!」
 暗くなる視界。
 一瞬で周囲は蒸し暑くなり。
 鈍い衝突音が響いた。
 あとは、女の足の形をした急斜面を転がり落ちるだけ。そして最奥の暗室にぶつかった時、全身に痺れる打撲の痛みは、交通事故に勝るとも劣らないほどだった。
 かろうじて助かったのは、数万トンに及ぶ花嫁の足を受け止めるインソールのおかげ。すでに一日虐げられたそのクッションは、サヤの足の形にたわんでいた。
 しかし、いつまでも靴の空洞で呻いている場合ではない。
 すぐさま俺は立ち上がり、女性用ヒールの靴底をのぼり始めた。20度は越えようかという勾配に、もう立っていることもできず俺はインソールを這いつくばるほかない。美少女に一日履き潰され生まれた、生々しい温度と残香が、列車一両分はあろうかという空間に溜まっている。真っ白なヒールは、美足に潰され汗と幸福を塗りこまれ少しくすんでいた。周囲を見回して眼に映る、裏地の端や靴底との境目、デカデカと書かれた24.5cmという文字列が、俺の心を苛んだ。

 それでも魔女の靴から逃げ出そうとした小人を、石膏彫刻のように美しい足先が出迎えたのだ。
「ふふっ、花嫁になった美少女の足と靴、体中で堪能するといいよ♪」
 そして、無造作に足を突っ込んだのだ。
 妖しく足指を波打たせながら、家一軒さえ踏み潰せる足が突進してくる。肌の透けるほどピチピチにストッキングをまとった巨大な塊が、猛烈なスピードで斜面を駆け下りてくるのだ。
 正面から美足に見つめられて、哀れな小虫が動けるはずもない。世界最大の生き物ですらその巨体には及ばないのだ。白無垢の美しさはあまりに巨きな迫力を持ち、ギチギチとエナメル生地を軋ませ滑り落ちた。グラウンドのように大きな室内を狭そうに押し広げ、くねりながら落ちてくる少女の足。その姿はまるで大雪崩だ。
 その先に、小指にも負けるほど小さな男が立っていた。

 スッと、少女がヒールに足を通す、わずか数秒。
 一瞬のうちにサヤの足は視界で膨らみ、一挙に俺に襲いかかった。
 暗くなり、見えない視野の向こうから吹き付ける生暖かい風、轟く音。
 それが目と鼻の先まで近づいてきたと思った瞬間、俺はヒールの先まで突き飛ばされていた。
 そしてのしかかるのは、もう何億トンあるかもわからないほどぎっちり詰まった少女の足だ。気高くすべらかな繊維はビロードのようで、しかし白熱するようにその温度は高い。ワッと蒸し暑さを醸し出せば、少女の媚香が足と靴の隙間を埋める。
 くゆる湯気の底、親指と人指し指の間に挟まれて、俺の下ラダなど踏まれた米粒も同然だ。美しくデザインされたガスタンクのような白い指二つ、その間に食い込んで、もう身動き一つとれはしなかった。
 叫び声は眼前の白壁に反射され、靴の外へ出ることもない。

 それほどみっちりと充填されたつま先。
 その表面に撫でられ、香りに愛でられ、徐々に徐々に巨獣は俺に擦り寄ってくる。
 まるで、美味しそうなものを見たように。
「……っ、靴の中、入ってる……! ボクの靴の中に入っちゃった! あはっ! すごいよ、こんなにゴミみたいに小さいのに存在を感じられる! これだね、これがキミだね? ふふっ、ゴミ虫♪ それでも抵抗のつもりかい? ちっちゃくて矮小で、女の子の足指の間にも入れちゃうなんてゴキブリ以下♪ でもなんでかな、それが、すごくすごく、疼いちゃうんだ……♡」
 そんな想いとともにモジモジと身を揺すれば、サヤは少し、ほんの少しヒールの先を揺らし始める。

 それは、足指による騎乗位だった。
 俺への愛に突き動かされ、体格差も忘れ俺の体を揉みしだく、ヤンデレ巨女の足コキが始まったのだ。
 純白のストッキングが足先で俺を撫で回す。腰元からガーターベルトで吊るされて、その生地は肌にぴっちりだ。足指の淫靡な起伏を浮かび上がらせ、数百トンはあろうかといいう足の女体が俺にまたがった。
 ずっしり重くも柔らかな女の子の足指。見るだけで惚れ惚れする花嫁の足指。
 それが、柔らかさ暖かさで俺を包み込んだ。
 そして、クリッと。
 コリコリっと。
 ついにその巨体を揺らし始めたのだ。

 外からは、ヒールのエナメルが少し波打つ程度の動き。
 そんな天変地異が、俺の体という一点をめがけて押し寄せた。
 柔軟なタイツ生地には繊維の奥までサヤの香りが染みついている。そんなエロティックな布でしごきあげられるのだから堪らない。柔軟に伸び縮みする白ニーソは、清純なオナシートと化して俺の陰部を包みこすった。重さだけで布と肉の中にめり込んでしまう体格差。そこに発情した意思が加わり俺を蹂躙する。
 堪らず俺は肉壁を叩いた。こんな巨大なタイツで、足指で、コキ回されれば俺は潰れてしまうかもしれない。すでに一度俺を潰した女。その時の恐怖と未知の快楽に本能が叫ぶ。まして、女のヒール、小さなヒールの先端でいじくり回されるなんて。だれも靴に入り込んだ米粒の気持ちなど知りはするまい。その想像を絶する惨めさと、それでも強引にねじこまれる快感に、自分が壊されてしまう恐怖さえ感じていた。
 それでも、残酷に体は感じてしまうのだ。
 考えても見ればいい。
 世にも美しい花嫁だ。まるで絵から飛び出てきたとびきりの少女が、花嫁姿で足をペニスに擦り付ける。亀頭から、皮の隙間、カリの溝にまで繊維と指紋を絡ませ擦り上げてくる絶妙な足技。その上、周囲には濃密なフェロモンと汗、少女の笑声。特製のアロマで口を塞がれ、誰も知らないような密着感と重量感足指に挟み込まれる。歪に過ぎる騎乗位で、ペニスを上下にこすり合わされ、絡んできた汗と精液を混ぜ合わせ、少しずつ、少しずつ攻め立てられ……。
 それが、気持ちよくないわけがなかった。

