メイシアに案内・・・・・。いや、持っていかれて、さっきまでいた空間とは、また別の空間につく。

あまりに大きさがありすぎて、メイシアの指先の指紋に隠れることすらできてしまう。
いや、隠れてしまう、というほうが正しいかな・・・・・?

その空間は、明らかに普段ボクたちがいた空間よりも広い。
いや、違う。

広いという言葉すら生ぬるい。
いってしまえば、マンションの個室と宇宙の広さを比べるようなもの。
それくらいに差がある。

『あら、不満?』

「それは、まぁ、……ないわけじゃあ、ないけれどね。
でも、ボクとメイシアだけがいれればいい空間と、メイシアが言ってる子たち数人が暮らす空間じゃ、比べるのも……」

『ん……なにか、勘違いしてるわね。数人、じゃないわよ?ほら、指紋の上に上がりなさいな』

「・・・・・?」

数人じゃない?
もしかして、そこそこの人数がいたりするのか……な?

そう思いながら、指紋の上まで、何とか浮遊魔法を使い、飛び上がれば、視界の先に、驚愕、いや、そんな言葉では片づけられないほど驚く。

メイシアがいるのは、王がいるのにふさわしい広々としたバルコニー。
当然、高さもあり、おそらく庭。といってもいい空間の戦闘には、リザを筆頭にした四天王。
そして、その後ろに、はるかかなた……。いや、地平線の向こうがわといってもいいほどに。
見下ろす角度にいるにもかかわらず果てが見えないほどの人数が集まっている。

観測魔法を使おうとすれば、それだけで脳が焼き切れそうになるほどの広範囲に、超人数。

『ほら、ごらんなさい?これが今の魔王軍全員よ?』

魔王軍、全員。

……全員!?

「み、みんな、ボクより大きく見えるんだけれど」

『あら?言ってたでしょ?あなた、弱くなってるのよ。魔王軍全体からして……下から一番目に、ね?』

それじゃあ、最弱……。
そう、ボクが言おうとした瞬間に、巨大な……。

いや、メイシアの指先を背伸びしてのぞき込んでるから、小さな。

でも、やっぱり、ボクから見れば、巨大も巨大な、ロリっこが、顔をのぞかせる。

『くふ!主様!ものすごくかわいらしくなったのぉ!』

巨大なロリっこ……。
もとい、火の四天王、リザが、のぞき込んでいた。

『なんじゃ、なんじゃ、最近とんと、見なくなってしもうたから、また、何か面白い遊びでも一人でしているのかと思いきや、また、酔狂な遊びをしておったのじゃなぁ?』

くつくつと、メイシアと同じように、ボクのことを嘲笑う。
……いや、違う。これはメイシアと違う。

本当に、楽しそうに笑っている。

「……と、いうか、そんなに、会ってなかった?」

『おぉと、主様、時間単位までくるってしまったか?いや、しかし、サイズ差によって大きく変わるというしな…、それに、メイシア様の作った空間であるなら・・・・・ふむ』

ボクには、今いち、どれくらい時間がたったかも、あいまいだ。

「と、いうか、あの空間、元々はボクが作ったんだけど……」

『うむ、最初のうちは、じゃが、メイシア様が、■■■年以上前に、ノア様の代わりに作り直して居ったぞ?
まぁ、ともかくとして、主様が、わらわたちと顔を合わせなくなったのは、今から■■■年ほど前。わらわの目から見て、主様の大きさは、大きく変わっておらぬように見えるのぉ』

メイシアが空間を塗りつぶした、などという、聞き捨てならないことが聞こえたが、それ以上に、なぜか、年数のところを、リザがいうと、ギィンと、耳鳴りのような音が響く。

『おっと……どうやら、今の主様では、理解ができない数値を言ってしまったようじゃなぁ。
あまりに力が弱いからか、あるいはこちらで時が経ちすぎて、年齢さえも逆転してしまったか。まぁ、わらわにはよくわからんが……』

ね、年齢逆転に、理解できない年数……。
いや、確かに、人間相手にボクのことを言おうとしたときに、同じことが起きる現象は、あったけれど。

それを、ボクが?
そうなれば、その差は歴然、というレベルではない。
本来であれば、その現象は、最低で次元が、十以上上回らなければ、起きない。

ボクの場合であれば、そう、すべての誕生。
それを、自分から始めているんだから、最低限、すべての根源、その、さらに果ての果て。
本来であれば、存在しないはずの、次元に、たどり着いてしまうほどのありえない年数。
それほどの時間が、ボクと、この子たちの間に?

