提督「ふぅ~、やっと報告書を書き終えたな」

俺はとある鎮守府で提督をやらせてもらっている者だ。
我々の敵「深海棲艦」と戦うため、艦娘と呼ばれる少女を育成し、日夜作戦を練っている。今日は遠方の鎮守府の視察を報告書にまとめるのが最後の仕事だ。
もう午後8時を回っている。朝7時からの訓練に間に合うよう、毎日6時には鎮守府にはいなければいけないので、いつも辛い。
そんな中で艦娘達の笑顔だけが、救いだ。だが彼女達と提督の間には「過度な関係構築を控える」という鉄の掟がある。
俺も男だ。正直、彼女達の近くに居て、何も感じないわけではない。だからこそもどかしさだけが募る、そんな毎日だ。

提督「書類を整理したら帰るかな」
金剛「あ! テートクー! お疲れ様デース!」
提督「お、金剛も帰りか?」
金剛「今日は皆とちょっといいトコに行くのデース」
提督「ちょっといいトコ? どこかな?」
金剛「それは秘密デース」
比叡「これはまだ言えませんよね~」
榛名「ごめんなさい、提督」
霧島「まだ、その時ではないので……お待ちを」
提督「お、おぅ。そうだな。だが、皆羽目を外しすぎないようにな」
四人「はーい」
提督「さて、俺も帰るか」

書類をあらかた整理し、俺は帰路についた。
幸い、住まいは徒歩5分圏内の寮なので、帰宅自体は楽だ。最も、いつも帰った途端に寝てしまうのだが。

だが今日は何のきまぐれか、歓楽街に足を運んでいた。日頃溜まっていた鬱憤が、遂にあふれ出てしまったのだろう。
だが今の彼を満たしてくれる場所があるのだろうか。彼の乾きは普通の店では潤せない。

提督「ん? これってまさか……」

歓楽街を虚ろな目でうろついていた提督の目に、ある店の看板が飛び込んできた。

提督「リアル艦娘倶楽部~?」

艦娘とは、まず間違いなくいつも会っている艦娘の事だろう。そんなものが、なぜこの歓楽街に?
いや、そもそもリアルとは何だ?
提督の脳裏に、次々と疑問が浮かぶ。だがそんな疑問をよそに、提督の身体は好奇心の趣くままに看板横の扉に向かっていた。
もしかしたら、ここは自分の乾きを満たしてくれるかもしれない。
そんな期待と、一抹の不安を胸に。

龍驤「いらっしゃ~、って提督やん!」
提督「ん~? これは一体どういう事かな~?」

悪い方の予感が的中した。受付に居たのは、艦娘 軽空母「龍驤」だ。紛れも無く、我が艦隊所属の艦娘である。

龍驤「い、いやぁ~これには訳が」
提督「艦娘は一応公務員だから、副業は禁止だったような~?」
龍驤「まぁまぁまぁ、せっかく来たんやし、ちょっと楽しんでいかへん?お兄さん?」
提督「こてこてのキャッチだな……」
龍驤「一時間五千円やで? それで艦娘とお楽しみできるんやから、お得やない?」

怪しい。怪しすぎる。

提督「さて、帰るか」
龍驤「あ~ん、そんな殺生な~。一回だけ、一回だけならええや~ん」
提督「あ~聞こえない聞こえない」
龍驤「提督、ウチらの事好きなんやろ~、それなのに提督ってだけでウチらと遊ぶの禁止で、いっつも生殺しじゃつまらんやないの~」
提督「うっ」

まずい。図星を突かれた。こいつはこういう所がかなり鋭いので侮れない。

龍驤「ここなら誰にもバレへんし、誰にもバラシはせん。ウチが保証する」
提督「ううっ」
龍驤「何を悩む事があるんや、ここは男らしく行っとかんかい!」
提督「なんで逆に俺が悪いみたいになってるんだよ!」
龍驤「バレたか~、えへへ~」
提督「わかった。一回だけだぞ」
龍驤「はい一名様ごあんな~い! って、今ウチしかフリーじゃないねん。せやから、ウチが提督のお相手してあげる」
提督「結構人気店になっているのか……って、お前かよ!」
龍驤「まぁまぁええやん、これでも長い付き合いやん?」
提督「まぁそうだが」

