5月。
連休が終わった後の平日。
仕事も忙しくはないので有給をとった。
そして、僕は足踏みマッサージを体験できるお店の前にいた。
けれども普通の人が足踏みマッサージをするというのではない。
身長が20倍ぐらいの異星人の女の子が踏んでくれるというもの。
体験できるのはこの町のこの店だけだ。
身長が20倍なら、そのまま素で踏まれると天国行きなのは確実。
けれども大丈夫。
きちんと対策がとられていると聞く。
僕はそのお店の中に入った。

「いらっしゃいませー」
と声をかけてきたのは普通の人。
普通のお店だなと僕は思った。

「こちらに記入をお願いします」
と紙を渡される。
「あと。念のためこちらの掛け捨ての保険にも加入してもらいますね。
万が一。事故でお亡くなりになった場合のものです。
あっ。そんな顔しなくても大丈夫ですよ。絶対安全ですから」
と見た目かわいい女性の従業員は言う。
多分大丈夫なんだろう。
今まで事故は起きていないし…
僕は紙に記入していく。

心臓病、心臓発作等の持病はありませんか?:なし
最近一週間は病気、事故などで病院にかかられたことはないでしょうか?:なし
体調は良好でしょうか?:はい
癌、や病気等で医者から余命が宣告されてはいないでしょうか?:はい
今まで自殺しようと思ったことはありますか?:ない

とこれだけだった。
なんの意味があるんだろうと思いながら紙を受付の人に渡す。

「ちょっと待ってくださいね。調べますから…」
と数十秒待たされる。
「はい。問題ありません。それではお好みの女性をお選びください」
とモニターに女の子の一覧が写真付で出る。

ふーんこんな風になっているのか。
と一覧を見る。

大人しそうな女の子。
小柄な女の子。
元気そうな女の子。
つんつんしていそうな女の子。
大柄な女の子。
いろいろだ。
うーん誰にしようかな。

「一番人気はこの子です」
と受付の女性は一人の女の子を示す。
元気そうな、体格は普通の女の子だ。
うん。
この子にしよう。

「じゃ。この子でお願いします」
「はい。わかりました。7番の部屋です。
部屋までの移動にはカートを使ってください。広いので移動には10分ぐらいかかります」
そうなんだ。
僕は受付の女性に会釈して廊下を進む。
今日は連休後の平日だけあって誰もいない。
なんか異世界に迷い込んだみたいだ。

数年前。
突如として現れた異星人。
しかも身体サイズは20倍ぐらいが平均だ。
地球人より小さい子もいれば最大で25倍ぐらい大きい子もいる。
今ではすっかりなじんでいる。
このお店も1年前に出来たもの。
巨大な女の子に踏んでマッサージをしてもらえるというので、開店時は混雑したらしい。
今まで事故はないが、年齢制限はある。
20歳以上50歳未満。
高齢だと身体が巨大な女の子のマッサージに耐えることができないためだ。

カートで廊下を移動する。
廊下といっても体育館の中を移動するようなものだ。
通路の横幅はかなりあるし、天井も異常に高い。
サイズが異星人の子に合わせてあるんだろう。

本当に移動には10分かかった。
扉は人間サイズだ。

「失礼します」
と僕は言って扉を開ける。
すると、部屋にはモニターがあり1人の女の子が映っている。
「こんにちわ。あなたはここに来るのは初めて?」
とモニターごしに女の子が聞いてくる。

「は。はい。そうです」
僕は少し緊張しながら言う。

「大丈夫ですよ。かたくならないで。
ほら。
リラックス。
リラックス。
こちこちになった体をほぐしてもらうためにここに来たんでしょ。
でも初めてだと緊張するか。
自己紹介するね。
あたしはひかる。
よろしくね」

「どうも。僕はコウジです」
「よろしく。コウジさん。
ためでいいよ。敬語はなし。
ねっ」
「はい。
いや。うん」
僕は言う。

普通の子みたいだ。

「じゃ説明するね。
次の部屋に入る前にコウジ君は着替える必要があるの。
圧力分散ウェアといって、体にかかる荷重を分散してくれるの。
いちおう下着になってから、その上に着ること。
わかった?」

