今回は、ツイッター上で知り合った右近さんのキャラクター。
巨人帝国の皇帝マロンさんとのコラボです。
よかったらご覧ください。
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とある銀河の、とある星系。

その、星々の中心に二人の女性がいた。

「ふふ、ようこそ、皇帝マロン。お会いできて光栄だよ」

「えぇ、お招きいただきどうもありがとう、魔王ノア。私もうれしいわ」

皇帝と呼ばれたマロンは、栗色の髪黒い瞳、黄金のドレスに身を包みまっすぐにノアを見据える。
一方、招待した魔王。長い黒髪、赤い瞳に豪奢なドレスの彼女に対してスラックスにシャツとラフに出迎えるノアは、笑いながら、少し見下ろしてその視線を受け止める。

「・・・・・それで!こんなところに、本来の大きさで呼び出して!」

「いやいや、ちょっとお茶会でも、と思ってね?ほら、ボクもかなり小さくならないといけないからさ」

さて、この美しい支配者たちが、なぜ、星々の中心なのか。
そう、それは簡単な話だ。

二人は人間の一億倍。
星々すら壊しうる、破壊の女神として、星々が回る、中心に一つ。
机を置いてお茶会を開いているのだ。


机の上には、ティーセット、お菓子のマカロン。
そして・・・・・・。この星系に唯一の有人惑星。
その、数百を超える国々が机に敷き詰められていた。

しかし、支配者二人はそれを気にもとめない。

ゆえに、その破壊は、遠慮も、躊躇もないものになっている。



そう、たとえば、カップの近くに置かれてしまった、この国だ。

彼らは、突然この位置に配置された。
いや、無造作に放置されてしまった、というのが正しいだろうか。

彼らは、小さな国で平和な暮らしをしていた。ゆえに、その、巨大なソーサーが急に現れた時は、悲鳴に包まれたものだ。
勿論、小さな国々の彼らは、それがソーサーだということに気が付けから悲鳴を上げたわけではない。
二人の美しい支配者たちの大きさは一億倍。当然彼女らが使うティーカップたちも、1億倍なのだ。
おおよそ、500kmの直径のソーサー。
それが、急に国の隣に、その隣の国を踏み潰して突如現れた。
小さな国の更に小さなその国は、あっさりと、その大きな皿の下に敷かれ、消え去ってしまった。


ゆえに、何も理解できない国中の小さな人間は悲鳴を上げたのだ。
目の前で消えた国は自分たちよりはるかに強い。それにいつも国の防御力を自慢していた。
どんな隕石が来たって破壊してやるぞ、と。
だが、そんな国が、あっさりと、潰されて消えた。

夜寝て、起きて。そのわずかな間に、国ではなく、何か白いものに変わった。
ただ、静かに、隣国は、巨大な何かによって、押しつぶされて消えた。

だが、人間たちは、其処まで不安ではなかった。空は何かに覆われていて、影がある。

しかし、そう、彼らが見えたのは逆にいえばそれだけであった。
そう、彼らにはそれしか見えなかった。

ソーサーの下に潜り込んでしまった彼らは、まだ、薄暗いとしか思えなかったのだ。
女神たちを見ることができなかったゆえに。

だが、彼らの平穏は、すぐに終わりを告げた。

「あつ!?」

「大丈夫かい?」

マロンがこぼした紅茶が、じわりと広がる。

ただそれだけの事。
しかし、彼らにとっては、空から、自分たちの国と同程度の体積の液体が波を打って襲い掛かってきた。
それも、多量の熱を含んで。

彼らの国の住民の多くは一瞬にして、巨大な質量に押しつぶされてしまった。
たとえ生き残った者がいたとしても、100度を超える熱湯に蒸し焼きに、あるいは窒息してしまう。
しかし、辛うじて、耐熱シェルターに引きこもっていた人間数名はそれでも生きていた。

「全く、熱すぎるのよ」

もっとも、それは、女神の濡れ布巾でその場を軽くふく。
その一瞬の間だけであったが。

「もう、しっかりしないと、跡のこっちゃうよ?」

「ふん、私にそんなもの残るわけないでしょ!」

斯くして、お茶会は続く。


そう、それは例えば

~お菓子の上の都市国家~

彼らが、最初に味わったのは巨大な存在への恐怖だった。

彼らの国は、多数の植民地を抱える支配国家であった。
強大な軍事科学力を背景に、小国家を容赦なく侵し、支配し、国民を消し去ることで、自分たちのものとしていった。
だが、それが一体、どうだというのだ。

最初に彼らはまず、二人の女神の存在に気が付いた。
大きい、そう気が付けただけでも、彼らの科学力はすさまじいものであった。
そこから、さらに彼女たちの大きさを算出した。
その大きさは、16万5千キロメートルと19万8千キロメートル。
彼らの住んでいた星の、10倍ほどの大きさだ。