龍驤とは艦隊結成当時からの仲だ。もう二年になる。
共に辛酸を舐め合った、正真正銘の戦友だ。

龍驤「ほな、簡単にルール説明な。まず、一回一時間五千円や。そんでいつもなら指名できるんやけど、今回は堪忍な。いくつかコースあるんやけど、選びたい?」
提督「そりゃあ選ばせてもらうだろう」
龍驤「じゃあすんご~いコースと普通のコースとおさわり程度のコースの3つの内、どれがええ?」

俺は正直な所、「すんご~い」に大いに期待を寄せていた。だが、こういう場に慣れていない事もあり、照れくささからこう言い放ってしまった。

提督「最初だし、普通ので。っていうか龍驤じゃ、すんご~い事なんてできないだろ」
龍驤「カッチーン! 今のはイラッときたで! 鎮守府やったらハリセン食らわせてるとこや」
提督「悪い悪い、冗談だ」
龍驤「じゃあ見せてやろうやないか。すんご~いのを」
提督「おぅ、見せてみろ。すんご~いのを」
龍驤「後悔せん?」
提督「後悔せん」
龍驤「実はドキドキしとる?」
提督「ドキドキしと……って何を言わすんだ!」
龍驤「うふふ~、楽しみやな~。提督の驚く姿」
提督「何か嫌な予感がするな……」
龍驤「じゃあこっち入って、3番ドックに入って待っとって。ウチも準備してくるさかい」
提督「おぅ、頼むよ」

龍驤は右の扉に入っていった。俺は龍驤の案内通り、受付に向かって左の扉に入った。
すると、1~5と書かれた扉と、奥には「特別室」と書かれた両開きの大きな扉があった。
特別室に気を惹かれつつも、3番のドアノブに手をかけ、中に入った。

中はロッカールームのようになっており、壁には説明書が貼ってあった。

1. 何があっても驚かない(パニックにならない)事
2. サービス内容の変更、延長は担当艦娘まで
3. インカムを着用の事
4. 以上、3点を守った上で入場する事。入室後、インカムに向け、準備完了の旨を伝えて下さい。

それだけ? と提督は不思議に思ったが、さらに不思議なのはインカムの存在だった。
少なくとも、普通では無い事は確かのようだ。

さて準備が完了したので、指示通り俺は奥の扉を開け、中に入った。その瞬間、ちょっとした目眩がしたが、そのまま歩いて行った。
この空間は真っ暗だったが、少し先にまたもや扉が見えたのでそれに向けて歩いていく。
一体、いくつの扉を開けさせるつもりなんだ?

少し時間がかかってしまったが、ようやく扉の前に着いた。
最初見えた時はすぐ着くと思っていたのだが、不思議な事もあるものだ。
そして遂にその扉を開く。するとそこには広大な空間が広がっていた。
天井は異常に高い所にあり、奥にはとてつもなく巨大な扉がある。この店のどこにこんな空間があるのか。先程から疑問は尽きないが、とりあえず指示に従う。