「うん」
僕はモニターの横のハンガーにかかっている服を見る。
アニメにでも出てきそうなスキンタイトの服だ。
これを着ていたら宇宙にも出ることが出来そうと思った。

「着替えたら。ドアから中に入ってね。
あと、わかっていると思うけど。あたしの大きさにびっくりしないでね。
身長はあなたの20倍ぐらいあるから」

それを聞いてもぴんとこない。
直接見たことはないからだ。

僕は服を脱いで下着姿になる。
そしてその服を着る。
着心地は良い。
こんなので荷重を分散してくれるんだろうか?
まあ、これも異星のテクノロジーなんだよな。と思った。
壊れていたりしないよな。
壊れていたらどうなるんだろうと考えた。
いいや大丈夫だろう。
点検はしているはず。
僕は着替えが終わってドアを開ける。
そしてそのまま進む。

そして後ろから声がかかる。

「こんにちわ。コウジ君」
えっ。
後ろを振り返る。
うわっ。
思わず声を出すところだった。
そこには身長30メートルちょっとの女の子がいた。

「やっぱりびっくりするよね。
こわがらなくていいよ。
あたしは1歩も動かないから、あたしの足元に来てくれると話がしやすいんだけどな」

「うん。わ。わかった」
僕はおそるおそる歩いていく。
歩いて近づくにつれて大きさの差がわかってくる。
これは現実だよな。
映像やCGではないんだな。

僕はひかるの足元に近づく。
そして上を見上げる。
着ているものは普通だ。
しかもスカート。
スカートは、はるか上でひらひらしている。
そしてスカートの奥。ずっと上。
電柱の天辺より高い位置に苺がらの何かが見えた。
もしかしてパンツ?

「あっ。やっぱりみんな見るね。
あたしのパンツ見えるでしょう。
エッチなんだから」

「えっ。いや。その。
ごめん。
たまたま見えただけで…。
その…」

「あははっ。いいって。
わざと見せているの。
サービス。
サービス。
でね。どう?
あたし。
とっても大きいでしょう?」

「うん」
そうだ。
とっても大きい。
足首の高さも僕の背より高い位置にある。
2メートルぐらいか。
ひかるのひざまでの高さは電柱のトランスより高いんだろうか?
うんそのぐらいだ。
お尻の位置はずっと上、電柱の天辺より高い位置にある。
そしてすごく上に彼女の胸。
結構胸あるなと思った。
すごく上にあり、ここから見てもそのボリュームはわかる。
目の前でその胸を見たら、すごくでかいんだろうなと思った。
そして顔。
20倍ということは、彼女の身長は30メートルぐらいなんだろう。
でっかい。
すごくでっかい。
にこにこしている彼女は僕を見下ろしている。
そして足もでっかい。
足の長さは僕の身長の何倍あるんだろう。
と考えていると彼女が言った。

「これからマッサージを始めるけど。簡単に説明しておくね。
最初にあなたが着ているスーツが正常に動作をしているかをチェックしてから、
あたしの足の裏を使ってマッサージすることになるの。
あそこの台の上に横になってもらえればいいんだけど、
あなたが着ているスーツが圧力を分散してくれるから心配はいらない。
あっそうだ。聞くのを忘れていたんだけどコースはどれにする?
いちおう4つあるの。
ビギナーコース(50)。
ノーマルコース(80)。
エクストラコース(130)。
ハードコース(300)」

「うーんどれがいいかわからないや、違いは?」
「それぞれのコース名には括弧で数字があるんだけど、
その数字は体にかかる圧力の最大値。単位はkgだから。
ビギナーコースだと体には最大で50kgの力がかかるわけ。
ハードコースだと最大で300kgの力がかかるの。
どれにする?
値段は変わらないけど。
あなたは若いからハードコースでも十分耐えることができそうね。
どう?」

