このお話も「正義と自由のために」のアフターストーリーです。でもパープル姐さんの活躍するお話なので、どちらかというと「契約は守らないとね」に似ちゃってるかもしれません。そんなわけで、ありえないほどモロ18禁です。良い子は絶対に読んじゃダメだよ。で、これがGCなのかどうかは読者の皆様のご判断にお任せします(笑)

いつまでも君と
by JUNKMAN

侵略者は既に支配者となっていた。
地球人は異星からやってきた巨大な支配者の足元にひれ伏していた。
彼女はいつも底の厚いしっかりした造りの黒いローファーを履いている。
逆らう地球人は皆そのローファーの靴底の下に沈められていった。
軍隊も、デモ隊も、レジスタンスのゲリラも、問答無用にまとめて踏み潰された。
あの靴底は、長径が600メートル、短径も300メートル近くある。
そんな巨大なコンプレッサーが上空1000メートルから唸りを上げて一気に振り下ろされるのだ。
逃げられるはずがない。
・・・
いつか、地球人は完全に抗うことを止めていた。
もはや地下に潜って密かに抵抗運動を行う者もいない。
考えることを止め
感情を殺し
誇りを捨て
巨大な彼女の足元にひれ伏した。
心の中にあるものは畏れのみ
それ以外の思いは空っぽにして
ひたすらその足元にひれ伏した。
・・・
・・・
・・・
でも
僕の心の中には、畏れ以外の思いもあった。
はっきりいおう
感謝の気持ちだ。
だって支配者は、この地球にパープルを連れてきてくれたのだ。

*****

支配者はしばしば友人と思われる異星人の少女たちをこの地球に連れてくる。
いや、この頃は支配者抜きで友人だけがやってくることも珍しくない。
支配者自身も含め、みんな驚くほど選りすぐりの美少女たちだ。
一番頻繁に訪れるのはストレートの黒髪に切れ長の瞳のキレキレ美少女と茶髪の入ったショートカットにドングリ眼の巨乳少女の二人組。
それに比べれば頻度は少ないが、パープルも支配者と一緒に、あるいは時に一人きりで、この地球にやってくる。
・・・
パープル
僕のお気に入りのパープル
トレードマークは大きな黒縁のロイド眼鏡
もう一つの特徴はふわふわさらさらで鮮やかな紫色の髪
だから僕は勝手にパープルと呼んでいる。
本名は知らない。
僕は小悪魔のように魅惑的なパープルの姿を、遠くからぼーっと眺めるのが大好きだった。
小顔なのでスタイルは悪く見えない。
でも同級生たちに比べれば、身体つきは小さくて華奢だ。
小顔なだけにロイド眼鏡が余計に大きく見えて、その奥の黒い瞳もぱっちりと大きく、いつも不自然なほどきらきら輝いている。
北方民族を思わせる真っ白の肌
だというのに瞳は漆黒で、全体の雰囲気はむしろアジア系
小さな鼻は慎ましやかにつんと尖って、ぷっくりした厚めの唇だけが妙に鮮やかなピンク色だ。
パープルの定番の装いはエンブレムの入った紺のブレザーに白いブラウス
ダークグレーに紅と濃紺のチェック柄のミニスカートは丈が極端に短く、そこからにゅっと細い足が伸びる
膝小僧から下は紺のソックスでコーディネートされ、足元は黒光りするローファー
この星のハイスクールの制服でもシミュレートしているのだろうか
確かに年格好も雰囲気もまるで女子高生のようだ
そんなキュンキュンの美少女が、眼鏡の奥の黒い瞳をいたずら子猫のように輝かせて、いつも何かを企んでいる
・・・
僕は、そんなパープルを遠くから眺めるのが好きだった。
憎い侵略者とか
恐ろしい支配者とか
そんな視線でパープルを見たことはない。
パープルを眺める僕は幸せだった。
パープルは誰よりも綺麗だ。
パープルは誰よりも愛くるしい。
パープルは僕を魅きつける。
大好きなパープルとお話ししてみたい。
大好きなパープルを抱きしめてみたい。
大好きなパープルとキスしてみたい。
大好きなパープルと
・・・
・・・
・・・
僕の妄想は止むことがなかった。
叶うことなら、パープルを独占したいと願っていた。
・・・
そんなことが実際にできるはずもないことは、頭の中ではわかっていたつもりだったが

*****

今日もパープルは一人でこの地球にやってきた。
遠くから眺めれば、いつもの可愛いパープルであったはずだった。
これ以上なく得意そうな笑みを浮かべながら、両手を背中の後ろで組み、膝を伸ばしたままヒップを後ろに突き出すようにして前屈みになり、真下を見下ろしている。
その拡げたひょろりと細い両脚で、地面から突き出た細長い玩具のようなものを跨いで見下ろしている。
例によってあの子猫のような黒い瞳は、何か企んでいるかのように眼鏡の奥できらきら輝き、口元は嬉しそうにほころんでいる。
・・・
・・・
でも
今の僕の目に映る彼女は、いつもの小柄で可愛いパープルではない。
だって僕は、Neo-Tokyo Cityを象徴する高層建築物であるNeo-Tokyo Skytree Towerの真下に立っているのだ。
そのNeo-Tokyo Skytree Towerこそが、彼女の両脚の間にちょこんと立っている玩具のような細長いものだった。
目も眩むような高さにあるはずのNeo-Tokyo Skytree Towerのてっぺんは、しかし彼女の脚の膝小僧にも届かない。
その脚の基部には東京ドーム70個分の体積を持つ黒光りする物体が2個、両脇を固めて鎮座している。
ローファーだ。
あれが抵抗者を問答無用で押しつぶしてしまう無敵のローファーだ。
僕ら地球人にとって、その靴底の側壁ですら垂直に切り立った絶壁だ。
よじ登ることも難しい。
これでもその靴底は半分くらい地面の下にめり込んでいるのだ。
ありえないバカでかさである。
実際に、僕の視野の大半はこのローファーが占めていた。
・・・
いや、そんなことはない。
真上を見上げれば、遥か2000メートルの上空にあのダークグレーに紅と濃紺のチェック柄のミニスカートがスカイドームとなって上空を占拠している。
その内側の真っ白いパンツから2本の眩しい白肌色の脚が地表の僕たちに向かってどうだまいったかとばかりにどーんと伸びている。
この規格外に巨大な肉体のパーツが、統合されて一人の人物になるとはとても実感できない。
ましてや僕の大好きな美少女パープルになるとは
・・・
理解できない前に
信じたくなかった。
・・・
・・・
・・・
狂っている。
まるで縮尺が狂っている。
現実の彼女の身長は富士山よりも高い。
地球人の僕たちとはまるで別次元の大巨人だ。
僕なんか彼女の前では砂粒も同然の一匹の微生物にすぎない。
それが本当のパープルの姿なのか?
・・・
認めたくない現実を見せつけられた。
いや、それでも僕はその現実を認めなかった。
・・・
ただ、悲しかった。
・・・
・・・
・・・
今日の僕の悲しみは、こんな真下の足元から彼女を見上げているからなのだ。
いつものように遠くから小柄で華奢な美少女パープルを眺めていれば良かったのだ。
・・・
・・・
では、なぜ今日の僕はそんな悲しい思いまでして彼女の足元に来てしまったのか?
・・・
召集がかかってしまったからだ。
名目上は政府からの召集だが、実質的には彼女からの召集だ。
その目的は召集状には記載されていない。
・・・
でも、誰もが理解していた。
・・・
・・・
・・・
今日の僕たちは、彼女への「生贄」なのだ、と