提督「準備完了だ」
龍驤「インカムちゃんと付けたな~?」
提督「付けたよ」
龍驤「じゃあ行くで~、驚かんといてや~」

そういえば龍驤も、先程の説明書も「驚くな」という事を盛んにアピールしているが、何がそこまですごい事なのだろうか。その疑問は、次の瞬間一気に吹き飛ぶ。

ズウウウウウン……ズウウウウウン……ズウウウウウン……

提督「ん? なんだこの地響きは……?」

規則正しい地響き、艦娘、巨大な扉……提督の中である一つの仮説がはじき出された。
龍驤「じゃじゃ~ん!!!!! どうや~!!!!!」

提督「な……な……な……」

奥の扉が開き、中から龍驤が現れた。
黒のソックスに、二本の白線があしらわれた黒のスカート、さらに上には水干のような赤い上着、胸元には勾玉の飾りが見えた。くりっとした茶色の目に、茶髪のツインテール。どこか幼さが見えるその顔は間違いなく龍驤だった。
だが先ほどと比べて一点だけ、決定的な違いがあった。
目の前に仁王立ちしているのは先程のちんまい龍驤では無く、そこに居るはずのない180mの、抜錨した状態の龍驤だった。

龍驤「どや! すんご~いやろ?」
提督「な……なんでお前抜錨を……」
龍驤「も~提督も鈍いな~、周り見てみ?」

焦る気持ちを抑え、辺りを見回してみた。
するとまず床に違和感を覚える。受付の時と同じ模様だったが、その大きさは明らかに変化していた。先ほどまではタイル二つで足一つ分だったのに、今ではタイル一つが広大な広場のようになっている。
さらに視線を移してみると、巨大なソファやテーブルなどが見えた。
間違いない。これは龍驤が大きくなったのではない。そう考えていると、龍驤は先程の地響きを鳴らしながら、提督の方へ近付いてきた。

提督「まさか、俺が小さくなっているのか?」
龍驤「そういう事や! ウチらがこんな所で抜錨したら、大変な事になるからなぁ。逆にお客さんに小さくなってもらってんねん。ほら上見て」

ズシイイイイイン! ズシイイイイイン!!!

地響きが次第に大きくなる。
最初は顔まで見えていたが、もう腰の辺りまでしかまともに見えなくなってきた。

ズシイイイイイン!!! ズシイイイイイン!!!!!

龍驤の足が、遂に提督の眼前に降ろされた。もう立っているのが精一杯なほどに地面が揺れている。それに耐えながら、提督は何とか頭上を見上げたが、もう龍驤の下半身しか見えなかった。まるで建造物を見ているようだ。

提督「お前どうやってそんな事を……」
龍驤「細かい事は後々。じゃあさっきのルールの説明、本当の所の続きをするで」
龍驤「ここはな、大っきい艦娘と遊びたいっちゅう、熱い要望に応えて開業した、『巨大娘バー』やねん。正確には縮小バーやけど」
提督「あ、あぁ……リアル艦娘ってそういう事か……」
龍驤「そうや。さっき聞いたコース分けってのは、それぞれ4倍、10倍、等倍の事でな。すんご~いのは、抜錨モードのウチらの大きさなんや。せやから、ざっくり100倍やな。まぁ提督は、虫やね」
提督「もしかしてそれ以上もあったりするのか?」
龍驤「も~、提督ったらほしがりやね~……もちろん可能やで。でも、未知の領域や」
提督「というと?」
龍驤「危なすぎてまだやった事ないねん。例えば大和が263mなんやけど、それ以上の300m、200倍なんてもうヤバイで。もう虫以下や」
提督「虫以下……(なんかゾクゾクしてしまった)」
龍驤「提督からすれば東京タワーみたいになるわけや。もうでかすぎて、ウチがちょっと動いただけで突風が巻き起こって、提督ふっとばされるやん?んで、床に打ち付けられて苦しんでる所に足置いて、おだぶつ……」
提督「待て待て待て待て待て。やっぱり死ぬのか?」
龍驤「当たり前やん! 命がけのプレイやでぇ、これは」
提督「死ぬのはまずいだろ!」
龍驤「そう? 皆、ウチらに踏み潰されるなら本望って」
提督「だからってなぁ……」
龍驤「……じゃあちょっと提督に秘密話してあげる」
提督「いきなりなんだ?」
龍驤「ウチら艦娘は、抜錨して、大っきくなって海にでるやん?」
提督「あぁ」
龍驤「ウチら、ごっつ大っきいやん?」
提督「あぁ」
龍驤「せやからウチらの事、下から覗きたいって連中、たまにおんねん」
提督「!?」
龍驤「ウチらは戦闘の事で頭一杯やし、下にはあまり注意向かないやん?」
提督「まさか…」
龍驤「轢いてんねん、時々。グシャッと」
提督「嘘だろ?」
龍驤「本当や。でも何も思わへん。下におるのが悪いねん」
提督「……」

