魔法の鏡2
縮小描写とちょっと性的な表現があります。
第2章 アレスの災難
人を超える、強大な力が手に入ったらあなたはどうしますか?
「復讐するに決まっているじゃない。」
ルリは魔法の鏡の前に立っていた。鏡には先日蜘蛛が逃げ込んだ森が映し出されていた。
・・・どこに行ったのかしら?
しかし、ルリが探しているのは蜘蛛ではなかった。
・・・いた!
木々の間に一人の少年が見えた。魔法学校のローブを着こみ、1 mほどの長さの杖を持っていた。
杖の先に灯した魔法の明かりを掲げ、何かを探すように歩いていた。
アレスは誰かに見られているような気配を感じ、あたりをきょろきょろと見渡した。
気のせいか?
この森には恐ろしい巨大蜘蛛がいるという。
アレスは村人の話を聞いてすぐ、探検部のメンバーと、この森に蜘蛛を探しに来ていた。
だが一人意気込んで先走りすぎたらしく、他のメンバーとはぐれてしまった。
「まったく、使えない奴らだ。・・・おわっ。」
その時、不意に足を取られてアレスはずっこけてしまった。
「いてて・・・何だ?木の根でも見落としたか?」
起き上がりつつ後ろを振り返るが、そこには足をとられるようなものは何もなかった。
「なんだ?」
だが気にしても仕方がない。先へ進もう。
しばらく進むと、今度は肩をトントンっと叩かれた。
人の気配など感じていなかったのでびくっとしながら慌てて振り返る。
しかしそこにも何も見当たらなかった。
「うーむ。いたずら妖精にでも捕まったか?」
こういう時に使える魔法は何かと考えながら更に一歩踏み出した時、不意に背中を強打され、為す術もなく吹き飛ばされた。
数メートル宙を飛び、そのまま頭から地面に突っ込んだ。
「ぶはっ・・・ぐほっぐほっ」
咳き込みながらも体を起こす。すぐにあたりを見回すがやはり何も見つからない。
一体何が起きているんだ?
ルリは自分のしたことの結果に驚いていた。軽く指で弾いたつもりだったのだ・・・
痛そうに背中をさするアレスを見つめながら、ルリは鏡の中の小人と自分との力の差を徐々に理解していった。
いつも自分にちょっかいを掛けてくるアレスを一方的に鞭打つことができる。
しかし、このまま嫌がらせをするだけではなくて、私自身がアレスよりも力強いことを見せつけたい。
そうすると、自分の正体を、この鏡の秘密を知られてしまうことになるが・・・
しばらく逡巡して、ルリは覚悟を決めた。
鏡の中に手を突っ込むと、アレスの胴を掴み、一気に引きぬいた。
突如空中に現れた巨大な指につままれ、アレスは空中に釣り上げられてしまった。
と同時に、あたりの景色が一変した。
薄暗い森の中にいたはずなのに、だだっ広い不思議な空間に移動していた。
下を向くと、巨大な円形の穴の奥に、元いた森の景色が見えた。
円形の穴の周りは金属で縁取られ、そこから外側に段差があり、地面には巨大な木の板が広がっていた。
自分を捕まえている指の根元を見ていくと、今度は大きな腕が見えた。
そのさらに先には巨大な人影・・・巨人は魔法学校のローブを着ていた。
そして、その顔に、アレスは見覚えがあった。
「ル・・・リ・・?」
こちらが見ていることに気がついて、巨人は少しはにかむように笑うと、アレスを自分の目元の高さまで持ち上げ、何事かをつぶやいた。
だがその声はただの低い唸り声のようにしか聞こえなかった。
「ル、ルリか?何の冗談だよ?はなせっ!」
じたばたともがきながら、ルリに向かって叫んでみたが、やはりこちらの声も向こう側には通じていないようだった。
ふと思いつき、アレスはテレパシーをルリに送ってみた。
「(おい!きこえるか!)」
「(!?・・・あ、そうか。これがあったわね。)」
忘れていたのかよ・・・と思いつつ、アレスは続けた。
「(早く下に降ろせよ!そして元に戻してくれ。)」
「(・・・)」
「(おーい?)」
「(ダメよ・・・これはしかえ・・・復讐よ!)」
「(復讐?・・俺に?・・・誰が?)」
「(そうよ。今まで私にしてきたひどい事の精算をさせてもらうわ。)」
「(えっ・・・ひどいこと?)」
アレスには本気で心当たりがなかった。
「(そうよ。何かあるたびに私に突っかかってきて、自分の才能を見せびらかしていたわ。)」