 早く、逃げなければ。
 理性があるうちに逃げなければ、どうかなるのは必至だった。こんな閉塞感に満ちた場所で、惨めさ虚しさを香りと快感でごまかされつつ拷問されているのだ。そのまま何度も何度もイかされれば、きっと俺はこの物言わず発情する足指に狂ってしまうに違いない。部屋一つ程度余裕で挟み潰せる巨大な肉の塊に、これ以上馬乗りにされるわけにはいかなかった。

 俺は泣き叫んでストッキングの足先を叩いた。しかし、たしたしと繊維を揺らすばかりでなんの意味もない。その動作を笑って、余計に陰茎を弄られる始末だった。
「あはっ♪ ヒールの中に履かれちゃって、ボクの足指を一生懸命叩いてる♡ かわいい、すごくかわいいよ♡ 怪物みたいなボクの足指に怖がって、泣きながら戦って、でもエッチなモンスターにイかされちゃうんだ♡  ボクのつま先なのに♡ 100倍になったボクの足は気持ちいいだろう? ストッキングの繊維でビクビクしちゃうだろう? あはっ、またイっちゃった♪ あれ、……もしかして、自分から腰を振ってるのかい?」
 長時間の格闘。囃し立てる花嫁の声。無我夢中で抵抗しているうち、全身を使った運動は、少しずつ少しずつその色を変えていった。身を乗り出して、自分にのしかかる足指に抗っていたはず。なのに、今では身を乗り出して足指の谷間に腰を擦り付けていたのだ。
「……ぷっ、きゃははははっ!! もう堕ちちゃったのかい? 靴の中で踏まれただけで? このマゾ虫♡ 哀れすぎて同情しちゃうよ!」
 違う。いや、違うはずだった。
 しかし、ハイヒールの中はみっちりとサヤの足で埋まっていて、酸素はストッキングでドリップされたわずかな空気だけ。発情した女の肌から立ち上る、濃厚なフェロモンと靴の香り、タイツの香り、そのどれもが、気の狂いそうな暗室の中、俺の思考を蝕んで行った。
 そして、酸欠のあまり死を意識した時。
 思わず俺は、目の前にある女体に性を打ち付けたのだ。
 それは、泣きながらする、足相手のオナニーだった。本来人生で最も輝かしく愛に満ちた結婚初夜に、俺は、花嫁にしてしまった女の靴の中で泣いて股を擦り寄せている。それを薄々どこかでわかっていながら、それでも、この極限状態の中で体は残酷に俺を裏切っていた。

 そして、まさに果てようとした、その瞬間。
「気持ち悪いよ♡」
 キュッと握りしめた足指の中で、またしても、俺は花火のように弾けてしまったのだ。


§
「おはよう、いい朝だね? ふふっ、嘘だけど♪」
 蘇生した俺を靴から取り出し、サヤは嬉しそうに囁いた。
 白い手袋の上、手の平に乗せられて、逃げ場はない。
「ボクの足、気持ちよかったかい? おっぱいで潰されて、足指でオナニーしながら潰されて、虫だってこんな辱めはごめんだよ♪」
 眼前にある大パノラマの美貌、そこでキラキラ光る宝石のような瞳には、震える俺が写っていた。瞳孔はまっすぐ俺を射し、その巨大さだけで畏怖するには十分だ。相手は本来、花嫁であるはずなのに。
 そんな俺を、もう片手の人差し指がウリウリとつつきまわす。
「胸におっぱい……。そうだね、次は指なんてどうかな? ウェディング衣装の長手袋、こんな高級シルクで編んだ手袋なら、きっと極上の快感でイけちゃうよ? あはっ♪ でもその瞬間潰しちゃうけど♪ そうすればもっと気持ちよくなれるって、キミも気づいちゃったみたいだしね?」
 白手袋の指と手のひらが、俺をサンドしてねじり回す。もう、指だって丸めた布団より大きいのだ。そんな細指が、意思を持って器用に俺を撫でこする。指コキなどされたなら、いよいよ俺はどうかなってしまうだろう。

「それとも、今度はコルセットの中にしまっちゃおっかな? お腹でプレスするんだ♪ 食べちゃうのもいいね。髪の中に埋もれて、ふわっふわの感触に包まれたままボクの頭の重さで潰れちゃうのなんかも、……って、だ、ダメじゃないか!」
 指を退け、少女が俺の恐怖を味わおうとした途端。
 小人はクモのようにその手から逃げ出した。
 逃げても無駄だとはわかっていた。しかし、本能がそうせざるをえなかったのだ。
 なるほど、上質なシルクはこの世のものとは思えない滑らかさで俺をヤンデレ娘から逃れさせ、スカートのフリル地獄へと俺をかくまった。
「きゃっ!? こ、こら! ダメだよそんなとこ行っちゃ!」
 膨大な量のフリルは、パニエでさらに嵩を増し、モコモコと膨らんでいた。直径100メートルにも思えるそれは、まるで雪山のようだ。そんな中をすり抜ければ、薄暗いスカートの森。そして見えたのは、ぺたんと女の子座りで鎮座する、少女のぶっとい脚が二つ。

「どこに行ったんだい? まさか、また逃げようっていうんじゃないだろうね? む、ちっちゃすぎて見つからないな……」
 手から滑り落ちた俺を探し、四つん這いになるサヤ。しかし、ドレスの膨大な布は視界を阻み、コーヒー豆のような小人など見つかりようもない。

 そして求める当の花婿を、真っ白な膝で無意識に爆撃していたのだ。

 ペタペタとベッドを這う少女。
 その脚の間、フリルスカートの帳の中で、俺はバウンドするマットの上を転げ回っていた。左右には絶えず振り下ろされるストッキングの脚。膝が脛が地面に沈み込めば周り一帯を巻き込み谷を作り、急傾斜でもって俺を手繰り寄せる。
 しかし、太さだけでバスを載せられるようなでっかい脚だ。近寄るだけで轢き潰されるのは間違いなく、俺はサヤの名を呼び逃げ惑っていた。悲しいかな、恐怖の的たるヤンデレ娘を呼ばなければ、生存も許されない存在になっていた。無論、こんな虫の声などサヤに届くはずもない。そして、絶えず繰り出される膝の歩みに翻弄され、涙声になりながら脚の主に助けを乞うた。

 しかし、返ってきたのはサヤではなかった。
 頭上、顔を現したのは白い満月に似た何か。
 それは、俺めがけて急降下するむちむちの巨尻。一度手を止め、腰を下ろしたサヤの尻だった。巨大な臀部は、ガーターベルトを張り詰めさせ、パンツを限界まで貼り付けている。谷間に食い込んでショーツがほとんど見えないほどに、その尻肉はたっぷりとデカい。くびれから広がる重量感はまるで洋梨かチェロのよう。
 そんな大迫力のヒップが、天空の月となって空を覆うや否や、天体のように落下してきたのだ。
 100倍のでっかい尻に見下ろされ、俺はシーツの海を走り出す。巨体に乱されシーツはグシャグシャだ。そんな山や谷の間で絶望する須臾の間に、サヤの臀部は遠近感を突き抜け飛び降りてきた。

 特大の豊臀が空を踏み割る。
 暴風が起き、体温が肌に降り落ちたと見るや……!