突然の残忍な告白に提督は動揺を隠せずにいたが、それと同時に提督は内に秘めていた感情がざわつくのを感じていた。
虫に満たない矮小な存在が、一切気付かれることもなく、巨大な龍驤に為す術もなく蹂躙される……そんな光景を想像し、興奮してしまったのである。

龍驤「提督、今ドキっとした?」
提督「えっ?」
龍驤「ウチの事見上げながら、ウチの話聞いてて、ドキッとした?」
提督「そんな事は……」
龍驤「ちなみに今のはウソ。ウチは人は殺さん。人を守る者や」
提督「そ、そうだったのか……」
龍驤「でもドキッとしたやろ? でっかくて、圧倒的で、残忍な事平気でやるウチの事考えて」
提督「そ、それは……」
龍驤「もう! ハッキリ言わんかい!!!!!」

龍驤は巨大な足を垂直に持ち上げると、

ズドォォォォォォォォン!!!!!!!!!

提督の目の前に激しく踏み下ろした。
そのあまりの衝撃に、提督は紙くずのように吹き飛ばされた。

龍驤「堪忍な、提督。でもウチ知ってんねん。提督が、本当はこういうの、大大大大大スキって事」
提督「!?」
龍驤「ウチらが大っきくなってドックで待機してる時、提督いっつも一階から見上げてたやん」
提督「なぜそれを……」
龍驤「せやからウチ、提督が喜ぶかな~って思て、わざとしゃがんでみたり、スカートたくしあげたりしてたんやけど……どうやった?」
提督「あ、あぁ……よかった……よ」
龍驤「せやろ~? もっと褒めて~」
提督「なんでもお見通しってわけか……俺もまだまだ甘いな」
龍驤「それから、ウチがゴキブリ踏みつぶした時も、チンコおったってたやん? あれで確信したんや。提督が巨女フェチだって」
提督「そんなとこまで見ていたのか!」
龍驤「ウチ、あれから色々勉強したんやで、巨女フェチの事。どうすればもっと喜んでもらえるか、どういうサービスがあるのか。これぜ~んぶ提督のためなんやで」
提督「俺の為?」
龍驤「そうや。勉強も、この店も全部、いつもお世話になってる提督に喜んでもらう為に、頑張ったんやで?」
提督「お前、お前ってやつは……」
龍驤「すんご~いやろ?」
提督「お前には参ったよ。すごい、すごすぎる」
龍驤「ありがと~う! おっと、もうそろそろお時間やん。あと10分」
提督「おぉ、もうこんな時間か。時が経つのを忘れていたよ」
龍驤「それ、最高の褒め言葉や。それで? 何かやって欲しい事ある?」
提督「じゃあ踏んでくれ」
龍驤「えぇの? 死ぬかもよ?」
提督「本望だ」
龍驤「ふふっ、冗談やって。加減する」

龍驤の足はゆっくりと持ち上がり、そして提督の全身めがけて降ろされた。
提督にはもう、龍驤の足裏しか見えない。それを察した龍驤は、顔だけ出せるよう位置を調整し、そして提督の身体に触れた。凄まじい威圧感だが、そこまでの重圧は感じなかった。

龍驤「どう? 苦しくない?」
提督「気持ちいいぞ、龍驤」
龍驤「せやろ? 上手いやろ、踏み踏み。基本やからな」

慣れた足つきで前後左右に振られる。
まるで全身をくまなくマッサージされているかのような感覚に病みつきになった提督は、たまらず龍驤の丸太のような足指にしがみついた。

