久光さやかは16歳の女子高生であった。
彼女は平凡な女の子だった。
平凡な容姿、平凡な成績、平凡な運動能力、中流の家庭、高くも低くもない偏差値の高校。
さやかには平凡な日常の中にささやかな幸せを見出すことができるという美点があった。
さやかは自分の日常におおむね満足していた。
学校に行けば気の合う友達もいるし、両親は優しい。
このまま日常を過ごせば、そこそこの大学に進学し、そこそこの企業に就職し、それなりの相手を見つけ結婚し、ささやかに幸福な人生をおくるのだろうと彼女は思っていた。

 そんな日常が壊れる時がやってきた。
さやかはある朝目覚めた時、自分が女神として覚醒したことに気がついた。
なぜ、そんなことに気がついたのか?
それを説明できるものは誰もいない。
ただ、女神として覚醒した者は、自分が覚醒したことを魂の奥底から理解するのだ。
さやかのパジャマはボロボロに破れており、体に破れた布が纏わりついていた。
ベッドに体がおさまり切らない。
端から足がとびでている。
「なぜ、パジャマが破けているのかしら?」
立ち上がると、視点がなぜか高くなっていた。
部屋の天井に殆ど頭がつきそうだ。
「私、背が高くなってる?」
さやかの身長は昨日まで160センチだった。
しかし今日では240〜250センチもある!
ありえない話だった。
誰が1日で身長を1・5倍に伸ばすのだろうか。しかしさやかの超長身は厳然としてそこにあった。
「どうしよう…」
ずしり。胸の辺りから今まで感じたことのない重みが伝わってくる。
身長が1日で高くなっただけではない。
胸も大きくなっているようだ。
彼女の部屋には全身を映せる鏡が置かれていた。
自分の姿を確認する。
そこに映っていたのは人では決してありえない、あまりにも美しすぎる少女だった。
元のさやかの要素である、黒い髪と黒い瞳はそのままだった。
プロポーションも完璧だ。
爆乳と言える完璧に美しい曲線を描いた大きな胸、くびれた腰、完璧な曲線美のヒップ。
(これならどんな男の子でも誘惑できるわね)
自分が女神となったことにはなんとなく気づいていた彼女であったが、女神になっても考えることは平凡だった。
女神になった、それがどういうことなのかよく分からない。
しかし、自分が色香溢れる超絶美少女になったことは間違いないし、それは嬉しかった
そして彼女は着る服がないことに気がついた。
「お父さんとお母さんに相談したほうがいいわ」

「おはようー」
頭をぶつけないようにダイニングルームに入ると、父と母が彼女の方を見た。
ジュッ!
彼女を見てその雰囲気に触れると、父と母は全身が溶けて精液と愛液となり、死んでしまった。
「えええええー?!」
「ど、どうしよう…」
意味不明な事態に彼女は混乱した。
「と、とりあえず誰かに相談しなきゃ!」
タオルを服がわりに体に巻きつけ、外に出た。
恥ずかしかったが、そんな場合でもない。
ジュッ!
彼女の方を見た通行人は、全身が溶け男は精液に、女は愛液になってことごとく死んだ。
アスファルトの上を精液と愛液が流れていった。
どうすればいいのかわからず途方に暮れる。

 ずずぅーん。
地面が揺れた。
空が翳る。
さやかは見た!
ありえない。
空を見上げると、そこには巨大な美少女が聳え立っていた。
彼女はピンク色の髪でピンク色のスクール水着のようなものを身につけており、人間ではありえない美貌だ。
さやかは、巨大美少女のあまりの美しさに感銘を受け、混乱は少しおさまった。
「なんて大きいの…」
聳え立つ少女の足元のビルを定規とし、その身長を目算した。
500メートルはあるだろうか。

「さやかちゃん、おはよう!」
街に凄まじい音量の声が轟いた。

「わ、私? 私に話しかけているのかしら?」
さやかは迷った。
巨大美少女の視線はさやかの方を向いてはいたが、そのあまりの大きさのため、見ているのがさやかなのかどうか判断できない。
巨大美少女の視野にさやかという名前の別人がいて、そちらを見て、挨拶したかもしれないのだ。