*****

Neo-Tokyo Skytree Towerの下に召集されていたのは、僕も含めざっと100人ほどの男たちだ。
みんな20歳そこそこの若者
僕自身も、ちょうど20歳である。
一様に蒼白い顔をして言葉も少ない。
それはそうだ
僕たち生贄は、死刑宣告を受けたも同然の身なのだ。
そんな絶望的な状況の中、共に死を宣告された者同士の僕らには、ある種の仲間意識も芽生えていた。
・・・
待ち構えていた警官たちの指示に従って僕らは全裸になった。
そしてNeo-Tokyo Skytree Towerの内部に招き入れられる。
ここから僕たちは全裸のままエレベーターで高層階の展望スペースに昇る。

*****

展望スペースに到着したら、独特のむわっとした生臭い匂いがした。
淫臭だ。
このNeo-Tokyo Skytree Towerは、彼女たち異星人にとってちょうど良い大きさなのだ。
跨って、腰を深く沈めると、ずぼっと根元まで入る
僕たち地球人が誇りを持って建造したこの高層建築は、彼女たちにとって1個の淫猥な玩具でしかない。
そうやって彼女たちは僕たち地球人の尊厳を全否定するのだ。
ラフな遊びにも耐えられるよう、このところこのNeo-Tokyo Skytree Towerは何度にもわたって入念に補強工事を加えられてきた。
だから簡単に崩壊はしない。
その代わり、その内部に幽閉された者はただでは済まない。
今日の僕たちが生贄として死刑宣告を受けたも同然である、とは、そういう意味なのだ。

「・・・んふふふふ、みんなよく来たね。さ、今日はボクと楽しく遊ぼうね♡」

轟いてきた声に驚いて窓の外を見ると、黒縁のロイド眼鏡で覆われた湖のように巨大な瞳が展望スペースの僕たちを覗き込んできた。
彼女だ。
彼女がこの展望スペースを覗き込んでいる。
彼女はトレードマークの巨大なロイド眼鏡を外し、背後に放り投げた。
既に服は全て脱ぎ捨てて、一糸まとわぬ姿になっている。

「・・・ほうら、ボクはもう準備オッケーだよ。」

彼女は僕たち地球人の前で自分を「ボク」と呼称する。
もともと見た目が子供っぽいのに、言動が更に子供っぽく聞こえる。
圧倒的な力を持つ大巨人が、敢えて子供のようにあっけらかんと振る舞う。
そのギャップは僕たち支配される地球人には何ともきまりが悪いが、逆に彼女には可笑しくて堪らないようだった。

「はいっ」

展望スペースの真ん前に、それ自体がちょっとしたビルくらいありそうな肌色の物体が突きつけられた。
至近距離に押し付けられるとまるで実感がわかないが、これが彼女の華奢な小指なのだ。

「キミたちも、早くそこから出ておいでよ!」

口調こそ遊び半分のようだが、実質的にこれは命令である。
少なくとも、僕らに同行していた警官たちはそう受け取った。
僕は仲間の100人程度の男たちと一緒に、警官たちに促されて展望スペースの非常口から屋外のベランダに出る。
こんな高層階の屋外ベランダなんて、目が眩むんじゃないか?
・・・
と、思っていたが、そんなことはなかった。
押し付けられた彼女の巨大な小指が視界を遮って、下なんかまるで見えなかったからだ。

「・・・何してるの?みんな早くボクの指に乗りなよ!」

呆然としていた僕たちは、その一言で我に返って、ベランダの手すりを乗り越え、次々と彼女の小指の上に降り立った。
彼女の湖のような黒い瞳が、僕たちを嬉しそうに真上から見下ろす。

「今日はキミたち何人いるのかな?くくくくく、大勢いるみたいだけど、みんなボクの小指の上に乗れちゃったね。小さいと便利だね。」

僕たちは小指の上に載せられたまま、ぐぐぐぐっと遥か上空まで持ち上げられる。
何のことはない、Neo-Tokyo Skytree Towerを両脚に挟むようにして体育座りしながら上体を思いっきり前屈させていた彼女が、急にしゃんと背筋を伸ばしたのだ。
座ったままの姿勢
それでも彼女の目の前辺りに置かれた僕らは、高度にして1500メートルくらいの地点にいる。
吹く風がうすら寒かった。