龍驤「あ、提督も好きやねぇ~。ほれほれ、落ちんようにな~」
提督「うおわっ!」

しがみつかれたのを感じた龍驤は、提督ごと足を揺すり始めた。
提督は自然としがみつく力を強くしたが、それにより自分のイチモツと龍驤の足指が絶妙な強さで擦り合わされ、提督の股間はみるみる内に固くなっていった。

龍驤「軽すぎやろ提督~。ウチはただ足ブラブラさせとるだけやで」
提督「こ、これ以上は……やば……い!」
龍驤「う~ん、じゃあ降ろしたげるわ。特等席やで」

降ろされた先は、なんの変哲も無いただの床だった。
だが次の瞬間、凄まじい音とともに龍驤の臀部が眼前に降臨した。例のごとく風圧に吹き飛ばされたが、後ろで足を組んでいた為、そこに引っ掛かった。
目の前にはあぐらをかき、スカートの中が丸見えの状態になっている龍驤が鎮座していた。

龍驤「ほい、捕まえた。もうビンビンやな~」
提督「わ、悪かったな」
龍驤「さぁ休んでる暇はあらへん。次行くで」

龍驤は俺を軽々と摘み、肌が露わとなっている太股の間へと運んでいった。龍驤の柔らかい肌に挟まれ、ぐりぐりと動かされ、提督はもはや我慢の限界を超えた。

ブシュ! ブシュルルル!

龍驤「あ~、提督出してるや~ん」
提督「す、すまん」
龍驤「いいんやって、ほんの1mm程度濡れるだけやから。全然気にならへん」
提督「ちっぽけなんだな、俺って……」
龍驤「せやなぁ。虫やからなぁ」
提督「虫……」
龍驤「あ、虫って言葉に反応してまた出してるやないか。本当に提督は筋金入りやね」
提督「……いや龍驤のテクニックが神がかってるからだと思うぞ」
龍驤「そりゃあ、ぎょうさん勉強したし、開店から何人もやってきたもん。当然やん?」
提督「じゃあ、ここのNo.1ってわけだな?」
龍驤「そういう事! 提督は特別やから、一回目でもウチが世話してあげるねん。普通は常連さんにならんと謁見を許されんのや」
提督「お前は女王様気取りか」
龍驤「えへへ~、でもこれからはもう提督しか世話せんから。というか、もう資金も溜まったし、ここを提督専用のお店にするつもりや」
提督「え!?」
龍驤「何度も言わさんでね。ここは提督だけのお店になるんやで。全艦娘が、提督の為だけにご奉仕するんや」
提督「いいのか?」
龍驤「その為の店やから!」

全ての艦娘が、自分の為だけに巨大娘を演じてくれる……。
夢にまで見た環境を、自分は手に入れたのである。その事を確信した提督は打ち震えた。

提督「う、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
龍驤「喜んでもらえてよかったわ。さて、いよいよクライマックスやで!」
提督「クライマックス?」
龍驤「あと3分間。ウチが提督の周りに足を降ろしまくるから、逃げて」
提督「殺す気か!?」
龍驤「本 望 な ん や ろ ?」
提督「うっ…」
龍驤「ほな行くで!潰されんといてや!」

龍驤はまずその場で足踏みを始めた。もう立つことすら困難だと悟った提督はそれを諦め、膝をつきながら屈んで移動する事にした。

龍驤「なんやそれ! そんなイモムシみたいな動きやったら、すぐに踏み潰されてまうで!」

揺れが収まったのを見て、提督は立ち上がり全速力でその場を離れたが、すぐに影に覆われた。もちろん、龍驤のものである。

龍驤「ほい。お~しまいっと」

龍驤の死の宣告が聞こえたと同時に、提督は背中に圧力を感じた。龍驤が提督めがけて足を振り下ろしてきたのである。
このままでは確実に踏み潰されてしまう。そう感じた提督は咄嗟に横っ飛びをし、間一髪で龍驤の踏み潰しを避けた。だがその風圧が、またもや提督を吹き飛ばし、部屋の壁に激突させた。

龍驤「もう逃げられへんやろ。これでジ・エンドや」

龍驤がゆっくりと近づいてくる。もう逃げる気力を失った提督は、ただぼんやりと眺めていた。

ズシイイイイイン! ズシイイイイイン!!!