「そう、あなたよ。私はリーリス。多宇宙女神会議の案内役だわ」
さやかは多宇宙女神会議というのが何のことかはわからなくとも、さやかが女神として覚醒したためにリーリスがやってきたであろうことは理解できた。
「えっと、リーリスちゃん? 多宇宙女神会議って何? それから私を見た人が溶けちゃったんだけど何故?」
「一つひとつ説明するわ。私はそのためにきたの」
「多宇宙女神会議とは数多くある宇宙の、女神たちの互助会みたいなものね。あなたが女神として覚醒したので、お迎えにきたのよ。あなたを見た人が溶けたのは、たぶんだけどあなたはエロスに特化した女神なのね。あなたの暴力的な色香に触れた人間は性が魂の限界を超えて暴走し、全身が溶けて精液か愛液になるんだわ。それが嫌ならあなたは自分の色香を抑え込むようにしないといけないわね」
「そもそも女神って何?」
「それはわからないわ。ただ、ごく稀に、人間がある日突然女神として覚醒することがあるの。多宇宙女神会議では、生まれた時に覚醒の運命が定まっている人間がいるというのが定説だわ。ちなみに、女神になるのは女性とは限らなくて、男性が女神として覚醒することも珍しくないわ。その場合覚醒したら美少女や美幼女の姿になるのよ。全ての女神は不老不死で永遠不滅、絶対に傷つかないということ、人ではありえない超絶的美しさは共通しているわ。後、女神の大きさは様々だけれど皆、人間より巨大な体躯を持っているわ。私が多宇宙女神会議の案内人をしているのは、大きさを500メートルから10万キロまで変えることができて、多くの女神に合わせた大きさになれるからよ。それに私は人間だった頃からどういう訳か、見た相手がどんな特質特技才能を備えているか言い当てることができる、自分でもよくわからない特技をそなえていたからね。私は女神をみれば、どんな特質をもった女神か見抜けるらしいの。あなたは多宇宙女神会議の中でも一番小さいと定められた女神ね。私の知っている二番目に小さい女神は身長18メートルよ」

「溶けた人を戻さなきゃ! …戻せるの?」
「私じゃないけれど修復の力を持つ女神がいて、彼女なら戻せるわ。後で紹介するから安心していいわよ」

 さやかはほっとした。
殺人を犯したくはなかったし、父母を愛していたからだ。
「色香を抑え込むってどうするの?」
「女神は自分の特性を魂で理解しているものなの。心を鎮めて自分の裡を深く見つめて。そうすればわかるわ」

 さやかは目を瞑り呼吸を整えた。
そして無念無相になり深く自分自身の心を見つめる。
何となく、どうすれば色香を抑え込めるかが理解できた。
彼女にとって色香を抑えるのは、人が息を止めるようなものに近く、色香をそのままにしている方が自然な状態だ。
どこかで常に意識していないと色香は抑え込めない。
彼女を見た人間が溶けるのを避けるためには仕方がない。

「あら、色香がやんだわね。自覚があったかどうか知らないけど、女神の私にとってすら今まで凄い暴力的色香だったわよ?」
「これで大丈夫なんでしょう? あとは、溶けた人たちを戻せば完璧ね。身長がとても高くなっちゃったけど…あなたほどのとてつもない大きさじゃないし普通に暮らせなくもないわ。そうね、バスケット部かバレーボール部にでも入れば歓迎されるかもね」
「違うわ。あなたは女神になったの。もう元の日常には戻れないわ。女神は宇宙を支配するものなの。女神の超絶的美しさは全ての人間を魅了し、服従させるの。残念だけどあなたのご両親も例外ではないわ。貴女と対等に話せる相手は同じ女神しかいないの。世界の支配者としての新しい日常に慣れなければならないわね」
「私、支配者なんて興味ないわ!」
「でも、仕方ないのよ。女神は支配したり破壊したりするものなの。女神にできないのは小さくなることと、死ぬことと、女神でなくなることね。あなたがどうしても人の中で暮らしたいなら、誰にも何も頼まず何も命令しなければ何とかなるんじゃないかしら? あなたを見た全ての人間があなたに魅了されるのは防ぎようがないけれど。後、人と結婚するのはまず無理ね。女神は不老不死だけど人間はそうじゃないし、そもそも人間は女神にどうしても逆らえないから対等にはなれないし。結婚がしたければ女神同士で同性婚するしかないわね」
「わかったわ。私は人を支配せず人の中で暮らしたいの。」
「それが貴女の意志なら私はそれを尊重するわ、他に説明しておいた方がいいことに、女神の特性に行きたいと思ったところに瞬時にテレポートできるというのとか、どんな世界の言葉でも読み書き会話が可能というのがあるわ。他には私と会ったことで、多宇宙女神会議とテレパシーで交信できるようになったはず。試してみて?」