「おかしいな」
 捜索の手を止め、サヤが尻をドスンと落とし女の子座りを作る。
 そんな、さりげなく軽い所作。
 それだけで、巨体はベッドマットを大きく揺らしたのだ。
 一度、二度、バウンドする体。
 そして、ぶるりと揺れる、尻という鈍器。
 小人がいたはずの空間には、とんでもないスケールの巨尻が鎮座していた。
「ふう。やっぱりウェディングドレスは動きにくいね。女の子の服は不便でいっぱいだよ。……て、あれ?」
 キョロキョロと見回す少女。
 そのどっしりした尻で、恋人を叩き割ったことも知らずに。

 俺はサヤのケツの下、数億トンにも及ぶ巨尻で踏み潰されていた。むっちりした脂肪とミチミチの谷間に助けられ、かろうじて死んではいない。
 しかし、それだけだった。
 メス肉の隙間はまるで圧搾機、若い肌は互いにとんでもない肉圧でせめぎ合い、無限の球体の接点に俺はいた。巨人用の特大ショーツだって、Tバック同然になるほどのデカ尻だ。その数万分の一の重さもない俺の体など、ホクロ以下。華奢な娘、片手で持ち上げられるような少女の隠していた肉鈍器に、直接踏まれ、挟まれ、殺される。今の俺は、貞淑なドレスの秘めた重量感で潰されていた。
 ずっしりという形容をはるかに上回る重い尻。キュッと間に挟まれ、尻にひかれた消しゴムにでもなった気分だった。
 しかし、そんな思考も踏み潰される。
 一万枚の濡れ布団に潰されたが如く、俺の体は悲鳴をあげていた。ムニッとした尻肉は、皮下脂肪をたっぷり蓄え特上の寝袋、だが、上からのしかかる100倍娘の上半身は間接的な重みでさえ骨を押しつぶすのに十分だった。加えて、座り押し潰された尻に左右から潰され、棒状になるまで俺はメス尻に包まれる。
 生まれたのは圧倒的恐怖。それは、指先さえ動かせずただ声で汗ばんだ尻の皮膚を震わすことしかできない、究極の閉塞感だった。真空パックに匹敵する尻プレスによって、ギチギチと体が歪んでいく。サヤの尻の形に変えられていくのだ。毛穴の形さえ写し取ってしまうほどの重圧に、覚えるのは絶望と恐怖、そして、倒錯的な被虐趣味だ。ギッチギチに脂肪を蓄えた尻に全身くまなく舐めまわされ、尻汗を塗りたくられ、無意識に踏まれて死にかける。
 そしてその先にあるのが、重圧からの解放と、あの多幸感なら。
 俺は思わず、期待の声を上げざるをえなかった。

「……ん?」
 そんな、調教された夫の声に、サヤが身を揺らす。
 敏感な娘の肌が、尻の底の、かすかな異物感に気づいたのだ。
 グリッと、尻をひねる。
 その瞬間。
 プチリと潰した夫の感触に、思わず少女は官能のこえをあげる。

 破砕した俺が、サヤの尻の間で飛び散る様は、どれほど、どれほど憐れなものだったか。
 俺が知ることはなかった。


§
 縮めすぎた俺を、サヤは赤ん坊程度には戻してくれた。
 そして、ビクビクとひれ伏し痙攣する男の姿を、うっとりと眺めていたのだ。

 紅潮した頰を緩め、満足げな吐息を漏らす。
 それから、いつもの不遜な笑みを取り戻すと。
「ああごめん。小さすぎて見えなかったから、つい踏み潰しちゃったよ。ボクのお尻、重かったかい? ふふ、キミがおっきいお尻が好きだって、知らないボクじゃないよ♪」
 ニマニマと、たった今尻で圧殺した花婿の性癖を笑い飛ばした。
 いや、ちがう。
 魔女は、俺の本心を見抜いていたのだ。たった今自分を轢き殺した尻を思うだけで、とてつもない高揚を禁じえない。
 魂に刻まれてしまった、あの尻の重み、弾力、いやらしさ。
 それとともに訪れた射精には、すでに中毒になるに十分過ぎる快楽があった。
「あはっ♡ 随分おねだりさんな顔になったね。キミはボクのモノにされたくて仕方ない、そうだろう? もうmボクの体が欲しくて欲しくてたまらないんだろう? ボクと結婚して、夫になって、ペットになって、オモチャになって、毎日毎日プチプチ潰されながらボクのエッチに巻き込まれたいんだ。キミの心は、もうボクから逃げられない♪」
 そして、言ってごらん、とサヤは囁く。
「ボクのペットにおなりよ。今なら所有してあげる。何度も何度も愛して潰してボクの体全部をキミに教えてあげる。ボクのお尻も足も口もおっぱいも、背筋や首筋の気持ち良さ、三つ編みの香りに太ももの太さ、内臓の居心地だって全部教えてあげるんだ♪ 毎日毎日キミはボクの中で泣き叫んで、でもそれがたまらなく嬉しくなる。ボクのお尻を見るだけで張り付いてエッチしたくなる。ボクのおっぱいを見ただけで潜り込んで潰してって頼むようになる。そして未来永劫、ボクのエッチで死んじゃうんだ♪」
 そしてクスクス笑うと、一言。
「その命ある限り、ボクに服従することを誓うかい?」
 俺に宣誓を促したのだ。
 一も二もなかった。
「……誓う。誓います。お願いします、俺を、俺をサヤのものにしてくれ……!」
 それがどれほど俺の意志かなんて、わかりっこない。
 それ以外、俺には何の言葉も残っていなかったのだ。