ハードコース?
300kg?
うーんどうだろう。
ビギナーコースだと普通の女の子に踏まれているのと一緒だし。
よし、ハードコースにしようか。
せっかくだし。

「じゃ。ハードコースで」
「おっ。やるわね。
じゃちょっとスーツを調整するわね」
とひかるは、手に持った機械を僕の体にあてがう。

「よし、スーツの機能は正常ね。
416トン以上の圧力も平気で分散できるわね」

「えっ。416トンって」
僕にはそう聞こえた。
「あはっ。聞こえちゃった?
それあたしの体重。
きゃ。はずかしい」

体重?
「ご。ごめん」
僕はあわてて謝った。
「いいって。でも内緒よ。誰かに言ったら踏み潰すから」
「えっ?」
「やだ。冗談よ」
それを聞いてほっとした。

「じゃ説明するわね。
コウジ君は、あそこの台の上に横になってくれる?
注意しないといけないことがあるの。
絶対縦向きにならないこと。
スーツの調整がずれて、怪我をしてしまうことがあるの。
でも安心していいよ。
スーツを着ていれば最悪。怪我だけですむから。
スーツがなかったらお陀仏だけど。
でね。その台には圧力計がついているの。
あたしが足の裏であなたを踏んだときの圧力が表示される。
その数字は生のもの。
スーツのおかげで圧力を分散して、最大で300kgまでしかかからないから。
それでもあなたにとっては300kgだから、すごく苦しいと思う。
だからずっと踏まないようにするわね。
ぎゅ。
ぎゅ。
という感じにする。
どうしても苦しくて耐えることが出来なかったら、台についているボタンを押してね。
そうしたらあたしにもわかるから。
でもハードコースだから結構苦しいから覚悟しておいてね」

「うん」
300kgか、どうなんだろう。
でも元の力とは桁違いだ。
素で踏まれたらどうなるんだろう。
きっとものすごい力なんだろうな。
まあいいか。
僕は台の上に横になる。
その台は少しやわらかい。
丁度いい硬さだ。

「準備はいい?」
「うん」
「じゃほんの軽く。あたしから見たら触っているかどうかってぐらいで踏んでみるね」
「うん」
ぎゅ。
おっ。
ぎゅっと腰全体に力がかかる。
お”
以外に強い。
目の前の圧力計を見てみる。
目盛りは7000kgちょっとを指している。
そしてその横には体感の圧力が出ている。
30kgほどだ。
これぐらいならまだ平気だ。
でもほんのちょっと触っているかどうかってぐらいの力で踏んでも7000kgか。
身長がでっかいからすごいなぁ。
生だったらもう死んでいるなと思った。
ぎゅ。
ぎゅ。
軽く腰に力がかかる。
お。
お。
結構気持ちがいい。
地球人の女の子に踏んでもらったことはないけど、
一部だけではなく腰全体に均等に力がかかるのでいい。

「結構気持ちがいいね。
それに踏まれている腰の部分が、ひかるの足の裏の体温で少しあったかいし…」
「うん。
よかった。
実はあたしの足の裏はホットストーンの上に乗せていたから温かいようにしているの。
これもサービス。
丁度いい温度だと思うのよね。
さて。
本格的に踏むわね。
目盛りの数字が増えるから見ておいてね」
うんと返答をしようとしたときに背中の押さえつけている力がなくなった。
ぎゅうううう。
ぐっ
急に押し付けられた。
すごい力だ。
息がいっきに苦しくなった。
そして背中の上に乗っていた彼女の土踏まずの感触がなくなる。
そしてまた。
ぎゅうううううううう。
と踏まれる。
ぐ。
息ができない。
目盛りを見てみると122200kg。
ということは122トン?
体感の圧力は98kgだ。
ぎゅー。
ぎゅー。
りずみかるに踏まれる。
そしてずっと踏まれているのではないので足が離されたときに一息つく。
ぎゅー。
ぎゅー。
目盛りを見ていると結構ばらつきがある。
143800kg
98000kg
113000kg
101800kg
ぎゅ。
ぎゅ。
「ねえ。大丈夫?」
ひかるが声をかけてきた。
大丈夫と言おうとしたときにぎゅっと踏まれる。
ふぐっ。
息が強制的に吐き出される。
「は。はあはあ。今のところは大丈夫。
でも今。はぐっ」

