● 第7話: お手伝いさんの危険な秘密 (後編)

「姫、準備が出来ました」
「ご苦労さま。では降りてくださいまし。あとは私がやります」
「力及ばず、悔恨の極みでございます」
「皆、得手不得手というものがあります。おチビさんにそこまで無茶はさせませんよ」

 優しい姫だ。あの傍若無人の姫ならば、演技とは言え『服脱がしてって言ったの、忘れたの? ファスナー外しただけじゃん』くらいの事は言いそうだ。
 姫の好意に甘えたものの、やはり飛び降りは怖いと思い、もう一声ワガママを言って姫の手クレーンで再び大地へ降ろしてもらった。

 俺を降ろした後、烏丸さんは床で潰されていた胸を豪快に踊らせながらムクリと起き上がり、ワンピースを肩からスルリと脱いでそのまま下半身へと降ろしていった。
 その一連の所作はあまりにも荘厳かつ美麗だったので、俺は終始口を半開きにしたまま見ている事しか出来なかった。

「さぁて、おチビさんそこに寝転がってくださいな」

 エロい。尋常じゃなくエロい。
 それはまさに、ヨーロッパの美術館か何かで展示されていそうな究極の曲線美。
 美の象徴ヴィーナスと見紛う程の黄金比を誇る美しい肢体と、母性の象徴たる豊満な胸、それが渾然一体となっていた。

 脱がなくてもその威力は十二分に伺い知ることは出来たが、やはり脱ぐと凄い。
 胸に飛び込みたい、と俺は本能で感じていたし、多分ボソッと口でも言った。
 それが通じてか、烏丸さんは着用している薄紫のブラジャーの片側に舌から指を入れ込み、チラリとその中身を見せつけてきた。

「ここは後のお楽しみにしましょう。まずはこちらからですよ」
「ふしだらな真似を致しました」
「許しましょう。これは美しすぎる私の罪でもあります。続けますよ」
「はっ、姫の寛大なる御心のままに」

 烏丸さんがドスンと俺の左右に膝を降ろすと、軽い地響きが起こる。
 着地した後、その膝はズリズリと前へ進んでいき、迫りくるはブラジャーと同じ薄紫の大人のパンティーだ。
やがてそれはギロチンのように頭上でピタリと止まり、まるで断罪の時を伺っているかのように見えた。

「では参りましょう。あまり暴れてはいけませんよ。敷き潰してしまいます」
「は、はいっ!」

 敷き潰すという不穏な言葉に少々ロールプレイを忘れてしまったが、なんとか持ち直す。
 しかし烏丸さんのお尻がそのまま降りてくるのを見て、体制を整え始めた俺の精神はあっという間に崩壊した。
 咄嗟の判断で、大きく広げた腕を脇に引っ込める。このままだと本当に敷き潰されかねないと本能で感じたからだ。

 それは正解だったようで、俺の身体は徐々に降りてくるお尻の穴の部分にスッポリと収まってしまった。
 お尻が描くカーブのちょうど中間の所にジャストフィットした俺の身体は、全く身動きが取れなくなった。
 寝返りを打とうにも、豊満な尻肉がそれ以上の力で跳ね返してくる。

「む~~~、む~~~」

 声が出ない。口を開けばその先にあるのはパンツ。
 腕が使えれば、パンツを少しだけ押し退けて声を響かせる事も出来るが、それは叶わない。
 声を発しても、その響きはパンツに吸収され、小さい唸り声が弱々しくこだまするだけだ。

「女性の下着を獣のように頬張るなんて、いやらしいおチビさんですこと。さぁ、もっと欲しがりなさい。全てを私に委ねて、私の全てを欲しなさい」

 烏丸さんは少しづつ腰を動かし始めた。
 クロッチの作る段差が俺の身体に鞭を打つかのように何度も襲いかかってきた。
 小さい身体では、こんな大したことない物にも弄ばれてしまうのだ。

