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【銀髪少女の戯れ】


まるで真珠のように輝く銀色の髪。
それは艶やかでまるで絹のように煌めく白くて腰まで伸びる長い髪。
純白なひらひらした薄手のワンピースを身につけ、顔が隠れるほど大きい麦わら帽子を被ったその少女はまるでお伽話に出てくる可憐な少女そのものであった。
しかし、その少女は似つかわしくない薄暗い繁華街の裏路地に追い詰められていた。

「お嬢さんよぉ。お一人様でどちらにいかれるのですか〜?」

柄の悪い3人組の男。
その中の一人、ツーブロックの刈り込みを入れ、サングラスをかけた少し体格の良い男がその銀髪少女に詰め寄っていた。
エアコンの室外機が置かれ、地面にはポイ捨てされたゴミがちらほら広がっている。
表通りはそこそこの人通りで明るい道から裏路地の光景は目に入っているだろう。
しかし、人は皆、自分が可愛いものだ。
詰め寄られている少女を見たとしても表通りの人達は一瞬その光景に目をやるが、柄の悪い男達がそちらを向けばバツが悪そうに顔を背け、そそくさとその場を立ち去ってしまう。

「僕達はお嬢ちゃんに暇かどうか聞いただけで逃げようとするなんて俺のガラスのハートが傷ついちゃったよぉ〜……なぁ!」

ドンッと少女が背中を預けている壁に男は勢い良く手を突く。
その風圧で髪はふわりと揺れるが少女は微動だにしない。

「お嬢ちゃんのお顔もこの麦わら帽子のせいで全然見えないしな!」

男は無造作に麦わら帽子を掴むと地面に投げ捨てる。
鮮やかな紅い瞳に精巧に作られた人形のような長いまつ毛。
帽子によって隠されていた少女の顔立ちは幼いながらも少しだけ大人の魅力を辺りに醸し出していた。

「ヒュ~これはまたべっぴんさんじゃねぇか」
「おいおい西洋のお嬢さんがなんでこんな辺鄙な国に来ちまってるんだ~?」
「迷子のお嬢さんは俺たちの警察署にご案内しなきゃだなぁ」

更に少女に詰め寄る男三人組。
それでもなお少女は面を下に向けたまま微動だにしない。
しかし、少しの沈黙を挟んだのちについに少女が口を開く。

「……ふぅ、少しだけ安心しました」

「……?何言ってんだこいつ」
「この状況で“安心しました”ってか?こいつ頭沸いてんな」
「おいお嬢さん、大人をからかうもんじゃねぇぞ」

リーダー格の男が少女の白くか細い腕を掴む。

「ふふ、これなら気兼ねなく……♪」

「? なに言ってるん――っ!」

少女の腕を掴んだ男。
引っ張ってしまえば骨が折れてしまうのではないかという華奢な腕。
しかし、その細い腕がなぜかどんどんと太くなっていく。

「なんだ!? どうなってるんだ!?」
「兄貴!ここ、こいつがでっかくなってるんスよ!」

路地の幅は大人が5人並べるほどであろうか。
少女はその路地の幅ほどにまでぐぐぐっと大きくなっていき、建物の壁に当たるか当たらないか、それほどにまで大きくなっていく。
少女が踏みしめる地面のコンクリートは増えていく重量に耐えられず軋み、砕けてしまう。
そして少女は男達と比べ、10倍程度になると巨大化は止まった。

「ふふ、では死んでください♪」

少女は目の前で腰が抜けているリーダー格の男に向けて白いサンダルを持ち上げ、そして一気に地面へと踏み下ろす。
圧倒的質量によって地面に叩きつけられた白いサンダルは男をいとも簡単に圧縮し、グチャリと生々しい肉の音と共に鮮血を周囲にまき散らす。
同様に腰を抜かしていた男2人の身体はその鮮血と油に穢れ、両手をついていた地面にはドロドロとした血の池が広がっていく。
踏み下ろされた可愛らしい白いサンダルは目の前にいた人間をまるで虫のように踏みつぶしてしまった。
少女は更にその足を左右になじる。
グチャグチャっと生々しい音とコンクリートをゴリゴリと砕き、少女と男らとの力の差を目の前で示す。
少女が足を上げるとねっとりと血肉が糸を引き、地面には人だったのか判別がつかないほどグチャグチャにされた肉と血が広がっているだけであった。
上げられたサンダルの底には溝に沿って肉がこびりついており、一部の肉がボトボトと男達の目の前に落ちていく。

「ひっ……ッ!」
「た、頼む。い、命だけは……!」

男達の目の前で行われた惨殺。
10倍ほどの大きさになった少女は約15m
サンダルは少女が履く可愛らしい白い履物であるが、目の前に鎮座するものは約3mにもなる巨大な物体であり、我々を最も簡単に踏み潰す事ができる脅威であった。

