アキラはチャンスシステムの縁で、その世話係というのに当選するんじゃないかと考えていた。
そしたら、世話係体験に当選したという連絡があったことを母から伝えられた。
やっぱり、チャンスシステムの影響なんだろうなと思い次の日にに備えて早めに休むことにした。
アキラは次の日、町の中心の近くにあるエレーネ星人の施設内にある受付で、世話係のことを話すと
受付からバッジをもらい建物の中に入った。
そこで、担当の人からいろいろ説明を受けたが世話係といっても難しいことはなく、ただリリーの話相手や、
一緒に建物内で過ごしてほしいということだった(リリーという名前らしい)。
泊りがけになるということは、アキラのご両親には連絡了承済みとのことだった。また少しばかりの謝礼も出るらしい。
アキラはそれを聞いて、女の子と一緒に過ごすのか、でも相手は地球人でなくて、エレーネ星人だし、
もしなにかあったらどうしようとも考えた。
さらに担当の人が言うには、ここで働いている人の大半は定年退職した人達が多いらしく若い人はあまりいないらしい。
なので、リリーもアキラと同じような年代らしいので、話し相手になる若い地球人を求めていたらしい。
また最近、施設内の社員の間で旅行に行きたいという話が出てきているとのことだが
リリーの世話をする人が必要で、その場合一人だけ旅行に行けなくなるからと言って延期になっていたという。
こんなときに世話係募集という話が決まったのだ。
当然、これを機会にアキラとリリーを除いて旅行に行く手はずを整えているらしく、数日は他にだれもいなくなるようだ。
アキラは担当の人に連れられて、リリーのいる部屋へと向かい、彼女と簡単な自己紹介をした。そして実際に会うのは
午後からということになったので、その間この施設内を見て回ることにした。
アキラはリリーのことが書いてあるパンフレットがおいてあるのを見つけると、パンフレットをめくってみた。
名前:リリー
エレーネ星出身(ただし、生まれは船団内)
身長:1630cm
体重:-
B/W/H:-
年齢:地球人換算で17歳前後
職業:映画のエキストラ等
好物:アイスクリーム

「ふーん、アイスクリームが好きなんだ。でもサイズが違うからいっぱい食べそうだ。
それに、バストもおっきいなぁ。ぐらいのサイズがあるんだろう」

アキラは、パンフレットのページをめくり
彼女が出演した映画の一覧を読んでみた。

『惑星ベータからの訪問者』
『宇宙からもたらされた惨事1(病原菌)』
『宇宙からもたらされた惨事2(ロストウェポン)』
『宇宙からもたらされた惨事3(なぞの巨大生物)』

リリーが巨大生物の着ぐるみを着て、町を破壊するようなことや、
また、エレーネ星人がなぞの病原菌に感染し、理性を失った彼女達が町を破壊する
ようなストーリーもあった。
リリーが着ぐるみを着ている姿がパンフレットに載っているがなんともかわいい。
そうこうしているうちに、時間も午後となり、アキラは彼女がいる部屋へと向かう。
もう自己紹介は簡単にすんでしまっているのでアキラは彼女に話かけることにする。

「このパンフレット見たよ、いろいろな映画に出ているんだね」
「あっ見たんだ、もしかしてあたしの着ぐるみのページ見た?」
アキラは笑いを堪えながら「みたよ」といった。
「あーやっぱり笑いをこらえながら言わないでよ。とても恥ずかしかったんだから…」
「あーやっぱり本人でも恥ずかしかったんだ?」
「そりゃそうよ。あれはもう着たくないわね。以前は映画のキャンペーンで、あたしにあれを着て
いろいろな所へ連れて行かされたわ。あたしがいやだっていったのにマネージャーは聞いてくれなくて…」
「そうなんだ、でも似合っていたよ」
「もーそんなこと言って…」
彼女はとてもうれしそうだ。
それに、アキラはリリーが普通の地球人の女の子とあまりかわらないなと思った。
リリーは床に座った格好でアキラと話をしているが、それでも彼女はでかい。
「ねえ?このパンフレットに身長1630cmって本当?」
「そうね、そのパンフレットを作ったときは2年ほど前だからもう少し伸びているかもしれないわね」
「そうなんだ。あと体重や、他の体のサイズは書いていないみたいけど…」
「女の子に向かって体重を聞くの?ふーん。でも映画やテレビに出るから体型は気にしないといけないのね。
っで、アキラ君はあたしの体に興味があるんだ?」
「そりゃ、まぁあまりエレーネ星人のこと知らないし、近くで見たこともあまりないから…」
「ふーん」
リリーは微妙な笑みを浮かべると。
「じゃあ一応注意事項を説明しておくね。ねえアキラ君。ちょっとそこに横になってくれる?」
「なんで?」
「いいから」
「うんわかった」
アキラは床の上へと仰向けに横になった。
「あたしとアキラ君の身体の大きさの差は見てわかるわよね?」
「うん。10倍ぐらい違うかな」
「そうね。ではあたしがアキラ君が近くにいるのを気が付かないまま向かって来たらどうする?」
「えーと。声を出して気が付かせる」
「もしそれでもあたしが気が付かない場合もあるよね。そのときは床に伏せてほしいの。
そのままだとあたしが蹴っ飛ばしてしまうかもしれないよね?」
「ああ、そうか伏せていれば、蹴っ飛ばされるのもないけど。今度は踏み潰されちゃうかもしれないな」
「そうねぇ。たとえば、こんな風にアキラ君に向かってきたとして…」
アキラはリリーがこっちに向かってきたのを見ていた。
床に彼女の足が着地するたびに結構床が揺れている。ちょっとアキラは不安になった。
まさか、そのまま踏み潰すということもないだろう。もしそのようなしぐさをしても"ふり"だけだろう
と思っていた。
リリーはにやりと笑みを浮かべると、そのまま245cmの足をアキラの胸に乗せてそのまま体重をかけた。
「うわ。りりー」
一瞬アキラは信じられないという顔をした、その後、彼女の体重がアキラの体の上にかかる。
が、つぶれることもなく、床にアキラはめりこんでいるような状態になった。
「???」
「いちおう。この施設の床には一定以上の重さがかかるとめり込むようになっているの。
なので、間違って人を踏んでしまってもつぶしちゃうことはないわけ」
ゆっくりとアキラの胸の上から彼女の足がどいた。
「リリー。君はひどいことをするね。死んじゃうかと思った。それに実際に踏むなら事前に言ってほしいよ」
「事前に言っていたら、ゆるしてくれた?」
「いや。だめ」
アキラは当然のようにそう答えた。
「やっぱり。でも踏む直前のアキラ君の顔面白かったよ」
「こっちとしては、人生これで終わりかと思ったよ」
このリリーっていう子はとんでもないことをしてくれる。エレーネ星人は温厚で協力的というのではなかったか?
「で、いちおうアキラ君と一緒にいるときは周りに気をつけるけど、念のために覚えておいてね」
「うんわかった。でも今後は踏まないこと。いいね?」
「しょうがないわね。出来るだけ気をつけるわ」
なんか信用できないけど。まぁいいか。