「てへ、ボクはクラスでは小さい方から数えて3番目なんだよ。それでもキミたちに比べたら大巨人だけどね。んふふ、嬉しいな、えっへん♡」

ふっ、と、僕らの足元の重力感覚が消失した。
彼女が僕らを載せた指の位置を下げたのだ。
僕らの目の前に広がる光景が、あの湖のような黒い瞳から、不自然なほどピンク色にぬらぬら輝く唇になった。
僕は魅き込まれるようにその唇を見つめる。
二台重ねた大型トレーラーより更に大きな唇はぎゅっと閉じられ、でも口角だけが少し上がっていた。
暴力的に甘ったるい吐息には、わずかに獣のような唾臭が混じっている。
そんな呼気と吸気が荒々しく繰り返されるうちに、ぎゅっと閉じられていた唇が僕らの目の前で唐突にぽっかり開いた。

「・・・食べちゃおっかな?あーん♡」

悲鳴すら上げられなかった。
さっきまで固く閉ざされていた唇という関門が、急にばっくりと開いて直径150メートルほどの大穴に姿を変え僕らの前に現れた。
その奥に広がる漆黒の闇から、さっきわずかに感じた獣のような唾臭が、今度は露に獰猛な牙をむいて噴き出してくる。
・・・
食われる!
いや
呑まれる!
・・・
頂点に達した恐怖で、僕らは声を立てることも忘れ、腰を抜かしたままその暗い巨大洞窟を見つめていた。
・・・
嫌だ!
食べられるなんて嫌だ!
僕は食料じゃない!
一人の尊厳ある人間だ!
僕を食べないでくれ!
・・・
・・・
・・・
その願いが通じたのだろうか、僕らはあの巨大な口腔内に放り込まれることもなく、再び彼女の眼の前にまで持ち上げられた。

「うそうそ、食べちゃうなんてウソだよ!確かにキミたち食べちゃいたくなるくらいカワイイけど、でもボクたちは男の子と女の子なんだから・・・もっとえっちな遊びをしたいよね♡」

目の前の湖のような黒い瞳が愉快そうに歪む。
とりあえず一難は去ったが、これから別の災難が襲ってくることは間違いない。

「キミたち、女の子の身体って、よく見たことある?」

一方的に問いかけると、彼女は僕たちを乗せた小指をいきなり胸のレベルに降ろした。

「ほうら、これがボクのおっぱいだよ。どう?クラスメートたちに比べたらそんなに大きい方でもないけど、でもキミたちには山みたいに見えるんでしょ?ボクのおっぱいが山だなんて、こびとはお得だね、くくく」

彼女が説明してくれるまで、僕たちは目の前に広がる光景が乳房だとは実感できなかった。
真横になった巨大な肉塊
その麓の差し渡しは350メートルくらい
そこから盛り上がった半球形の膨らみの高さは250メートルくらいだろうか
確かに郊外の里山くらいのサイズはある。
その頂点にポツンと小さく乗っかった薄桃色の突起ですら、実は直径が20メートルもある。
僕たちの住む家よりも大きい。
それが彼女の乳首だ。
・・・
そんなに巨大な肉塊なのに、真横になってもまるで形が崩れない。
その強大な自重にしっかり耐える強靭な作りなのだ。
この盛り上がりを山としか認識できない小さな地球人の僕たちでは、たとえ全力で体当たりしてもその表面を弛ませることもできないだろう。
・・・
・・・
あまりの大きさの違いに僕たちが打ちのめされていると、彼女はにたにた笑いながら立ち上がり、そして両脚を大きく開き、少しガニ股に腰を落として、股間のあたりに僕らを誘導した。
僕らは急激なアップダウンに翻弄されながら、目の前に広がっていく光景に息をのんだ。

「んふふ、ほうら、次はまんこだよ。まんこだってさ、ボクのはこんなにでっかいんだよ。ほらほら、いまくっぱーするよ。」

彼女は恥じらうそぶりもなく僕らにその陰部を見せつけた。
ふわふわの紫色の陰毛で縁どられた薄桃色の膣口を、ご丁寧にもう片方の手の指二本で豪快にこじ開けてみせる。
大抵の地球の建造物なら余裕で呑み込んでしまえる巨大な洞窟が現れた。
内部からむんわりと淫卑な臭いが漂ってくる。
・・・
決して魅惑的な光景ではない。
恐怖でも畏怖でもない嫌悪感を覚えながら、僕らはその膣口をぼーっと見つめた。

「・・・ね、ホントにでっかいでしょ?びっくりした?」

彼女はあくまでも得意そうである。
僕たち地球人のこびとに、自分の身体の巨大さを見せつけるのが堪らなく嬉しいらしい。
そして、突然こんなとんでもないことまで言いだした。

「キミたち男の子なら女の子のまんこは大好きだよね?んふふ、てれなくてもいいよ。いま、中に入れてあげるよ♡」

え?
中に入れてあげる?
・・・
その言葉の意味を確かめる間もなく、彼女はやおら小指を自分の膣にずぶりと突き刺した。
僕らをその上に載せた小指を
・・・
・・・
・・・

*****

次の瞬間、僕たちは真っ暗で暖かく湿った巨大な洞窟の中にいた。
上下左右の壁からじゅぶじゅぶと粘度の高い液体が湧き出してくる。
強烈に生々しく、酸っぱく、そしてやはり獣のような臭いだ。
その粘液に拭いつけられることによって、僕らはこの悪夢のような洞窟に投獄されたのだ。
洞窟の壁を震わせて、外から彼女の声が轟き渡る。

「・・・くくく、みんなボクのまんこの中に入っちゃったね。どう?嬉しい?それとも臭い?くくく、せっかく男の子が女の子のまんこの中に入れてもらえたんだから、ちゃんとボクが気持ちよくなれるように頑張ってよね♡」

この展開を予想こそしてはいなかったが、驚くまでもない。
僕らはどうせ生贄だ。
玩具として卑猥な遊びに付き合わされるのはわかっていた。
わかっていたことだが、それでも仲間の多くは助けを求めて絶叫していた。
気持ちは理解できなくもない。
でも僕は声を立てなかった。
そんなことしても無駄に酸素を消費するだけだ。
取りあえず目の前に迫った危機は、この酸素が不足した閉鎖環境下で窒息してしまうことだ。
叫ぶ暇があったら、できるだけ息を潜め、そして酸素の供給元である膣口近くに移動しよう。
その方が生存の可能性は高いはずだ。
僕は妙に冷静だった。
自暴自棄になって叫びまくる仲間たちやじゅぶじゅぶ湧き出してくる粘液の海をかき分けながら、僕は一人だけ膣口と思われる方向へ移動する。
・・・
そのとき、再び彼女の声が轟き渡った。