 ニッコリと、とびきりの笑みで少女はそれに答えた。
 そして、じゃあ、と続けると。
「キスしろよ」
 俺に向けて、足を突き出したのだ。
「キスしなよ、その口で。ボクの足に忠誠を誓って、これから一生ボクのものになるって言うんだ。あはっ♪ それとももう少しいじめてあげよっかな? もう心も何も粉々になるまで足でイかしちゃうんだ♪ これからずっとヒールの中に閉じ込めて、夜も朝もボクと一緒さ。それもいいね。あとは……」
 鼻歌交じりでさえずる少女。
 そこに浮かべるのは地獄のような日々と、その恐怖だ。
 しかし、今すぐにでもその足に口付けしたいと思ったのは、恐怖からじゃなかった。
 目前で小さな足を揺らされて、お預けを食らったようにさえ思ったのだ。
 催眠術のようにゆっくり揺れる華奢な足は、可憐で、美しい。だのにさっき見た凄惨淫靡な光景は、しっかりその足指の間に残っているのだ。クラクラするような情景と、爆発的な快感の坩堝、それらが揺れて、無意識の底をくすぐった。
「靴下の中に入れて、一日中履き回してあげるよ。インソール代わりにしてあげてもいい。それと、ん? ……あはっ♪」
 男を前に脚を組んだまま唄うサヤは、唐突に言葉を止めた。そして、ニマッと笑んだのだ。
 その足にへばりつくのは、醜い全裸を晒しながら女を乞う、元花婿の姿だった。無意識にその足に臣従を誓い、当人でさえ気づかぬうちに足の甲へ口付けしていたのだ。自発的な思考など不可能だった。ただ、無意識の底に刻まれた快感を、前世の記憶を掘り返し、今や絶対的な魔女としてその美しさに従っていた。

 花嫁は、白無垢をそのまま淫乱な女王のドレスに変えてしまった。
 そして、従順な下僕に快哉を叫んだのだ。
「ああっ、やっと分かってくれたんだね! ふふっ、いい子になってくれてボクは嬉しいよ♪」
 そういって大きく腕を広げると、花嫁は思いっきり俺に抱きついた。体格差三倍の少女の中へと、体の押しつぶされていく感覚が俺を襲う。ウェディングドレスの中に埋まり、コルセットで引き締められたお腹、そして胸へと沈み込むのだ。
 それは、たまらない感触だった。
 だって、サヤはとびきりの恵体を備えた美少女だ。
 腕を回せばくびれのセクシーさが男を酔わせ、豊満な胸は見るものの心をとろめかす。
 それに真正面から抱きつかれるのだ。慈母のようなサヤとの体格差は、無常の喜びを生んだ。パリッと引き締められたドレスの胸元から、乳房の肌は溢れ出て、俺の鼻から上を包み込む。そして、華やかに立ち上る若い娘の甘い香り。男に発情した、メスの醸すフェロモン香だった。

「ああっ、このまま抱き潰したい! ボクのおっぱいで窒息してもがいてるんだもの、愛しくてしょうがないよ♪ でっかいおっぱいで潰される、本望だろう? キミにとっては自分より重いおっぱいだ。汗ばんだ谷間でボクの一番濃い香りを嗅がせてあげるよ。そしてボクの香りで窒息しながら、女の子の腕でへし折られるんだ。最っ高に情けない死に方だね♪ そしたら、あの気持ち良さが待ってるよ? 欲しい? 欲しいかい? そう♪ でもあげない♪ これから、いっちばんエッチな初夜をキミにあげるんだ♡」

 晴れて自分のモノに堕ちた男の背を、艶めかしくサヤは撫で回した。愛おしげに、内臓の底まで愛撫しようとするような手つきで。そして耳を甘噛みし、首筋を舐めあげ、そのいちいちにゾクゾクと堕ちていく俺を堪能するのだ。
 ことに及ぶため、サヤはきついドレスを少しはだけた。そうすれば、はち切れんばかりに詰まっていた乳房は一斉にドレスから溢れ出し、バルンっと震えては蒸れた素肌をさらけ出す。
 スカートを解き、セクシーランジェリーにすら似たブライダルインナーを露わにするサヤ。それは初夜のしとねにふさわしく、スカートを膨らませるパニエの他は、白手袋とガーターストッキングだけを残していた。

 子羊を食らう準備は整った。
 そして、一気に俺をベッドへ押し倒す。
「ふふっ、チビ♡」
 そして俺の上に巨体を落下させた。
「ぐぅ……っ!」
「あははっ、もっと蛙みたいな声で喚いてもいいんだよ? ああ、ボクのおっぱいで潰されて声も出ないのかな? 自分の頭よりでっかいおっぱいで潰されて、押しのけても押しのけても蕩けてくる感覚、夢見たいだろう? ふふっ♡ 正面からのしかかられたら、押しのけもできないみたいだね♪」
 乳房から直接聞こえる嘲弄の声は、ビリビリと俺の体を揺さぶった。たっぷり重いデカ乳は、片方だけで大きなペットボトル数十本分はある重量だ。そんなものにのしかかられれば、乳はみっちり顔の上に押し広がり、綿あめのような甘い香りを直接鼻腔の奥まで注ぎ込む。そして、脂肪と乳腺の中タプタプと聞こえる母乳の音。このまま抱きつけば、染み出して来そうな膨大なミルクだ。
「ふふっ、ボクのおっぱいに抱きついても母乳は出ないよ? ちっちゃい体で一生懸命しがみついて、まるで赤ちゃんだ♪ でも下の方は、しっかりボクのメスまんこを欲しがってるみたいだね?」
 膝立ちで俺の上に君臨するサヤ。そして、見せつけるように、ショーツを下ろし。
 ヌルリと。
 濡れた割れ目で、いたずらっぽく俺のペニスをなぞりあげるのだ。伴侶をいたぶって蕩けた縦スジは、俺の裏筋から亀頭までを一気になめあげる。そうすれば、震える腰は嫌でもヤンデレ娘の膣を乞い、体格差で届かない性器を求め浮いてしまう。

