私は優秀な男であった
ビジネスに成功し、多額の金を手に入れ
豪邸も建てた
美しい妻、かわいい娘も手に入れた

今は、とある都市の病院の院長である
その病院は非常に大きな病院で
どんな病気にも対処できるように
すばらしい設備を用意してある

どれもこれも、みんな私の寄付だ
だから皆、私には文句が言えない
それは本当に気分のいいものだった

私は、部下のミスで患者さんが死亡したときは
部下から金を受け取り
医療ミスを隠蔽してやった

また、隠蔽しやすいように
カルテはすべてコンピューターで処理され
すべてのカルテを私が書き換えられるようにした

私はなんて部下思いで優しいのだろう
ちなみに私は、普段はいつも心やさしい、まじめな人を演じている
だから、私を疑うものはいない

大体医者に任せておいて
死んでしまったら文句を言うなんておかしいんだよ
皆ふざけた野郎たちだよ・・・はっはっはっ・・・


だが、そんな私の隠蔽した事実が
とある人に、ばれてしまったから大変なんだ
誰かというと、カルテのシステムを作ったやつだ
すべてのデータを、やつも持っていたんだ

その上で私に脅しをかけてきた
俺の言うことを聞け、さもないとばらすぞって
とても許せるものではない
どうにかしてやつを殺そう、そう思った


完全犯罪を目指すため
計画を練っていたときのことだった
娘の部屋の前を通りかかったときに
娘の友達と、なんだか興味深い話をしているようなので
娘の話を盗み聞きしてしまったんだ

・・・

「まぁ!そのようなことが出来るなんてすばらしいですわ!」
「へへ!私の力でどんな病気や怪我でも治してあげるよ!」

・・・

「わぁ、わたくしの体がこんなに小さくなるなんて・・・」
「大きくも出来るんだよ!」

・・・

「ちょ、ちょっと、もう止めて頂けます?」
「ごめんごめん、大きくしすぎちゃった」

・・・

その話は、私を非常に驚かせた
とても信じられる様な内容ではなかったからだ

だが、さっきの会話中、中でいろいろな音がしたし
娘の話を聞いている限り、本当のことのようだ

私は、驚いている反面、「これは使える」と思った
小さくしてこっそり殺してしまえば誰からも見つからずに済むだろう

でも、あの娘の友達に人殺しなんて頼めるだろうか
この会話を聞く限り、人は殺してなさそうに思えるが・・・


・・・そうだ!いいことを思いついた!
私を脅したあの男を悪人に仕立て上げ
彼女に殺してもらおう!
我が病院には疑われている医療ミスがあるからな・・・


娘の友達が帰ったようなので
早速、私は娘と話をした
あの友達について・・・

私は昔から話術に長けていた
だから、娘に友達の秘密を話させるなど
簡単なことだった

娘は見事に私の罠にはまり
友達の秘密を喋ってくれた

その内容でまた驚いた
その友達は、なんと、「悪い人」を食い殺したことがあるのだという
お母さんに暴行を振るう人、車でひき逃げをした人
そんな人を、お菓子に変えてしまい、食べてしまったというのだ


これは好都合だ
そう思った私は
娘に、この私に脅しをかけたあの男について
嘘の話をした

医療ミス、患者の死、隠蔽・・・
全部あの男がやったんだと
そのせいで病院の存続が危うくなった上に
私にその罪をなすり付けてくるんだと
だから私は非常に困っていて、彼に死んでもらいたいんだと
そういうことを言った

娘も私の娘である
話をわかってくれたようで
明日、その友達に頼んであげると言った

私は娘にお礼を言うと
娘の大好きなケーキをあげた
すると、娘はとても喜んでくれた

あぁ、なんてかわいい娘なんだろう
そう思った

その次の日、私はとある人たちに頼み
あの男を捕らえ、連れてきてもらった

娘は説得に成功したらしく
乗り気の友達を呼んでくれた


男は、気絶していた
そして、娘の友達が手を触れると
男の形が変わり始めた

そして、ケーキの形になってしまった

実は、私はさっきまで
「お菓子に変える」ことについて半信半疑だった
そして、とても驚いた
実際に目の前の男がケーキに変わってしまったからだ

少し、恐怖も感じた

「お父様も召し上がります?」
娘がそう言った
私は、要らないと言った
すると娘は残念そうに、そうですかと言った


娘の友達が
「誰が切る?このケーキ」
と聞いてきた
すると娘は
「私が切りたいですわ、このお方を」
と言った
するとその友達は
「そう、じゃあよろしくね」
と言った

二人とも、とても仲が良いようだ
素晴らしいことだな、と思った

・・・?
あれ?今、娘が「私が切りたいですわ」って言ったよな・・・?
・・・
え?