「・・・うーん、ダメだね。せっかくまんこの中に入れてあげたのに、ボクはちっとも気持ちよくならないよ。キミたちはそんなに大勢集まっても女の子一人気持ちよくさせることができないんだね・・・あーあ、やっぱえっちは役立たずのこびとじゃなくて、同じ大きさの男の子とするしかないのかなあ・・・」

ピカッ
僕の目の前の膣口がばっくりと開き、外から眩しい光と共に新鮮な酸素が吹き込んできた。
ふうう、これで一息
やはり僕の戦略は正しかった
・・・
と、自画自賛する間もなく、外界からあの巨大な指が挿入されてきた。
まずい!
押し潰される!
いちばん危険なのは一人だけ膣口近くに移動していた僕だ!
僕は観念して目を閉じ身体を固くした。
・・・
ところが、挿入されてきた彼女の指は全く予想外な行動をとった。
僕の周囲の粘液を僕の身体と一緒に絡め取ると、そのまま引き抜かれて膣の外に出て行ったのだ。
指にへばり付けられた僕はあっけにとられていた。
予想外な経過で、僕一人が彼女の膣の外の世界に脱出することができたのだ。
それが幸か不幸かは別として

*****

粘液まみれの僕を載せた指は、またしても彼女の湖のような黒い瞳の真ん前まで急上昇する。
彼女は引き抜いた指をしげしげと眺め、そこに情けなく一人でへばりついた僕の姿を確認した。
彼女は嬉しそうに笑いながら、指のうえの僕に向かって話しかけてきた。

「・・・ボクのまんこの中からほじくり出されたこびとくん、というわけでキミにはこれからボクと同じ大きさになってもらうよ。」

え?
・・・
・・・
話が理解できない
・・・
理解できないうちに、彼女は小さな万年筆みたいなアイテムを取り出して、その先端を指の上の僕に差し向けた。

「・・・こびとくんこびとくん、大きくなあれ!」

ぴかっ
万年筆の尖端からビームが発射され、僕の身体を包み込んだ。

*****

我に返ったとき、僕の目の前にはあの美少女のパープルが立っていた。
???
遠くから眺め憧れていたパープル
小顔で、ちょっと鳩胸で、手足がほっそりとした華奢な身体のつくりだけれど、眼鏡の奥の目力は妙に強く、さらさらふわふわの紫色の髪をなびかせた女の子
今はそのトレードマークのロイド眼鏡こそ外しているけれど、間違いないそのとびきりの美少女が僕と息の触れ合うほどの近い距離に立っている。
女の子独特のちょっと甘酸っぱい良い香りが僕の鼻をくすぐった。
???

「・・・こびとくん、大きくなった気分はどう?」

???
僕にはまだなんのことかさっぱりわからない。
全裸の僕の目の前に、憧れの美少女パープルがやはり一糸まとわぬ姿で立っている。
この状況を理解しろという方が無理だ。

「・・・ってか、もうこびとくんじゃないね。いまのキミは普通の地球人の2500倍の大きさだからね。」

え?
ぼ、僕が
・・・
2500倍の大きさに?

「それにしても地球人って、ちゃんと普通の大きさになればホントにボクたちにそっくりなんだね。」

・・・
パープルの言葉が僕の頭の中でうつろに響きわたる。
普通の地球人の2500倍の大きさ
・・・
慌ててパープルと自分の周囲を見渡した。
キャラメル1個分もない小箱が敷き詰められた大地のところどころに、最大でマッチ箱サイズの小箱が点在している。
そしてその中で最も威容を放つ銀色の尖ったもの
高さは30㎝弱しかないが、しかしその形にははっきり見覚えがあった。
間違いない
これはNeo-Tokyo Skytree Towerだ。
・・・
・・・
その気になってよく見なおしてみると、キャラメルやマッチ箱の配列も、あのNeo-Tokyo Cityの街並みをそっくり再現している。
水辺の輪郭も全く同じ。
まるでジオラマだ。
そして目を凝らしてみると、そのキャラメルやマッチ箱の隙間を、砂粒よりも小さなものがうじゃうじゃと右往左往している。
生きている。
間違いなく生きている。
これはジオラマではなく、生きている人間が暮らしている街、Neo-Tokyo Cityだ。
僕がそのNeo-Tokyo Cityで暮らす地球人からかけ離れたサイズになってしまったのだ。
・・・
・・・
・・・

「・・・まあ、中でもキミは・・・ちょっとカッコイイかな」

パープルは狼狽する僕の気持ちなどお構いなしに、じろじろと僕を品定めする。
そして僕の首に両腕を回すと、伸びあがるようにキスをしてきた。
!!!
僕は再び周囲が全く見えなくなった。
パープル
憧れのパープル
憧れのパープルの唇の味は、ミルクのように甘く、チェリーのように芳醇だった。
僕も思わず両腕をその背中に回して、パープルの身体を強く抱き寄せた。
パープルの小さな身体は、僕の身体ですっぽりと覆えてしまえるほどだった。
温かく、柔らかく、それでいてぷりぷりと弾んで気持ち良い。
特に僕の季肋部あたり押し付けられたこの弾力に富んだ肌触りは
・・・
・・・
!!!
僕は思わずパープルから身体を離して、その弾力に富んだ肌触りの正体を確認した。
乳房だ。
決して特に大きいわけではないが、つんと張って均整のとれた美しい乳房だ。
僕はおそるおそる手を伸ばし、それぞれの手で左右の乳房を掴んでみる。
僕が鷲掴みに握ると、弾けるような乳房は、その手の中で呆気ないほど抵抗なくぷにゃりと潰れた
・・・
・・・
・・・
信じられない
これがあの彼女の乳房なのか
里山サイズの乳房なのか
僕たちが全力で体当たりしてもびくともしないように見えたあの乳房なのか
信じられない
だってパープルの乳房は、現にいま僕の手の中で握りしめられ、柔らかくぷにゃりとひしゃげている。
信じられない
これが同じ乳房だとは
・・・
・・・