「わあ。ごめん。踏むのいったんやめるね」
とひかるは足をどけてくれた。
「はあ。
はあ。
大丈夫。
でも思ったより苦しい。
けれど、ひかるが踏んでくれる力加減が絶妙で気持ちがいいよ。
腰全体に重さがかかるからいい」
「良かった。
でも苦しそうね。
これでもノーマルコースよりちょっと強い感じで踏んでいるんだけど、
続ける?」
「うん。
まだ。
大丈夫だよ。
あとしゃべっているときに踏まれたら話せないから止めてくれる?」
「うん。わかったわ。
じゃ。再開するわね。
次はあなたの足をマッサージするね。
やっぱりあたしから見た地球人の足は細いから、気を使っちゃうのよね。
踏んだらぽきりと折れそうで。
スーツがあるから大丈夫なんだけど。
あっそうだ。
あたしが踏んでいる間。足は持ち上げないでね。
変な姿勢のまま踏んじゃうとぽきっといっちゃうから。
あなたの足が…」
「うん。
わかった」
そうだ。
彼女はでっかいんだ。
ちょっとしたことでも怪我をさせちゃう可能性があるんだな。
僕は足を動かさないようにした。
そして足踏みマッサージが再開する。
ぎゅうううう。
僕のお尻が踏まれる。
そして太もも、ふくらはぎの順に重さがかかっていく。
僕の足がひかるの足の裏の土踏まずによって、などられていく。
踏み踏み。
ぎゅぎゅ。
ぎゅううう。
踏み踏み
ぎゅぎゅ。
ぎゅううううう。
いい感じだ。
胸も圧迫されるが最初のよりは苦しくない。
ちょっと足が踏まれているときは痛いけど。
心地よい重さだ。
目盛りを見てみると大体90トンぐらいの圧力で踏まれていることになる。

「どう?
気持ちよかった?」

ひかるは僕が答えるまで踏むのをやめている。
「うん。
絶妙な力かげんがいい。
足も適度に踏まれたおかげで軽くなった気がする」

「そう。よかった。
これでもあたしはプロだもんね。
今まで何人ものお客さんを相手にしてきたから、こつをつかんだの。
じゃあ今度は仰向けになってくれる?
あなたの胸とお腹を踏むんだけど、MAXの力で踏むから。
あと、あたしが踏むところを見ていることもできるし。
もちろんいやだったらうつ伏せで腰を踏むけど…
どうする?」
うーんどうしよう。
身長が20倍の女の子に踏まれるところ。
こんな体験はできない。
しかも全体重をかけて踏まれても、僕は潰れて死ぬことはない。
巨大な女の子に踏み潰される体験という感じだ。
「うん。いいよMaxの力で踏んで」
「あなたも踏まれフェチね」
「えっ」
「いいや。なんでもない。
じゃいくね。
かなり苦しいから3段階で踏むね」
僕は仰向けになる。
そして彼女は足をふりあげる。
あっ。
足を上げるとパンツも見える。
「サービスで、演技もつけてあげる」
とひかるは言って。
「あー。あたしのパンツ見たでしょう。
いやー。
こうなったら踏み潰してやるぅ。
死んでおわびしろー」
と彼女の声。
そしてぐわっとあがった足がだんだん落ちてくる。
ぐ。
ものすごい迫力だ。
こんなの見たことない。
4メートルぐらいある足が踏み下ろされてくる。
素だったらちびっているだろう。
足が踏み下ろされるまでの時間は何秒もあるかのように感じた。
でも実際は1秒以内だったみたい。
ぎゅうううう。
ひかるの足の裏。
足の裏の盛り上がったところによって、僕の胸は押さえつけられている。
そしてぎゅううううと踏まれる。
すごい重さだ。
息はまったくできない。
「ふっ。いちおう今は手加減しているんだけど。
目盛りは。
198トンね。
どう?
まだ大丈夫のようね。
さっきの罪は重いわよ。
あたしの重さを感じなさい。
それっもうひと踏みするわね。ぎゅーと潰れなさい」
ぎゅうううううう。
ぐ。
ぐるじい。
目盛りを見た。
258トン
302トン
330トンで止まった。
体感の力は149kgだ。
「まだ潰れていないみたいね。
今度はいっきに踏んであげるわ」
と足をいったん上げてまた踏まれる。
ぎゅーうううううううううううううう。
息がまったく出来なくなった。
目盛りは
273トン
385トン
ぎゅううううううううううううう。
416トン
Maxだ。
体感の力も298kg。
ぐ。
ぐるじい。
息もできない。
息を吐き出したらこのまま潰れてしまいそうだ。
ぐるじい。
もうだめ。
ぎゅううううううう。
目盛りは
420トンから399トンの間をいったりきたりしている。
「ふっ。
これで踏み潰し終わり。
この後はマッサージに戻るね」