「そんなに欲しいのかい? さっきはあんなに嫌がってたのに? ボクに犯されたら、もう一生キミはボク以外ではイけない体になるんだ。毎日毎日犯されないと発狂しちゃう、そんなエロ奴隷にされちゃうんだよ? 赤ちゃんを作ったら一緒にイジメられるかもしれないよ? あはっ、それでも良いんだ♪ キミはすっかりボクの性奴隷♪ もうボクのおまんこが欲しくて欲しくておかしくなっちゃいそうな、性欲まみれのオナペット♪」
 そして、焦らすように俺の亀頭を下のクチビルで撫でこすれば、俺が漏らす淫らな苦悶の呻きをたっぷり楽しむサヤ。
 しかし、それも長くは続かなかった。
 サヤは標的を、ペニスから俺の上半身へと変えたのだ。
 そしてドンと俺の腹に腰を下ろせば、快感は一気に拷問へと変わった。俺は「く」の字にへし折られ、サヤの股間を覆うショーツも同然。大質量の女体に折し曲げられながら、ヌリヌリと全身に愛の蜜を塗りたくられる。上半身を舐め尽くしていく、プニプニまんこのデカさたるや。そしてヘソを、胸を、乳首を首を顔面を、溢れ続ける愛液で汚していった。

「ボクの特製ローションでもうグチャグチャだね♪ ジンジン気持ち良さが伝わって、気が狂いそうかい? きゃははっ! 脚をバタバタさせて、バッタにでもなったつもりかな? ほら、ボクのまんこを舐めなよ。今日からおまんこがキミのご主人さま♡ 丁寧に舐めとって、全部全部飲み干すんだ♪」
 サヤは顔面、口元へと寄せたスジを振って、俺を煽り立てた。その度に変化する、ヌラヌラと濡れたクチビルの光沢。女体の造形美を眼前に突きつけられ、頰には結露するほど濃密な少女の香りが振りまかれた。直接感じるサヤの体温と、淫らな香りが俺を掻き立てる。飼い主に見放され、サヤの後ろでは虚しくペニスがいきり立った。早く欲しい。そればかりが俺の頭を埋め尽くす。そして、その思いに任せ一気に膣へと飛び込んだ。
「……ッ、きゃはははっ♡ そんなに欲しかったのかい? ふふ、啜って舐めて、ナカまで欲しがる始末じゃないか♪ あまりの濃さにむせちゃって、それでも舐めて舐めて舐め回す。まるでウジ虫だね♪ 魔女の媚薬をゴクゴク飲んで、中毒になるのもわからないのかい? 顔を全部スジにめり込ませて、もう髪までビショビショ♪ 手のひらでも覆い尽くせないボクのおまんこ、大好きになっちゃったみたいだね♡」
 下の口から響くサヤの声。子宮で増幅されたその響きに、膣が囃してているような錯覚さえ覚える。それほどに俺は夢中だった。プニプニとした若いまんこは柔らかく、それでいて独特の弾力がある。男の体には未知なその感触、造形に、顔だけで奉仕するのがもったいないくらいだ。
 キュッと締まったクチビルの外を舐める。そして、隙間を、そして内側を舐めれば、尿道に、そして膣口に唇を絡ませるのだ。そのまま虚しく膣に舌を伸ばし、ほんの少し垣間見えるヒダの舌触りと味わいに、歓喜の震えを隠しきれない。その度にビクビクと腰がペニスが震えては、お預けを食らい情けないよだれを垂らすばかりだ。

「ほら、もっと媚びろよ。これがご主人さまだよ? もっと舐めなよ♪ 服従して、殺して殺してって喘ぐんだ♪ あはっ♪ こんなこと言われて悦んじゃうんだ?」
 ガーターベルトをはべらす太ももに、みっちり顔を挟まれる。顔は特上の太ももが、口は極上の膣肉がミチミチ包み込んだ。鼠蹊部のV字の先端に顔を埋め、顔はムッチムチの太ももに溺れる幸せ。性器と両内股が作るエッチな三角形には、汗と愛液がたまって俺の顔を水没させる。
 はるか上空の女王さまと目が合えば、いたずらっぽく舌を出して唾液を垂らし、吐きつけられた。そして太ももと股でヌチヌチ塗りたくり揉み込んで、体液ローションに下僕を漬け込むのだ。
 唾を吐かれ、汗を飲まされ、蜜を舐めさせられる。その潤滑油で股間が前にスライドすれば、俺は完全な顔面騎乗位に埋め尽くされた。3倍少女の股座椅子にされて、深く深く沈み込む、淫らな唇と極太の太もも。そのまま前後に腰を振られれば、生きたまま素股用の突起物にされてしまう。
「あはっ♪ 大陰唇にすっぽりハマっちゃった! キミはボクのおまんこ専用の肉座椅子♪ もう顔も平たくなるぐらい潰されてるのに、弱々しく舌を動かしてるのが泣けちゃうよ! わかるかい? これがキミのご主人さま♪ ボクの全身すべてがキミの飼い主さ♪ 女の子のおまんこにも負けちゃうゴミクズなんてこっちが願い下げだよ♪ それでも飼ってあげる、優しいボクに感謝することだね♪」
 ズシズシと、人の顔面でバウンドするサヤの股。まるで俺をサドルにしたかのように、我が物顔で跳ね回る。そうすれば、俺は膣内にある僅かな空気と気泡を吸うしか呼吸ができない。ねっとり濃厚な女体内部の酸素が、ようやく俺を生かしてくれたのだ。その酸欠が顔を埋め尽くす太ももと女性器の感触を際立たせ、朦朧とした意識の中、肌はどんどん敏感になっていった。
 まるで、サヤの肌となってその快感と溶け合っているみたいな感覚。
 サヤが疼きに震えるたび、容赦ない肉鈍器で俺はまんこに圧死させられるのだ。
 その瞬間吹き出すとんでもない量の精液が虚しくあたりに飛び散る。それでもサヤは猛攻を止めず、蘇生しては射精させ、蘇生しては射精させを繰り返した。