「んふふ、キミ、積極的だね。ちんちんもびんびんに勃ってるしね。」

僕は顔が熱くなった。
確かにもうペニスが勃起している。
しかも、自慢するつもりはないが、僕のペニスは他人に比べるととても大きいのだ。
巨根、といって良いと思う。
それが全裸の状態で完全に勃起してしまったので、隠したくても文字通り僕の手には余ってしまう。
僕のいきり立つペニスを両手で撫でながら、パープルは耳元で囁いた。

「・・・ボクのまんこもじゅるじゅるに濡れてるよ。準備オッケーだね・・・じゃ、はじめよっか♡」

パープルはくるりと背を向けると、僕に向かってどんと尻を突き出した。
小ぶりだけれどきゅっと締まったヒップ
やや上つきの陰部ではクリトリスがサーモンピンクに充血し、てらてらと光る膣口が僕を誘う。
僕の極限まで怒張したペニスはもう我慢できない。
挿入しようと腰を落とし
息を整えたところで
・・・
我に返った
・・・
・・・
あの膣の中には、まだ僕の仲間たちがいる。
・・・
・・・
・・・
ダメだダメだ!
僕は2500倍に巨大化してしまったんだ。
このペニスだけでも超高層ビルより巨大なんだぞ。
そんなものをあの腔に挿入したら中にいる仲間たちは潰れてしまう。
できない
僕には自分のペニスで仲間たちを押し潰すなんて残酷なことはできない!
僕は首を横に振りながら腰を引いた。
パープルが素早く反応する。

「ねえ、何してるの?早く、早く、キミのちんちんをボクのまんこに挿れてよ!」

背後の僕に向かって振り返りながら、パープルはあひるのように唇を尖らせる

「・・・いま、この地球で、大巨人のボクとえっちできるのは大巨人になったキミだけだよ。ボクを独り占めできるんだよ。」

・・・
パープルを
独り占めできる
・・・
・・・
・・・
この一言はたちどころに僕の判断力を麻痺させた。
・・・
パープルを独占できる。
あのパープルを僕だけのものにできる。
それって、ずっと夢にみてきたことじゃないか!
それがいま目の前にある。
夢じゃない。
本当に僕はパープルを僕だけのものにできるんだ
・・・
・・・
ここにペニスを挿入したって
みんなが潰れるわけじゃないよね?
・・・
そうだよ、もっと膣の奥の方に逃げてくれれば、僕のペニスに潰されずに済むはずだよ
だから、みんな奥の方に逃げてくれよ
早く逃げてくれよ
僕は
僕は
・・・
・・・
ここに挿れるから
・・・
・・・
僕はもう一度腰を落とすと、乳房を握りしめた両手で、パープルの身体を、ぐいっと、力任せに手前に引き寄せた。
・・・
・・・
・・・
ずぶっ

*****

「!!!」

亀頭を膣口にねじ入れた瞬間、パープルの背中がぴくりと揺れた。

「・・・キ、キミのちんちん、お、おっきいね・・・」

パープルは明らかに狼狽している。
僕はこれ以上パープルを驚かせないよう、ゆっくり、落ちついて、優しく、陰茎を差し挿れる。
ぐむ
ぐむ
・・・
十分に気を遣ったつもりだったのに、それでもパープルは即座に反応した。

「んんん、ああ、す、すっごい・・・すごいちんちんだね・・・あ、あ、ボ、ボクのまんこ、裂けちゃいそうだよ!あ、あ、あ、ああああああ!」

僕は慌てて腰を浮かせ、膣からペニスを引き抜いた。
ペニスをあまり深く挿入して、パープルの膣内に閉じ込められた仲間たちが危険な目に遭うことは避けたかった。
でもそれよりも、パープルに痛い思いをさせてはいけない、という気持ちの方が強かった。
ところがこの僕の気遣いに対するパープルの反応は真逆だった。

「・・・どうしてやめちゃうの?せっかくいいところだったのに・・・ほらほら、早くまたキミのそのでっかいちんちんをボクのまんこにぶち込んでよ!」

どうやらパープルは痛いことよりも途中でやめることの方が嫌だったらしい。
そうか
僕は改めて腰を落とすと、背後からパープルの身体を抱き寄せて、ずん、と再び突きたてた。
仰け反りそうになるパープルの身体を荒々しく押さえつけ、竿の途中まで挿入する。
そこでカリまで引き戻し
また竿の途中まで
そしてカリまで引き戻し
また竿の途中まで
・・・
ぐっちょ
・・・
ぐっちょ
・・・
ぐっちょ

「あああああああ!いいよ!いい、いい・・・ボク、壊れちゃいそうだよ、うん、壊しちゃって良いよ・・・ああああ、だから、もっと奥まで、もっと奥までキミのちんちんで突いて!」

パープルの声が裏返る
奥まで
奥まで突く
奥までペニスで突く
でも奥まで僕のペニスを挿入したら、膣の中に閉じ込められた仲間たちの逃げ場はいよいよ狭くなる。
だって僕のペニスは太いだけでなく、長い。
パープルの小振りな膣に付け根まで挿れたら、子宮口まで串刺しにしてしまうかもしれない。
・・・
・・・
それでもいいかな?
逃げようと思えば逃げられるよね?
うん
逃げてくれよ
みんな、頑張って逃げてくれよ
僕は、もっと奥深くまで挿入したいんだよ
・・・
・・・
僕は両手でパープルの腰を掴み、ぐいっと手元に引き寄せながら、僕の腰を更に力強く押し付けた。
ずむ!