 だがそれは甘美な『アメ』によってあっという間に相殺される。
 それは、シルク素材のパンティーによって全身を擦られるこの上なき快感という名の『アメ』。

 一度舌を走らせれば、むせ返るほどの濃厚な味わいが口いっぱいに広がる禁断の情欲。
 いくら身体を動かそうとしても、圧倒的な質量差の前に為すすべもなく揉みしだかれてしまう。
 俺が出来る事は、ただ暴力的に与えられる快感を享受する事だけだ。

「んんっ……!」
「ぐうぇっ!!!」

 腰の動かし方が前後から上下へ変化した。
 急にかけられた体重に耐えきれず、肺に貯められた空気が惨めな悲鳴とともに一気に排出される。

 もしお尻の頂点部であのプレスを受けたらと思うとゾッとする。
 おそらく複雑骨折か、最悪の場合骨が肺か何かに刺さってお陀仏だろう。
 押しつぶされる度にギシギシと金切り声をあげるフローリングの床を見て、そう直感した。

「どうっ……ですっ……かっ……! おチビっ……さんっ……!」
「おふっ……ぐっ……うぶっ……うあっ……!」

 声が出そうとしても、烏丸さんのヒッププレスで寸断される。
 そんなやり取りがしばらく続いた所で、ようやくピストン運動に終わりが見えてきた。

「はぁぁぁぁ……つ、疲れてしまいました。このくらいにしてあげましょう」
「…………」

 どうやら俺を潰さないように調整をしながら腰を動かしていたようで、相当疲れたらしい。
 肩で息をする仕草と、湿度高めの熱い吐息が扇情的な大人の魅力を醸し出していた。
 実質空気椅子みたい事を続けるようなものなのだから、大の大人が疲れてしまうのも当然だと思う。
 だがそうとも知らずに死と隣り合わせで身動き一つ取れなかった俺も、相当精神に来てしまったようでしばらく声も出せなかった。
 身を案じた烏丸さんは少しだけ素の調子に戻って、優しく手を差し伸べてきた。

「あ、あの、大丈夫……ですか? もしかしてどこか怪我を……?」
「…………」
「……?」

 なんというか、ずっと小鳥さんに嬲り続けられた反動か、優しいこの人に少しだけイタズラをしたい気持ちが湧いてきてしまった。
 本当はもう声を出せそうなのだが、敢えて気絶したフリを続けてみる。

 見つかる前の、人形を演じていたあの時のように、息を殺してじっと待つ。
 薄目を開けると、顔面蒼白になっているように見えなくもない。だがその油断がいけなかった。

「あらあら、起きませんねぇ……」
「!!!!?!??」

 心配して覗き込んできたかと思ったら、そのまま顔がドンドン大きくなり、やがて視界は烏丸さんの唇のみとなった。
 はぁ、と息が漏れると一気に身体が熱くなるこの感覚は、烏丸さんとのファーストコンタクトの時にされたアレと全く同じだ。
 その吐息がトリガーだったのか、そのまま烏丸さんの唇が降下してきて、口づけをした。
 起き上がって見てみると、腹部全体に途轍もなく大きなキスマークがついていた。

「狸寝入りなど、無礼ですよ。何を考えているのです……心配したんですよ」
「申し訳ございません、姫。姫のご奉仕で気を良くし、つい悪戯心が湧いてしまいました。如何なる罰も甘んじて受けます……本当にすみません」

 お互い、語尾に素の言葉を交えて第一幕の終了を確認し合い、しばしの休息を取る事にした。
 烏丸さんもホッと息をついていた。この人は意外と、夢中になると周りが見えなくなる人なのかもしれない、いや絶対にそうだ。

「結構激しかったですね……ストレスが溜まっていたんですか?」
「ストレスではありませんよ。お嬢様との生活は大変ですけど、楽しいです。ただ、私の趣味はどうしても一人ぼっちになってしまうので、こんな風に誰かとお話しながら出来る事が嬉しくて、つい」

