巨鎮隊 インターミッション2

ポルトーの港町はこの国において重要な交易拠点のひとつである.ゆえにこの街の復興のためには、国からだけでなく、近隣の町からも資金が送られてくる。そして、金があるところには人も集まってくる。ゆえに、ポルトーの復興は急ピッチで進んでいった。きれいに洗い流された花街は、きれいに区画整理された新市街となり、かつての遊郭はより人気のない所へと移っていった。
「しかし、おっぱいってそんなにいいものなんですかねー?」
隊員たちのアメリーへの態度を思い返しながら、ネリーはノーラ博士に尋ねた。
あれだけの犠牲と損害を出しながらも、街の男共からアメリーに対する悪言はもれず、ただ、その巨乳を惜しむ声がそこかしこで聞こえただけだった。
「なに?気にしているのか?」
博士はネリーの真意を測りかねたふうに答えた。博士自身も白衣の一部がパッツンパッツンになるほど飛び出しており、背の高さも相まってなかなかの迫力をかもし出していた。
「べ・・・べつに!・・・あんまりおおきくても邪魔になるし、肩がこるし、変な目で見られるし・・・」
そこへ、よくネリーに変な目を向けるハサンが通りかかった。
「お、なんだネリー。ちっこいくせにいっちょ前に巨乳気取りか?」
「シャラップセクハラ!」
胸を手で隠し睨みつけながら言った。
「ネリー、確かにあなたは数値的にはそこまで大きくはないけれど、体の小ささの割には大したものよ。」
「ん~?どういうことですかぁ?」
「あなたが小柄だから相対的に胸が小さく見えているだけで、あなたは十分な大きさの胸を持っているということ。わかりやすく言うなら・・・」
そこで博士はいったん言葉を切った。
「もしあなたが巨大化して、もとの背丈が関係なくなったら、誰にもはばかることなく巨乳と言い張ることができるわ。」
ネリーは、なんとなくわかったようなわからないような、釈然としない気持ちで頷いた。

その夜、ネリーが目を覚ますと自分が巨大娘になっているのに気がついた。
「えっ!?」
あたりはいつの間にか夜が明け、ドールハウスくらいの大きさの街並は陽の光に明るく照らし出されていた。ネリーは尻餅をついたような体勢で、宿舎の一階をお尻で押しつぶし、胸や下腹部のあたりにばらばらになった屋根の破片が散らばっていた。
「う、うそですぅ!」
体を起こしながら、慌ててあたりを見回した。街並はネリーの記憶にあるとおりの外見で、作り物のような不自然さは感じられなかった。一方で、不思議な事に、周囲に人の気配が感じられない。巨女事案が発生したというのにあたりには人っ子一人居ないのだ。
「あ・・・なーんだ。夢ですぅ~。昨日博士があんなこと言うからつられてこんな夢を見ちゃったんですぅ。」
人が居ないことに安心したネリーは、勢い良く立ち上がるとすぐ近くの巨鎮隊支部へと歩いていった。いつもの視線のおよそ10倍の高さから見下ろす街並は新鮮で、いつもは上を見上げながら歩いていた大通りを、道を踏み外さないように下を見ながら歩かなければならなかった。
ほどなくして巨鎮隊支部へと到着する。支部の中でも最も高い見張り台、それでも今のネリーの腰ほどの高さしかない、には、常に一人は張り付いていなければいけないはずだったが、そこには誰の姿も見当たらなかった。
「やっぱり誰も居ませんですねぇ。」
ネリーがそう油断していた矢先に、足元から不意に声がした。
「も・・・もしかしてネリーか?」
そこには、両手にマジックハンドを抱えたハサンが居た。
「は、ハサンたいちょお!?」
とっさのことにビクッとなり、次に自分が裸であることを思い出して慌てて胸と股間を手で隠した。