「(見せびらかすって?え・・・すごいねっていってくれてたじゃ・・・ん?)」
アレスのテレパシーは尻すぼみになっていった。
「そういうのやめたほうがいいと思うよ。」
いつか幼馴染みが言った言葉が不意に思い出された。
「ルリさんきっと迷惑してるって。」
「なーにいってんだよ。ルリのやつが手こずっているから、俺がこうやって見本を見せてあげてるんじゃないか。」
「いや、だからそれが・・・」
「やっぱり、答えを直接教えてしまうのはダメなんだよな。その点俺はこうやって、遠まわしにヒントを与えるだけ。ちゃんと相手のことを考えてるんだぜ。」
「・・・もういいよ。」
意を決して引き抜いてきたものの、どうするかを考えていなかったルリは、とりあえずアレスを机の上に下ろした。
「(おーい。俺は早く帰りたいんだが-)」
「(ちょっとまちなさい。・・・そうだ!)」
左手でアレスの肩を掴み、首と襟の間に右手の爪をかける。
「な、なにを・・・」
「(ふふふ・・・私を恥ずかしい目に合わせたのだから、あなたにも恥ずかしい目にあってもらうわ。私の前で!)」
そう伝えてアレスの衣服を剥ぎとる。面白いように服が破れ、アレスの肌がむき出しになる。
「ちょっと、ま・・・」
「こっちもよ!」
焦りと緊張から、お互いに地の声が出てしまう。
それらを気にする間もなく、ルリはアレスのズボンに指をかけると、一気に引き下ろしていった。
「や、やめろ~」
とっさに両手で覆い隠す。
「(ほら、隠してないでその手をどけて。じゃないと、爪で切り落としちゃうわよ!)」
アレスは渋々と、股間から手をどけた。暫くの間、沈黙が流れた。
お、男の子のあそこって、こんなふうになっているのね。えっと、こういう時はなんて言えばいいんだろう?
「(ちっさ)」
「(あたりまえだろ!)」
とりあえず男を愚弄する言葉を言ってみたがあまり効果はなかったようだ。
「(なに?口ごたえする気?いいの?このまま一息に食べちゃうこともできるんだよ?)」
そう言ってアレスを口元に近づけ、べろっとくるぶしから首筋まで舐めてみせた。
ルリにとっては、ほんの遊びのつもりだった。
足元から膝、太もも、腹、胸、肩、最後に顎をかすめてベトベトとした生暖かい感触がアレスの肌を這って行った。
「!!」
もちろん、その途中にアレスの最も敏感な部位があった。
その部位を“女の子に舐めてもらう”という欲求をはからずも満たしてしまったため、その部位はこんな状況下でも、本来の役目を果たそうと頭をもたげ始めていた。
その変化を、ルリは見過ごさなかった。
「(あれ?何コレ?)」
もう一度、股間を中心に舐める。
「うっ!」
アレスは思わずビクンッと震えてしまう。
「(あれあれ?どんどんおっきくなっていくよ~)」
今度は股間を集中的に、何度も何度も舐める。
さらに、舌先をグリグリと押し付けてみる。
「やめっ・・・やめっ・・・あああ!!」
そしてついに、アレスは背筋を反らせると、ルリの舌先に白い液体を吐き出してしまった。
「(うん?なにこれ?・・・ああ、これがアレか~・・・)」
舌先を口の中に戻すが、特に何の味も感じられなかった。
「(ちょっと、なに雀の涙くらいの体液出しただけで、そんなにへばっているの?どうせなら私が飲めるくらい出してみなさい。)」
「おまえ・・・その言葉の意味・・・わかって・・・ないだろ・・・」
一段落ついた所で、ルリは背もたれに寄りかかった。
だがその時、不意に指の力が抜けアレスを落としてしまった。
アレスは驚愕の表情を浮かべながら落ちてゆき・・・ルリの、その校内一と噂される大きな胸の谷間へと挟まってしまった。
「きゃっ・・・ちょっ・・・暴れないで。」
パニック状態に陥ったアレスは、自分がどういう状況下もわからず必死でもがき続けていた。
ルリは2本の指を胸の隙間へ潜り込ませ、なんとかアレスを引っ張り出すと、彼を手のひらの上に載せた。
地に足が着くことを確認して、ようやくアレスのパニックは収まった。
「(し、死んだらどうする!)」
「(な・・・なに?いいじゃない。いつもいやらしい目で見てた、私の胸に触れたんだから。)」
「(な!?)」