 確かに大人がお人形遊びを誰かと共にするという光景は、中々実現しにくいように思えた。
 特に使用人のような大変な仕事をこなす中で、まとまった時間も取られない事を考えると、余計に困難だ。

「そう言って頂けるなら、慣れない真似をしたかいがありました」
「結構雰囲気出てましたよ」
「火事場の馬鹿力ってあるものなんですね」
「それ、凄いわかります。追い詰められると人間本気出しちゃうんですよね」

 同じ社会人として、傷をなめ合うことが出来た。烏丸さんも大変だった時の事を思い出しているのだろう。

「なんにせよ、凄い体験が出来ました」
「でしょうね。普通に生きていたら絶対に出来ないです。でもそれは私も同じですよ」
「あはは、こんな小さい人間は流石に居ないですからね」
「あの、差し支えなければで良いのですが、その身体、本当は何が起こったのですか?」
「本当に魔法なんです。いや、まだ信じられませんし、僕自身が見た訳じゃないんで滅多な事は言えないんですが」
「おチビさんを疑っているのではないですが、にわかには信じられないですね。その魔法を使った方は何処に?」
「わからないです。呼べば来るかもしれませんが」
「お嬢様ではないのですね。そこは一安心です。ただそうですねぇ、教育係も兼ねている私としては、直接犯ではないにせよ赤の他人にこのような迷惑をかける事は看過出来ないです」

 その反応も当然と言えば当然か。確かに客観的に見たら迷惑なんてものじゃない。
 挙げられる罪状も、誘拐・監禁・暴行など枚挙にいとまがない。
 人知を超えた事態とは言え、やっている事は立派な犯罪だ。

 ただ、半ば世捨て人と化していた自分の内心を振り返ると、そこまで腸が煮えくり返っていないのも事実だった。
 むしろ親父や妹が捜索願いを出して大事になりやしないか、という心配の方が大きい。
 どうしたものかと考えあぐねていると、烏丸さんはキッとした表情から一転、眉をハの字にして困ったように口を開いた。

「あんな事をした私が言えた口ではないのですけどね」
「あはは……」
「その魔法使いの方と交渉の余地は無いのでしょうか」
「話によると、寿命を渡すか、僕をイジメるかのどちらかをする事で魔力が貯まると言ってました。他の手があるかはわかりません。全部相手のさじ加減にも思えます」
「それは難儀ですね。ところで貴方のご家族は?」
「田舎暮らしです。僕だけ上京してきまして」
「この状況はご存じない?」
「そうだと思います。そんな頻繁に連絡とってはいなかったので」

 その後、烏丸さんと今後の事について色々と話した。
 あまり大事にしたくないという俺の意向を汲んでもらい、親族にはとりあえず伝えずにいるという事。
 但し、連絡が無いのは不自然なので、家に携帯電話を取りに行く事になった。

 それから、烏丸さんが知った以上、その事は小鳥さんとも共有した上で、身勝手な行動に対してのお叱りはするとの事。
 立場上仕方ないとは思うが、あまり小鳥さんに不機嫌にはなって欲しくないというのが本音だった。
 ただその懸念が顔に出ていたのか、烏丸さんから『ご安心下さい。悪いようにはしません』と言ってもらえた。

 そしてここからが本題。元に戻す方法について、もし俺が嫌でなければ、イジメるお手伝いをさせて貰いたいという申し出があった。
 寿命を渡すなど言語道断ときっぱり言われたからだが、これは勿論受け入れた。
 寿命を渡してまで元に戻ってもバツが悪い。正直に言うと、

「こんな優しい美人にイジメられるとか天国だろ……」
「えっ?」
「あ、いや何でもないんです!」

 危ない。つい、本音が口から漏れ出てしまった。でも聞こえていないようだから、ヨシ!