龍驤「虫にしてはよう頑張ったわ。ご褒美にウチの靴下の染みにしたげるわ」

ズシイイイイイン!!! ズシイイイイイン!!!!!

もう視界には龍驤の黒いソックスしか見えなくなっていた。そしてそれはなおも接近し続け、提督は壁と足に挟まれる形になった。
徐々に力が入れられ、身体がミシミシ言い始める。これが、巨人と小人の力の差……龍驤からしたら何のことは無い行動でも、今の提督にとっては全てが災害クラスである。
もはやこれまでという時に、龍驤の腰からジリリリリ! と音がした。龍驤はハッとした表情になり、提督から足を離すと、その場にしゃがみ始めた。

龍驤「あ、終わりや。どやった?」
提督「す、すごい光景だった……」
龍驤「楽しかった?」
提督「……あぁ、夢にまで見た体験だったよ。ありがとう」
龍驤「夢やないんやで。しかもこんなんはまだ序の口や。サービスのほんの一部分しかやってへんからな」
提督「まだ先があるのか……」
龍驤「見たい?今、金剛型の皆がやってるからはずやから、見に行こか。もしかしたらもう終わってるかもしれへんけど」
凄まじい体験をした後に、まだまだ先があると言われたら、興味を持たないはずはない。
提督「金剛型の? じゃああいつらが言ってた秘密って、この事だったのか」
龍驤「じゃあウチも小さくなるからちょっと待ってて」
提督「おぅ」

ズシイイイイイン!!! ズシイイイイイン!!!!!
そう言うと龍驤は、再び立ち上がり、踵を返して入ってきた扉へと戻っていく。
歩く度に発生するこの地響きには未だに慣れない。それにしてもすごい体験をしたものだ。
踏まれ、吹き飛ばされ、挟まれ……巨大な龍驤にされた数々のサービスを、提督は反芻していた。

龍驤「あ、この扉の奥には来ちゃあかんで提督。女の子の秘密や」
提督「追いつけるはずないだろ」
龍驤「それもそうやな。歩幅が違いすぎるし。まぁ、ウチに気付かれんようにどこかに張り付けば出来ん事も無いけど」
提督「その手があったか!」
龍驤「気付いたらガチで踏み潰す」

また、勃起してしまった。そんなやり取りをしている内に、龍驤は扉、というより門の奥へと入っていった。そしてしばらくすると、門の端にあった小さい扉から俺と同じ比率になった龍驤がやってきた。

龍驤「おっまたせ~。さっきまで提督を虫のように追いかけてたかわいい龍驤ちゃんやで~」
提督「よし、始末書だな」
龍驤「冗談やって~、じゃあこの地下階段から行くで」
提督「こんなところに階段があったのか」
龍驤「床下全体を移動できるようにしてるんや。床は全面強化マジックガラスやから、虫でも安全に下から覗けるで」
提督「用意がいいな」
龍驤「これも全部虫提督の為や」
提督「始末書二枚目な」
龍驤「あ、まだ途中やけど4番ドックの様子が見えてきたで」
提督「あれは…愛宕か?」

愛宕「ぁん……ちっちゃい子が私の胸にこべりついて、必死に登ってるわ♪」

愛宕の胸には一人の男がくっついていた。愛宕は真っ直ぐに姿勢よく座っているため、落ちないようつかまっている、と言ったほうが正しいだろう。

愛宕「あら、落ちちゃった。どこ行っちゃったのかしら~?うふふっ♪」

愛宕はどこに落ちたか気付いているようだった。
その証拠に、男が落ちたテーブルに向けて胸を降ろし、明らかに男に向けて近づかせている。男からすれば、まるで巨大なダンプカーが自分に向かってくる感覚だろう。