「(気づいていないとでも思ってた?他の人はチラチラと見るだけだったけど、あなたはいつもガン見してたわ。)」
「(しょ・・・しょうがないだろ!Fカップなんだろ!夢から覚めなさいとまで言われたFカップなんだろ!見るなという方が無理だ!)」
「(なんで逆ギレ?)」
・・・・・・
しばらく沈黙が続いた。ルリはアレスが胸に挟まっていた時の感触を反芻していた。
「(ねぇ・・・)」
「(なんだ?)」
アレスはなにか嫌な予感がした。
「(あなたの恥ずかしいところを見せてもらったから、私の恥ずかしいところも少しだけ見せてあげる。)」
そう伝えると、ルリはローブのボタンを外し、胸元をはだけさせた。そして、ブラジャーをはずし、その巨大な胸を露出させる。
「ゴクリ・・・」
「(さっきはあなたを気持ちよくしてあげたんだから、今度は私を気持ちよくさせてみて)」
「(ど・・・どうしろと?)」
「(わ・・・私の、胸を、もんでほし・・・いや、命令よ。あなたの全身を使って私の胸をマッサージしなさい。)」
そう伝えて、大きく胸をそらし、乳首を上に向けると、左胸の上にアレスをのせた。
「(片方だけでいいわ。)」
「(そーですか・・・)」
一人では半分も抱えきれないような大きさの小さな山の上で、アレスは途方にくれていた。
多少上を向いているとはいえ、柔らかな弾力のある山の上ではふとしたはずみで落ちてしまいそうで、四つん這いになってしがみついているほかなかった。
「(ほらほら、じっとしててちゃつまらないよ。)」
そんな気も知らずに、ルリは急かすように胸を揺らす。
アレスは手足を伸ばして腰を落とし、張り付くようにしがみついた。
そして、両手と両足先に胸の肉を引っ掛けるようにして保持し、全身を上下に揺らしてその振動を胸に伝えた。
「あ・・・んっ・・・」
ルリは急に静かになった。
その様子を好転の証と捉え、アレスは更に大きく、強く体を揺すった。
ルリの口はぎゅっと結ばれ、頬はうっすらと紅潮してきた。
アレスは、とっさの思いつきでルリの乳首に顔を押し付け、首を左右に振って頬ずりした。
「あぁぁ・・っ!」
ルリは泣きそうな顔になると、両手で胸を掴み、激しく揉みしだき始めた。
アレスは胸にギュウギュウと押し付けられ、もみくちゃにされた。
「(お。おい・・・やめろ!・・い、いたっ・・・洒落になって・・・)」
バチン!
不意に手のひらで衝撃がはじけて、ルリは我に返った。
見てみると、左手と左胸に煤けたような跡があり、同じように真っ黒のアレスが左手の上に立っていた。
「(あ・・・あー、うん。なかなか上手だったわ。)」
「(なにを今更すましたような顔をして・・・)」
俺の使える最強の魔法だったんだが・・・それでも傷の一つも与えられないのか・・・。
アレスは愕然としながらもそんな素振りは見せないでいた。
「(さあ、そろそろ元に戻してもらおうか。)」
「(それはダメ。鏡の秘密を知られたからには返す訳にはいかない。)」
「(そういつまでも付き合っていられるか!ディスペル)ディスペル!」
アレスが解呪の魔法を唱えると、真っ白な光がアレスを包みこみ・・・そして消えた。アレスの大きさは元のままだった。
「!?・・・ディスペル!・・・ディスペル!」
何度唱えても、解呪の魔法は発動するが、アレスの大きさは戻らなかった。
「なぜだ!?」
「(でぃすぺるぅ?どこかであなたに魔法をかけたかしら?私は、森の中からここへあなたを連れてきただけよ。あの鏡を通してね。)」
「(くっ。それならっ!)」
アレスは鏡の方へと走りだす・・・しかし、あっさりとルリに捕まってしまう。
「(逃さないから。・・・何かいい入れ物はないかしら?)」
アレスを持ち上げ、部屋の中を見回す。
「あれにしよう。」
戸棚に残されていた広口瓶の中へアレスを入れると、蓋を閉めて密封した。
「(おい、ちょっとまて、空気穴・・・空気穴~)」
「(うふふ・・・まるで、できの悪いボトルインプね。)」
アレスを閉じ込めてほっと安心したルリはそのテレパシーに気づかず、部屋を片付けると自分の部屋へと帰っていった。
何に使えるかわからない空気浄化の魔法を気まぐれで覚えていたことに、アレスは感謝した。
第2章 完