前回、ふとした拍子から小枝ちゃんが『ゲーセン』というものに行ったことがないということを知った由美ちゃん。
「どーせなら大人数で」ということで親友に葵・志保を誘ってみた。

[小枝ちゃんinゲーセン]

何が起こることやら…

++++++++++++++++++++++++++++++++++

由美ちゃんの家から歩いて20分程。
駅前にあるゲームセンターの前に着いた。

葵と志保も丁度、電車で着いたとこのようだ。
「小枝ちゃん、みっけー!」
身長170cmと"3人組の中では"一番の長身で勉強はからっきしだが運動は大好きな葵。手を振りながら走ってくる。
「葵ぃ~待ってよー」
後ろから志保もやってきた。葵とは違い、志保は体を動かすのが苦手なようだ。そのかわり勉強が好きな眼鏡っ娘である。

「これでみんな揃ったねー♪」
小枝ちゃんは嬉しそうだ。
「揃ったところで、さっそく中へゴー♪」
由美ちゃんを先頭に中へ入っていく4人。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「わぁー♪こんな風になってたんだー!」
目を輝かせる小枝ちゃん。

2階建ての建物の中。
1階部分はUFOキャッチャーやアーケードゲーム、昔懐かしのから最新のものまであるようだ。
2階部分はメダルゲームのコーナーらしい。
小枝ちゃんは1階のゲームに興味があるようだ。。

「ねぇ~?これってどーやるの?」
まず、始めたのはUFOキャッチャー。
由美ちゃんが説明を始める。
「まずは…お金を入れて(チャリン♪)…で、このクレーンを動かしてぬいぐるみを掴むの。そのままこの穴に入れればGET!…って全然、掴めてないけど(笑)」
やってみせる由美ちゃん。ぬいぐるみを狙ったがうまく掴めなかった。
「あー無理かぁ!あと2回分あるから小枝ちゃんやってみなよ!」
「むぅ~難しそぅ…やってみようかな。」
早速、初チャレンジ。
大きく屈んで、台に高さを合わせる。
「あっ!あっ…ダメか…」
あっという間に2回分が終わってしまう。
「もう1回やる!」

