「じゃあ二人とも頼むわね?こっちはこっちで忙しいからね・・・」
「任せて下さい貴子さんっ!優弥さんとすぐに終わらせてきますからっっ!!」
「このパーツを取り替えるだけですしね・・・問題は別なトコ・・・」

優弥とツグミは温泉の奥にあるエレベーターに乗り、地下へ向かっていく。
地下深くにあるのは、ノヤのいる個室。二人は今からそこへ行くのである。

事の発端は、いつものようにモニター越しにノヤとツグミが会話をしてたときの事だった。
突然モニターが暗くなり、どんなに直してみても暗いままであった。
貴子はこの受付のモニターが壊れたのではなく、ノヤの部屋にあるモニターのほうが
壊れたのだと確信し、二人を地下深くにあるノヤの部屋へ行くように指示したのだ。

「しかし、何でもこんなときに限って俺とツグミしか手が空いて無いんだろう・・・」
「仕方ないでしょ優弥さん?最近また、お客が増えだしてるんですし」
「まぁ、むしろ忙しいのは良い事だけど・・・」
「そうですよ!ドムさんは巨人用の料理作りに忙しいし、リリ姉はお客の案内に必死だし」
「レイさんは体洗いの依頼が増えてかなり忙しそうだったしな・・・」

二人を乗せたエレベーターはどんどん降りていく。もう数十分は経っただろう。
かなり時間が経ち、ようやくエレベーターはノヤの部屋のある階層に着いた。

「俺さ、始めてなんだよな。ノヤの部屋来るのって・・・大丈夫だろうか・・・」
「慣れですよ優弥さんっ!最初はデカ過ぎて混乱するけどすぐ慣れますからっ!!」

ツグミにそう言われ、優弥はエレベーターから奥へと進んでいく・・・。



「二人ともいらっしゃい。こっちにどうぞ」

そう呟いたノヤ。だがツグミの言う通り、やはり優弥は混乱し始めていた。

「なっっ・・・!?なんだっこれっ!?」

目の前にいるのはノヤ・・・なのだが大きすぎてよく分からない程である。
一応足があるとは分かるのだが、ノヤの身長が大きすぎて足しか見えないのだ。
高すぎて下からでは頂上が見えないような山・・・を見ている気分であった。

「貴子さんに色々言われてたけど、実際に見ると予想外だな・・・」
「もぉっ!驚いてないで行きますよ優弥さんっ?」

ツグミの後を歩いていく優弥。ドガアアァァン・・・とやかましいのはノヤの足音。
一歩一歩がまるで、巨大な建物が落下してくるような衝撃と爆音である。
優弥は驚いてばかりだが、ツグミはむしろ別な事を話し出していた。

「ノヤって・・・お尻デカいんですねぇ・・・見てくださいよ優弥さん・・・」
「ツグミ、お前よくそんな暢気な事言ってられるよな。パンツを凝視するのは頂けないが・・・」
「いやぁ・・・何だかノヤの巨大な体ってまるで小島みたいだなぁって・・・」
「小島・・・か。確かに島ひとつ位は・・・あるよなぁ・・・」

小島みたい、というよりは、実際に彼女の胸を一つの島だと思ってた俺がいるんだが・・・。

「でもさ、ツグミだって結構お尻は大きいじゃん。ノヤ程ではないけど」
「優弥さんには分からないですよっ!ノヤはお尻も胸も規格外のデカさなんですっ!!」
「そう言うツグミは・・・?」
「私はお尻だけっ・・・このお尻のお肉が少しでも胸に行ってくれたならっっ・・・!!!」

そう力説し始めるツグミの話を聞きながら、優弥は広大過ぎるノヤの部屋を歩いていくのだった。



その後、ノヤの手のひらに乗って机の上に降り立った俺とツグミ。
モニターの修理は、パーツ交換を行えばすぐ終わるものだった。

「二人ともありがとう。これが無いと上の階と連絡取るのも大変だったから」
「それよりも・・・ノヤっっ!!頼みがあるのっっっっ!!!」
「ん?どうしたのツグミ・・・何でも言って?」
「その体・・・触らせてえええええええええぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!」
「ツグミ!?お前何し始める気だよおっ!?」

机の上で助走をつけ、そのままノヤの巨体目掛け飛びつくツグミ。

「はんっっ・・・ツグミぃ・・・突然にっっ・・・」
「この巨体でこのおっぱい・・・何カップなのよおおぉぉっっ!?」
「ツグミぃぃぃ・・・あんまり変なトコをぉ・・・」
「お尻も凄いわっっ!?私なんか子供みたいなサイズっっ!!!」

体中を駆けずり回る虫のように、ノヤの巨体を触りまくるツグミ。
その興奮が収まるのに数十分を要したのだった・・・。



「もう、こんな事二度としないでよツグミ・・・」
「ありがとノヤっ!!また新たなおっぱいに出会えたわ・・・!!」
「何だろう・・・どこかで・・・」

優弥は何故か川田のことを思い出していた。
そう・・・性別が違うだけでこの二人、そっくりな気がする・・・。



ノヤの部屋からの帰り道、ツグミはこんな事を口走っていた。

「いやぁ・・・ノヤのおっぱいもお尻もかなりのモンだったわ・・・」
「ツグミ、リリから聞いてたが確かにお前・・・おっさんみたいだぞ・・・」
「でも・・・胸ならアリアさんの方が上だったかも・・・」
「アリア・・・ああ。レイさんとよく行くっていうあのお風呂屋の・・・」
「はい。アリアさんってシュレース星人なんですけど、多分ノヤより大きいかも」
「えっ!?シュレース星人なんだろその人!?それなのにギガラ星人よりもデカいのか!?」
「アリアさんは特別デカいらしいんですよ優弥さん。他のシュレース星人を手に乗せれたとか」
「そんな人が・・・いるのか・・・今度会ってみても・・・?」
「良いと思いますよ!アリアさんって巨人だけど、誰にでも優しいですしっ!!」

優弥は宇宙人街で働いているうちにこの街にかなり詳しくなった気でいた。
だが実際にはまだ知らない事ばかり。ノヤよりデカい宇宙人なんていないと思っていた。
この街は深い・・・優弥は改めてそう感じていた。