びー、びー、びー。
警報が鳴っている。

「これを見てくれ」
見ると侵入者の映像。
激しい戦闘だ。
「うわー。これ現実だよな映画みたい」
ハリウッド映画の1シーンみたいな場面。
「君達は格納庫へ行きなさい、我々があなた達を守り、敵を食い止めます。
それとこれを持っていきなさい。どうやら敵には地球人も含まれているようだ」
と映像を見るとロボットの姿も見える。
ロボットの大きさはかなり小さい。
でも隣にいるのはエレーネ星人で、比較すると小型犬ぐらいの大きさに見える。
ということは、地球人と比べると大きいことになる。
壁のボタンを押して盾のような透明なものと武器をエリィとメイちゃんに持たせた。
「あとはよろしく頼みますよ」
とその人は言うと消えてしまった。
「き、消えた。今までのは立体映像?
さっき壁のボタンを押していたよね」
僕たちは驚いたが科学技術の差を感じる。
「さあ。行こう」
僕はエリィの胸ポケット。
正人はメイちゃんの胸ポケットの中に入る。
エリィとメイちゃんの手には盾と武器。

廊下を進む。

……

指示された廊下を進む。
誰とも出会わない。
けれども先はどうなるかわからない。
僕はカードを取り出してみる。
目的の場所への図が表示されている。
「あともう少し」
「うん。わかったよ」
と廊下を走る。
廊下の曲がり角を曲ったときだった。
「あっ」
何かいる。
「わわわっ。あれなんだろう」
「気持ち悪い。何あれ。見方じゃないよね」
ロボットだ。
さっき映像で見たもの。
ここから見ると小さく見えるが、エリィ達と比べた場合だ。
僕が横にいったら大型の車ぐらいの大きさに匹敵するだろう。

急にそのロボット5台が近づいてくる。
全部で20台ほどだ。
そしていきなり、何か金属の円盤みたいなものがいくつも飛んでくる。
ひゅんひゅん。
「わわわ」
とエリィとメイちゃんはもらった盾をかまえる。
ぎゅん。
がこーん。
と盾に当たってそれは跳ね返る。
そしていくつかは壁に当たって刺さる。
「げっ。あんなのに当たったら体が真っ二つだよ」
「あんなのに当たったら、体がえぐれちゃうよ」
1メートルほどの直径の円盤は、ノコギリのような歯がついている。
地球人サイズの僕たちなら体は真っ二つになる。
エレーネ星人サイズだったら、当たったら体の一部がえぐれてしまう。
そんなのがいくつも飛んでくる。
盾があって良かった。
「きゃー」
「きゃー」
エリィとメイちゃんは言いながら盾を構える。
いくつかは盾に跳ね返り、壁に刺さるがいくつかはそのまま跳ね返り、
ロボットのほうへと飛んでいく。
そしてロボットに直撃し2台だけ壊れた。
もっと壊れればよかったのにと思う。

僕はすごく怖かった。
透明な盾なので、僕のほうに向かって飛んでくる円盤がまるみえだ。
寸前で盾に当たって跳ね返るがとっても怖い。

円盤の放射が止まった。
そして別のものが発射されてきた。
ひゅるひゅるひゅる。どどーん。
最初の1発は壁に当たって爆発する。
ばらばらと壁が壊れ壁の構造物が落ちてくる。
「きゃー」
そしてさらに、飛行物体が発射される。
その数は20。
ひゅるひゅるひゅる。どどーん。
ひゅるひゅるひゅる。どどーん。
ひゅるひゅるひゅる。どどーん。
盾に当たって阻止される。
僕たちから見たらバズーカ砲ぐらいの威力が感じられるが、
エリィ達から見たらロケット花火ぐらいの威力しかないんだろう。
1発エリィの腕に当たったが、少しやけどしたぐらいだったみたいだ。
そしてまた、エリィの体に当たって爆発した。
エリィの胸あたりの服が少しこげる。
「おわっ」
火花が体に当たる。
「わ。トオル君大丈夫?」
「うん」
今の飛行物体が飛んできた後はいったん攻撃がやんだ。
「平気。それ使ったら」
僕はエリィに武器を使うように言う。
「メイちゃん。武器を使うよ。どうやら粘性のものを発射するようだから狙いを定めるよ」
「うん」
構える。
そして発射する。
粘性のものが発射される。
びちょっ。
やった。
半数のロボットは身動きがとれなくなる。
ふっざまみろ。
でもあの粘性の液体。
ものすごい量だ。
あれを僕に向けて発射されたら、ひとたまりもない。埋まってしまうだろう。
そして息も出来ずに死んでしまいそうだ。
また、さらに粘性の液体を発射する。
一番離れているロボットに向かって発射された液体はロボットを捕らえる。
「動きが止まったよ」
「うん。今のうちに通り抜けよう」
と言ったときだった。
ロボットの赤ランプが点等する。
点等する間隔がだんだん早くなっていく。
いやな予感がした。
「エリィ。メイちゃん。ストップ。爆発するよ」
こういうときは自爆させるのがお決まりだ。
案の定。ロボットは爆発する。
どどーん。
どどーん。
もくもくと煙があがる。
廊下が瓦礫に埋まってしまった。
先は通れない。
そして、残りのロボットがこっちに向かって走行してくる。
げっ足止めをしなければ。
とエリィとメイちゃんは武器を構えるが、粘性の液体は空だ。
「あれ踏み潰せる?」
僕はエリィに言う。
爆発したら危険だけど、早く壊せば大丈夫じゃないか。
「うん。やってみる」
エリィはもしかしたら壊れないかもしれないと思って、
おもいっきり足をそのロボットの上に踏みおろす。
がしゃん。
ばきっ。
簡単に壊れる。
「あたしもやっつける」
とメイちゃんもそのロボットを踏む。
1台
2台
残りのロボットを破壊していく。