ここで志保が提案する。
「小枝ちゃん。重心を考えなきゃ。これの場合、あそこを掴めば持ち上がるよ。」
見ただけで重心がわかっているとは、勉強が出来るだけのことはある。
「ホント!?ありがとー志保ちゃん!」
お金を入れて再チャレンジ。
ボタンを押しながら長い腕を伸ばし、横から見ながら重心を見定める。
小枝ちゃんの長い腕なら、ボタンを押しながらでも余裕で横から見られる。
「おっ!…上がった!上がったよー!」
そのまま、穴へ「ポトン」
「やったー♪」
取れたのはクマさんのぬいぐるみ。小枝ちゃんの手のひらに乗るとキーホルダーのように小さく見える。
「良かったねー♪小枝ちゃん♪」
小枝ちゃんが嬉しいとみんなが嬉しくなるみたいだ。
--------------------
次に4人はアーケードゲームのコーナーへ向かった。
「これはどんなゲーム?」
小枝ちゃんが指差したのは『ワニワニパニック』。いわゆるモグラたたきである。
「このハンマーで出てくるワニを叩くんだけど…今度は私がやってみせよう!」
葵が言う。言うだけあって結構、上手い。
運動神経がいい葵は反射神経もいいらしい。ほぼ全てのワニを叩けのではないだろうか。
「ふふ~ん…どーよ!」
得意げな葵。
「わー!葵ちゃん上手いねー!早いねー!じゃ私、次!次!」
ハンマーを小枝ちゃんに渡す葵。
「小枝ちゃんが持つと子供用のおもちゃみたいだね(笑)」
小枝ちゃんがこのハンマーを普通に握ると、柄の部分の大半が隠れてしまう。なので親指、人差し指、中指の3つで持つ。
「よーしやるぞー!」
気合い十分な小枝ちゃん。
チャリーン♪『ゲームスタート!!』
最初のワニが出てくる。
「「バズン!!!!!!」」
無邪気にハンマーを振り下ろす小枝ちゃん。
「わっ!当たった!当たったよ♪」
小枝ちゃん本人は当たった事にはしゃいでいるが、他の3人はハンマーが振り下ろされた音にあ然としている。
「(何、今の音…爆発?)」「(ワニ、本当に潰れるんじゃない?)」「(機械…壊れないよね…)」
普通の人の倍以上の長い腕。肘から先だけを使ってハンマーを振り下ろしても普通の人の本気以上のパワーが得られるようだ。
【モウ!オコッタワニー!!】という言葉を合図にどんどん出てくるワニ達。
「わっ!いっぱい出てきた!」
無邪気にハンマーの振り下ろす小枝ちゃん。そのたびに爆音が轟く。
「「バズン!!!!バズン!!!!バズン!!!!!!」」
大量に出てくるワニを強烈なハンマーが襲う。
「「バズゥン…(バキッ!!)」」
最後のワニを渾身のパワーで叩く。
嫌な音がしたがそのままワニは引っ込んでいった。このワニ…もう二度と出てくることはないだろう。
「あ~楽しかった♪葵ちゃんの記録は抜けなかったよ~。」
あ然としている3人に屈託のない笑顔の小枝ちゃんを前に3人は思った。
「「「(小枝ちゃんのフルパワーって一体…)」」」
--------------------
「…!次、あれやってみない?」
由美ちゃんがいいことを思いつく。
指差す先にはパンチングマシーン。もちろん、小枝ちゃんのパワーを試してみる為だ。
「いいねぇー!小枝ちゃんなら新記録、出せるんじゃない?(笑)」
葵が茶化す。
「えぇー…初めてだし…無理だよぉ」
「「「(いや…絶対、出るでしょ…)」」」
3人が心の中でツッコむ。
「じゃ、グローブを着けてね。」
志保が差し出す。
「あ…入んないよ…これ・・・」
小枝ちゃんの規格外のデカさを忘れていた。
親指以外の指でキツキツ。しかも手のひらは全く隠れていなく指しか入ってない。
「とっ、とりあえず!これでやってみよ!」
葵が取り繕う。
膝を付いて高さを合わせる小枝ちゃん。
『Fight!!』掛け声と同時に上がってくる的。
「えいっ☆」
「「ドズゥゥン」」
かわいい声とは裏腹にお腹に響くような重低音が響く。
【712kg】
【パンパラパ~ン♪新記録おめでとう♪】
2位以下に大差をつけての新記録。しかも実質、指のみで出した記録。
唖然とする3人。『ピッキーン』という効果音が似合いそうなほどに固まっている。
ゲーセンでこんな音は聞いたことがない。
「わはー!新記録だー!」
そんな3人とは対照的にはしゃぐ小枝ちゃん。
3回打てるようなのであと2回。
唸りをあげて的をめがけて飛んでいく小枝ちゃんの”指”。
「「ドズゥゥゥゥン」」
【873kg】
【パンパ(ry)】
さっき以上の記録で自分で自分の記録を更新した。
今度はコツがわかったのか、スピードというよりは力、重さを意識したパンチ。
「「ドズゥゥゥゥゥゥゥン」」
【---kg】
【ビビ…ビビビビ…ビビ…】

最高記録を期待していた由美。
「あれ…?数値が出ない?」
回を増すごとに増す小枝ちゃんのパンチ力。
渾身の力で打った最後、遂に機械のほうが限界を迎えたようだ。
ディスプレイがついたり消えたりしている。しかも、モーターのこげる匂いがするようなしないような…。

嫌な予感のする機械を前にする4人。
「……。次、行こうか…。」
葵の言葉にそそくさと去っていく4人。
--------------------
点滅するディスプレイ。壊れたモーター。曲がった的。伸び伸びになってしまったグローブ。
哀れ、パンチングマシーンは初めて遊んだ巨大女子高生に文字通りK.O.されてしまった。
--------------------
「これは何?」
ダンス・ダンス・レボリューションを前に立つ小枝ちゃん。
「あー、これはリズムゲーって言ってね…」
葵が説明しているが、聞くことなく由美ちゃんが始めている。
「こうやるんだよー♪」
由美ちゃんが体で説明する。小柄な体をちょこまか動かして足で矢印を押していく。
「由美ちゃん上手い上手い♪」
小枝ちゃんが感心する。
プレイが終了し、
「2人でプレイ出来るから、小枝ちゃんもやろうよ!」
由美が誘う。
「うん!…あ、でも…これだし…」
巨大なブーツを見ながら悩む。
「脱いじゃえばいいじゃん!誰も盗らないよ(笑)」
確かに盗られないだろう。盗っても使い道が無い。何よりこれを"持ち運ぶ"など有り得ないだろう。
「そうだね!やろうやろう!」
ブーツ、靴下を脱いで台に上がる小枝ちゃん。台の上に62cmという巨大サイズの足が載る。
真ん中に置いているだけで↑↓のボタンが押せそうだ。
「初心者コースからね。」
音楽が鳴り始める。
ちょこまかと動きまわる由美ちゃん。対して、小枝ちゃんの足の動きは少ない。
足の大きさに対し、上下左右の矢印のマークが小さくて押しづらそうだ。押すたびに足元から「ミシッ」とか「パキッ」とか音もしている。
♪♪♪~♪~♪
音楽が終わって結果発表。
【由美:AAA 小枝:D】