 さやかは喜んだ。
もう英語の勉強に悩まされなく、テストでも満点に近い点数が保障されたも同然だ。
いや、全ての言語ということは古文も漢文もそうだ。
行きたいところにどこでも瞬時に行けるなら、タダで好きに世界一周だってできる。
いや、異世界旅行や宇宙旅行だって自由自在だ。
月にだってタダで行ける。
女神のくせに俗であった。

 試しにさやかはリーリスの足元にテレポートしてみた。
ものすごい光景だ。
リーリスの足は長さが4、50メートルはある。
学校のプールよりも大きい。
その巨大な足はアスファルトを砕き地面に深くめりこんでいた。
巨大な肉体が持つにふさわしい圧倒的な破壊力だ。
それでも彼女は足元に最大限に配慮したのだろう。
足元のビルは無事だった。
死者はいないようだった。
リーリスの足元では大勢の人たちが逃げもせずに、彼女を見上げ、ここから見えるその途方もない脚線美を崇め讃えていた。
リーリスを讃える歌を歌い、踊りを踊る者もいる。
「ふぅ…」
さやかはこの圧倒的な光景にどんな感想を抱くべきかわからずため息をついた。
「…」
リーリスが去った後にこの崇拝が自分に向くことを思い出し、これからどうしようかさやかは頭が痛かった。
さやかは自分がもう人間ではないとか考えても仕方のないことを考えるのをやめ、素直に女神の美貌と圧倒的プロポーションを得たことを喜ぶことにした。
(歴史に名を残した伝説の美女も、どんなアイドルも今の私なら圧倒できるわ。私が世界最高の美少女なの)

「他に教わったことがいいことはあるかしら?」
「大体の説明は終わったわね。じゃあ、私は多宇宙女神会議の本拠に戻るわ」
「あ、服! 服! 着る服がないの!」

 さやかは自分がバスタオルを巻いただけの姿であることを思い出した。
「多宇宙女神会議では、物品の大きさを女神のサイズに合わせて変更するサービスを提供しているわ。でも貴女の場合大きさというよりは体型自体が大きくかわっているからそのうち仕立て屋さんにお願いした方が良いわ。下着は特注になるからお金がかかると思うけれど、人間は女神に逆らうことはできないから、その気になれば無料で手に入れることもできるわね。でも貴女はそれをしたくないのでしょう? 服を持って私と一緒に多宇宙女神会議までついてきて」
「わかったわ」

 さやかは自分の家にテレポートし、持てるだけの服と下着を持った。
そして多宇宙女神会議の拠点へとテレポートする。

 多宇宙女神会議の拠点というのはさやかの目にはどこまでも無限に続く平面の様に見えた。
白い大地に白い空。
白い大地では人間の男女がいた。
そう、女神ではないただの人間だ。
ずずぅーん。
巨大な気配の方を向くとリーリスが聳えていた。
「修正してほしい服は持ってきたかしら?」
「大丈夫、持ってきたわ」
「じゃあ、彼らに渡して」
「彼らは?」
「多宇宙女神会議で雇用されているサイズ変更能力者。無数の宇宙の中にはいろんな人間がいるのよ。彼らが貴女のサイズに合わせて服をなおしてくれるわ。ちなみに料金はいらないわよ。多宇宙女神会議から報酬は支払われているから」

 彼らが念じるとさやかの服は大きくなった。
体型には合わないが彼女の背丈には合う。
バスタオルを体に巻き付けるよりマシだった。
胸とお尻はきつすぎ、腰はぶかぶかだ。

