噂の館【第2話】(サンプル)
「メイドのお仕事」

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このお話は「噂の館【第1話】」に登場していたメイドの日常を描いた物語です。【第一話】の直前くらいの時間軸になります。

【第1話】を読んでいなくても問題ありませんが、【第1話】は無料公開していますので気になる方は下のリンクからどうぞ。

【第1話】:
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※ここからは限定文章※

噂の館【第2話】(サンプル)
「メイドのお仕事」

~~前略~~

躊躇なく踏み潰された小人。いとも簡単に消えてしまった命。それを目の前で見せつけられた残りの小人は、慌てふためき顔を見合わせた。戸惑い、どうしていいかわからないという様子だ。

「ホントに踏んじゃった…」

ソフィアは目の前で小人の踏み潰しを見ても、大して驚いていないようだった。
元人間と言っても、今は2〜3センチに縮んだ小人だ。ちょっとそれを踏んだくらいでは『人を殺した』という実感は無いのだろう。
また、エリカが言う通り、その辺の虫を踏み潰すのと大して変わらないのかもしれない。
特に驚かないソフィアの様子を見て、エリカとレイナは顔を見合わせ小さく笑った。

エリカは小人を踏み潰したパンプスをゆっくりと持ち上げると、残りの三匹の小人たちに靴底を見せつけた。
私たちの質問に答えないという選択が、どれほど愚かな事なのか。私たちに逆らうということが、何を意味するのか。たった今踏み潰された小人がどうなったのか、それを確認させるためだ。
浮き上がったパンプスの下には、小さな赤黒いシミが出来ていた。高級な黒の絨毯に艶めく小さなシミ。しかしそこには、シミを作った小人の死骸は無かった。

「あれ?小人さん、いなくなっちゃった!」

ソフィアが不思議そうな声でつぶやいた。

「ふふ、本当ね。どこに行ってしまったのかしら?」

レイナがわざとらしく、楽しそうに疑問を投げかけた。
消えてしまった小人の死骸。その疑問の答えは、下にいる小人たちにははっきりと見えているようだった。

「そ…そんな……」
「あ、悪魔だ…」
「いやだ……死にたくなぃ…」

とてもシンプルで単純な答えだった。死骸が床に無いのなら、それはパンプスの靴底に貼り付いたということ。たったそれだけの事だった。
上から見ていただけで、わざわざ靴底を確認していない3人のメイドには、死骸が見えなくて当然だった。
エリカのパンプスの靴底にこびり付いた死骸は、小人たちにだけしっかりと見えているのだ。
仲間を目の前であっさりと踏み潰されたことで、残された小人たちに絶望の色が濃くなり始めた。
ようやく現実を理解し始めたのか、先程までの威勢は吹き飛んでしまったようだ。
エリカは、浮かせていた右足をゆっくりと地面に戻す。
それにより、靴底に貼り付いていた小人の死骸が、再びヌチャッと踏み潰された。
エリカが両足で普通に立つことで、潰れた小人の姿は再び誰にも見えなくなった。





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