いつも気の利く召使いが、いきなり大きめのナイフを持ってきて去っていった
娘はナイフを持って
「ふふっ、お父様は、大変お困りでしたの、だから、死んでもらいますわ」
と言うと、ニコッと笑い
早速切り始めた

娘がケーキをザクリと刺した、すると
「痛い!」
と、いきなりケーキが叫んだ
どうやら目が覚めたらしい

そしてその後は、娘がナイフを動かすたびに
男の悲痛な声がした

さくり
「痛ぁ!」

さくり
「うっ!」

娘は、その声を無視して切り続けた

さくり
「うあ!」

さくさくさく・・・
「うああぁぁ!ああぁ!あああぁ!・・・」

体を真っ二つに切られていくケーキは、悲痛の叫び声をあげた
それを聞きながら、娘は笑顔で切り続けた

そして、ついにケーキは真っ二つになった
切られたケーキからうめき声が聞こえる

苦しさのあまり、今の自分の状況を
誰かに聞くことも出来ないようだ

「あらあら、おかわいそうに・・・痛かったでしょう・・・」

娘は笑顔でそう言いながら、さらにケーキにナイフを差込み
ケーキをさらに半分に分けた

また、悲鳴が聞こえる
娘も、娘の友達も笑顔だった

それにしても、いやな奴の悲鳴は気持ちがいいと思った
自然と笑顔がこぼれてくる
もっと叫べ、苦しめ、早く食べられてしまえ
そう思った

そのときは間違いなく、そう思った

娘は4分の1に分けられたケーキを2つの皿に分けると
「お父様を苦しめた罰ですわ」
と言って、なんと
残りの半分のケーキに向かって、笑顔で
ズダンとナイフを突き立てた!

ぎゃぁ!と言う短い叫びが聞こえた
そして、ナイフを抜くと、さらにもう一度ケーキに刺した
うっぁ!と言う声が聞こえた
娘は笑顔だった
「ふふっ、思ったとおり、面白いですわ」
娘はそう言った
そしてナイフを抜くと、何度も何度もケーキをざくっざくっと刺した
そのたびに短い悲鳴が聞こえ
最後にはケーキはぐちゃぐちゃになった


ぐちゃぐちゃになり、うめき声を上げている半分のケーキを前に
娘は友達に頼み事をした
「ひとつお願いできます?」
「なぁに?」
「ぐちゃぐちゃのあのケーキ、紅茶に変えられません?」
「え、うん、いいよ」

そんなことも出来るのか!と思った
娘の友達がケーキに手を触れると
今度はかわいいティーポットと、カップになった
もちろん中には紅茶がいっぱい入っていた

そして二人は、男の悲痛の声がする部屋で
仲良く食事を始めた
二人が口をあけたり、ケーキをもぐもぐかんだりするたびに
男の哀れな悲鳴が聞こえる

私はそれを遠くから眺めていた

二人がすっかりケーキを腹に収めると
かすれた声の男の声が聞こえた
「ばか・・・このままだと・・・体が・・・溶ける
 やめて・・・吐き出してよ・・・」って
それを聞いて、気を良くしたのか
娘たちは笑顔でおなかをなでなでした

娘たちの胃袋では、順調にケーキが消化されていった

そして、カップを手にとると、娘の友達がこう言った
「これ、もう要らないね、割っちゃおうか」
すると娘は
「いい考えですわ、一思いに割ってしまいましょう」
と言った

そして、ティーカップを持ち上げた
「!!、もうやめてくれぇぇぇ!・・・」
泣き疲れたような、かすれた声が聞こえた

二人は仲良く手に持ったカップとポットから手を放した

がちゃん!と言う音がして
ポットとカップはばらばらに割れた
それを今度は二人で踏み潰して粉にした
ぱきぱきぱきっと音がする
屋敷の中は靴を履いてるから足は痛くない
もう、男の声はしなくなっていた