僕から見たらとっても頑丈そうなロボットは簡単に壊れていく。
胸ポケットの位置から見ているのでたいしたことのないように思える。
けれどエリィの足元からロボットを踏み潰すところをみたら、相当怖いだろう。
大型の車ぐらいのものがいとも簡単に破壊されていくのだから。
そりゃ、こんな巨体の女の子に踏まれたらひとたまりもないよなと思う。
でも良かった。
エリィ達がいて、僕たち地球人だけだったら、あっというまに殺されていただろう。
体のサイズが大きいととっても有利だなと思った。

そしてロボットは残り1台だけになった。
そのロボットは後退していく。
「あっ。逃げるよ。踏み潰して」
とメイちゃん。
「逃がさないんだから」
とエリィは言う。
「ちょっと走るからつかまって」
とエリィは言うと走る。
そして真上にジャンプする。
5メートルぐらい上にいっきに上昇する。
そしてロボットの上に両足で着地する。
ぐしゃ。
そのロボットはかなりうすっぺらくなった。
エリィがジャンプして上に乗ったのだ。
よし、すべてのロボットの破壊完了。
僕はそれを見届けて、瓦礫でうまった廊下を見る。
迂回路はと。
僕は壁の向こうに部屋があるのを見つけた。
その部屋の出入り口は2つあり、反対側の出入り口から、先に行けることがわかった。

「さあこっちから行こう」
「うん」
「はい」
「おー」

それぞれ格納庫へと向かって進む。

……

その後は、ミッションの目的地に向かって移動する。
ここからも大変だった。
今から3000年前のエレーネの衛星軌道上。
エレーネの母星に向かって落ちていく小惑星の破片や隕石。
その破壊をすることになったのだ。
そこには、若い航さん(僕と同じぐらいの歳だ)
航さんの子供のアキラさん、アキラさんの子供のリアちゃん、そのほかにペレさん。
それら一行で隕石の処理をする。
他の2組の人達というのはこの人達だった。
隕石の破壊は、シューティングゲームよりもずっと難しくとっても疲れた。
途中、台の上から僕は落ちたとき、とっさにエリィの尻尾によってキャッチされ、
床にたたきつけられるのを免れたこともあった。
なんとか目的の隕石をすべて破壊し終わる。
そして帰ることにした。

……

「ごわー終わった」
正人も僕も、エリィもメイちゃんもくたくただ。
宇宙船は自動的に地球へ向けて帰る軌道をとっている。
ある惑星に向けて降下していく。
何かの基地がある。
惑星上に降り立ったとき、例の人が現れた。
「よくやったね。お疲れさん」
「あなたは…
無事だったんですね」
「はははっ。
君たちももう知っているかもしれないけど、
立体映像なんだ。
実際は別のところにいるよ。
でもこうして現実のものに触れることができるから、
リアリティがあるだろう」
うん。まったくわからない。
すごい。
でもこの人は相当偉い人なんだろうか。
自分は安全なところから指揮をとる。
まあそれが安全で、合理的なのかもしれない。