そして、その彼らが何をしているかといえば。
ただ、楽し気に談笑をしている。

そして、もう一つ、自分たちの大陸が別のものに変わっていることに彼らは気が付いた。
茶色だったり、白だったり。

すぐさま彼らは調査衛星を飛ばし、上から見た。
そう、見てしまったのだ。

衛星が映し出したのは、なんてことはない、バスケットだ。
小さなかごに、クッキーが映し出されている。

おかしい、私たちは、確かに、空へ衛星をあげたはず。

しかし、その疑問もすぐに解決する。
ふと、巨大な白く長い五つ首のバケモノが2本左右から伸びてきて、クッキーをさらっていく。
そして、そのバケモノの、・・・・・・いや、巨大な二人の指先の動きに合わせて、地面が大きく揺れる。

あぁ、つまり、つまり、信じたくはないが、ここは、ここは!

ここはそう、なんてことはない。

彼らは、貶められたのだ。
人間から、支配都市から、国から、大陸から。
新しく彼らは、クッキーのトッピング。
そんな、矮小極まる存在へと。

だが、彼らはただのトッピングではなく、意志を持っていた。
ゆえに、反抗をしようと動き始めたのだ。

だが、時は待ってくれない。残酷なものだ。

今まさに動き始めた彼らの乗ったチョコレートクッキーとバニラクッキー、それらに彼女ら二人は手を伸ばす。

別に、彼らが反抗しようとしたから、とか、そんな理由ではない。

むしろ彼らのことなど気が付いていないだろう。
『ただ、なんとなく、手を伸ばしたところにあったから』

そんな理由で彼らの大地は、二本の美しい指先にとらえられ、口元に運ばれ、そして

サクッ。

っと、そんな音を立てて、口の中へ消えていった。
支配都市など、そんなものはどこにもない。
あるのは口元にわずかについたクッキーの食べかすだけであった。


「な、なにこれ?普段のクッキーよりおいしい」

「ふふん、魔王手作りクッキーだよ。冷めないうちに召し上がれ」


~例えば、砂糖瓶の彼ら~

彼らは、もはや、あきらめていた。

先ほど消えた都市国家と同じくらいの科学力を持っていながら、しかし、平和を第一に考えていた国があった。

しかし今は、どういうことか、角砂糖の上に乗せられているらしい。

甘ったるい匂いに胸が焼けそうになるが、そんなことは些細な問題であった。

彼らはまだいい。逃げる手段が残されていた。
今からでも彼らは逃げる事ができるだろう。
なんせ、空が飛べるのだ。

だが、私たちはどうだ。

空は、安っぽいプラスチックであろう蓋が天井になっている。
壁は、これまた安っぽいガラスでおおわれている。

だが、それは、我々の10億倍の彼女たちからしたら、だ。

実際に私たちを阻むのは、厚さ1000kmという、ふざけているような分厚さのガラスと、500kmほどの天井だ。
彼らが口に運ばれている間に、我々も様々な手段を試した。
銃、ドリル、核。