「私は優しくて美人ですか?」
「あっ、あの!」
「私みたいな人間にイジメられるのが好きなのですか?」

 烏丸さんがグイッと顔を寄せてくる。あまりの迫力に自然と尻餅をついてしまった。話題を変えなければ。

「そ、そんなことよりですね!」
「はいはい、何でしょう?」
「烏丸さんは小鳥さんのアレをご存知ですか」
「アレとは?」
「あの……配信の事です」

 最悪だ。錯乱するあまり、超プライベートな情報を暴露してしまった。

「あぁ、アレですか」

 烏丸さんはとても複雑そうな顔をしてしまった。多分、これは知っている顔だ。

「何を隠そう私も最初は面食らって、現職を辞そうかと思ったくらいですから。今どきの若い子は難しいですね」
「そうですね……」

 共感出来る人で良かった。あれはやっぱり良くない事だよな、と胸を撫で下ろす。

「でもお嬢様の生配信、実は全く問題無かったんですよ。視聴者は皆関係者でしたから」
「え?」
「運営に依頼して、お嬢様のアカウントだけ入場制限を設けているんです。私だけが入れるようになっています」
「んんんん????」
「それで私の部下達に……全員女性ですよ? 彼女達にお願いして、視聴者のフリをしている訳です。故に、お嬢様のアラレもないお姿は、公衆の面前に晒されたことは最初の一度しかありません」
「???????」
「理解が追いついていないようですね」
「なんか凄い事やってるなと思って。えーっとつまり、アレをお手伝いさん達も見ていたという事ですか?」
「ほんの少しだけ。若者文化の勉強の為です。決して性的興奮を抱いているのではありませんよ」
「そ、そうですか」

 何だか変な気分になってしまった。あれだけ死ぬ思いで止めたのに、それは杞憂だったのだから。
 でも後悔はなかった。自分の殻を破れたような、なんかそんな感じがしたのだ。

「さて、休憩も終わったことですし、続きを致しましょうか?」
「続き?」
「ここ、気になるのでしょう?」
「あっ……」

 少し真面目な話をしていたからあまり気にならなくなっていたが、この人、半裸だった。

 そしてただでさえ多い露出部分を、烏丸さんはブラジャーを持ち上げてみせる事でさらに増やしてきた。
 本当にでかい。まるでメロンのような巨大な乳房は、今ではそれだけで俺の身長ほどありそうだ。

 ブラジャーという拘束具から解放され真の姿を現したそれは、まさに男の夢と言っても過言ではない。
 あの乳房に挟まれたい、リビドーが具現化したその言葉を思わず口に出してしまった事に、俺は全く気が付かなかった。

「そうですかそうですか、やはり殿方はここがお好きですか。良いでしょう。私に全てを捧げなさい」

 すっかり姫モードに戻った烏丸さんの右手にむんずと掴まれた。
 手のひらはほんのり熱を帯びていて、若干汗ばんでいた。興奮しているのだろうか。
 持ち上げられた先は文字通り目と鼻の先。
 ラピスラズリのような碧眼2つに見つめられながら、俺はじっと沙汰を待った。

「私と約束をして下さい」

 漏れ出た吐息のように、薄く艶やかな声だった。
 一体どんなエッチな話なのだろうか。

「お嬢様と仲良くしてあげて下さい」
「えっ」

 急にまた素に戻ったので、思わず間の抜けた声が出てしまった。

「その姿でいる間だけでもいいんです。話し相手になって頂けませんか」
「それくらいなら、俺で良ければ全然……」
「ありがとうございます。それからもう一つ」
「もう一つ?」
「これからする事は、お嬢様にはくれぐれもご内密に」
「言うわけないってうわむふっ」

 急な動きに戸惑う間もなく、俺はどこかへ放り込まれてしまった。見上げれば烏丸さんの上気した顔。

「どうですかおチビさん。胸に挟まれた感想は?」

 あれほど熱い眼差しを向けていた場所に、今自分が居る。
 その事実を認識する前に、身体が反応してしまう。
 あまりにも柔らかすぎる二つの乳房に挟まれただけで快感は極限に達し、過呼吸気味すらになった。