「あーあ、おまんこで死んじゃって、ビクビク失神してる♪ きもちわるっ♡ じゃあそろそろ、ボクも楽しもうかな?」
 ぬとーっと糸を引きながら、やっとサヤが腰を上げる。
 そして、見定めるように股の位置を調節すると……!
「くぅ、ッ〜〜〜〜♡♡♡」
「ぎゃっ!!??」
 "ズドンッ!"と、猛烈な水音を轟かせ一気に腰を振り落としたのだ。
 叩き落とされたドデカ美まんこを、ペニスがニュルニュルニュルッとかき分ける。巨大少女の全力プレスに俺の意識は張り倒され、体は真っ二つに跳ね上がった。
 しかし、そこで終わるサヤではない。
「死んじゃえ♡ 死んじゃえ♡ 死んじゃえ♡」
 ムチンッ、ムチンッと音を立てながら、何度も何度も俺の上をバウンドし始めたのだ。
 一度落下してくるたびに、めちゃくちゃに揺さぶられる視界。そこに映るのは、勢いよく跳ね回るサヤの巨乳と、淫肉に食い尽くされる俺のペニス、そして、恍惚と俺をズコバコ犯す少女の媚貌だけ。撥ね跳び押し飛ばされそうになる俺の小さな手を、白手袋がギュッと包み込む。滑らかなシルクをまとい、火傷するほど熱い少女の体温には劣情が滾っている。手を握り締められ覆い被さって俺をレイプする女に、俺は声すら出すことを許されない。
 ペニスは少女の高い膣内温度に溶け媚肉と混ざり合う。太ももは俺の上半身を固定し、いつしかがっちり抱き込みホールドしていた。俺の胴より太いエッチな美脚に抱きしめられ、もう呼吸すらままならないほどの熱いハグが俺を襲う。

 サヤの巨膣が俺の矮躯を粉砕するたび、バウンドする超重量おっぱいが俺の顔をぶちのめす。その乳ビンタは、幼い少女が飛び降りてくるのと変わらない。ブルンっと空気をかき分け振ってくれば、その重量感と弾力を思いっきり俺に叩き込むのだ。馬鹿みたいに重たいマシュマロのようだった。一瞬顔に吸い付いたと思えば跳ね上がり、反対側から柔らかな打撃が飛んでくる。時に顔を潰しては、サヤの嬌声と喘ぎ、苦しげな息遣いが頰を掠めた。
 おっぱいに打ちのめされ、柔らかさに惚けたと思えば恐怖に襲われる。でっかい女の子の体に下敷きになり、ペニスを食べられたまま、おっぱいビンタに逆レイプ、その繰り返し。
 逃げられない。恐ろしい。気持ちいい。それら全てがないまぜになった瞬間、感情は閾値を超えて混濁し、俺はみっともなく泣き出した。声を出して泣いた。花嫁より小さな体にされレイプ漬けになりながら、ひんひん泣かされてしまったのだ。
 その瞬間、サヤの嘲笑が弾け飛ぶ。
「あはっ♪ ボクのおっぱいがそんなに怖かったのかい? それとも、結婚相手に強姦されて縮められてぐちゃぐちゃにされて、マゾ虫の頭がパーになっちゃったのかな? ふふっ、でもまだまださ。ボクのエッチ、もっと君に教えてあげるよ♪」
 そして、ぎゅうぅっと俺を抱きしめる。
 3倍少女の渾身のハグに締め付けられて、かつてない挿入感が体を貫く。巨乳は俺を谷間に受け入れ、胸底にくっつくほどに抱きとめた。くっ付き合うお腹とお腹。全身が性器な少女に抱かれ、快感を押しとどめられる訳がない。

 その瞬間の、大花火のような快楽に、俺はまたも意識を殴り倒されたのだ。

 ぜいぜいと息を吐くばかりだった。
 こんな体格差でのヤンデレセックスに巻き込まれて、体力の持つはずがない。その上、とんでもないすけべボディに酔わされて、早まる鼓動、続く絶頂が体を思考を蝕んでいく。ただひたすら脳裏を埋めるのは、絶対的服従感と、無窮の快感だけ。
「やっぱり、キミみたいなチビ虫じゃいまいちだね。キミはもう、ボクのでっかい体を満足させることもできない出来損ないのオナペットさ♪ ボクを失望させた罪は大きいよ? だから……、縮んじゃえ!」
 パチン、と、フィンガースナップが小気味良く鳴る。
 続いて漏れるのは、スル、スルと縮む体がシーツを滑る音。朦朧とした小人を、緩慢な縮小が蝕んでいく。
「どこまで縮んじゃうかな? あはっ♪ これからキミにはボクのあそこの中に招待してあげるんだ♪ キミはボク専属の肉ディルド♡ しっかり揉みしだかれるんだね♪」
 俺の上に伸びていく巨影は、嬉しそうにその媚体を揺らした。
 そしてしどけなくベッドに仰向けになると、自身の股間を小人で隠してしまう。自分の恥丘に俺を乗せたのだ。
 ニチャッという音とともに、行為後の生暖かなローションが俺を包み込んだ。そして俺を囲むのは、恥丘のふくらみと、左右からせり出してくる太もものぷにっとした肉。そんなエッチな股と内股の三角痴帯が、俺専用のソファとなって包み込む。
「ふふっ、ちっちゃい体、ボクの脚で抱きついたらどうなっちゃうかな?」
 30cmの体を、ガーターストッキングの脚ががっしり包み込む。
 その途端、脚の重さでぬちちと体が沈み込む感触に、思わず声が漏れた。トロトロの恥丘は熱を帯びて柔らかく、内股のすべすべした感触に、肌に吸い付くような白ストッキングの生地、俺の体を押さえつける白手袋とお腹のしっとりしたふくらみが、俺をあますところなく包みこんだのだ。