「な、なんでここに?ネリーの夢の中にまでセクハラしに来ないでくださいよぉ!」
そう言ってネリーは足でしっしとハサンを追い払う仕草をした。
「わわっ。あぶねえな!」
ネリーとしては軽く足を振っただけのつもりであったが、ハサンは命の危険を感じて大げさに身をかわす。その様子にネリーは少し優越感を覚えた。考えてみれば、ここは自分の夢の中である。ネリーの羞恥心も徐々に引いていった。
「ふ、ふ~ん・・・今のネリーちゃんにそんな口聞いちゃうんですかぁ~?」
胸と股間を隠していた手を離して腰に当て、ハサンを見下ろした。程よい形のおっぱいがプルンと震えた。
「こらっ、そんなに見せびらかすんじゃない!サクッと揉んでイカせちまうぞ!」
「またセクハラ!・・・そんなセクハラさんは、こうしてやるですぅ~」
そう言ってネリーは片足を上げ、勢いをつけて踏み降ろした・・・巨鎮隊支部の上に。ドガガーンと音を立てて、支部の屋根に穴が空き、ネリーの足が膝の下まで埋まった。
「ふふふ・・・セクハラ軍団の本拠地なんか、こうしてやるですぅ~♪」
ネリーはもう一方の足も踏み降ろして巨鎮隊支部を突き崩し、ダン!ダン!と足踏みを繰り返して瓦礫の山へと変えていった。
「ふぅ~。これで街は平和になるですよ。」
ネリーがちらりとハサンを横目で見ると、
「な・・・なんてことを・・・」
ハサンは目を丸くして瓦礫の山を見ていた。
「おまえ!自分が何をやっているのかわかっているのか!」
「何をって、ただ女性の敵の基地をぺちゃんこにしただけですよぉ~」
「中にまだ仲間がたくさんいたのにかっ!」
「ええっ?」
慌ててネリーは瓦礫の上から降りて掘り返す。
「・・・って、何だ、誰もいないじゃないですかぁ~。脅かさないでくださいよぅ。」
「み・・・見えてないのか・・・この惨状を・・・」
「まったくもぉ~、迫真の演技なんですから~。でももう騙されませんよぉ~」
そう言ってネリーはハサンを見おろした。そしてなんだか足の裏がムズムズすることに気がついた。先程は夢中で気が付かなかったが、足裏の感覚が敏感になっているようで、先程巨鎮隊支部を踏み潰すときに、その石造りの構造が崩れていく感触が快感となって感じ取られていたのだ。今のネリーは何かを踏み潰したくてたまらなくなっていた。
「・・・やはり巨女は巨女か。いいだろう、俺がお前を逝かせてやる!」
ハサンはネリーに向かってマジックハンドを構えた。
「できるものならやってみるですよ~だ、ほらっ!」
そう言ってネリーは片足を大きく振り上げると、ハサンの上・・・を通り越して、道の向こう側の家の上に振り下ろした。ドスン、バキバキ、ぐちょり・・・足の裏から建物が潰れていく感触が快感を伴ってネリーに伝わってきた。
「ん?ぐちょり?・・・ま、いっかですぅ。」
ネリーは気にせず、そのまま一軒一軒、家を踏み潰しながら前進した。
頭の上をネリーがアソコを丸出しにしたまま跨ぎ越していったことに軽くショックを受けていたハサンは、気を取り直すとネリーの後をおってジャンプした。そして彼女のそのプリンッとしたお尻にマジックハンドを伸ばした。
「きゃんっ!」
ハサンのマジックハンドが軽く触れただけにもかかわらず、ネリーの体には電流が駆け抜けていた。
「な、なんで?別にお尻なんて・・・」
そこでネリーは気づいた。お尻や足の裏だけではなく、全身の神経が過敏になっていることに。もはや風が吹き抜けていっただけでも全身こそばゆくて笑いだしてしまいそうだ。ネリーの異常に気づいたハサンは、ジャンプを繰り返しながら手当たり次第にネリーの体を触りまくった。ちち!しり!ふともも!!
