わたしの友達に
錬金術が使える人がいます

人間の体を変化させられるんです

そのひとはとても優しいひとで
わたしが車にひかれた時
瀕死の重症で
痛くて苦しんでたわたしを
彼女は錬金術で
数秒で治してくれました

車のほうはひき逃げを試みて
ものすごいダッシュで走り去ろうとしました

しかし彼女は
足に力をこめると
猛スピードで車に追いつき
先回りして
車の進路に立ち
車を止めてくれました

そして運転してた男を
おいしいおいしい
飴玉に変えてくれて
わたしにくれたんです

それはわたしの大好きな
グレープの飴でした

わたしが笑顔で飴玉を受け取ると
男はもう状況を把握したらしく
わたしに向かって
命乞いをしてきました
面白いですよね


やめろ!食べないでくれ!
・・・え?なんで?

俺が悪かった!すまない!
・・・その通りよ、こっちは死ぬほど痛かったんだから!

頼む!許してくれ!
・・・じゃあ、許してもらうためには何だってする?

ああ!するさ、だから許し・・・
・・・じゃあ、いただきま〜す

なに!?何だって!?うわぁぁぁ・・・
・・・パクリ


はい、命乞い終了
でも、口に入れた後も
口の中から声が聞こえました

あああああああああああ!
溶ける!体が溶ける!
やめて!早く出して!
このままだと死んじゃうよ!
やめてくれ!たのむううううう!
・・・・

へぇ〜そうなんだ〜
面白〜い
なんか言ってるね

でもこれって
男の運命が
自分しだいでどうにでもなるってことよね

男は体を溶かしながら命乞いをしている
わたしは口の中で飴玉をコロコロころがしている

・・・なんだろう、この感じ・・・気持ちいい
口の中では男が
ぎゃーぎゃーわめいてるけど
もう、聞いてやんない

口の中でコロコロって
飴玉が転がる
それと同時に口中に広がる飴の甘さ、グレープの香り

それと苦痛を与えてくれた男への恨み
そして男の苦しむ声と命乞い
それらがうまく調和して
本当にすばらしい味になってました


そしてしばらくすると
飴玉は口の中で小さくなってしまいました
命乞いの声も、あまり聞こえなくなってしまいました

わたしは飴玉を噛みつぶすために
歯の間でガッとはさみました

男は上と下の歯に挟まれて
自分が何をされるのかわかったらしく
かすれた声で
最後の命乞いをしてきました
やめてくれ、助けてくれって

・・・ばーか、聞いてやんないよ♪
命乞いを聞いて、すっかり気分のよくなったわたしは
あえて、思いきり力を込めて飴玉を噛みました

その結果、ガリッと音がして飴は噛み潰されました
その瞬間、飴玉の最後の、短い叫びも聞けました

そして
ぼりぼり食べました

そして最後の味と
男の悲鳴の余韻を味わいました
大満足です


おいしい飴玉をありがとうって
わたしが彼女にお礼を言うと
彼女はとてもうれしそうでした

それにしてもおいしかったなぁ・・・
また作ってくれないかなぁ・・・
そう、思いました