「……メイシア?」

『あら?さぁ、私もよくはわからないわねぇ……。まぁ、少なくとも……そうね。
少なくとも、この中でノアより年下の子は今はいないわ?みんな、年上のお姉さん……ふふ、よかったじゃない?
甘えん坊のノアにはお似合いだと思うわよ?』

「っ……」

あくまで、飄々と。
どうやら、まともに話し合う気はないらしい。

『さて!私たちの愛しい魔王様は帰還したわ!これからは、皆、仲良く、可愛がってあげましょう?とりあえずは、四天王から、そのあとは追って連絡よ!以上!解散!』

まるで、轟音のような歓声と、メイシアによる、ボクの、共有物宣言。
そして、当の本人は、ボクのことを、ぽいっと、リザに投げ込み、メイシアは、さっさと、どこかへいってしまった。

『……まぁ、とにかく、今日はわらわに、つきあってもらおうかの?』

リザの、瞳は、まさに、獲物を見つけた、竜の瞳とおなじだった。


一時間ほど。
広く巨大な屋敷の中をしばらく歩けば、ようやくリザの部屋。

これは、あくまで、リザがあるいて、だ。
ボクが歩けば、いったい何億、いや、もっとかかるだろうけれど。

『すまぬの、主様。この城は、今の魔王軍に合わせておる故。少しばかり広くなっておるのだ』

「人数とか、すごくなってる?」

『いいや?主様に許可がなく増えるわけがなかろう。城の大きさはどちらかというと平均的な大きさの向上のせいじゃ。
……まぁ、人数に関しては、魔王軍ではなく、個人としての軍を持つ程度には皆成長しておるよ』

「具体的に、は?」

『そうじゃのぉ……、わらわがもつ、生物系の軍は、魔王軍の、■■■倍の規模はあるのぉ』

また、強力な耳鳴りが、頭を襲う。
どれほどの倍数なのか、想像もつかない。いや、だからこそ、この耳鳴りなんだろうけれど。

『おぉ、まぁ、すまないのぉ。…そうじゃの、下位の者でも、主様と、互角にはやりあえ……いや、ちがうの。
主様が、下位の者とやりあうのが精いっぱい、といったところか』

「……なめてるの?」

『計算とかならともかく、わらわが力量を見損なうとでも?』

イラリ、と、明らかに、機嫌悪そうに、こちらをにらむリザに、体の芯が凍り付き、ぺたり、と、尻もちをついてしまう。

『!?っす、すまぬのじゃ!?わ、悪気はないのじゃ!?幼子の言うことに、ムキになりすぎた』

幼子、と、当時は歳がはるかに上だったボクに、リザはそう言ってくる。

「……本当に、どれくらい離れたかわからないんだけれど。ある程度、例えれないかな?」

『というてものぉ……わらわも苦手ではあるし。・・・・・・そうじゃのぉ、比率で言えば……受精卵一日目と、30歳のOLといったところか』

「リザがいうってことは、もっとひどいんだね」

『受精卵が出ているのに、まだひどいとわかるとは……まぁ、そうじゃが、言う必要もない。例えに出すのすら難しいと、わかってくれ、主様』

あやすように、机に置いた、ボクがのる、机をのぞき込みながらそういう。
……リザを困らせても仕方ない、か。
こくり、とうなずき、部屋の中に、認識魔法をかける。

正直リザがどうやってボクを認識しているかすらもわからないレベルの差があるが、その、リザが暮らす部屋となると、その果ては、想像もつかない。
頭に膨大な負荷をかけながらも、慣れてきたからか、何とか適応する。