愛宕「あっ、逃げちゃダメよぉ」

男は土石流のごとく迫ってくる愛宕の乳房から逃れるべく、真横に走り始めた。
そのまま居たらすり潰されるのだから、それも当然である。だが、あの体格差ではいくら全力疾走しようとも逃げることなどできない。愛宕は男の逃走経路を塞ぐように手で壁を作り、そのまま男をつまみ上げた。

愛宕「怖がりさんな貴方は、特別にここにごしょうた~い♪」

愛宕は男を持っていた指を離し、男を胸の谷間へと落とした。そして男は愛宕の中へと消えていった。

提督「……」
龍驤「……」
提督「……」
龍驤「なんや!!!」
提督「お前にはできない事だな~って」
龍驤「今度1000倍コースな」
提督「やめてください死んでしまいます」
龍驤「わかればええんや。さて、お隣5番ドックに見えますのは~、足登りコースやで~」
提督「なんで急にバスガイドに……って、高雄!?縁の無い子だと思っていたが……」
龍驤「意外と好きみたいやで。小虫どもが私の美しい足をチマチマ登ってますわ!って」
提督「いいな……それ」

高雄「ほら、早く登ってください。動かないようにするのも大変なんですよ。くすぐったくてたまりませんわ」

提督が見上げると、そこには二本の巨大な柱、高雄の脚がそびえ立っていた。モノリスのごとく反り立った黒いストッキングを超えると、はち切れんばかりの太股が姿を見せている。そこに男は居た。

高雄「もう我慢できません。動かしますよ、脚」

高雄は冷徹にそう言い放つと、痒かった太股を擦り始めた。男はその間に挟まれ、中でもがいている。その内に男は高雄のデリケートな箇所に到達してしまったらしく……。

高雄「何をしているの?」

股間に入り込まれて怒りを露わにした高雄は、股間へ手を突っ込み、男を摘んで目の前にぶら下げた。高雄の真紅の眼が男をじっと見据えている。だが男はもう気力を失い、うなだれているようだった。

高雄「大人しく落とされていれば、こんな高い所に連れて行かれて怖い思いをせずに済んだのに…。でも私の脚から落ちたら、脆い貴方は死んでしまうかしら?」

そう言いながら、高雄は男を床に丁寧に降ろし、登れと言わんばかりに足を突き出した。

高雄「まぁどちらにせよ、最初からです。私の気が変わらぬ内に、早く登ってきて下さい。でなければ誤って踏み潰してしまうかもしれませんよ?」

龍驤「……ウチの足も良かったやろ?」
提督「あ、あぁ……」
龍驤「あ、勃起した。相当気に入ってくれたようやな~。作った甲斐があったってもんや」
提督「う、うるさい!」
龍驤「さて! そろそろお待ちかね! 最近実装した新イベント! 名づけて、『艦娘と鬼ごっこ』や!」
提督「こ、これは……街か?」
龍驤「縮小させた街や。金剛の身長がビル一個分やから、今は50倍コースみたいやな。」
提督「じゃあ俺達のよりは小さいんだな」
龍驤「でもここには四人おるんよ。金剛姉妹四人と街中で鬼ごっこや」
提督「す、すごい迫力だ……」
龍驤「これは艦娘にも人気のコースなんやで? ビル壊してストレス解消! 一石二鳥や!」
提督「金剛の所に何か居ないか?」
龍驤「あれはロボや。カメラ内蔵で、今お客さんが別の場所で操縦してるんや」
提督「あ、人間が入ってるわけじゃないのな」
龍驤「別に入っても、なんなら生身で行ってもええけど…踏み潰されても知らんからな」
提督「少し興味があるな……」
龍驤「やっぱあんたすごいわ」
提督「そりゃそうさ。巨大なお前達に会いたくて、提督になった男だからな」
龍驤「うわ……ひくわ……」
提督「ひくな!」
龍驤「冗談や。あ、金剛がロボを見つけたみたいやで」


金剛「見つけたデース!ワタシを下から覗いた罪、万死に値しマース!」

ズッシイイイイイイン!!!