はあ。
はあ。
はあ
息をするのでやっとだ。

「今のはハードコースだけのものでした。
これから普通に足踏みマッサージに戻るけど休む?」
はあ。はあ。はあ。
まだ息がつらい。
そしてものすごい重さがかかったので体が痛かった。
「うん少し休むよ」
でもすごかった。
迫力が違いすぎる。
恐竜に踏み潰されるようなもんだ。
でも恐竜より重いかも。
サイズモザウルスよりも相当重いんだし…。

「ちょっと踏みすぎたかな。
みんな苦しいと言うの。
そして体があちこち痛いと言うの。
あなたも同じでしょう。
でも安心していいよ。
あたしの足踏みパワーであなたの体は楽になるから。
これは保障する。
10分休憩ね。
あたしも水分を補給しないといけないからちょっと出るわね」
「う。うん」
彼女が歩いて去っていく。
あっというまに遠くに離れていく。
歩幅がものすごい。
ひとまたぎで相当の距離を歩いてしまう。
そして彼女が歩くたびに振動を感じる。
そうだ。
国道で大型トラックやバスが通ったときの地響きみたいだ。
でもそれよりもすごいけど。
この床ものすごく丈夫にできているなあと思った。
普通の道路をひかるが踏んだら陥没するだろう。
やっぱり異星のテクノロジーかと思った。

そして10分後。
足踏みマッサージは再開した。
僕はうつぶせになり、ひかるは僕の腰や体全体を踏んでいく。
踏み踏み。
ぎゅううううう。
ぎゅううううう。
目盛りを見ていると踏むたびに圧力が全然違うのがわかる。
一番軽いのは30トンから
一番力をかけていると思ったときは388トン
ぎゅうう。
ぎゅううう。
踏み。
踏み。
彼女の重さがいっきに腰にかかる。
でも体感の力は最大で300kgまでだった。
平均では98kgぐらい。
彼女の足が大きいので力は分散されている。
ぎゅ。
ぎゅ。
リズミカルに踏んでいく。
心地よい。
眠りそうにもなるが、たまにすごい力で踏まれるので
意識がそのときに覚醒する。
ぎゅ。
ぎゅう。
ぎゅ。
ぎゅうううううう。
ぎゅ。
ぎゅ。
なんかいい。
丁度いい。
さすがプロだ。
踏み加減は丁度いい。
そして30分後。
ひかるは踏み終わる。

「すごく良かった。
最後は気持ちが良くて寝ちゃった」
「うん。ありがと。
みんな最後は寝ちゃうのよね。
だからあたしはあまり重さをかけないようにそっと踏むんだけど、
それが大変でさ、足が筋肉痛になるの。
でもおかげで足は細くなったわね。
足を使っているから、余分なお肉がつかないの」
そうなんだ。
僕は彼女の足を見る。
健康的な足だ。
しかもものすごく長い。
けれども太さは相当なものだ。
巨木の太さにも負けないぐらいの太さ。
きっと人の20倍は太いに違いない。
まあ足が太いとは言わないけど。
さてともうそろそろ終わりかな。
と思って彼女を見上げる。

「うん。今日は終わり。またきてくれるとうれしいな。
あたしは金曜日と火曜日以外ならいるから。
でも休日は込むの」

「うんーん」
と僕は伸びをした。
とっても体が軽い。
楽だ。
「どうもありがとう。
これ。くせになりそうだよ。
時間があったらまた来るよ」

「うん。楽しみにしているねコウジ君。
帰りはそのスーツを脱いでいってね。
たまに忘れていて、受付までいって気がつく人がいるから」
「あっそうだ。忘れていた。
あまりにも気持ちが良くて。
放心気味だった。
うんありがとう。
じゃまた。
きっとまた来るよ」

とにこにこ顔のひかるの顔を見る。
彼女は手をふっている。
僕も手をふって挨拶するとその部屋を出た。
そしてスーツを脱いで着替える。
ふう。
楽しかった。
そして思いがけない体験もできた。
身長が20メートルを超える女の子に踏み潰されるという体験。
そしてマッサージ。
ものすごく気持ちが良かった。
絶妙な力かげんがいい。
また来よう。
料金は28000円なんだけど。
その価値はあるかなと思った。
僕は部屋を出てカートに乗った。