「これで人ごこちついたわ。ありがとう」
サイズ変更能力者たちとリーリスの両方に礼をいう。

「どういたしまして」
「いえ、我らは女神様方にお仕えすることが光栄でありますので」
「…」
ああ、特別な力を持っていてもサイズ変更能力者の人たちは人間なんだ。
女神には逆らうことができない、隔絶した差のある存在なんだ。
さやかは改めて思い知らされた。
自分がこれから女神として人間たちの絶対上位の存在として永遠に有り続けることを。

「それにしても変なところね、一体どうなっているのかしら」
「ここは実はテーブルの上なのよ」
「え?」
リーリスから返ってきた答えは奇妙な物だった。
このどこまでも続く大地がテーブルの上?
なんておかしなことかしら。
「多宇宙女神会議の本拠地は絶対無限平面の世界の上に女神用の家具が並べられているわ。その大きさは多宇宙で最大の女神に合わせて自動的に変わるのよ」
さやかは多宇宙最大の女神に興味を持った。
こんな果てしないテーブルを使う女神とはどんな存在なのだろうか。
見てみたいな。
さやかがそう思った途端、彼女の女神としての力は多宇宙最大の女神のもとに彼女をテレポートさせた。

 さやかが現れたのは宇宙だった。
宇宙の半分は暗闇で、もう半分は白く輝く空だ。
(あれは空じゃないわ! 女の子のお肌なのよ!)
女神の感覚でさやかは直観した。
さやかはその肌の、あまりにも美しい、美しすぎる抜けるような白さに恍惚となった。
(あり得ないわ。ただの白い平面じゃない。それがなぜこれほどに美しいの!)
しかし、その色彩だけでさやかを魅了する絶対の美がそこにあった。
ずずずずず。
宇宙が揺れ動く。
さやかは彼女が姿勢を変えていることを知った。
ごごごごご。
さやかは知る。
最大の女神が彼女を見つめていることを。
銀色のあまりにも巨大すぎる、とてつもなく巨大な瞳が彼女1人を見つめていた。
何という美しい銀色の瞳か。
(体のごく一部だけでこんなに美しいなんて!?)
さやかはまたしても恍惚となった。

 「こんにちは。貴女は誰?」
「私の名前は久光さやかよ。さやかでいいわ。貴女は?」
「そう…、新しい女神が覚醒したと聞いたけれどそれが貴女ね。私はアリス・リデル。アリスって呼んでね」
「アリスちゃん…、貴女の全身を見るためテレポートしたいわ」
「そうかしら? 私は構わないけれど?」

 さやかは数億光年をテレポートしていた。
そこからはアリスの途方もなく美しく可愛らしい幼い顔がはっきりと見えた。
アリスの美しさは、さやかが不滅の女神でなければ見た瞬間に美しさのあまり魂すら消え失せていただろうほどのものだった。
女神1人の美しさを1とするならアリスの美しさは無量大数をも軽く凌駕していた。
だからこそだろう。
アリスはあまりにも美しすぎるため、体の一部の色彩だけでも途方もない美しさをさやかに感じさせるのだ。
年齢は七歳くらいだろうか。
彼女は腰まである銀髪のロングヘアで全裸だった。
彼女の銀髪に光の粉のようなものがある。
さやかはもう一度アリスを見た。
さやかはもっと近くにテレポートした。
(あれは銀河だわ!)
光の粉は銀河だった!
アリスの髪にはいくつもの銀河が絡みついている!

 「アリスちゃん…、貴女はなんて大きくて美しいのかしら。貴女はどれだけ大きいの? なぜそこまで美しいの?」
「12,2165,1354光年だよ。これは私の一番小さい姿で、これから無限に大きくなれるの。私が女神として覚醒してから、最初は元の身長120センチから始まって一日に身長が二倍になり、美しさと知性は八倍になったわ。そして私の最小のサイズが定まるまで83日間成長し続けたわ。9,6714,0655,6917,0333,9764,9408倍の身長ね。美しさと知性はその3乗、通常の女神の904,6256,9716,6532,7767,4664,8320,3803,7428,0103,6717,5520,0316,9065,5826,2375,0618,2132,5312倍ね。私は可能無限でだけでなく実無限の大きさをとることができて、更に絶対無限の大きさになることも可能で、絶対無限から無限に大きくなり続けることも可能なの。私は一番大きくて、一番賢くて、一番美しい宿命にあり、誰か今の私の最小サイズより大きな存在がうまれたら、私の最小サイズはさらに大きくなる定めだそうよ。私は大きくなればなるほど、倍率の3乗で美しさと知性が増すそうよ。私は大きさと美しさと知性に特化した女神なんだって」