「あああああああああ!!!」

・・・
ついに根元まで挿れてしまった。
小ぶりなパープルの膣は、根元まで挿入された僕のペニスをきゅうきゅうに締め上げる。
先端は本当に子宮まで届いてしまったかもしれない。
仲間はみんな無事かなあ?
・・・
・・・
そんな僕の不安な気持ちは、愉悦に悶えるパープルの姿を見ていると消し飛ばされてしまった。

「あああ、感じる!・・・はあ、感じるよ!・・・気持ちいい・・・はあ、はあ、ねえ、もっと・・・もっと腰を動かして!」

僕は頷くと、本格的に腰を動かし始めた。
ぐっちょ
・・・
ぐっちょ
・・・
ぐっちょ
ぐっちょ
ぐっちょ
ぐっちょ
ぐっちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
・・・
・・・
僕は憧れの美少女パープルにバックから挿入し、一心不乱に腰を振っていた。
今の僕にはパープルしか見えない。
視野に入るのはパープルだけだ。
でも、現実世界はちょっと違う。
パープルは身長3800メートルの大巨人
今の僕も身長4500メートルの大巨人
そんな大巨人同士が大地を揺るがせ咆哮を轟かせながらカタストロフィックなセックスを繰り広げているのだ。
足元では何百万人もの砂粒のように小さなこびとたちが、逃げ惑い、叫び声を上げながら、でもどうすることもできずに僕たちを見上げている。
僕たちの天変地異も同然の雄大なセックスは、まさに衆人環視だったのだ。
それも快感だ。
いくら美しくても、いくら愛くるしくても、身長が3800メートルもある超巨大な女の子を犯すことのできる男なんて、地球上には誰一人としていなかった。
だけど、いまの僕にはできる。
身長4500メートルの大巨人になった僕なら、身長3800メートルの超巨大な女の子とでも問題なくセックスすることができる。
どうだ?
羨ましいか?
みんな、歯がみして悔しがっても、何もできないんだろ?
僕が
僕だけが
パープルを独占しているんだぞ!
確かに視野にはパープルしかいないけれど、でも足元からは数十万数百万の羨望の視線をぴりぴりと感じ、僕の気持ちはますます昂揚していった。

「・・・はあ、はあ、はあ・・・はあ、はあ、すっごく気持ちいいよ、はあ、はあ・・・気持ちいい・・・最高に気持ちいいから、はあ、はあ、はあ・・・ボクの中に出していいよ・・・」

中に出す
・・・
僕は腰を動かし続けながらその意味を考えた。
中に出す
もちろん、パープルの膣の中に射精するということだ。
妊娠させてしまうかも?
そんなことを心配したのではない。
今の僕は身長4500メートル、体重1200メガトンの大巨人だ。
勃起したペニスの長さはざっと600メートル
一回の射精で5万トンの精子を放出してしまう。
そんな大量の精子をあのパープルのきつく締まった膣の中に放出したらどうなる?

「・・・はあ、はあ、早く、早く、はあ、はあ、ボク、もうイッちゃいそうだよ、はあ、はあ、はあ、ねえ、キミも一緒にいこうよ、はあ、はあ、早く、早く出してよ・・・ボクのまんこの中に!」

・・・
・・・
ボクは理性を押し殺した。
パープルの声
パープルの匂い
パープルの温もり
パープルの肌触り
それらが一体になって僕の心を鷲掴みにし、しかも下半身からは比類ない快楽が襲いかかる。
こんな状況で冷静さを保つことなんてできなかった。
やり遂げる。
僕はこの素晴らしいセックスを最後までやり遂げる。
パープルの中に出す。
みんなゴメン
君たちを僕の放出した5万トンの精子の海の底に沈め、とどめをさしてしまう。
ほんとうにゴメン
僕は生暖かくじめじめした暗い洞窟の中で、襲いかかる巨大な肉棒から逃げ惑いながら、ついにその先端から発射された5万トンの白い濁流にのみこまれる僕の仲間たちの悲惨な姿を想像した。
ほんとうに、ほんとうにゴメン
でも、僕はどうしてもこのセックスをやり遂げたいんだ!
パープルとの至高のセックスをやり遂げたいんだ!
僕を、許してくれ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
・・・
・・・
・・・
もともと熱かった僕の下半身が、更にもう一回りヒートアップした
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
来る
来る
来るぞ!
半ば朦朧とした意識でパープルの表情を伺う。
視線がとろんとして定まらないパープルは、大きく口を開けてはあはあと荒い呼吸をし、その口角からだらしなく涎を垂らしていた。
もういいな
もう頃合いだな
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
ぐちょ
・・・
・・・
・・・
どびゅっ!!!
・・・
・・・
ペニスの先端から熱いものが迸って、僕はただちに腰のピストン運動を停止した。
そのペニスは今もなおパープルのきつく締まった膣に根元までずっぽりと挿れられている。
中出しだ。
本当にパープルの中に出してしまった。
・・・
・・・
・・・
射精とともに、僕は冷静さを取り戻した。
ぐったりと横たわるパープルの膣から精子まみれの萎びたペニスを引き抜くと、それまでパープルしか見えなかった僕の目に周囲の現実世界が見えてくる。
2500倍の大巨人になった僕とパープルのセックスは、このNeo-Tokyo Cityに回復不可能なほどの大災厄をもたらしていた。
パープルの膣の中に閉じ込められた仲間たちだけではなく、この大巨人同士の暴力的なセックスによってどれだけの被害者がでたのか想像もできない。
取り返しのつかないことをしてしまった。
・・・
・・・
・・・
はずなのに
・・・
僕の心の中にあったのは満足感だけだった。
・・・
やった!
やり遂げた!
パープルとのセックスをやり遂げた!
パープルとセックスした男は、この地球上では僕一人だ!
そしてその素晴らしいパープルとのセックスを、僕は地上の全ての人々に見せつけてやったぞ!
パープルは僕だけのものだ!
わかったか!
パープルは僕だけのものなんだ!
・・・
・・・
高なる心を鎮めきれないまま横たわるパープルの表情を伺う。
疲れきったその顔にも、明らかに満足な笑みが浮かんでいた。
・・・
・・・
・・・
この上ない達成感が僕を包み込み、いま力尽きたばかりのはずの僕のペニスは、不死鳥のように再びむくむくと勃起した。