「ふふ、目の前で踏み潰されたお仲間を見てどんなお気持ちですか?サンダルでも良い感触を味わえました……」

白い頬を淡い赤に染め、恍惚な表情を浮かべる銀髪少女。
少女が動く度、白いフリルのワンピースがふわりと揺れ、男達の頬に裏路地の冷たい風が撫でる。

「ひ……ひぃ!」

二人のうち、一人の男が最後の力を振り絞り、全力で裏路地から表通りへ出ようと駆ける。

「お、おい!待て――」
「逃しませんよ」
「ふぐッ……!」

表通りに出る瞬間、男は突如足を掴まれた格好で地面に倒れ込んでしまう。
男の足には蒼い糸のようなものが巻き付いていた。
その蒼い糸を辿ると少女の人差し指から伸びているのが確認できる。
そして、少女は笑みを浮かべながらその指をぐるぐると円を描くように回し始めた。
すると、その蒼い糸は男の全身を雁字搦めにしていき、繭状の球体に男を閉じ込めてしまう。

「こ、こ、ここから出してくれ!!!」

ガンガンと内側から蒼い壁を叩く男。
しかし、その蒼い壁はびくともしない。

「その糸はこの世界には存在しない原子で構成されている物質です。世界一磨き込まれた名刀であったとしても切る事は叶いません」

腰の抜けた男を跨ぎ、繭状になった球体に近づく少女。
歩く度に地面が揺れ、コンクリートの地面は重量に耐えきれずに割れてしまう。
そして男を包んだ球体を細い手で掬い取る。

「つまりはゲームオーバーって事です♪」

少女はそのまま開いていた両手を力の限り球体ごと握り込む。
グシャ
糸ごと挟み潰された男は圧縮され、まるでジュースを搾り取るように少女の指という指の隙間から夥しい量の鮮血が溢れ出ていく。
ビチャビチャと腰の抜けた男の地面に降り注いでいく血のシャワーはこの世とは思えない地獄絵図と化していた。
手を開くと手形に潰れた平べったい蒼い物体が残されているのみであった。

「ふふ、弱いですね、この世界の人間は」

少女はその物体を後方へ投げ捨てる。
真っ赤に染まった手、血肉に塗れたサンダルに白い素肌が見える素足にも血が飛び散り汚されていた。
目の前で繰り広げられた殺戮ショーは残された男にとってはもはや処理が追いつかず、ただ身体を震わせ、とんでもない相手を敵に回してしまった事を後悔する前にただ絶望するだけであった。

「さて、残されたのは貴方だけですが、どうしますか?命乞いでもしますか?」
「……。」

男はただ俯き、身体を震わせるだけであった。

「……聞いてます?」

少女は男の首根っこを掴むと目線の高さまで持ち上げる。
もはや男は抵抗する意思もなく、表情も無かった。

「もうある意味死んじゃってますね、これは……」

少女はそういうと左足に履いていたサンダルの紐を緩め、足を抜く。
年端もいかない少女の足は瑞々しく、足であるがもちもちと柔らかそうでとにかく美しかった。
そしてそのサンダルの上に男を置くと少女はもう一度サンダルに足を通す。
細いピンク色の爪と足指が先に着き、踵側に男は寝そべるような形になる。

「よいしょっと」

そしてその踵に全体重を乗せる。
グシャッ メキメキ
少女の足裏とサンダルに挟まれた男は巨大なプレス機で圧縮されたように、隙間から挽き肉になった血肉が絞り出されるような状態になっていた。
肉はソーセージを作る要領で絞り出され、骨はキュウキュウと少女の体重によって悲鳴を上げ、砕かれ粉砕されていく。

「うわ〜ちょっと気持ち悪いですね。一番酷い処理の仕方はなんだろうと思ってやってみましたが私が一番不快な方法だったかもしれません……」

踵を上げるとねちゃりとした粘性の血肉がべったりと足裏に張り付いており、それは足の指先にまで達していた。
サンダルを脱ぎ、足の指をクネクネと動かして血肉を剥がしていく。

「しかし、両方のサンダルが血まみれになってしまいました……。まぁ大きくなってしまえばサンダルなんて必要ありませんもんね!」

少女はそういうと左右のサンダルを脱ぎ捨て、素足で地面を踏みしめる。

「ふふ、弱い者虐めは楽しいです♪」

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ズドォォォォン グシャ ズドォォォォン

「き、緊急速報です。巨大な生物が……巨大な少女が街に現れ、破壊活動を行なっています!」

「ずどーん、ずどーん。がおー巨大怪獣だぞー、逃げないと踏み潰しちゃうぞー」

街の商店街に突如現れた巨大生物、もとい巨大少女。
大きさは人間のおよそ300倍だろうか。
少女が歩く度に商店街の建物は豆腐のように踏み潰され、道路を走って逃げている人達も同時に踏み潰されてしまう。
足の大きさは60mにも及び、一足で数軒もの建物を踏み潰していく。