「難しすぎだよぅ…」
由美は笑いながら
「小枝ちゃんは足、おっきいからねー。もしかして中心に置いとくだけで全マーク押せるんじゃない?(笑)」
「も~!由美ちゃんたらー!」
ぷぅっと頬を膨らませて抗議する小枝ちゃん。
仲が良い証拠である。
--------------------
音楽の音量で誰も気づかなかったが、やはり、小枝ちゃんの体重に機械は耐えられなかったようである。
マークを押すときに片足になる。その時、左足に全体重がかかり、足の形にひびが入ってしまった。しかも、1回ではなく何度も何度も…。
もし、普通の人がここに足を置いたら…
左足のまわり全体にひびが入っている。自分の足の約4倍の巨大な足の形。まさか本物のひびとは思わないだろう。
--------------------
小枝ちゃんの直後に遊んだ人は驚愕した。
真ん中に巨大な足跡が2つ…。まだ温かいようでほんのり湯気がたっているように見える。
ブーツを履いて蒸れていた小枝ちゃん足。素足で遊んだための足型がはっきりと残ってしまっていたのだ。
巨大な足跡の上に靴を履いたままで合わせてみる。靴を履いていても横幅は2倍、長さは2.5倍ほどもある足跡。
「デカっ…なにこれ…?」
何だか恐ろしくなり、その人はゲームから離れていった。
--------------------
一方、小枝ちゃんたちは休憩タイムである。
3人はベンチに座っている。小枝ちゃんはベンチに座れないためしゃがんでいる。
「初めて来たけど、ゲーセンって楽しいね♪」
『ゲームセンター』というものを初めて体験し、興奮気味の小枝ちゃん。
「小枝ちゃんってパワーは凄いんだけど、早いのとかの動きは全然ダメだね(笑)」
由美ちゃんはさっきのゲームでのことを思い出していた。
「ちっ違うもん!あれはマークがちっちゃすぎるの!あのゲームがもっと大きかったら、ちゃんと出来るもん!」
小枝ちゃんが反論する。
「でも、あのゲームを小枝ちゃんサイズにしたら誰も遊べなくなるよねー(笑)」
葵がツッコむ。
「そうそう。マークまで足が届かないもの。走りながらでもやる?」
志保も乗っかる。
「もぉー!みんなでバカにしてー!ふんっ!どーせ、私は特注サイズですよーだ!」
プンプン怒る小枝ちゃん。
それを見て笑う3人。つられて笑う小枝ちゃん。
これがこの4人の日常である。
--------------------
休憩も終わり、葵が立ち上がりながら
「さーて、次はどうしようか?小枝ちゃんなんかやりたいのある?」
「うーんと…あの太鼓のやつ!あれだったら体の大きさ関係ないもんねー♪」
太鼓の達人である。
「やりたい理由はそれかいっ!!」
由美ちゃんが小枝ちゃんの太腿あたりに「ビシッ」とツッコみを入れる。
「えへへー。じゃ、由美ちゃん!勝負だよ!」
「望むところよ!負けた方がジュースだからね!」
由美ちゃんもやる気満々のようだ。
「小枝ちゃん、今度は壊さないように注意してね。」
志保が心配そうに注意する。

