——————————ストーリー——————————
サラリーマンのお父さんがいました
お父さんとお母さんはとても仲のよい夫婦でした
しかし、娘が生まれてからというもの
娘のことを溺愛し始めて
娘とばっかり接するようになりました
その結果、だんだんと、お母さんの方には
冷たく接するようになってしまいました

二人きりになっても
会話のひとつもありません
お母さんが寂しくなってお父さんに話しかけても
返事をしてくれません
しつこく話しかけたら
お父さんは「うるさい!」と怒り出しました
お母さんが、冷たい態度について訴えると
お父さんは逆上してお母さんを強く殴りました
散々、暴行されました

だから
お母さんは、夫を強く恨んでいます
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わたしは、その「娘」です
いつも、幼稚園に通ってます
でも、今日は、休日
お母さんと二人きりで話をしています
お母さんの話を聞いているんです

お母さんはひどい目にあったようです
お母さんの話を聞いて
なんだかとても、かわいそうになりました
何とかしてあげたいと思いました

ちなみに
わたしは生まれつき
すごい力を持っていました
錬金術です

どんな錬金術かというと、なんと
人間からさまざまなものを練成できるんです

それと、お母さんも錬金術師なんです
ちょっとしか、歴史を変えられないけど
歴史を変化させることができるんです

お母さんは、お父さんを殺してほしいと言っていました
だから、わたしは
お父さんを殺します
お父さんよりお母さんのほうが好きだし
お父さんは変に風にまとわりついてくるから
うっとうしかったの

ちなみに、私はクッキーが大好き!
いつもおやつの時間が待ち遠しいの!
でも、今日はおやつの時間まで待たなくてよさそう
だって・・・ね・・・





寝室で寝ているお父さん。
無防備なお父さん
それをお母さんがたたき起こす

目が覚めてボーっとしているお父さん
それに、私は手を触れて
「練成」を始めました

お父さんの体はみるみる小さくなっていきました
色も形も変わっていきました

もちろん!わたしが練成したのは・・・
大好きな・・・「クッキー」

ちなみにこのクッキー
生きてるんだよ

っていうのは
触れてみると元の人間の声が聞こえるんだよ

だから
お父さんの声が聞こえるんだよ
最後だしね
じっくりと聞いてあげたよ

「おい!なにをしたんだ!
 ・・・あれ?俺の体、どうなってるんだ?」

あ、お父さん
何にもわかってないみたいね
わたし、親切だから
答えてあげちゃった
クッキーにしたんだよって

「え!? どうして!? なんで!? やめてよ
 早くもとに戻してよ!」

わたしは言ってあげたの
それはできないって
お母さんに頼まれたことだし

なにより
せっかくクッキーが食べられるって言うのに
わざわざその機会をのがしたくないからってね

「はぁ!?ふざけんなよ!
 おい・・・・・・・・!・・・・・・!」

お父さんの声が聞こえる
また返事をしてあげようかなって思った
でも

わたし、このクッキーを早く食べたい
だから、返事するのもめんどくさい・・・
なんかぎゃーぎゃーわめいてるけど
もういいや

それにしてもこのクッキー
ものすごくおいしそう!

早く食べたいな
うん、たべちゃおう!

わたしが笑顔で口をあけて
「クッキー」を口に近づけると
お父さんの

助けを求める叫びが聞こえてきた

やめてくれ
食べないでって

・・・でも、お母さんは
早く食べちゃいなさいって言ってるから

食べちゃう

ほんのちょっとだけ
サクッてかんでみた
そしたら

お父さんの悲鳴が聞こえた

痛い
やめてって

でも、おいしい
すごくおいしい
やっぱり、クッキーは大好き!

次は半分ほど口に入れちゃった
わたしはえらいから
食べ物を食べるときは
きちんと30回かむの

ぼりぼりと口の中で音がすると
口の中はクッキーの味で満たされた

口の中で砕けたクッキーの悲鳴が聞こえる

ぎゃああああ
体が溶ける!
痛い!
痛い!って

そりゃね
口の中には
よだれがあるんだし
クッキーだもん
溶けちゃうにきまってるじゃん

やめろ!
もうやめてくれ!って
口の中からなんか聞こえる

ああ、おいしいな♪

残り全部、口に入れちゃった
ぼりぼり噛んでいると
クッキーの味が口の中で広がる

ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・
ぼりぼりぼりぼり
ごっくん

クッキーの悲鳴もきこえなくなっちゃった

わたしは、おなかをさすって、お母さんに
「おいしかったよ!」
といいました

するとお母さんも
笑顔でうなづきました



あとはお母さんの能力で歴史を変えるだけ

お父さんは・・・
一週間前に
飛行機の墜落事故で死んだ
ってことでいいかな
そう
死骸も見つからなかったってことでね