「君達の宇宙船もここに運んでおいた。
この後は、これに関する記憶を消去させてもらう。
君たちは、今までオリオン座の馬頭星雲に行けなくなって、
土星と木製を見に行ったという偽の記憶で埋めさせてもらう。
あとこれはほんのお礼なんだけど、受け取ってほしい」
とエリィのカードに情報が転送される。
それはお店だ。
小さい個人営業規模のものであるが喫茶店のような感じのお店だ。
そのお店のマスターはエリィだ。
「あ。あたしお店のマスターなんてできないよ」
「大丈夫。高性能のアシストロボットがお手伝いをしてくれるし、
そんなに大変ではないから。政府機関に働きかけて補助金も毎月だしてもらうようにするから、
もしお客さんが1人も来なくても十分に暮らせると思う。
それにトオル君は、そこでアルバイトをして経験をつんでから、
学校を卒業した後に、エリィさんと一緒にお店をやればいいと思う。
それなら、ずっと一緒にエリィさんといることが出来る」
あっそうか。
接客業は今までしたことがあるし、
マスターはエリィだし。
エリィがマスターなら、うるさく言われることもないし。
働いているときもエリィとずっと一緒だし。
うんいいかもしれない。
「そして君達にはこれとこれだ」
とメイちゃんのカードには、地球の学校への留学の手続き(有名な学校で授業料は高額だがすべて免除)。
正人には1人用の宇宙船がモニター当選したというものだった。
「ごわー。いいのかこれ。
あとで返せっていってもだめだからな」
「いいんだよ。それとその宇宙船が壊れたら永久的に最新のものと交換してもらえるようになっているから…」
「す。すげー。ありがとう」
「あたし。地球に来てから地球で学びたいと思っていたの。ありがとう。あたし頑張って立派な人になるね」
「良かった。
一応。今後は一定期間監視させてもらう。
敵対する組織から狙われないともかぎらないからね。
でも。それはないだろう。もう終わったことだ。
歴史は正常だ。
じゃ、ちょっと失礼」
とその人は僕たちに向けて何かを放射する。
記憶を操作するものだ。
「土星付近についたら、関連の記憶がなくなるようにしておいた。
お元気で。あそこにエリィさんの宇宙船が留めてあるから」
とその人は言った後、消えた。

……

地球に無事についた。
エリィの家に着く。
郵便で何かが届いていた。
それは地球の政府とエレーネの政府からのお店のモニター依頼だった。
モニターといってもお店を1つプレゼントされたというのと同じだ。
地球人とエレーネ星人相手の喫茶店。
メイド喫茶というのがあるが、それのエレーネ星人版だろう。
地球人は大きい体のエレーネ星人の女の子が目的。
エレーネ星人は、ミニサイズの地球人が目的。
エレーネ星人の女の子と、地球人の男の子を数人アルバイトで雇わないといけないらしいが、
面倒なことはすべてエレーネの政府がやってくれるとのことだ。
それと高性能のアシストロボットも送られてくるらしい。
モニターの報酬も毎月振り込まれるが、レポートをエレーネの政府に送る必要がある。
「あー。でも良かった。あたしは働く場所を見つけないとと思っていたんだ。
ねえ。トオル君?ここでアルバイトしない?
ずっと一緒だよ」
「あ。ああ。そうだな。いいかも…」
喫茶店だったら制服がいるかなと思った。
僕はエリィの尻尾を見る。
「ねえ。明日。買い物に行かない?。
そのお店を見に行くのと、お店で着る制服がいるんじゃないかな」
「うん。そうだね。かわいい服がいいな」

……

「えー。これをつけないといけないの?」
エリィは少し涙目になる。
「うん」
これを逃すとつけてくれないだろう。
エリィは手に猫耳カシューチャを持っている。それも特大サイズのを。
直径は身長ほどもあるだろう。

尻尾があるエリィにとっても似合いそうだったから頼んだのだ。
「トオル君が言うなら、つけてみるね。
でもトオル君じゃなかったら、絶対つけないよ。
とっても恥ずかしいんだから」
とエリィはひらひらのメイドっぽい黒い服を着ている。
ずっと前のアニメ。魔女の宅急便の女の子といまどきのメイド服を足して2で割ったような感じの服。
それと尻尾。
これに似合うものって言ったら猫耳だろう。
「ど。どう?」
エリィはとっても恥ずかしいみたいだ。
とってもかわいい。
エリィがメイド服を着て。
服の後ろから尻尾を出している。
そして頭には猫耳。

とってもでっかい、
身長が16メートルを超える猫耳少女がそこにいた。
なんかいい。
萌える。
これでいこう。
僕はこういった。
「採用」
「えー。本当にこれにするの?」
「うん」
「はー」
すごくかわいい。
「尻尾をブラッシングしてあげるから」
エリィは涙目でこっちを見る。
その表情もかわいい。
「うん。トオル君がいうなら頑張るよ」