「貴女はなぜ裸のままなの? 多宇宙女神会議からサイズ変更のサービスは受けないの?」
「私は大きすぎるんだって。サイズ変更能力者の力が及ばないのよ」

さやかはアリスに話しかけた。
「あなたと会えた記念にキスしたいわ」
さやかは自分でも驚いた。
さやかは女神となる前は、別に女色の人ではなかったし、ロリコンでもペドでもなかった。
そもそも以前のさやかならば初対面の相手にキスしようなんてしない。
しかしさやかはアリスのあまりの美しさと大きさに、魂が消し飛ぶほどの感銘を受けていた。
どうしても彼女に触れることを熱望した。
彼女に触れられるならどうなってもいい。
さやかはそう思った。
しかし、一番の要因がさやかがエロスに特化した女神として覚醒したためである。
エロスの女神への覚醒は、さやかから他者との肉体的スキンシップへの抵抗など、アリスにキスをせがむことを躊躇するための気持ちを無くしていた。
それに相手も自分も人間ではなく女神同士だ、人間の感性はこのさい適用外である。

「え? いいわよ」
エロスに特化した女神であるさやか、突然であっても彼女からキスをせがまれて断る者はいない。
それは人間と隔絶した存在である女神であっても同じである。

 さやかはアリスの口元にテレポートした。
アリスの唇は途方もなく美しいピンク色に息づいていた。
アリスにとっては感じられない程度の体の一部のわずかな震え…それはさやかにとっては果てしなくどこまでも広がる壁が一瞬のうちに数百光年もの幅で振幅しているように感じられた。
さやかはもう一度テレポートし、アリスの唇の上に着地した。
不思議なことに、アリスの唇の上に立つとそこはどこまでも果てしなく続く途方もなく美しいうすピンク色の安定した大地で、地球と同じ重力が感じられた。
本来ならアリスの心臓の鼓動による衝撃、あるいは僅かな動き、震えによる衝撃だけで、彼女の体表にあるものは全て消え去るはずなのに。
しかしアリスもさやかも女神なので人間に理解できないことも不思議ではなかった。
さやかは全身を、途方もなく美しい薄いピンクの地面に投げ出し、キスをした。
アリスの唇という果てしない大地に吸い付き舌を這わせる。
アリスの唇、さやかの全身に快楽が電撃のように走った。
人間だったら快楽のあまり魂が消し飛ぶであろう凄まじい快楽だ。
さやかはエロスに特化した女神なのだ。
大きさの差は意味を持たない。
その小ささにかかわらずさやかはアリスの巨体に凄まじい快楽を与えることができた。
むしろサイズの差があるほど互いの快楽は増大する。
そしてさやかも、アリスの巨体に触れているところから凄まじい快楽を得る。
(まだまだよ、キスというからには舌を絡めないとね!)
「ああ…ん…」
アリスが口を半開きにして喘ぐ。
唇と唇の、アリスにとってはほんの少しの、銀河が幾つでも余裕で通過できる間の空間、その奥の前歯の向こうに見えるアリスの舌先までさやかはテレポートする。
アリスの舌は唾液で湿っている。
湿っている…、それはアリスの感覚だ。
さやかからは、それは厚さ数千光年を超える唾液の層が舌を覆っているように見える。
厚さ数千光年…、普通の液体ならその底の舌が見えるはずがないのだが、女神は体液ですら人の想像を超えている。
さやかは数千光年の厚さをものともせず、途方もなく美しい、アリスのピンクの舌を見ることができた。
アリスは大きさと美しさと賢さに特化した女神だ。
彼女は舌先だけですら究極をも超越した美しさを放っている!
さやかはアリスの舌先の美しさに陶然となる。
最もさやかはアリスの巨体のごく一部だけでも視界におさめるたびに陶然となるのだが。
さやかはさらにテレポートする。
唾液の層の底、舌の表面に現れる。
さやかはアリスの舌にキスをし自分の舌を這わせた。
さやかとアリスの舌に、唇にキスをした時の快楽を超絶的に上回る快楽が走る。

