「だからもう会えないと思うの…ごめんねトオル君」
トオルは電話を置いた。
付き合っていた美智子ちゃんからの電話だった。
他に好きな人が出来てしまってもう会えないと…
くそっ。
はあ。
思いっきり落ち込む。
ああ。
どうしよう。
大人だったらお酒でも買ってきて自棄酒でもするんだけど、まだ高校生だ。
ゲームでもやろう。
トオルはゲームの電源を入れて遊び始めるがなんか集中できない。
くそっつ。
やめるか。
そしてもう寝よ。
トオルはベッドに入り込み布団をかぶる。

……

「なあ。トオルおまえふられたんだってな」
「うるさいなあ。そのことはもう言うなよ…
せっかく忘れかけていたのに…」
学校からの帰り道に親友から言われる。
「悪い悪い、で、トオルよ別の子はもう出来たのか?」
「そんなに早く出来ないよ!」
「まあそうだよな…」
2人で歩道を歩きながらこんな会話をしている。
季節は秋、木の葉も落ちはじめ、木々の葉も赤にそまってきている。
そしてあと何ヶ月かでクリスマスだ。
今年は彼女なしか…。
「なあ。トオルよ。
いっそエレーネ星人の女の子とつきあっちゃえば?」
「えっ」
ちょうど信号が赤になったので立ち止まり親友を見る。
「いや。この町は田舎だから、めったに遭遇することはないと思うんだけどよ、
都会に行けば会えるぜ。
こう、おっきい胸にぱふぱふさせてもらったりよ。
いいとおもわないか?」
うーんそ、それは…
と考えていると。
「おっ顔が赤くなったぞ」
「何言っているんだよ。僕たちは健全な高校生だよ」
とトオルは恥ずかしいので前の信号を見る。
青になった。
「おっそうだ。エレーネ星人と地球人の間でメル友を募集しているサイトがあるから、
あとで教えてやる」
ふーんそんなのもあるんだ。
「そうだ俺、今日寄るところがあった。じゃあな。また明日」
「おう。明日」
親友は信号が青になると道路を渡ってから左へと曲って行った。
トオルは信号を渡ったあともそのまままっすぐ進む。
今日バイトだよな。
トオルは家に着くと、バイトの時間まで漫画を読んで過ごすことにした。
ぴぽっ。
PC宛てにメールが来た音だ。
トオルはメールの題名を見ると親友からだった。
多分帰りに言っていたメル友のことだろう。
トオルは時計を見る。
そろそろ行かなきゃ。
「バイトから帰ってきたらメールを読むか…」
トオルは家を後にした。

……

「ふー終わった。
しかし、あのおやじちょっと間違えたからといってあんなに怒らなくても…」
トオルはファミレスでバイトをしていた。
おやじというのは店の店長だ。
お客さんの注文を間違えて、別の席の人の所へ持って行きそうになったところを注意されたのだった。
さてと、メールを読みますか。
「トオルへ
エレーネ星人と地球人との間でメール友達を募集しているサイトを見つけたから
アドレスを送る。
検討を祈る。
なお、このメールはメールボックスがいっぱいになったら自動的に消滅する。
いじょ」
なんだよそれ…
まあいいか。
でもこのアドレス。
ワンクリック詐欺とか、いかがわしいサイトにつながるとかないよな。
トオルはメールに記載されていたアドレスをクリックした。
ブラウザが立ち上がり画面が表示される。
PCは自分の部屋にあるので、家族の人に見られる心配もないけど、
トオルは前、アダルトなサイトに接続し、生まれたままの姿の人の写真も
ちょっと。いや、何回か見たことがある。
どうやら、ブラウザを見ると健全なサイトらしい。
あっ本当にエレーネ星人だ。
顔写真と、紹介文、あと簡単な文章と連絡先が書いてある。
そういうのがずらりと表示されている。
うわあ結構いるなあ。
しかも結構かわいい。
でも体のサイズは地球人よりでかいんだよな。
たしか地球人なら手の平に乗せてしまえるほどの大きさだっけ。
まあ、メール友達なら気にしなくてもいいか。
トオルは紹介文や顔写真の雰囲気からよさそうな娘を選ぶことにした。
「おっなんかこの娘。かわいい。
なんか上品な感じがするし、いいところの娘さんという感じだな」
えーと場所はトエールミナ/第3シティ。
聞いたことないな。
しかも時差7時間とある。
どこだろう。
まあいいや。結構かわいいからきっと人気があるんだろうな。
返事が来るかわからないけど。
メールを出してみるか。
トオルはありきたりだけどメールを書くことにした。
「こんばんわ。
はじめまして。日本の村沢トオルと言います。
エレーネ星人と地球人のメル友募集ウェブサイトの
あなたの書き込みを見てメールを出しました。
もしよろしければ返信ください。
では失礼します」
まあ、こんなところか。
さてと、漫画でも読むかな。
トオルはPCから離れて本を手に取る。
飲み物もいるか。
トオルは飲み物を手にするため階段を下りていった。
その途中にあることに気がついた。
そういえば言葉通じるんだろうか。
さっきのメールは普通に日本語で書いた。
まあ、紹介文が日本語で書いてあったから通じるか。
飲み物を手にとって自分の部屋に戻ってくるころになると
エレーネ星人の娘にメールを出したことを忘れてしまっていた。

……
そして翌日。
今日はバイトが休みだ。
学校から帰ってきたらPCをつけた。
いつものとおり行動をする。
あっメールが来ている。
この題名は?
トオルはメールを開いてみた。
「こんばんわ。
私はトエールミナ/第3シティにすでいる。エリィといいまふ。
言葉がふれななので変になているかもしれません」
ぷぷっとトオルはその文面を見てくすっと笑う。
変だ。
「えーと私はこれから訪問することになるかもれない地球の人と
友達になりたいとおもたのでサイトに書き込みました。
メールが来ていたのでびくりしました。
私はとてもうれしいです。
トオルさんでよいですよね。
もしよかたら返信くさい。
/エリィ」
うーんところどころ日本語が間違っているけど意味はわかる。
返信が来ると思ってなかったのでうれしかった。
トオルは返信することにした。
「こんにちわ。エリィさん。
メール読みました。
メールの文章は少し変でしたけど、全然大丈夫です。
エリィさんはどこに住んでいるんですか、
トエールミナは聞いたことがありません。
エリィさん。趣味はなんですか。
じゃまたメールください」

なんかこういうのも楽しいなとトオルは思った。
メールを受け取るのが楽しみになる。
明日にはメールが来るかなとトオルは思った。