 もがけば凹み、同じ力で跳ね返してくる。
 それが自然とピストン運動のような感覚を生み出し、興奮はさらに加速する。
 股を開き、胸にしがみついて無様に腰を振る姿は、烏丸さんから見たら卑しい小虫のような存在だろう。
 だがそんな事が気にならなくなるくらいには、俺は倒錯していた。

「揉みしだいてさしあげます」

 胸の挟む力が少し弱まったかと思うと、そのまま身体が下へと滑り、足先から頭まで全て谷間に埋まってしまった。
 なんという大きさ、そして柔らかさ。

 両方から押し付けられ、俺の身体の形で乳房がグニャリと変形している。
 脇下や股下、身体のありとあらゆる隙間に烏丸さんの乳房が入り込んできた。

 視界が塞がれ、じわりと汗をかいた谷間の居心地は、誤解を恐れずに言えば小鳥さんのアソコに少しだけ似た感触だった。
 それは決して悪い気はしなかったし、むしろ快感にすら感じた。

 どうしても息苦しさだけは避けられず、胸に埋めていた顔を餌を求める金魚のように上げると、少し開けられたブラジャーの隙間から烏丸さんの慈愛に満ちた顔を伺うことが出来た。
 一方で、このアングルは自分の矮小さを突きつけられているようにも思えた。
 優しい人に傲慢な振る舞いをしてもらっているというギャップには、背徳感による興奮を禁じ得なかった。

「もう、何か言ったらどうです。おチビさんだけ楽しむなんてズルいですよ。私も愉しませて下さいな」

 頭から摘まれて乳房から引きずり出された俺は、蒸し暑さから脱出した解放感で満たされた。
 そして溜まりに溜まっていたモノが一気に噴出し、目の前の乳房に思い切りぶちまけられた。

「ひゃっ……おチビさん? 貴方、高貴たるこの私に対し、何と無礼なこと。悪い家来はこうしてさしあげましょう」
「あ、あぁぁぁ……!」

 もう片方の手の人差し指と中指がハサミのように俺の陰部を捉えると、断罪とばかりに閉じてきた。
 俺の陰部は、はち切れんばかりの最高潮の状態ですら烏丸さんの指一本に劣るほど取るに足りない物だった。

「良いのですよ。全部出してしまっても」

 何もかもを委ねたくなるほどに、口調も表情も母性に満ちていた。
 その言葉で僅かばかり残っていた自制心も崩落し、無意識に強張らせていた身体から力を抜けていく。
 それを好機と見たか、烏丸さんは指のハサミを器用に動かし、乳搾りの要領で俺の陰部をしごき始めた。

 根本では弱く、先端に動くにつれて強く、絶妙な力加減のかいもあって、ほんの少しのストロークで勢いよくミルクが飛び出る。
 その度に脳がとろけ、後にドッと疲労感が押し寄せる。そんな上げて下げての波状攻撃が続く。

 この姫は本当に全て搾り取るつもりだ。だが抵抗はもはや叶わなかった。
 もはや股間部の筋肉は完全に弛緩し、ドロドロと漏れ出る精液は壊れた蛇口の如く。

「これ以上は干からびてしまいますね。さぁ、次はおチビさんが奉仕する番です。しゃんとなさい」

 うなだれて下を向いていた顔を指で持ち上げられ、喝を入れられる。
 俺を掴んでいる手はそのまま烏丸さんの胸の前で止まる。
 そこでは大きな乳首が顕になっていた。まさかとは思ったが、そのまさかだった。