……
1週間後。
正人はメイちゃんからの電話に出ていた。
「なんだ。お前かよ。この前の地球からの帰りにゲートのテロに巻き込まれて、
宇宙のもくずと消えたんじゃないのか」
「全然平気だよ。テロももう起こっていないし」
「なんだよ。もう切るぞ」
「ああ。待ってよ。ねえあたしが地球の学校へ留学するって聞いたらどう思う?」
「えー。そうなの。やめろやめろ。
迷惑だ。
地球の政府が反対するだろう。
このままだと地球が壊滅するって言うぜ」
「何よ。このばか正人。そんなわけないじゃん」
「へーんだ。このおてんば凶暴娘。
お前が地球に遊びに来た後、都市が3つほど壊滅したんだからな」
「そんなわけないじゃん」
「へーんだ。お前が1歩歩いただけで地球人10人ほど死ぬぜ」
「そんなわけないじゃん。ばーか」
「ばーかはお前だ。お前が道を歩くと地面にひびが入るんだよ。
だから来るな。
道の修理費用もばかにならないんだからな、国家予算がなくなるわ」
「なによ。あたしサイズの子もいっぱいそこのあたりにいるじゃない」
「お前は特別なんだよ。怪獣だからな。ばーか。もう地球に来るなよ。
おてんば娘。怪獣。100トンデブ」
「ふーん。そんなこと言ってもいいのかな」
「いいんだ。どうせもう会うことないし…」
「正人お兄ちゃん?」
「なんだ」
「後ろ見てみ」
後ろ?
おそるおそる振り返る。
すると真後ろには巨大な2本の柱。
それは誰かの足だ。
そして上を見上げると、見覚えのある顔。
「ご。ごわー。なんでお前がここにいるんだ」
びっくりしてひっくり返る。
「ふっ。地球の学校へ留学するんだ。
ところでさっき散々悪口を言っていたよね。
人のことを怪獣とか」
「えっいやその」
「怪獣は人を踏み潰してもいいんだよね」
とメイちゃんは正人に向かって足を上げる。
「おい。待てよ。やめろ。ふりだけでも怖いんだって」
正人は地面をはいずりながら芝生のほうに下がる。
「こら。やめろ野蛮人。怪獣」
「ふっ。まだそんなことを言っているのかな。
もし踏んだらイチコロだよ。
ほら」
「わー」
と正人の2メートルほど隣に足が踏み下ろされる。
「あっ外しちゃった。真上で寸止めしようと思ったのに…」
「そんなことしたら死ぬわ」
「あははっ。冗談だよ。よいしょっと」
とメイちゃんは足を上げる。
正人は隣を見る。
芝生のあった地面が、メイちゃんの足の大きさだけ20センチほど沈み込んでいる。
「そんなことしちゃいけないんだぞ。ほらみろ。芝生がかわいそうだ」
「あっちゃ」
メイちゃんはてへっと舌を出す。
「じゃ行こうよ」
「どこに?」
「あれっ聞いていなかったの?
今日はエリィお姉ちゃんのお店が開店する日。
かわいい子もいるよ」
「何?
それ本当か。
くっそどおりで、トオルは早く帰ったわけだ。
俺に何も言わずに…」
「さっきのことを謝るなら。あたしの胸ポケットに入れてあげる。
謝らないなら、正人のことをひと踏みして成敗してから、あたしは行くけどどうする」
ごくり。
「ごめん。俺が悪かった」
「よし」
メイちゃんはポケットに入れてくれた。
久しぶりだこの高さ。
見晴らしが良い。
それにあたりにあるものは地球人サイズのものなのですごく高く感じる。
きゅうにメイちゃんは歩き出した。
「ごわっ。急に歩くなよ。ポケットから落ちそうになったぞ」
メイちゃんが歩くと1,2メートルぐらい上下する。
「いちいち、正人のことをかまって歩くわけないじゃない。
エリィお姉ちゃんなら別だと思うけど…」
くっおてんば娘め。
俺は下からメイちゃんを見上げる。
メイちゃんはまっすぐ前を見て歩いている。
こうして下から見上げるアングルも好きだった。
「そら。歩け歩け」
「なによもう。あたしのポケットに入っているからって命令しないでよね。
たまにはあたしを負ぶって歩いてよね」
「それ無理だ。怪獣よ」
「なによ。怪獣。言うならここから捨てていくよ」
「ごめん。もう言わない」
「ふふっ。よろしい」
さてとこれからエリィのお店に行くけどかわいい子いるかな。
正人は思った。