加圧マッサージのモニターもあと1週間ほどで終了となる、とある日。

「今日は資材を運んでもらうわ。人手不足なの。
モニターの資料もだいぶ集まったし、後は営業へ向けての準備だけ。
以外に早く事業を開始できそうよ」

「ふーん。
じゃあもう。バルーンの中に入ったり、薬を飲んで、踏み潰されなくてもいいの」

「まあ。当面はないわね。
でも、営業が開始したあとも、新薬の開発は続けるし、バルーンの調整もある。
だからお願いがあるの。
あなたには臨時の職員としてきてほしいの。
主に今までと同じモニターね。
新薬や、機器の調整後に、安全かをあなたがモニターしてほしいの。
でも、今までみたいに新規開発じゃないから、危険性はないけどね。
だから給料も今までのように高いとかは、ないけど。
暮らしていく分には十分よ。
どう?」

「そうだな。ミミちゃんと一緒ならいいけど…」

「そう。ミミちゃんも一緒にお願いできる?」

「うん。あたしはいいよ。君と一緒なら…」

と一日が始まった。

……

「このテーブルと椅子はこの部屋へ運んでおいて」
と場所を示される。

「わかった」

「ミミちゃんは、敷物をまとめて運んでくれるかな」

「はーい」

指示を出してくるのは、僕と同じ地球人の男性。

……

「ねえ。ミミちゃん、そこのゴミ箱もお願いできるかな。
廊下の前に置いてといてほしいんだけど。手が離せなくて」

「いいよ」

とミミちゃんがゴミ箱をまとめて10個ぐらい、手でにぎる。

ばきばき。

「あ。やっちゃった。力いれすぎたみたい…」
潰れちゃっているゴミ箱。

まあ、軟らかいプラスティック製だし…
「頼まないほうが良かったかな。
じゃあ。あそこの自動販売機をお願い」

「ごめんなさい」
ミミちゃんが潰しちゃったゴミ箱を片付ける僕。
やっぱ、こういうものは力かげんが難しいのかな。
普段にぎらない物だし…
ミミちゃんにとっては、思ったより軟らかいものなんだろう。

ゴミ箱を見る。
広げれば使えると思うけど、プラスティックにひびも入っているし、色も変わっている。
だめだな。
まあ、安物だし…

「あれ。以外に重いよ。これ」
というミミちゃんの声が聞こえる。
そっちのほうを見ると、ミミちゃんはレンガを持ち上げるかのように、自動販売機を指でつまんで持ち上げるところだ。
その様子を僕は見ていたんだけど。
ミミちゃんが自動販売機を持ち上げたとき、
ぐにゅ。
べこ。
という音が聞こえてきた。

「へこんじゃったよぉ」
と言い、こっちを見てくるミミちゃん。
床の上に自動販売機を下ろす。
みごとに、ミミちゃんがつまんだあたり(自動販売機の側面)がへこんでいる。

「金属製だと思ったから、へこまないと思っていたのに…
また壊しちゃった…」

「これもだめか、じゃあ敷物とか、僕らには運べないような大きいものを運んでくれるか」

「うん」
しょんぼりしながら、奥へ向かうミミちゃん。

僕は自動販売機を見る。
そして側面を触ってみる。
みごとにへこんでいる。
ぎゅ。
押してみるが、地球人の力では、べこっと全体をへこませることはできない。
力いっぱい押しても、同じようにへこませるのは無理だ。

きっと金属製で、丈夫だと思って普通に力を入れたんだろう。
力かげんを間違えたら大変だな。
でも、僕自身はミミちゃんの手に握られることもあるけど、かなり力は加減していてくれる。
サラはぎゅっと握ってくることがあったけど、最近はない。
そういえばどうしているだろう。

あの後は家に遊びに行っていないし、今週はずっとミミちゃんと一緒だった。
誠一とどうなったか、聞きたいし。

……

「お疲れ様」
僕達はスタッフの人に挨拶をして帰路につく。
今日からはミミちゃんの家にごやっかいになることにした。
会社で泊まっているところは、ペンキの塗り替えとか、改装工事が入るとのことで泊まれなくなってしまった。
他の人はホテルとかで寝泊りするみたいだが、僕はミミちゃんの家。
ホテルに泊まるんだったら、家に来てと、ミミちゃんからお願いされたのだ。