そして、異常なことに気が付く。
……いや、勿論、そもそも、この大きさの時点で異常ではあるのだけれど、そこではない。

そう、些細な違和感。
そういえば、ここはリザの部屋だ。
なのに、なんで、リザは、机を背伸びしなければならないほど高いものを使っているのか。

『さて、そろそろ、わらわも、拘束をとくかの』

そういうと、指先のリングを……。
見覚えのある。メイシアと同じ指輪を、ことり、と、外す。

そう、つまり、封印されて、いたと、そういうこと。

『なに、別に、主様に隠すつもりなどなかったのじゃ。ただ、……うむ、主様に、誰、なんて、一瞬でもおもってほしくなかったから、のぉ』

その姿は、今までの幼女の姿とは、まるで、違う。
彼女が格下に見て、また、本来であれば格上であるはずの種族、龍種。
それと比べることすらおこがましい、黄金色の、髪。

体の成熟具合も、チラリとしか見えなかったほかの四天王たちよりも、……いや、あるいはメイシアとも、比較対象になる、……あるいは、上回っている部分もあるほどに成熟した、リザの姿が。

『なに、それは、当然であろう?なにせ、わらわは・・・・・四天王最強じゃよ?』

くふり、と、笑う、その、笑みにすらも、気品を漂わせる。
しっかりと見なくともわかる、はだけたような服の着方。
だが、そうであるはずなのに、あたかもそれが、正しいかのような。

『どうじゃ?主様は、大きな胸がすきじゃったからのぉ』

あまりにも小さなボクからみれば、大きすぎる、まるで、世界そのものといっていい、それが、ばるん……と、大きく揺れる。
それが巻き起こすのは、暴風というのすら生易しい。

おそらく、今のボクが世界の中の、一人に対して全魔力で、攻撃する。
それ以上の威力が、たかが、胸を揺らしただけで起きている。

いや、今のボクには、たかが、その、胸揺れはあまりに致命的だった。
それこそ、消滅すら覚悟するレベルの。

『ふふ……どうしたのじゃ?主様?かわいらしくふるえおって』

しかし、いつまでたっても、その消滅はやってこない。
いや、それどころか、痛みすらも。

『わらわが、主様を傷つけるはずもない。たとえ、どれだけ強くなったとしてものぅ?』

「どういう、こと?」

『いや、なに。別に、当然じゃろう?なにせ、主様は、わらわの主様なのじゃから、主様がわらわを傷つけることはあっても、主様をわらわが傷つけるなど、あってはならんよ

そう、優しくリザが、微笑む。

『さて、主様。主様は、今日一日は、わらわの、所有物じゃ。主様以前に、な?何をすればいいか?わかるかの?』

その笑みは、一瞬にして、淫猥な、淫乱なものに変わる。
そう、それこそ、淫魔のような。

わからない、などということを、言わせない。
そういう、強制力があるような、そんな、笑み。

そして、その笑みに引き寄せられるように。
まるで、蜜に誘われる虫のように、ボクの体は、リザの大きくなった、胸の、先っぽ。
乳首の先に、さそわれる。

あまりに巨大なそれは、もはや、それだけで世界である。
乳腺に入れば、二度と、でれないだろうことは、あっさりとわかるくらいに。
けれど、けれど、けれど。

『どうしたのじゃ?主様……。入れ』

優しく、けれど、命令されてしまえば、もう体は止まらない。
ボクとメイシアがいた空間が小さく感じるほど、巨大な乳腺の中に、声を上げて、駆け込んでいく。
奥へ、奥へと進めば、白く、甘い匂いのする、爬虫類であった彼女に必要のないはずの、母乳の海が、広がり始める。

『くふ・・・・・。どうじゃ?主様。わらわも、肉体の改造くらいは、できるのじゃよ?
成分は、主様とまったくことなるが、代わりに、ただ、甘く、甘い。心が弱ければあっという間に、折れてしまうミルクじゃ・・・・・
小さな小さな主様に、たえられるかのぉ?』

くふ、くふっと、小さな笑いが、乳腺内に反響する。
そんなものに耐えれるなど、リザ自身、思っていないだろう。
だが、ボクは、あらがえない。

あまりにも、甘くて、甘い魅力に、体全部、そのまま、ミルクの中にダイブして、口だけじゃなくて、体中、全身から、リザミルクを、摂取させられる。

『あぁ。……幸せじゃ。ずぅと、会えなかった主様が、いま、わらわのなかにいる……。一日しか独占できんのが本当に、残念じゃ』

まぁ、次まで待てばよい、■■■年よりは、はるかに短いからの。

そんな、リザの独り言が響く胸の中で、ボクは、ただ、ミルクに抗うこともできず、甘い夜に、おぼれた。