ゲームの前まで来た2人。もう2人は後ろで見守っている。
小枝ちゃんは膝をつき太鼓に高さを合わせる。膝をついても由美ちゃんより背が高い。
曲を選び、勝負開始である。
火花を散らす由美ちゃんと小枝ちゃん。呆れ顔の葵と志保。
小枝ちゃん、やはりバチが小さい。つまむように持って太鼓を叩く。
最初はちゃんと力が加減が出来てると思いきや、終盤になりテンションが上がってくると太鼓の音が大きくなってきた。
最後の連打ゾーンでは太鼓が割れるのではないかと後ろの2人はヒヤヒヤしていた。
…結果!
僅差で小枝ちゃんの負け!
「むぅ~勝ったと思ったのにー!」
「ふっふっふっ♪10年早いよ小枝ちゃん…。さ、ジュース♪ジュース♪」
この超凸凹コンビ、どこまでも仲が良い。
後ろの2人は太鼓が壊れてないようののでホッとしている。
--------------------
一通りまわったので、「4人で出来るゲームしよう」ということになった。
最初、対戦型のレースゲームをしようとしたが、小枝ちゃんがシートに座れない。
無理矢理、座ってみたが、お尻がシートからはみ出し、長い脚は急角度で曲がっている。
大きすぎる足のせいでアクセル、ブレーキの操作が出来ない。
「子供用の車に大人が乗ってるみたい(笑)」
と、由美ちゃんが笑っていた。
--------------------
「これならいいんじゃない?」
志保が見つけたのはエアホッケー。
「「「いいねぇー!」」」
3人が同時に言う。
「じゃ、私と小枝ちゃんがペアね♪」
超凸凹コンビがペアを組んだ。
「負けないわよ!」
「小枝ちゃん、本気は出さないでね。パックが割れちゃうから。」
葵と志保が組む。

7ポイント先取の試合が始まった。
『カーン』と良い音を出して打つ葵。だが、由美ちゃんの必死の防御の前にゴールまで届かない。
志保は外枠をうまく使って攻撃する。跳ね返ったパックを小枝ちゃんが長い腕、大きな手で捉える。
小枝ちゃんのゴールを狙ったショット。
『ガンッ!シュッ、ガゴン!!』
打った瞬間、パックを打った音とは思えない音がした。と、同時に目にも止まらぬスピードで一直線にゴールに吸い込まれたパック。
「ちょ!小枝ちゃん、無理無理無理!あんなの止めたら、手が砕けちゃうよ!」
葵が声を上げる。
「えー?かなり加減してるのになー」
「「(あれで"かなり"加減…?)」」
葵・志保はこの「小枝」という女の子の底知れぬパワーを思い知る。

試合のほうは案の定、7-2で超凸凹コンビの勝利。超凸凹コンビに入った2点は小枝ちゃんのミスだ。
相手のゴールを狙って打ったショット。しかし、外れてゴールの脇に当たり戻ってきたパック。
それでもスピードは落ちていない。葵が打ったときよりも早い。そんなパックを由美ちゃんが止められるわけがなく自陣のゴールへ。
由美ちゃんは反応すら出来ずに固まっていた。