*****

僕はいま、全裸のまま彼女の小指の爪の上に立たされて、間近に迫る直径25メートルの黒い瞳を見つめている。
そう
僕は元の地球人サイズのこびとに戻されていたのだ。
・・・
だって僕は彼女にとってただの遊び道具だ。
遊び時間が終わればそれでおしまい。
元の姿に戻される。
それだけのことだ。
・・・
・・・
僕が抱きしめた僕のパープルは、僕と至高のセックスをしたあの可愛いパープルは、いま再び超絶的な大巨人である「彼女」へと姿を変えていた。
・・・
その認めたくない現実に、僕はまたしても打ちのめされていた。

「・・・こびとくん、キミ、えっち上手だね。持ってるちんちんもすごいしね。ボクも久々に気持ちよかったよ♡」

彼女は湖のような黒い瞳を細めながら、爪の上に立たされた全裸の哀れなこびとに成り下がった僕を見つめた。
その眼差しは暖かく、どこか好意的だった。

「でね、キミに質問があるんだ・・・」

急にその瞳が真面目な表情になる。

「せっかく大きくなれたのに、どうしてキミはそのときボクと闘わなかったの?」


・・・
思ってもみない質問だった。
パープルと闘う?
この僕が?
???

「・・・ボクたちはキミたち地球人にとって、憎い敵なんでしょ?どうしても倒せない強大な敵なんでしょ?チャンスだったんだよ。だって、あのときキミはボクより大きかったんだよ。しかも男の子なんだから、か弱い女の子のボクをねじ伏せることなんか簡単にできたはずだよ。」

なるほど
言われてみればその通りだ
僕の胸にすっぽりと包まれてしまうようなか弱いパープルなら、組み伏せたり叩きのめしたりすることも簡単にできただろう。
巨大な侵略者になすすべもなく壊滅させられた防衛軍や反乱軍、抵抗組織などの仇討を、あのときの僕ならやってのけることもできただろう。
もしかしたら、遥か地表から巨大になった僕を見上げていた小さな地球人たちは、そのセックスを羨望の眼差しで見ていたのではなく、この僕が憎い侵略者を打ち倒してくれることを期待していたのかもしれない。
その通り
全くその通りなのだが
・・・
・・・
肝心の僕は、そんなことを全く想起もしなかった。
そんな僕の気持ちを見透かしたかのように、彼女は言葉を続けた。

「・・・でもね、もしキミが少しでもそんなそぶりを見せたら、すぐにこびとに戻して捻り潰してあげるつもりだったんだ。ちょっとそれも期待していたんだよ。もしかしたら勝てるかも?とか思わせておいて、そこでいきなり小さくされちゃったときの驚く顔や、指先で潰される直前の悔しがる顔、そんな絶望感ばりばりの様子をリアルで見られるかも?って、わくわくしてたんだ。」

・・・

「でも、キミは違ったね。わき目もふらずに一所懸命ボクとえっちしてくれた。期待は裏切られたけど、別の意味でとっても嬉しかったよ♡」

・・・え?

「ちょっとキミ・・・カワイイかも」

僕を見つめる巨大な瞳がとろりと蕩ける。
狼狽する僕を後目に、僕を乗せた小指はゆっくり下降して、そしてぷっくりした少しアヒル型の唇の前で静止した。

「・・・ご褒美に、もう一回チュウしてあげるよ♡」

*****

僕は、自分の足場である彼女の小指の爪先ごと、その半開きの唇に押し当てられていた。
不自然なほどショッキングなピンクに光り輝く、彼女の唇に押し当てられていた。
すこし窄め気味に尖らせたその唇は、外周の横径も縦径も等しく50メートルくらい。
その中心にトラックが2台並んで通り抜けていけるほどの隙間があった。
その隙間から甘酸っぱく少し生ぐさい獣のような唾臭が轟音を上げて吹きつけてくる。
・・・
獣?
・・・
いや
違う
・・・
ほんのり
ミルクとチェリーの良い匂いが混じっている
間違いなく、さっきキスを交わした時のパープルの匂いだ
・・・
・・・
・・・
初めて
本当に初めて
僕の中で「パープル」と「彼女」が繋がった。
「彼女」は「パープル」だったのだ!
愛おしさで僕の胸ははちきれそうになった。
この彼女の唇はパープルの唇だ!!!
僕は紛れもなくパープルと過ごしているんだ!!!
僕は小指から飛び降りて、目の前に立ちはだかる唇の壁に身を投げ出し、狂ったように全身を擦りつけた。
パープルにしてみれば1粒の砂粒にもみたないこびとに成り下がってしまった僕が、いま現在できる最大限の愛撫行為だ。
僕はパープルの唇に貼りつき、パープルの口臭を胸いっぱいに吸い込んだ。
キスだ。
僕はまたパープルとキスをしている。
僕だけのパープルを独り占めしている。
幸せだ
いつまでも
いつまでも
こうやってパープルを独占していたい
・・・
・・・
・・・
それが無理な相談であることは十分に承知していた。
間もなく、僕のこのご褒美タイムは終了する。
そうしたら僕はまた指に絡め取られ、そして足元に降ろされる。
そうしたらパープルはもう手の届かない高嶺の花になってしまう。
遥かに遠くから眺めるだけの、憧れの存在になってしまう。
僕は今日のパープルとのうたかたの恋を一生の想い出として胸に抱きつつ、遠くから眺めるだけの日常に戻るのだ。
・・・
・・・
そんなのは
・・・
いやだ!!!
・・・
・・・
・・・
パープル
僕のパープル
僕の腕の中でふんわりと抱きしめられた可愛いパープル
しっかり僕と一つになった愛しいパープル
パープルは僕のものだ!
パープルは僕だけのものだ!
その他大勢の人々と一緒に、遠くから眺めていることなんてできるものか!
僕はパープルを独占するんだ!
僕だけのパープルを、僕だけのものにするんだ!
・・・
でも
・・・
どうやって?
・・・
・・・
・・・
!!!
・・・
僕の頭に素晴らしいアイディアが思い浮かんだ。
これしかない。
僕は貼付けられたパープルの唇を匍匐前進し、そこで立ち上がると全力で半開きの唇のトンネルを駆け抜けて口腔内に飛び込んだ。