「ふふ、みんな簡単に潰れちゃうね」

少女が歩くだけで足元ではあらゆる物体が蹴飛ばされ、直撃しなかったとしても巨大な足で発生する乱気流によって建物の残骸と破片が銃弾のように周囲に飛び散っていく。
直撃を受けた人間は血肉を撒き散らしながら絶命し、無事だった建物は崩壊してしまう。
少女が歩いた道は少女の巨大な足跡と共に建物の残骸と人間達の屍が残されるだけであった。
銀髪の髪を揺らし、幼げの少女は歩く度に踏み込んだ足を左右に動かし、踏みつぶした建物と人を挽肉状になるまで粉砕する。
何が目的なのか。
少女はにこやかな表情で次々と建物や人々を踏み潰し、白い素足を穢していく。
足の裏は建物の残骸で薄黒く汚れ、ところどころ赤いシミが張り付いていた。
人々が数十年かけて築き上げてきた町を少女はものの数分で破壊し、無に帰してしまう。
悲鳴をあげ、少女から逃げようと道路を走る人々。
子を抱え、懸命に逃げようとする母もいれば通学途中であった学生たちの姿も見える。
しかし、少女はそんな人々にも次々に足の裏を向け、道路上の車や街路樹もろとも踏み潰していく。

ブチュ グチャ グチャ

逃げていく集団に向けて下ろされた巨大な白い素足は人々の命を簡単に奪い、足の裏に貼りついてしまう。
足を上げればそこには薄く広がった人型の肉と血が広がっているだけであった。

「ふふ、プチプチ潰れていく感覚が楽しい♪」

道路いっぱいに広がる少女の足。
逃げ行く人々は逃げ隠れすることも叶わず、次々と足の裏の餌食になっていく。
振りかざした足の形に影は作られ、太陽の光を失った道路は不気味なほど暗く、そしてそれは少女の足が踏み下ろされるという知らせ。
気が付いた瞬間には足は地面のアスファルトに踏み下ろされ、そこにあったものを粉砕し、そして破壊していく。
車やバスも次々と中にいた人ごと踏み潰していき、その場に潰れた車やバスを量産していく。
中の人も愛車と共に踏みつぶされ、もはや形も残らず絶命してしまう。

「と、止まれ!」
「撃てー!」

ついに少女が侵攻する道路の先には数台もの警察車両が展開されていた。
銃を持った人々が次々と少女に向かって発砲する。

「何ですかその攻撃。鳩が豆鉄砲を食ったような感覚ですよ」

少女は侵攻する速度を一切変えず、一歩ずつ近づいていく。
歩く度に警察官の目の前で人々が踏み潰されていく光景。
人々を守る使命を志して警察になったにも関わらず侵攻する少女を止められない無力感と絶望感が広がっていく。
そして少女はついに警察車両の一歩手前にまで侵攻してきた。

「目の前でどんどん人々が踏み潰され、死んでいくのを見て気分は如何ですか?」

「うっ、惨い……」
「諦めるな!……目だ!目を狙え!」

警察官達が持つ武器は全員へ標準的に支給される拳銃である。
同じ人に対しては殺傷能力を持っているが、数百メールもの上空にある少女の目に当てられるほどの能力は持ち合わせていない。

「ふふ、皆さんが撃っている銃は子供のおもちゃなのですね。はぁ、残念です。まともな武器を持って出直して来てください」

少女はそういうと左翼に展開していた警察車両と警察官に向けて足を向け、踏み下ろす。
踏み下ろされた車両はガラスを飛び散らせながら踏み潰され、人も簡単に踏み潰されてしまう。
少女は更にその足を後ろへとスライドさせる。
するとそこには鮮血が手前線状に広がり、先ほど目の前で一緒に戦っていた人が挽肉状にされてしまったことをまじまじと他の警察官に知らしめる事となる。

「ひぃ!」
「もう駄目だ……!」

右翼に展開していた警察官はもはや戦意喪失し、少女から逃げようと走り出す。

「ふふ、逃がしませんよ♪」

少女は逃げ出す警察官達に素早く足を向け、ただちに踏み潰す。
グチャ
踏み下ろされた足は警察官達を圧縮し、絶命させてしまう。

「あはは!本当に無力な人たちですね♪」

少女にとってこの街はただのおもちゃ。
人々も子供が蟻を無邪気に踏み潰すかのような感覚で処理されていく。
子供らしい無邪気さが生む残酷。
それが今人々に向けられている、それだけなのだ――


つづく……?