金剛はオベリスクのように巨大なブーツを難なく持ち上げると、何のためらいも無く、下の哀れな虫に審判を下した。そこには金剛の巨大なブーツの足跡と、粉々になったロボだけしか残っていなかった。そのロボから、さぞかし大迫力の光景が見えたかと思うと、提督は興奮してきてしまった。

金剛「全く、つまらない虫ネー」
比叡「さっすがお姉様! あ! 榛名! 最後のやつ、そっちに逃げたよ!」
榛名「任せて下さい! っと、これで逃げられませんね」

榛名はロボを上から叩きつけ、地面に埋めてしまった。
ロボはなんとか動こうとするも、あまりにも地面に奥深く刺さってしまったため身動きが取れず、次第におとなしくなっていった。

霧島「ああなってはもう逃げられないですね。まぁ最後まで残った方ですし、特別サービスをしてあげましょうか。榛名、ちょっと待ってて下さい」

霧島はそう言うと、埋まったロボへズシン! ズシン! と近づいていった。地面と同じ目線で見る、ビルのように巨大な艦娘が近づいてくる様子は、まさに圧巻と言えるだろう。霧島はそれをわかってか、わざと大きな音をたて、ゆっくりと歩いているように見えた。そしてロボの所に到達すると、跨いで通り過ぎて行った。

金剛「私もやりマース!」
比叡「気合! 入れて! 跨ぎます!」
霧島「気合入れすぎて踏み潰さないようにね。あくまでやるのは榛名ですから」

そう言うと、二人は順番に、霧島と同じようにロボを跨いでいった。早く自分もあの臨場感を味わいたい……想像しただけで提督は身震いしてしまう。

榛名「さて、提督さん。残念ですが、この榛名に見つかったわけですから、もう逃げられませんよ?最後に言っておきたい事はありますか?」
客A「……! ……!」
榛名「はい、聞こえません。ではさようなら。また来てくださいね」

榛名は金剛とは違い、後ろを向くとその真紅のスカートを纏った臀部をゆっくりとロボへ降ろして行った。
その様子は地下から絶好のアングルで見ることが出来た。これもまた圧巻と言うべき光景である。視界全てが真紅に覆われたかと思うと、すぐに凄まじい圧力と共にロボはバキバキと音を立てながら、原型がわからないほどに変形してしまった。

提督「で、でけぇ……」
龍驤「すごい迫力やろ?ちょっとマンネリ化していたサービスに新たな風を吹き込んだのが、これや。一気に複数人を相手にできるから、儲けも結構いいんやで」
提督「そういえばこの街とかロボはどうなってるんだ?」
龍驤「よくわからへん。ナノマテリアル? とかいうので作ってるらしいで」
提督「何だそれは?」
龍驤「ウチも門外漢やから説明はできんけど……何度でも再生可能の優れモンや」
提督「なるほど」
龍驤「さて、こんな感じやな。これでもまだ一部やけど、大体こんな感じの店や。ご満足いただけたやろうか?」
提督「すごい所だ。また来てもいいか?」
龍驤「もっちろん! 今度は誰でも指名おっけー、どんなサイズでも指定おっけーやで!」
提督「今度オススメを教えてくれ」
龍驤「ウチ、1000倍」
提督「それ以外で」

こうして提督の夢の様な一夜は幕を閉じた。何度思い返しても興奮が収まらない。その日は目も下半身もギンギンになってしまい、結局一睡もできなかった。それも無理は無い。この日々が、これから毎日続くのだから。