私は、嫌なやつがいなくなってとてもすっきりした気持ちの反面
自分の娘がここまで残酷であったことに驚き
なんだか娘が怖くなってしまった

・・・さっき、娘は叫び声を聞きながら
笑顔で、人間だった物を食べたんだ
人間だったものを割って踏み潰したんだ
人が苦しむ声を本気で楽しんでいるようだった

もしかしたら、私もああされるかもしれない
娘に笑顔で食われて、苦しみながら死ぬかもしれない
そう思うと、だんだん恐怖が増してきて
体が動かなくなってしまった

その娘がこっちに歩いてきた

そして、私の目の前に立つと
笑顔で、自分のおなかに手を当てながら、こう言った

「うふふ、お父様?お父様も・・・この人のようにされたくありませんか?」

!!娘は・・・っ!

・・・その瞬間、わたしの体は恐怖に支配され
体が固まり、返事もすることが出来なかった

今、自分の恐れていたことが、現実となってしまっているのだ

ふいに、娘の友達が私の腕をつかんだ
しまった!と思った
なんとかしないとまずいと思った

しかし、時既に遅く
私の体はどんどん変化していた

そして、私の体は、シャーベットになってしまった

私はシャーベットにされたとわかった瞬間から
なんだか、体中に痛みを感じるようになってきた

そうか、アイスなんだから
普通の部屋にいたら溶けるに決まっている

部屋が・・・暑い・・・いや・・・熱い!

「ぎゃあああ!熱い!熱い!体が溶けるぅぅ!」
私は思わず叫んだ
周りの空気が死ぬほど熱い

叫びながら、とろとろと溶けていく私を見ている娘は笑顔だった
「あらあら、苦しそうですわね・・・
 すぐに楽にしてさし上げますわ、私のおなかの中で・・・」
私は必死で、やめてくれと叫んだ
しかし、それを聞いた娘は、かえってうっとりしているようだった
「では、いただきますわ、お父様」
そう言って私にスプーンを刺した

「痛い!やめてくれぇぇ!そんなことしたら死んでしまうぅぅぅ!」
そう叫んだ
さっきのこともあり、いくら叫んでも無駄なことに気付いてはいる
しかし、叫ぶしかない
叫んで、助けを請うことしか出来ない
たとえそれが、娘を喜ばせるだけだとしても

私の体は、容赦なくスプーンとともに娘の口の中に入れられた
娘の口の中は、外よりも何倍も熱かった
娘の息を浴びて、私はさらに激痛を感じて
叫び声をあげた

しかし、当然その叫び声は、
娘に快感を与えるだけのものでしかなかった
娘はシャーベットを乗せたスプーンを
口に入れたまま口を閉じると
そのままスプーンを引っ張り
スプーンだけを口の外に出した

娘の口内はさらに熱かった

娘の歯がシャリシャリと私を噛むと
激痛を感じた

あふれてきた娘の
とても熱い唾液が私にしみこみ
言葉には出来ない痛みが私を襲い続けた
体が一瞬で溶けていくのを感じた
もう助からない、そう思った
ほんの数秒、その間に溶けて
娘の唾液と一緒にごくりと飲み込まれてしまった

きっと私が美味しかったのであろう
私の悲鳴が気持ちよかったのであろう
私の娘は笑顔でそのまま私を食べ続けた
きっと、私の叫び声を味わっているのだろう
口の中でよく噛んで
私の叫び声を聞き続けた


・・・そして、ついに私は残り一口となってしまった

しかし娘は、残り少ない私を容赦なく口に入れた
そして口の中であっという間に溶かした

ごくり

娘に飲み込まれた
私の全身は娘の胃袋の中に入っていった
胃袋の中はさらに熱かった
アイスでなくても溶けてしまう空間だからだ

娘の胃の中には、ほぼ溶けた、さっきのケーキがあった
娘の胃液で溶かされたのだろう
その胃液は、私にも容赦なく混ざってくる
私は全身に苦痛を感じながら、娘に吸収された