……

「はぁー。疲れたよぉ」

どさっとソファの上に倒れこむミミちゃん。
そんなミミちゃんを見て、
胸ポケットの中に入っていたら、下敷きだな。
胸とソファの間にはさまれて。むぎゅっと。
ミミちゃんなら、いいかと思ってしまう。

そんなことを考えていると、サラが居間に入ってきた。
「大変だったみたいね。
あたしも今日は最悪な日だったわよ」

「どうしたのさ。料理教室で何か爆発でもさせたのか?」
とサラに聞いてみる。
いつもなら何かをしてくるということは無かった。
「していないわよ!
あんたを手で握って、体の中身を出すわよ」
とサラに言われる。
機嫌が悪いようだ。

「なんだよ暴力発言。誠一君にいいつけるぞ」

「誠一君はもういいの…」
えっ
「何でだよ」
まさか失恋か?

「もうすでに他に恋人がいるんだって、つい2、3日前に彼女から告白されたみたいなんだけど…
それを受けちゃったみたい…
くー。もうちょっと前にあたしから告白していれば…」
と悔しがるサラ。

「そっか。残念だったな」
声をかける。

どうやら誠一君と同じ地球人の女の子だったみたいだ。
じゃあ無理か。

「そうなんだ。じゃしょうがないよね。
他に見つかるよ。きっと」
とミミちゃん。

「うん。あたし部屋に戻ってる」
と居間を出て行ってしまう。

「かわいそうだよね。でもそういう経験をして乗り越えていくんだけどね。
あたしもそんなことあったな…」
とミミちゃん。

「そうなの?」

「うん。ここに来てまもなくのころだったんだけど、近くに住んでいた男の子がいたの。
やさしそうで、あたしみたいな大きな女の子を見ても怖がらずに、地球人と同じように接してくれる。
いろいろ地球のことを教えてくれたり、親切にしてくれたの」

「今はどうしているの?」

「引っ越して、遠くへ行っちゃった。
その前は、一緒に遊んだり、家へ泊まってもらったり結構仲良くなったんだけど…
親の仕事の都合だったから…
しかも急だったんだよ。
だから告白する間もなかったの…」

「そんなことがあったんだ…」
と言いながらミミちゃんの顔を見る。

「そして、あたしはあのバイト先で君と出会ったの。
その後は君が一番だよ」
にこにこな顔でこっちを見てくる。
それを聞いて顔が赤くなっていく僕。

「ミミちゃんもいろいろあったんだね」

「君はどこかへ行っちゃうことはないよね?」
ミミちゃんが聞いてくる。

「うん。ないよ。身寄りは他にいないし、
親の仕事の都合でどこかへ引越しということもないし…」

「そっか」
しばらくソファの上に寝っころがっているミミちゃん。

「あっ。そうだ。君も荷物運びで疲れたでしょう。
あたしがマッサージしてあげる」

「え。いいよ。ミミちゃんも疲れているんだろうし…
僕がミミちゃんをマッサージできるなら、いいんだけど。
この体のサイズじゃ無理だし…」
ソファの上に寝ているミミちゃんの体全体を見る。
15メートルはある体。
僕が力いっぱい押しても、マッサージにはならないだろう。
せいぜいくすぐるぐらいしかできないだろう。

とやりとりをしていると。
「おっしゃー。くよくよするのはやめ。もう忘れるわよ誠一君のこと。
新たな一歩を踏み出すのよー」
と元気良くサラが居間へ入ってくる。

「もう復活したのか?」

「うん。さっき思いっきり泣いて、ふっきったのよ。
さあて、気晴らしにあんたをいじめようかな?」

「だめだよ。いじめちゃ。
あ。そうだ。そんなに元気なら、お願いがあるの。
今日は荷物運びとかがあって、体のあちこちが痛いの。
でね。サラにマッサージしてほしいなと思って…」