「アキラ君、じゃあ行くよ」
そのあと、リリーが突然どこかに行くような雰囲気で手を伸ばしてきた。
アキラは、リリーの手にわしづかみにされて、リリーの服の胸ポケットに放り込まれた。
「わぁ。なんだよ。急にわしづかみにして、ポケットに放り込むなんて」
アキラはリリーに文句を言った。
「ごめん。ごめん。近いうちに、あのパンフレットを更新するから、
それでねプロフィールのところに書くボディサイズを計測しに行くの。アキラ君も手伝ってね」
どうやらそういうことらしい。
ポケットにほうりこまれたのは、アキラに合わせて歩くと遅いということだ。
たしかに、ポケットの中にいれば楽ちんだと思った。
アキラは胸ポケットの位置だと地上から10メートル以上あるので、ポケットの中でしゃがんで
リリーの顔を見ていた。ほのかに彼女がいつも使っているようなシャンプーのにおいがする。
リリーの顔を見て、結構かわいいじゃん。とアキラは思った。ときどきとんでもないことをするけど…。
「さあ。ついたわよ」
とあたりを見回すと、地球にあるトレーニングジムみたいな部屋。
ただし、置いてある器具が半端でなくでかい。
「うへぇ。やっぱり、器具のサイズはエレーネ星人に合わせて作ってあるんだ!」
「そう。日本のある企業からお礼にって特注で作ってもらったの。おかげで体型維持に使わせてもらっているわ」
リリーが試しに使ってみる?とアキラに言ってきたので見てみると。ダンベルみたいなもの。
表面に1000kg。2000kgと書いてある。
「うへぇ。全然使えないよ。重さの桁が違うし」
リリーは軽々とそのダンベルを持ち上げる。
「ふふっ。こんなのも持てないの? 貧弱ね。一番軽いこの 500kg というのを貸してあげるから…」
そんなものとても使えない。アキラは彼女のほうを見ると、残念ねといいながら。台にダンベルみたいなものを戻した。
「じゃぁ、身長と体重、それに、バスト、ウエスト、ヒップでも測ろうかしら、ただしパンフレットには体重は書かないけど…」
「ふーん。今のパンフレットには身長だけ書いてあるし、どうせなら体重も書けば?」
リリーはアキラの言葉を聞いて
「ふーん。そんなこと言うんだ。さっきアキラを踏んだときは体重に換算して1/50ぐらいだったけど、
この装置をOFFにしているときに間違って踏んじゃうかもよ?」
とリリーは背中をアキラに見せる。
そこには、羽のような機械みたいなものがついている。
どうやら、反重力を応用しているような重量軽減装置らしい。
もともと、船団で宇宙を旅していた彼らにとってこの地球の重力は少し強めだという。
彼女達の体のサイズは人間の10倍なので体重もそれなりに重い。
なのでほとんどのエレーネ星人達はこの装置をつけている。
アキラはあれで、1/50かと思った。途方もない重さのように感じたが…。
「いや。ごめんなさい。体重のことは言わないから…」
「そうね。命が惜しければ、あたしの体重は他言無用ね。もらしたらわかっているわよね?」
「はい。リリー様。他言はしません」
「うむ。よろしい。ではさっそくはじめようか」
とリリーは身体測定の準備をする。