「きゃっ、やんっ!このっ!このぉっ!」
ネリーも手足を振り回し、ハサンをはたき落とそうとするが、いかんせん運動神経のよろしくないネリーの攻撃など、ハサンに当たるはずもなかった。逆にハサンの手がネリーの体を撫で回し、そのたびにネリーの体はびくっと震え、少しずつ大きくなっていった。
「あうあうー!ネリーの夢の中なのにぃ!こんな、屈辱、ゆるされませんですぅ~!」
ネリーは一番敏感な乳首と局部を手で押さえながら、飛び回るハサンを睨みつけた。
「そうだ、えいっ、ウインドシールド・シュリンク!」
そう言ってネリーは小さな風の守りを発動させる。ただし、ネリーにではなく、ハサンを対象に。
「おわっ、なんだこれは?」
ハサンの周りを球形の風の障壁が取り囲んだ。ハサンがそこから出ようとして風の障壁に触れると、バンっと内側へ弾き飛ばされてしまった。
「へっへーん♪今のたいちょーなんて吹けば飛ぶようなちっぽけな存在ってことですよぅ。」
そう言って風の結界に閉じ込められているハサンに手を伸ばす。ネリーの手はやすやすと結界を突破してハサンを鷲掴みにした。
「つかまえたですよぉ~。さ~て、どうしてやるですかね~」
ハサンを目の前に持ってきて、舐めるように見回す。ハサンは依然として敵意を持った眼差しで睨みつけてきていた。
「いつまで怒ったふりをしてるですかぁ~。あ、そうだ。たいちょぉにネリーが巨乳だって認めさせてやるですよぉ。」
ネリーはにやりと笑うと、そのままハサンを下に下ろしていき、ボンっと突き出したおっぱいの谷間に置いた。そしてすかさず左右からギュッと胸を押し込んでハサンをおっぱいに閉じ込めた。
「ほらほら、どうですぅ?たいちょーがいやらしい目つきと手つきで見てたネリーのおっぱいですよぉ?あんっ。ほら、たいちょーを挟み込んでしまえるくらいおっきいでしょぉ?」
敏感になっているおっぱいで挟みこんでいるため、そう言うネリーの顔も徐々に上気してきていた。
「むぐっ。くそぅ!」
ハサンは体の自由がきかない中でも手足をばたつかせ、なんとか脱出しようとする。
「きゃっ。いくら暴れても、無駄ですよぉ。ネリーちゃんを、気持ちよくさせるだけです!」
あばれるハサンから受ける快感で、ネリーは再びゆっくりと巨大化していった。
「あはっ。たいちょーが暴れるおかげで、ネリー、またおっきくなっちゃいますよぅ。・・・それじゃ、お礼に、たいちょーも、気持ちよくしてあげますよぅ。確か、こんな感じでしたですぅ。」
ネリーは先の巨女の真似をして、パフパフっと胸を締め付ける力を強くしたり弱くしたりしてハサンを刺激した。
「や、やめろっ!」
「あんっ。これ、ネリーも気持ちいいですぅ。」
ネリーは何度も何度もパフパフし続けた。だんだんと高まってきたネリーは、徐々に胸にこめる力が強くなっていった。そして、
バキャッ、メリィッ!
「ぎやあぁぁぁ~~」
「あははっ。たいちょーったら、なんて声出してるんですかぁ?そんなわざとらしい悲鳴じゃ、騙されませんですよぉ~」
そう言ってネリーはいっそう力を強くする。メキョメキョッという感触がおっぱいを通して伝わってくる。
「なんでしょうねぇ~、この感触?おっぱいに隠れて見えないですぅ。でも、開いちゃうと逃げられちゃうですねぇ~」
力を緩めると見せかけて、ぎゅっと押さえつける。
「あがあぁぁぁぁ~・」
「たいちょ~、ちょっとうるさいですよぉ。」
そう言うと、ネリーはおっぱいを上に回して力を込め、ハサンの顔をおっぱいの間に埋没させてしまった。
「これでうるさくなくなったですぅ~♪」
ネリーはハサンをよりいっそう感じ取れるよう、さらにおっぱいに力をかけ、上下にこすり合わせた。
やがて固形物だったハサンの肉体はネチョネチョとした半固形物へと変わっていき、おっぱいの隙間から赤い液体が染み出してきた。
「えっ?」
慌ててネリーが胸の谷間を開いてみると、もはや原型を失ったハサンの肉塊がボトリと地面へ落ちていった。
「た、たいちょぉ?」
もちろん返事などあるはずもなかった。
そのとき、
ドクン・・・
ひときわ大きく、ネリーの鼓動が鳴った。
「!!」
ドクン・・・
「まさかっ・・・そんなっ!」
ドクン・・・ドクン・・・
鼓動の高まりとともに、ネリーの全身を得も言われぬ快感が駆け巡っていく。
「認めない!認めないですぅ!」
次の瞬間、ネリーの体は一気に巨大化した!