 もはやサヤの人間バイブと化した俺は、衝動的に腰を振り始める。
 こんな肉体に触れたまま、交尾に及ばぬ方が難しい。
 もう小指程度になってしまった陰茎を、頼りない力ででっかいまんこに滑り込ませるのだ。
「あははっ、自分から奉仕しようなんて随分仕事熱心じゃないか。そんなモノでボクに媚びたって無駄さ! でも、いい子になった下僕に少しだけ人間のセックスを教えてあげようかな♪」
 クスッと笑って、俺をホールドする美脚が力を強める。そうすれば、ヌププププッとペニスは膣の中をかき分けて、とろっとろの淫肉にあまねくねぶりまくられるのだ。
 それはまるで、完熟し蕩けた熱いイチジクのよう。ねっとりとした果肉が何百という刺激をペニスに絡みつかせ、溢れ出すエッチな果汁はカリから粘膜、尿道の奥の奥まで染み込んで神経を淫乱に昂ぶらせるのだ。メス果肉のつぶつぶをかき分ける感触を、もう陰茎は忘れられない。刺激が止まれば、腰を動かしてヒダに性感帯を擦り付け、絶えずその感触がペニスの上を転がるようにサヤのあそこをかき回した。
「きゃはははっ♡ もうキミは完っ全にボクの下僕だね♪ さっきまでの威勢はどこにいったんだい? あんなに泣き喚いて嫌がってたのに、今じゃ無我夢中で腰を振る人間バイブじゃないか♪ もっと腰を振りなよ、そんなんじゃボクのでっかいおまんこは感じてくれないよ? クリのご機嫌をとって、子宮におねだりして、どんどんボクの体に溺れることだね。ふふふっ、もう戻れない、ボクの可愛い可愛いオナペット♪ 早くボクを愉しませないと、このまま抱き殺しちゃうよ?」
 クスクス笑う嘲弄の声が、蕩けた媚肉を震わせ快感を昂進させる。俺は夢中でサヤの下腹部に抱きついて、手ではイチゴ大になったクリトリスを撫で転がし、ご主人さまの機嫌を伺う哀れな性奴隷と化していった。
 しかし、こんなどうしようもない奉仕でもご主人さまは敏感に感じ取り、"んっ……"と悩ましげな声とともに、時折疼きで身を震わせる。巨乳を揺らす風に頰を撫でられ、ギシギシベッドを鳴らす巨体の上に乗せられて、俺は恥部に這い蹲り奉仕を続けるのだ。そうすれば、ご褒美とばかりにぶっとい美脚は俺を強く抱きしめ、更なる挿入感でペニスを労う。キュッと締まったスジに陰茎をねじ込まれ、圧倒的な締め付けと坩堝のような熱い淫感に性器を浸して。その度に俺はどうしようもない感覚に襲われ、思いっきりご主人さまのクリを握り締めた。

「少しは奉仕がうまくなったみたいじゃないか、褒めてあげる♪ 特別に、もっとボクのエッチな場所を感じさせてあげるよ。だから、縮んじゃえ!」
「え、っ、あぁっ……!!」
 ギューっと俺を抱き込む太ももにのしかかられ、俺はペニスにパンッパンに詰まった思いを、好きなだけサヤの膣に吐き出した。
 思わず白目さえ剥くほどの強烈な絶頂。しかしそれは、更なる縮小のスイッチだった。

「……あはっ♪ どんどん縮んでる♪ もうボクのおっぱいも覆えないんじゃないかい? ボクの足にだって負けちゃうね♪ キミはボクのスポンジ、十分の一サイズのちびっこいオナシートだね♡」
 どんどん巨大化していくサヤの大陸。エッチな縦スジはどんどん伸びて俺の体を沈めていく。そうすればもう恥丘は俺より大きくふくらみ、プニプニしたソファの切れ目のように俺を乗せて弾んでいた。
 そんな体に、ずっしり重いサヤの手のひらが覆いかぶさる。真っ白な布の皮膜をまとい、清純な手。その見た目からは思いもよらないほどエッチな体熱で満ちた手が、ぐぐっと俺をまんこに押し付けた。
 そして、ゆっくり、俺を石鹸がわりにして、恥部を撫で擦り始めたのだ。
「〜〜♪ ふふっ、こうしてるとまるで体を洗ってる気分だ。本当は、無茶苦茶にキミを汚してるのにね♪ キミのちっちゃくてゴツゴツした体、おまんこでしっかり感じちゃうよ♪ どうだい? ボクの綺麗なアソコは熱くて気持ちいいだろう。そんなゴミみたいな体で抱きついたら、どんな風に感じるか想像もつかないや♪ これから毎日、キミで体を洗ってあげるよ。胸も背中も足もお尻も、ぜーんぶキミで汚して洗ってあげる♪ こらこら、ボクのメスまんこに奉仕を忘れちゃダメだよ? キミはボクの肉バイブなんだからさ♡」
 ヌッチヌッチとあまりに性的な音が世界を揺さぶる。極上の巨大まんこはローションプールのように蜜で溢れて、その上を滑るたびプニまんの感触と、クリのコリコリした感触が、全身に伸び広がっては絡みつく。
 スポンジそのものとなってご主人さまの体を洗う感覚は、絶望的な服従感と巨大な女体への畏敬をくれた。サヤの美まんこに半分めり込んだ視界からは、ほんのり紅潮した滑らかな女体の丘陵が見える。その先で嗜虐的な困り顔を作った女王さまに、囃され、貶され、辱められ。そして自分より膨大な量を誇る愛液に沈んだまま、ひたすら女性器の形を刻印されるのだ。

 顔を集中的にクリで犯され、割れ目に全身みっちり挟まった姿を嗤い囃され……。そんな巨体のお仕置き一つ一つが、俺の体を無茶苦茶に揺さぶった。10倍の体格差は、存在だけで俺を犯すのだ。淫香に、空を割るようなサヤの哄笑、全身を伸ばしてもあまりあるエッチなまんこ。その上に載せられるだけでも気持ちいいのに、ましてめり込みながら塗りつけられるなんて、あまりに過大な快感だった。

 しかし、サヤさまはそれだけでは満足しない。
 より絶望的な性交で、俺を小人に堕とすのだ。
「あはっ♪ もうキミのペニスじゃボクのナカにも届かないみたいだね。じゃあ、キミごとボクの肉ディルドになるといいよ!」
 ヌチィッと、白手袋の指先が俺をナカに押し付ける。
 そうすれば、押しのけることすらままならず、俺の足はサヤのスジにはまり込んでしまった。
 もう、止められない。
 巨大な手は無理やり俺をまんこに押し込んで行き、どんどん小人を淫部で平らげていった。
「きゃはははっ♡ もうボクのアソコよりちっちゃいじゃないか! どうだい、ボクのメス寝袋は? 熱いかい? 狭いかい? ふふっ、出してなんかあげないよ。キミはこれから、そこでもっともっと縮められちゃうんだ!」
 上半身だけを膣から突き出して、俺はデタラメに叫びサヤに助けを乞うていた。サヤは触れてすらいない。ただ膣の締め付けだけで、俺の体はギッチギチにはめ込まれてしまったのだ。どんどん叩いても、大陰唇はプリップリの弾力で俺の手を勢いよく弾き返すばかり。手をついて抜け出そうとしても、ぬるぬるしていてとてもじゃないが腕が立たない。