「なんだ。そんなことならいいわよ。
じゃどうする。手もみ?
それとも上に乗る?」

「じゃ。両方で。あたしはサラにマッサージされている間。両手が空くから、
手のひらに君を乗せてマッサージしてあげるね」

せっかくのミミちゃんの好意。
「そっか。じゃお願いされようかな」

僕はミミちゃんに。
ミミちゃんはサラにマッサージされることになる。

サラもふっきれたみたいだし。
「あたし、敷くもの取ってくる」
と出て行った。

「あの様子だと大丈夫みたいね…」
とミミちゃん。

……

サラは敷物を居間のカーペットの上へ敷く。
ふわふわの毛がついている一人用の敷物。

その上にミミちゃんが寝る。

「手のひらへ登ってきてくれる?」

「うん」
ミミちゃんの手の平へとあがる。
そして横になる。

僕の足は手のひらからはみ出てしまっているが問題はないだろう。
ミミちゃんの手のひらの上でうつぶせになる。
ミミちゃんの指の指紋まではっきりと見える。
指紋の溝も大きい。
凹凸もはっきりわかってしまう。

「じゃ指で押すけど、痛かったら言ってくれる?
ものすごく力は加減するけど…」

「うん」
ミミちゃんなら、大丈夫だろう。
間違って潰されちゃっても、胸の骨にひびが入ってもゆるしてしまいそうだ。

きゅ。
きゅう。
ぎゅ。

ミミちゃんの指が僕の背中を押し始める。

いい。
いいよ。
ちょうどいい力だ。

「すごくいいよ」
うっとり。

「じゃあ。あたしも始めるわよ」
僕は首を横に向ける。
ちょうどサラがミミちゃんの上に馬乗りになるところだ。
そして、サラがミミちゃんのこしあたりの場所へ手をのばして、ぎゅうと押すところ。

ぎゅう。
ぎゅう。
ミミちゃんの体が少し上下するのがわかる。

「いいよ。そこ。
ちょうどいいよ」

サラがミミちゃんの体をぎゅう、と押すのと同じタイミングで、
僕の体もミミちゃんの指によって押される。

ぎゅう。
ぎゅう。
ぎゅう。

いい。
「上手だね。ちょうどいい力加減…」
僕は言う。

「良かった。サラも上手。
ちょうどいい力かげん」

「そう。良かった。
でもちょっとくやしい。
あたしも告白がうまくいっていれば、いまごろ、お姉ちゃんみたいにマッサージとかしていたのかな…
くー。
くやしくなってきた。
じゃあ。ふっふっふ。
次は強めにちゃおう」

ぎゅううう。

「痛たたた」
とミミちゃんが言う。

ぎゅうううう。
「痛いよ。そこ効き過ぎ…」

「ここね。もっと。ぎゅうーっと」

「あうっ」

ミミちゃんが言う。
これだけ聞いているとエロイ気分になってくる。

「じゃあ。同じようにぎゅっとしちゃおうかな…」
ミミちゃんの指が僕の腰の上をまさぐっている。
位置を決めているようだ。

「ここかな?
それっ」

ぎゅうう。
「あてててて…」
つぼにはまった。痛いつぼ。

「それっ」
サラの声。

「あうっ」
ミミちゃんの声。

その後。
「えいっ」
ミミちゃんの声。

「あてて…」
結構な強さ。

「あう」

「いてて」

「うきゅ」

「お」

そんな僕の声と、ミミちゃんの声のやりとりが続く。

……

「次は肩ね。結構こってるんじゃない?」
ミミちゃんの指が僕の肩をつまむ。
指三本で、僕の肩がつままれ、ぎゅ。ぎゅと押していく。

「あてて。でも気持ちいいよ」
結構な力。
でも潰れちゃうことはないほどの力。

ぎゅ。
ぎゅ。
指で押しているといっても、肩の広い範囲が押される。

ぎゅう。
ぎゅ。

ぎゅ。
ぎゅう。

ミミちゃんの手の平の上。
下からもやさしく僕の体を包み込んでくれる。
上からはほどよい力で、ぎゅ。と押される。

「じゃ。あたしもお姉ちゃんの肩を揉むわね」
とサラ。

サラがミミちゃんの肩をもむのが見える。

「あう。いいよ。ちょうどいいよ」
ミミちゃんも気持ちいいらしい。

ぎゅ。
ぎゅ。
僕達は肩もみされる。

ぎゅ。
ぎゅう。

ぎゅ。
ぎゅう。

ぎゅ。
ぎゅう。

いい。ちょっと力が強いけど。効き目はありそう。

……

「さてと。最後にあたしが上に乗ってぎゅっと、踏んであげる。
そうだお姉ちゃん」
とサラは何か、ミミちゃんの耳もとでつぶやく。

「えー。でもぉー?」
とミミちゃんが言っている。
なんだろ。

「大丈夫。この床はへこむから…
潰れないわよ。
それに、こうでもしないと、別の地球人の女の子にでも告白されたらどうするの。
そっちの子についていっちゃうわよ。
今のうちに、ものすごいことしておけば、
お姉ちゃんのことを忘れちゃうこともないわよ」
と2人で何か秘め事を相談している。