「ハサンたいちょーがネリーのキーマンだなんて!隊長がネリーの大事な人だなんて嘘ですぅ~~!!」
周りがみるみる小さくなる中で、ネリーは平衡感覚を失ってしまう。
「わ・・・わ・・・」
そしてそのままズズーンと顔面から街の中へ突っ伏してしまう。同時に、おっぱいとお腹と下腹部でいくつもの民家を押しつぶす。
「きゃぁぁんっ!」
全身で街を押しつぶした感触が、またネリーに快感を引き起こし、ネリーを巨大化させた。それにより、さらに巨大化したおっぱいで、股ぐらで、さらに建物が押しつぶされていき・・・ネリーは街の上でもがきながらどんどんと巨大化していった。

ようやくネリーが四つん這いの姿勢で体を街から離した頃には、街の4分の1がガレキに変わっていた。
「あわわ・・・もう前の巨女さんより、明らかにおっきくなってしまったですぅ・・・」
もはやGM値で100を超えたのは明らかだった。
「ここがネリーの夢の中でよかったですぅ。100倍の超大型巨女が現実にいたら、ポルトーだけじゃなく、街の3つや4つは無くなってたところですぅ・・・」
そう言ってネリーは街を見おろした。そして、自分の体の火照りがまだ冷めやらぬことに気がついた。
「・・・ごめんなさいですぅ・・・」
この後めちゃくちゃ街ックスした!

「おはようございますですぅ~!」
翌朝、ネリーが朗らかに巨鎮隊支部に入ってくると、珍しく他の遊撃隊のメンバーも来ていた。
「や、やあ。おはようネリーくん」
「あれ?ウォルター先輩が朝早くから来て、しかもトレーニングまでしてるなんて、珍しいですぅ。ギャラン先輩に至っては、トレーニングに夢中でネリーが来たことに気づいてすらないですぅ・・・」
「・・・まあね。ちょっと自分の無力さを思い知らされてね。・・・まさかなんの出番もなく支部とともに踏み潰されるとは・・・」
「え?何か言いましたですぅ?」
「い、いや、なんでもないよ、ハハ・・・」
「?・・・まあ、いいですぅ。あっ、ハサンたいちょ~!おはようございますです~」
その声にハサンは一瞬ビクッとなる。
「お、おはよう・・・」
ハサンは目を合わさずに返事をした。そして、チラチラとネリーの胸元に視線を向けてくる。
いつもであれば、ネリーは胸元を隠して「セクハラ!」と叫んでいたところだったが、今日はなぜか、逆に見せつけるように胸を張った。
「!!」
ハサンはビクッとなり、慌てて目をそらすと、奥の部屋へと回れ右して逃げ出し始めた。
「あれ?なんかへんな反応ですぅ~。アヤシィ~・・・」
ネリーはハサンを追いかける。
「ねぇ、たいちょ~、昨日何かあったんですかぁ?ねぇねぇ・・・」
「な、なんでもねぇよっ!」
「嘘です、虚偽です、ごまかしです!昨晩何かあったんですね~・・・ネリーのおっぱいに・・・ハッ!・・・まさかついにネリーのおっぱいをオカズにしたとか?」
「そ、そんなわけあるかっ!おまえ、それ逆セクハラだぞっ!」
「あー!必死で否定するさまが怪しいですぅ!ついに仲間として超えてはいけない一線を越えてしまったですぅ~!」
夢の中で、越えてはいけない一線を越えてしまったのはネリーの方であったが、そんなこと、もうネリーは覚えてはいなかった。ただ、なんだか楽しい夢を見ていたような記憶だけが残っていた。
この日を境に、ネリーと男たちとの力関係が逆転し・・・たのだが、3日後にはもとの力関係に戻ってしまっていたのだった。

つづく!