「たくさんミルクを出した分、今度は私のミルクを飲み下しなさい」
「は、はい……承知致しました……」

 バチンと胸に叩きつけられ、乳首が口元にセットされた。
 いや、口元という表現は適切ではないだろう。
 この巨大な乳首は今の俺の小さな口では、顎が外れるくらいに広げてようやく口に含められるほどの大きさだったからだ。
 だがその大きさに反して、真珠のように綺麗なピンク色をしたそれはとても可愛らしく見えた。
 そういえば乳首は黒ずんでいる人が圧倒的に多いと、作画資料を探している時に見た気がする。

「それでは、いただきます」

 いきなり顎を外すのは怖かったので、まずは端の所に口をつける。
 唇で挟むようにして刺激を与えてみるが、あまり効果はないらしい。
 烏丸さんの息の荒さが元に戻ってきてしまっていた。

 仕方ないので、乳首を全て口に収めようとしてみるが、案の定ギリギリのサイズ感だ。これでは力の入れようがない。
 しばし試みてみたが、口周りの筋力だけではこの乳首からミルクを絞り出せそうになかった。
 今度は口を外して両手を乳首の両端にセットし、万力のように挟み潰そうとした。

 口よりは一定の成果を得ることは出来たが、少し凹むだけで何も出てこない。
 口づけをして、吸い出してみても変化なし。烏丸さんはと言うと、なんだか困ったような表情をしていた。
 乳首など、元の大きさであれば指先だけで弄る事が出来るような物なのに、今の俺では全身の力を込めても退屈させてしまう始末。
 自分の無力さを嘆くしかなかった。もう最後の手段だ。

「姫、すみません。歯を立てても良いでしょうか」
「許可します。私を愉しませなさい?」

 あっさり降りた許可が今までの退屈さを物語っているようだった。
 とは言え、柔らかい乳首に全力で歯を立てて赤いミルクが出てもマズイので、少しづつ力を入れていく。
 ある程度は烏丸さんに刺激を与える事に成功したらしいが、ミルクは最後まで出なかった。

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「ありがとうございました」
「あ、こちらこそ……」

 しっぽり済ませた後、烏丸さんは服を着て、俺が撒き散らした精液を綺麗に拭き取って、涼しい顔をしてそう言った。
 俺にとっては相当濃厚な体験だったのだが、烏丸さんにとっては大したことではないのか、それともそういう性格か、国民性か。

「小さいって中々大変ですね」
「えぇ、そうですね。全然力が出なくて。それに初めての事だったので、緊張してしまいました」
「うふふ、乳首に吸い付く姿が初々しくて良かったです。ただそうですね、もう少しこちらからイジメてあげた方が良さそうですね。魔法の事もありますし……おチビさんもその方がいいみたいですし?」
「うっ」
「お嬢様はそういうの大得意でしょうから、おチビさんを嬉々としてイジメているのが容易に想像出来ます……」

 反省会をしているようでバツが悪くなり、首の後を掻きながら目を逸らす。
 元の大きさならば退屈はさせなかっただろうと一瞬思いはしたが、心の声が『それは無いな』と即否定してきた。同意せざるを得ない。

 やはりこの小さい身体で巨人相手に何か出来る訳は無かった。筋力は体積換算だろうから、元の約1000分の1。
 全力のキックですら、蚊に刺された程度の痛みだろう。

「今回の事はくれぐれもご内密に……次はもっと良いことしてあげますから」
「あっ……はい」

 もっと良いことという言葉に、俺は弱かった。

 冷静に考えたら、異性同士がいきなりあんな事をしてしまうのはかなりヤバいのではないか。俺の常識からするとかなりの逸脱行為だ。
 その日は結局、それが気になって夜も眠れなかった(決して記憶反芻の為に脳がフル回転していたからではない)

 後でこっそり聞いてみたら、誤解しないで下さいね、と前置きをしてから『ペットと戯れるのと同じ感覚でした』と言われてしまった。
 優しい顔してそんなナチュラルに見下すようなセリフを吐き捨てられたら、興奮しちゃうじゃないか……♥