 そんな俺の胸を掴むと、サヤはゆっくり小人を引き抜くと……!
「キミはっ♪ ボクのっ♪ 肉ディルドっ♪ ふふっ、お仕事の時間さ。ちゃんと務めを果たすんだ、ねっ!」
 ずどんっ、と奥までねじ込んだのだ。
「んっ〜〜♡」
 ゾクゾクゾクッと甘い痺れに貫かれて、サヤは快感の声を漏らす。
 その瞬間、夫の体を押しつぶしながら。
 ニチチチチッと体が熱い肉風呂に突っ込まれたかと思うと、行き止まりに大きくぶち当てられ、それだけで俺は失神しそうだった。しかしその途端、快感のうねりに任せて思いっきりまんこが俺に抱きついてくれば、もう失神どころではない。完熟イチヂクのねっとり熱い果肉たちが、一斉に俺に群がり締め付けたのだ。
 その膣圧だけで、俺の背骨など砕け散りそうだった。そんなナカから引き抜かれれば、猛烈な締め付けが俺の体を引きしぼる。果肉は限界まで俺にその立体感を刻み込み、全身の神経をピンク色に染め上げた。全身を流れる無数の膣肉と、ヒダの感触。そこにペニスが突き刺されば、堪えきれず俺は劣情を破裂させた。 
 そして、またもう一度。
 俺を、まんこ地獄にねじ込むのだ。
「んっ、これ、いい、かも……♡ やったね、キミもこれでボクを満足させられるみたいだ♪ あははっ、もうボロ雑巾みたいになって、それでも気持ち良がってる♡ キミは最高のマゾ虫、だ、ねっ!!」
 ミチチッとねじ込んではねじり出し、ジュポジュポと花婿をディルドにするサヤ。俺の状態も考えない無茶苦茶なストロークに、俺はもう果てるとも果てないともわからないほど快楽と苦悶の極致にいた。
 サヤの膣内は、びっしりエッチな果肉の詰まった肉寝袋のようだった。弾力でみっちり俺に絡みつき、果肉と果汁で俺をねぶり倒すのだ。触手のように膣ヒダは俺を舐め回す。カリの奥まで丁寧に丁寧にむしゃぶり尽くす。そして、へし折れるほどの膣圧でハグしては、締め付けはそのままに、一気に俺を押し出すのだ。

 人体の起伏はきっと、シリコン製のディルドよりよほど精巧らしい。その快感は、もはや淫魔をして夢中にさせしむほどに高まっていた。俺をまんこにねじ込む支配感とかつてない快感に、サヤの手は止まらない。
 そして、盛りの娘の体が、絶頂に飛び込むんだ。
「ぁ、ン、く、〜〜〜〜ッ♡♡」
 果実を握り潰す膣壁の収縮。

 その途端、ナカにぎっちり押し込められていた俺の体など、グチャグチャに押し潰された。
 膣圧だけで圧死した、世界一惨めな花婿にされてしまったのだ。
 その、快感と、光栄たるや。
 そしてすぐさま蘇生されれば、飽くなきご主人さまのひとりエッチの道具にされる。
 イかされ、イかし、潰されて。
 それが5回は繰り返されるのだ。
 エッチなメス肉が、一斉に襲いかかってくる。その瞬間の恐怖と倒錯は、何物にも変えがたいエロスがあった。
 ぎっちり詰まった果実ごと押し潰され、その情けなさは、どれほど身を破いても押さえられない快感だったのだ。


 そして、最後に蘇生され、膣内に取り残された時。
 サヤはどんどん俺を縮小させていった。
 そしてついに、俺は膣肉と二人っきりにされてしまう。
 1000倍になったまんこのメス肉にくっついて、ご主人様の荒い吐息に揺られていたのだ。

 俺を放って、快楽の余韻に浸るサヤ。
 それを、心細くも、猛烈な淫香と蕩めく肉に抱かれながら待っていると。
「あはっ♡ キミも存外役にたったね♪ じゃあ、最後に……」
 ツプリと、直径10メートルにも見える巨大な指先が、膣をこじ開け現れた。白手袋の指先が、ぐにぐにとナカを掻き分け俺を探す。
 ようやく、恥垢同然の花婿をその繊維に絡め取る巨女の指先。
 それはそのまま、俺を女体の最深部へと連れ去った。
「誓いのキスだよ♪ ボクの奥の奥に、挨拶するんだ。丁寧にすることだね。だってそこは、これからキミのベッドになるんだから♡」
 そこにあるのは、子宮口という10メートルもの唇だった。ぷるんと美しいピンク色の唇は、未だ疼きにキュンキュンと震えては、家畜の到着を待っている。
 そして、俺は思いっきりそこに押し付けられるのだ。
 全身でそのリップに張り付き、服従のキスに力を尽くす。
 しかし白い指先はなお、グイグイと俺を押し込み止まらない。
 そうすれば、こんな老廃物同然の小人など、容易にその唇をすり抜けてしまうのは当然だった。

 そう。
 サヤの子宮内に、俺は監禁されてしまったのだ。
「……ッ! ん、入っちゃったぁ……♡ ボクの中の居心地はどうだい? ふふっ、気が向いたら出してあげるよ。これで晴れてボクたちは一緒になれたんだ♡ ステキ、なんてステキなんだろう♪ あれだけ欲しかったキミが、今じゃボクの体の中で泣き叫んでる♡ 好き、好き、大好き♡ もうこのまま、一生閉じ込めておいてもいいくらい♡ それとも夫じゃなくて、子供として産んであげようかな? キミを産み直してあげるんだ♪ ボクのお股から生まれて、ボクのおっぱいで生かされて、ボクのエッチで死んじゃうボクの一部♡ あはっ♪ 壁を叩いたって無駄だよ? だってそこはボクの中だもん♪ 逃げられるわけないよ♡」
 愛おしげにお腹を撫でるスリスリとした動作が、豪雨のような音を立て子宮全体に響き渡った。子宮の中に漂って、肉壁を叩けば反動で体は跳ね飛んでしまう。四方八方から聞こえる、ヤンデレ妻の血流に心音、呼吸音と、愛に狂った語りかけ。生活を奪われ、弱みを握られ、結婚させられた挙句、今じゃ縮められて体内に監禁されてしまったのだ。

「健やかなる時も、病める時も……♪」
 鼻歌交じりで、サヤは初夜の余韻に浸っていた。
 その胎内に、哀れな男を飼いながら。