「よし。わかった。
うーん。
じゃあね。
君もとってもやわらかいもので、体全体をぎゅうと押してあげるね。
ちょっと刺激が強すぎるかもしれないけど。
大丈夫。潰れてしまうこともないし…」
とミミちゃんは、僕を手のひらの上に乗せたまま上半身をずらして前のほうへと移動する。

「え。何なの?」

ミミちゃんの上半身が敷物の上からはずれ、床の上に移動する。

そして手のひらの上から、僕は床の上に下ろされる。
「もし、苦しかったら言ってくれる?
できるかぎり踏ん張っているけど…
もし潰れそうなら言ってね」
と言い終わると、僕の上にミミちゃんの上半身(2つのふくらみ)がのしかかる。

「おわっ。ち、ちょっとま…」
ぎゅ。
僕の体ほぼ全部が、ミミちゃんの大きな胸の下敷きになる。

ぎゅう。
何するのさと言いたかったけど、いえない。
ミミちゃんには、もごもごとしか聞こえないだろう。
きっとサラだな。

今、僕の体はミミちゃんの胸の下敷きだ。
けれども腕に力を入れて踏ん張っているのか、潰れちゃうことはない。
けれどもかなり重たい。
なん百キロか、体全体にはそのぐらいの重さがかかっているんじゃないかと思う。

「じゃあ乗ってくれる?サラ。
あたしの胸は踏まないでね。
その下に彼がいるから…」

「うん」
というサラの声。

おわあ。
なんだろ。この感じ。
ものすごく重たいもので、体全体が押し付けられているんだけど、
あたたかいし。
すごくやわらかい。
15メートル級の女の子の超特大の胸の下敷き。
ミミちゃんの胸の重さが、僕の体にかかっている。

「じゃあいくわよ」
サラの声も聞こえる。

「うう。効くね」

ミミちゃんの胸が動く。
きっと、さらに踏まれているときにミミちゃんの体が動いているんだろう。
僕自身には重さはかからない。

ぎゅう。
ぎゅう。

ごき。ごき。
ミミちゃんの骨が鳴る音も聞こえてくる。

「痛い?
重くない?」

「大丈夫だよ。サラはあたしより軽いし。もうちょっと足全体で踏んでくれるといいよ。
でも、ちょっと…」

「うん?」

「いいや。なんでもないの…」

ぎゅう。
ぎゅう。
サラがミミちゃんの体を踏むタイミングで、僕の体の上にのしかかっているミミちゃんの胸も動く。

ぎゅうぎゅう。

ぎゅう。
ぎゅう。

「いた」

「あう」

「うう」
ミミちゃんの声。

「痛かった?」

「いいやそうじゃないの」

ごきごき。
サラが踏むと、ミミちゃんの骨が鳴る。

ぎゅうぎゅう。

ミミちゃんの胸にかかる重さもだんだん重くなってくる。

ぎゅう。

ぎゅう。

サラがこっちのほうに近づいているからか。
結構、サラが踏むタイミングで重くなる。
床にめり込むほどじゃないが、苦しくなってくる。

ぎゅう。

ぎゅう。

「あん」
ミミちゃんどうしたんだろ。

……

「じゃあ。ここもふんじゃおうかな…」

「あ。そこだめ。彼が潰れちゃうよ」
と言う声が聞こえた後。

んぎゅうう。
床にかなりの力で押し付けられ、床にめり込んでしまう。

うぐぐぐぐ。
重たいぞ。
サラが踏んだのか。

「そこ踏んだらだめ。彼が潰れちゃうよぉ」

とミミちゃんは精一杯ふんばっているけど、サラが背中を踏む力には負けてしまう。

ぎゅうう。

ぎゅうう。

僕はミミちゃんの胸と床の間に押し付けられる。
ぎゅうぎゅうと、サラが踏むたびに、床にめり込むほど押し付けられる。
うまく床にめり込むので何十トンという重さがかかったとしても潰れちゃうことはない。