「どーせ、私たちの負けだから」と、最後の7点目は敢えて、小枝ちゃんに本気で打ってもらってみた。
小枝ちゃんが打ちやすいようにパックを打つ志保。
小枝ちゃんの長い腕がしなり、巨大な手に握られたマレットがパックを捉える。
『パギャ!!』
パックを打った瞬間、有り得ない音がした。
『ズガン!!』
目にも止まらぬスピードで一瞬にしてゴールに突き刺さる。
しかし、パックがポケットに落ちてこない。
「…?」ドンドン!
葵がゴールの上を叩いてようやく落ちてきた。パックは文字通りゴールに"突き刺さって"いたのだ。
そのパックを見ると丸くへこんでいる。さっき、パックを打った瞬間に出来たものらしい。
へこんでいる方の反対側はゴールに入ったときの衝撃で割れてしまっている。
はしゃぐ超凸凹コンビを見て葵は思った。
「(普通こうなるかね…敵にまわすと恐ろしい子だわ…)」
--------------------
その後、「記念に」とプリクラを撮ることにした4人。
このゲーセンに最近になりやっと導入された全身プリクラ。
小枝ちゃんはもちろん、他の3人も初めてである。
最初に葵が中へ入る。
葵は新しい機械に興味津々のようだ。
「へーこんなんなってんだー」
全身を撮れるように中はちょっとしたスタジオの用になっている。
次に同じように志保、由美ちゃんが入り「へーほー」言っている。
最後に小枝ちゃんが入るのだが、
「うぅ…低いよぅ…」
全身を撮れるように天井が高くなっているはずだが、小枝ちゃんにとってはやはり低い。
もし、天井がなく、小枝ちゃんが直立したままでプリクラを撮ったなら腰から下、脚しか写っていないプリクラが出来上がるだろう。
「小枝ちゃん…しゃがんで撮ろうね…」
志保が小枝ちゃんに言う。しゃがんでも由美ちゃんより大きい。葵とでもやや小枝ちゃんの方が大きいくらいだ。
「いや!小枝ちゃん!立ったままで撮ってみようよ!!」
由美ちゃんが無茶なことを言い始めた。
「由美ちゃん何言ってんの?脚だけのプリクラ撮ってどーすんのよ。」
葵は呆れ顔で由美ちゃんに言う。
「だってー。せっかくの『全身プリクラ』なんだしぃ…小枝ちゃんの全身も写してみたいじゃん?」
「うーん…。そうだけどー…」
葵と志保が悩む。どうやったらこの巨体を全身写せるか。さらに悩む2人。
当の本人と提案者はのん気にフレーム選びをしている。
志保が閃いた。
「…!小枝ちゃん!この高さでも脚は伸ばせるわよね?」
「?たぶん大丈夫だと思うけど…。」
しゃがんだ状態からぐんぐん伸びていく脚。一応、天井に着くか着かないかのところでその伸びは止まった。
「(相変わらず長い脚ね…)でね、そのまま横向きに立って…腰を折ってみて」
「うん。…結構、つらいよ、この体勢・・・」
画面を見ると、一応ではあるが小枝ちゃんの全身が写っている。
「私たちはどうすんの?」
葵、由美ちゃんが聞く。
「こう…由美ちゃんが前に行ってその隣に私、葵は小枝ちゃんの下ね」
4人が画面の中に入っている。
由美ちゃんの隣には巨大な脚。由美ちゃんの肩付近に小枝ちゃんの膝がある。ヒップは頭のさらに上だ。
葵の頭上には小枝ちゃんの胸。体自体が大きな小枝ちゃんだが相対的に見ても大きいであろう胸。巨乳までとはいかないが結構な大きさである。
「(小枝ちゃん意外と胸あるのね…なんか怖いわね…)」
頭上に胸があるという異常な状況に恐怖心を抱く葵。
「じゃーいくわね。」
志保が撮影スタートのボタンを押す。
【ハイ!チーズ!】【カシャ!】
思い思いのポーズで撮ったプリクラが出来上がった。
由美ちゃんは小枝ちゃんの脚を片腕に抱き、おどけている。
志保は控えめなピースサインだ。
葵は上を向き、巨大な胸に驚いているようなポーズをとっている。
小枝ちゃんは両手でピースサインをしているが、体勢上、下向きのピースになってしまった。
人差し指だけで葵の顔の長さぐらいある。恐らく人差し指、中指だけで頭を挟むことも出来るだろう。

「(小枝ちゃんって色んなところが大きいのね…。)」
自分の顔の横にある巨大なピースサインを見て思った葵であった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「今日は楽しかったー♪」
小枝ちゃんは大満足の様子だ。
「しかし、この歳でゲーセン初体験とはねぇ…」
葵が言う。
「まぁ誰にでも初体験はあるものよ。」
志保がかばう。
「小枝ちゃんのパワーが見られて良かったー!」
由美は1人だけ観点が違う。

「みんな、今日はありがとう♪おかげでいい経験が出来ました。また一緒に来ようね♪」
いつもの笑顔で話す小枝ちゃん。
「ちゃんと力加減が出来るようになったらね♪(笑)」
由美ちゃんがツッコむ。
「もー!由美ちゃんったらー!」
小枝ちゃんが笑いながら言う。そして笑いに包まれる4人。

「じゃまた明日、学校でね。」
「じゃーねー!」
葵と志保は帰って行った。

葵、志保を見送った超凸凹コンビ
「私たちも帰ろっか。」
今日あったことを話しながら帰る2人。
片方は首をほぼ真上に向けて、もう片方は首を真下にむけて。

しかし2人とも笑顔だ。

+++++++++++++++++++++++++++++

こうして小枝ちゃんのゲーセン初体験は終わった。
一波乱も二波乱もあったゲーセン初体験だった。

そうそう。
例の壊してしまったパンチングマシーン。
後日、店の人が業者に頼んで修理してもらおうとしたが「無理」の一言で片付けられてしまった。
業者曰く、
「あんな壊れ方したのは初めて見たよぉ!熊かゴリラがパンチしてもあーはならないよ!スーパーマンでも来て遊んだんじゃないの(笑)」

小枝ちゃん…。


学校編はまたいつか。