*****

ピカッ!
僕の侵入した口腔内に、眩い光が差し込んでくる。
パープルは気づいたのだろうか?
光とともに、巨大な指が挿入されてきた。
危ない!
あの膣からほじくり出されたときのように、この口腔内から掻き出されたら計画は失敗だ。
僕は下顎の歯槽の裏に隠れて危険な刺客をやり過ごす。
そして唾液でぬめぬめした足場に気を遣いながら、歯槽の下端に沿って口腔の奥を目指した。
敏感な舌先を迂回するためだ。
舌先で感知されたらたちどころに絡めとられてしまう。
慎重に
慎重に
僕は唾臭のたちこめる口腔底を歯槽の壁に沿ってゆっくりと進み、臼歯の麓近くまでたどりついた。
もう少し
もう少しだ
次のステップに進むためには、危険な博打をうたなければならない。
舌の上に昇るのだ。
そうしないと行き止まりだ。
もうかなり奥まで来たので、いちばん敏感な舌先は通らずにすむ。
舌根近くで脇からこっそり登ってやろう。
僕は意を決して頬粘膜をよじ上った。
気づかれないよう、こっそりと登った。
・・・
つもりだったが
薄暗がりの中で、舌先が僕を襲ってきた。
感づかれたのだ。
!!!
たちまち僕は巨大な舌に絡めとられた。
しかも敏感な舌先だ。
間違いなく僕を感知している。
もはやこれまでか
・・・
ならばもう逃げ隠れはしない
一か八か、スピード勝負だ!
僕は転がり落ちた舌の上を舌根の方向に向かって走り出した。
ごつごつした味蕾が足元を邪魔するが、一心不乱に走った。
このまま突っ走れ!
走れ!
走れ!
幸い舌筋の動きは主に嚥下に特化しており、吐出にはさほど役立たない。
だから足元の舌の動きは僕に味方した。
思いのほか迅速に前進できる。
そして僕はついに垂直に切り立った舌根のたもとに立ち、眼下に広がる咽頭の闇を覗き込んだ。
・・・
・・・
・・・
パープル
・・・
後は君の助けが必要だ。
お願いだ!
僕の望みを叶えてくれ!
念じると、僕は舌の付け根からジャンプして、咽頭腔の奥へと身を投じた。

*****

「?」

指先に乗せていたはずのこびとくんの姿が見えなくなった。
調子に乗ってキスなんかしてあげようとしたせいで、吹き飛ばしてしまったのだろうか?
口の中にちょっと違和感があったけど、まさか呑み込んでしまったのだろうか?
指を入れて弄ってみたけどわからない。

「!」

舌先に何か触れたような気がする
まさか
これがさっきのこびとくん?
・・・
・・・
・・・
よくわからない。
よくわからないけど、口の中に唾が溜ってきた。
さっきから口の中に違和感があったような気がして、それで唾液の分泌が促進されたのだ。
どうしよう
この唾
吐き出そうか?
呑み込もうか?
・・・
・・・
こくり
・・・
・・・
呑んじゃった
・・・
特に理由はない。
唾を吐き出すよりはいいかな?と、思っただけだ。
その呑み込んだ唾の中に、パープルに思いを託した者がいることなど気づきもしなかった。

*****

じゅるじゅるじゅるじゅる
すとーん
・・・
ぽちゃん
・・・
・・・
ぬらぬらの暖かい滑り台を高速で滑り抜けた僕は、急に広がったスペース内の生暖かい海に着水した。
ここまで来ればもう安心だ。
ありがとうパープル
やっぱり君は僕を受け容れてくれた。
君がこくりと呑み込んでくれなければ、僕はあの咽頭から食道の関門を乗り越えることはできなかったよ。
ありがとう、パープル
ありがとう、僕を呑んでくれて
ありがとう、僕を食べてくれて
・・・
・・・
・・・
粘度が高く、酸っぱい臭いがつんと鼻を突く。
全身がちりちりと熱く痛痒くなってきた。
それはそうだろう
だって僕は胃液の海に落ちたのだ。
全ての有機物を溶かしてしまう、傍若無人の酸の海に落ちたのだ。
ほうら、身体の表皮がたちまち赤くちりちりと腫れ上がってきたよ。
溶け出すのももう時間の問題だ。
・・・
・・・
そうだよ
僕はこれを狙っていたんだよ
ここまでたどり着ければ、たとえこの身はこの胃液の海の泡沫となっても、その後、消化管蠕動運動によって送り届けられた先の腸で、僕の身体は全て吸収される。
パープル
君は僕を消化して
その後に僕を吸収するんだ
それで僕は永遠に君と一つになれるんだ
これ以上の独占があるだろうか
もう誰にも邪魔されない
僕のパープル
いや
僕だけのパープル
もう僕たちを引き離すことはできない
だって、僕は、パープルの一部になるのだから
・・・
あは
あははは
あはははははははは
あはははははははははははははははははははは
薄れていく意識の中、僕は胃液の海に漂いながら、高らかに笑っていた。
両手を高々と上げ、勝利のガッツポーズをしながら笑っていた。
あはははははははははははははははははははは
痛みも苦しみも覚えない。
皮膚が溶け
毛が落ち
骨が剥き出しになっても
僕は高らかに笑っていた。
あはははははははははははははははははははは
叶うはずがないと思っていた夢の成就を胸いっぱいに抱きしめて、僕は幸福の絶頂にあった。
あはははははははははははははははははははは
もはや喉頭も呼吸筋を失い、声を出せるはずがなくなっても、それでも僕は笑い続けた。
あはははははははははははははははははははは
僕たちはいつまでも一緒だ
いつまでも
いつまでも
いつまでも
いつ

・・・

・・・
・・・
・・・
・・・
・・・

いつまでも君と・終