考えられるありとあらゆる手段と、ありとあらゆるものを使ったのだ。
だが、結果はどうだ。
私たちの行動では、女神たちの家具に傷ひとつつけれやしない。

あぁ、考えてみれば、当然なのだ。
私たちは彼女たちの何分の一だ?
あぁ、そうだ。1億分の1。

考えてみれば、微生物たちと変わらない。
そんなものが、いったい何を思いあがっていたのだ。

破壊?脱出?生存?
そんなものを、望めるわけもないのだ。
我々は角砂糖の上の、数百万の微生物。

いま、まさにふたが空く。
伸びてくる、銀のシュガートングに挟まれて、紅茶に溺れてしまう、わずか数瞬の間まで。
私たちを飲み込む、女神に、祈る以外に他はなかった。

「紅茶も甘い・・・・・・」

「メイシアお気に入りの砂糖だからね。入れ物は少し安っぽいけれど」

彼らの祈りを、栗色の女神は飲み干した。

しかし、この裏で、女神たちに抵抗する、愚かな者たちもいたのだ

~例えばそれは、女神たちの、目の前の国々~

彼らは、自分たちの状況を把握までに時間は必要なかった。
なぜなら、目の前には巨大な壁。・・・。いや、山。

そして上には、巨大な女性の顔。

頭が狂いそうではあった。
だが、しかし、彼らは直感的に感じ取ったのだ、この巨大な敵を倒さねば、自分たちの明日はない、と。

まず彼らは、戦闘機を数十機とばした。
周りの国のものも含めば合わせて、1000機ほどか。

戦争であっても、こんな数は一度に飛ばさない。
だが、目の前にいるのは戦争で打ち倒すべき敵、どころの話ではない。

国の一都市、いや、それどころか、いくつもの国を、ただこの巨大な山・・・。
いや、もっと正確にいえば、ただのおっぱいだ。

そう、おっぱいが目の前にあるだけで、いくつもの国がすりつぶされて更地になってしまうのだ。
そんな存在を許しておけるわけがない。

ついに、目標との距離が、5kmを切った。
各パイロットたちは、攻撃に移ろうとした。

・・・・・・そう、だが、おっぱいに攻撃を加えることはできなかった。

「ん~」

っぐっと、黒の魔王が身体を伸ばすと、ばるん!っと、その、爆乳が揺れる。
人間に換算すれば、軽く3桁を超えるバストは、この大きさになれば、もはや怪物。
ただ、体を伸ばして、もとに戻る。
それだけの一工程で、攻撃を今まさに加えようとした機体たち、そして、彼女のおっぱいの真下にあった国々。
それがおっぱいの揺れに合わせて机にあたってしまい、くしゃりと、音を立てることなく、消えてしまった。

そして、その風圧で、あっさりと周りの国々も壊滅してしまう。

だが、まだ、ムシケラはあきらめることを知らない。
次に狙うのは、今まさに大地(つくえ)についた、爆乳。

柔らかそうなそれに向けて、陸戦部隊が準備を終えた。
それでも、先ほどの突風、もとい乳風に吹き飛ばされて半壊したが、それでも全滅ではない。
キャタピラがキュラキュラと音を立て、歩兵たちのザッザッと足音を並べて、狙いを定める。

ってー!っという叫び声とともに、彼らは一斉に攻撃を始める。
歩兵の銃声、携行ロケット弾、巨大な戦車砲が一気におっぱいに襲い掛かる。
バン!バァン!ドガァン!
近くにもしも人がいたなら、耳をふさいでも、鼓膜が破けそうになるほどの爆音が響く。

これなら、傷をつけれるんじゃないか?
そう、期待をしてしまった。

だが、爆煙の晴れた先にあったのは、傷も埃もついていない、真っ白なシャツであった。
全員が気が狂いそうになる。
あれほどの攻撃だ。我々は全精力を集めてはなったのだ!
なのに、どうして、彼女は傷ひとつついていない。

一人の若者が、命令にも従わずに、銃を撃ち始めた。
パン、パン、と、乾いた音は、焦燥感にかられた、ほかの数万の人間たちを駆り立て、次第に重なり合い、最初の砲撃と違った様相を見せながら、魔王への攻撃となる。

だが、ここには、勇者はいなかった。

「貴女、胸おっきいのね」

「周りにさらに大きいのがいすぎて、目立たないけれどね」

そういって、もう一人の女神が手を伸ばし、触れることで、傷ひとつつけれなかったおっぱいの形が変わる。
そして、押しつぶされるように広がったおっぱいは、ぎゅっと前に広がってきて、展開していた、陸軍をあっさりと、赤いシミと鉄くずに変えてしまう。

「うわ、ほんと柔らかい」

「ん・・・・意外と大胆だね、王女様」

最期に残ったのは、大国すら一撃で焦土に変えてしまうミサイル。
これが十数基。
もはや後はなかった。

皆の犠牲を無駄にしないためにも、放つ以外になかった。

狙うは、魔王の顔。
当たれば、いくら巨大な存在とはいえ、ひとたまりもないだろう。

決死の思い出、スイッチを押す。
高速で射出されたそれは、まっすぐに、魔王のもとへとロケットのように飛んでいく。

「だめかしら?」

「んーん?好きにしたほうがいいと思うよ」

だが、その願いも、ただ魔王が首を振る。
それに追従した、長い髪の毛の束にからみ取られ、小さな爆発を起こして消えてしまった。

「なら・・・!」

「でも、ほら、今日はお茶会。色々なことをするのは今度にしよう?」

「なら、楽しみにしてるわよ!」

ばん!っと、手のひらをたたきつけた、マロンにより、反抗していた国々も一瞬で滅んでしまった。

~後片付け~

「さて、じゃあ、今日のお茶会はお開きということで」

「えぇ、なかなか楽しかった、次を楽しみにしてるね」

くすり、と、いたずらっ子のような笑みを浮かべるマロン。
普段の星では元の体には戻れないからか、羽目が外せて楽しかったのだろう。

そして、もう一つ、やっと終わると安堵したのは、テーブルクロスの上の人々だ。
もう、彼女たちの一挙に巻き込まれなくて済む、と。

「さて、じゃあ、少し後片付けをしないとね。『まだ、生き残りはいっぱいいるわけだから』」

「えぇ、そうね、『ちょっともったいないけど、一気に片付けちゃいましょう』」

いま、なんと言ったか?まさか、彼女たちは。

「気が付いてないとでも思ったの?私はそもそも、小人たちを支配しておもちゃにしてるのよ?」

「忘れてるとでも思ったの?君たちをテーブルクロスに置いたのはほかでもないボクだよ」

助かった、などと。
そんな希望なんて抱けると思ったの?

魔王と女王。
結局、その本質に違いはなく。


ただの巨大な破壊の女神であった。