でもすごすぎ。
ミミちゃんの胸の下。
胸の下で、ものすごい重さにより床にめり込む僕。

ぎゅう。
ぎゅうう。

これもいいか。
ミミちゃんの胸がものすごくやわらかいのも感じるし、
ミミちゃんの胸自身のものすごい重さも感じるし、
ミミちゃんがふんばって抵抗するのにがんばっているのか、
ミミちゃんの体の体温も上昇してくるのも感じる。

ぎゅう。
ぎゅうう。

ぎゅう。

ぎゅう。

んぎゅううう。とめり込む。

ぎゅう。
んぎゅううう。

最後に。
ぎゅうううううううう。
というぐらいに重さがかかる。
サラめ。
おもいっきり踏んだな。
ものすごく床にめりこんでしまう。

「痛いよ。サラ」
「終わり。彼。お姉ちゃんの胸の下でぺっちゃんこになっていなければいいけどね」

と言ったあと、床が揺れるのがわかる。
サラがミミちゃんの体の上から、床の上に降りたようだ。

「大丈夫?」

ミミちゃんが上半身を持ち上げる。

うう。
なんとか。

「なんとか、大丈夫。すごすぎ…
このことは一生忘れそうにないよ」

ミミちゃんの胸の下でぎゅうぎゅう。

ものすごい重さと、ミミちゃんの体温と、胸のやわらかさ。
そして死にそうになるぐらいぎゅうぎゅうされる。

うう。
「2人とも休んでいたら…」

「あたしもものすごくどきどきしているよ。
あたしの胸の下に君をしいて、上からサラに踏まれるんだもん。
心配でどきどきしたし、
その。
えーと。
サラが踏むたびにあたしの胸が、君にあたって、
その。えーと。
刺激されておかしくなっちゃいそうだったし…」
少しとろんとした目で言ってくる。

うう。
その目。色っぽいなぁ。

「はい。ジュース。
2人ともクールダウンしようね。
あたしも新しい人見つけたいなあ…」

とサラはジュースを持ってくる。

「あ。これ高いジュースでしょ。
こんなにたくさん…」
なみなみとコップに入っている。

「賞味期限が近いから、全部飲んじゃおうと思って、
全部入れてきたの。
もうないわよ」

「えー」
「お姉ちゃん。いつもちびちび飲んでいるんだもん。
あたしみたいに豪快にいかないと…」

とぐびぐびとはいかないけど、普通に飲むサラ。

僕もクールダウンしないとおかしくなりそうだ。

「ミミちゃん。コップ取って」

「うん。はい」

コップまでの距離は10メートルはあるので、ミミちゃんにお盆ごととってもらう。

ふはあ。
ジュースを飲みひといきつく。

うう。
さっきのは刺激強すぎ。

サラに言われたんだろうけど。

「どうだった。お姉ちゃんの胸の下敷きになって、ぎゅうぎゅうされるのは?」

「ど。どうって言ってもさ。
も。ものすごかったよ。
でもひどいぞ、床にめりこんじゃったよ…」

「よだれが出ているわよ」

えっ。
サラに言われ、口のまわりを確認する。

「お姉ちゃんを大切にするのよ。
今後、あたしに無断で地球人の女の子と会っていたら許さないわよ
握って、あんたの体中の骨をぼきぼき言わせるから」

とサラに言われる。

「そんなことないぞ。僕はミミちゃん一筋だ」

「一筋…」
ミミちゃんもぽっと顔を赤くする。

「ラブラブね。
ほら。もうそろそろ買い物にでも行かないと遅くなるわよ。
今日の夕食の当番はあたしなんだけど、遅いから2人で作るわよ」

「えっ。
あ。そうだね…」

「この時間、お店込んでいて、バーゲンでぎゅうぎゅうだから、彼はお留守番ね。
あたしの胸ポケットの中で押しつぶされて死にたいのなら、連れて行ってあげるけど…」

とサラが言う。

バーゲンか。
地球人と一緒だな。

すごそうだ。

「お留守番している」

「わかった。じゃあ行くよ。したくして」

「うん」

これから買い物。
僕は家で待っていることにする。

はふう。

マッサージと胸の下敷きはすごすぎた。

クールダウンしないと気がもたない。

ちょうどいいか。
一人で頭を冷やそう。

そう思った。