 さやかはたまらず数百メガパーセクをテレポートし、そこからアリスの途方もなく美しすぎ、巨大すぎる全身を視界に収める。
アリスはさやかから与えられた快感の凄まじさのあまり、陶然とした表情をしていた。
その表情がさやかの情欲をいやます。
今までの人生でここまで性欲が高まったことはなかった。
エロス特化女神への覚醒と、アリスの美しさの相乗効果であろうか。
次にどうしようかはすぐに決まった。
さやかに性の経験はないが、エロス特化の女神の特性は彼女に何をすれば快楽を与えられるか、得ることができるか教えてくれる。
最も、エロス特化女神であるさやかがその気になれば、指一本触れるだけで、そっと息を吹きかけるだけで、どんな巨大な相手であっても絶頂に導くことは簡単だが、過程というものは大切だ。
結果だけあればいいというものではないのだ。
特にセックスは。
さやかは既にアリスと共に絶頂までいくつもりになっていた。
さやかはアリスの耳にテレポートした。
アリスの耳のどこから攻めようか。
さやかは耳たぶの上に着地した。
白い肌の大地をそっと甘噛みする。
アリスの巨体が快楽のあまりにふるふると震える。
それはさやかにとって、宇宙が揺れ動いているのと同じようなものだ。
さやかの愛撫が宇宙そのものと言える巨大さのアリスを揺り動かす…。
さやかは巨大すぎるほどに巨大なアリスを自分のわずかな愛撫で動かすことに精神的快感を覚えていた。
アリスの耳の穴にテレポートする。
果てしない大空洞であるアリスの耳の穴に息を吹き込む。
大きさの差を考えればそんな行為に意味はないはずだ。
しかしアリスはさやかの吹き込んだ息から人間であれば魂が消し飛ぶ快楽を得ていた。
宇宙規模のアリスの巨体が再び震える。
(ふふっ、アリスちゃんってば可愛いわ)
さやかはアリスが可愛くて可愛くて仕方がなかった。
次はどんなところを愛撫しようか。
(まだ耳ね、一気に終わらせるなんてアリスちゃんは素敵すぎる。もったいないわ)
さやかはアリスに耳の裏側にテレポートし着地する。
舌を這わせる。
さやかの一挙一動にアリスは震える。
「さやかちゃん! さやかちゃん! さやかちゃーん!!!」
アリスは快楽のあまりに絶叫した。
アリスは大きい。
その声の力だけでとてつもないものだ。
アリスの口元にあった銀河がいくつも彼女の絶叫で消し飛んだ。
アリスの途方もなく美しい嬌声。
消し飛んだ銀河の住人は、消し飛ぶ瞬間魂を消し去る歓喜を覚えていた。
さやかにも当然その声は聴こえる。
声だけで銀河を消しとばすアリスの途方もない力による反応。
それを自分のささやかな一挙一動だけで引き起こせる。
もうたまらない。
「アリスちゃん…まだまだこんなものじゃすまないわよ?」
また耳の穴にテレポートし耳元で囁いた。
さやかは言葉でも攻める。
アリスはもはや応えることができなかった。
さやかの与える快楽は途方もないものだ。
アリスが耐えていられるのは彼女が永遠不滅の女神だからであり、人間であれば魂が消滅している。

さやかはアリスの右乳首の上にテレポートし着地した。
アリスの右乳首に立って見れば、そこは唇とはまた異なる色合いの、途方もなく美しい薄いピンク色の果てしない大地だった。
服を脱ぎ捨て、自分の乳首で、アリスのあり得ない美しさの果てしなく巨大な乳首を愛撫する。
さやかの爆乳が揺れた。
宇宙規模の快楽が2人を襲う。
アリスとさやかの乳首が堅くなりムクムクと盛り上がる。
それはアリスにとってはただの無意識の生理現象。
だがさやかにとっては果てしない大地が無限に隆起する超絶天変地異だ。
そんな天変地異をさやかは自分が大地に乳首を擦り付けるだけで起こしているという事実。
耐えられない。
さやかはさらに自分の乳首をアリスの乳首に擦り付け愛撫する。
アリスの体は快楽に耐えきれず爆発的に巨大化した。
アリスは宇宙より巨大になり、宇宙の外へ飛び出していた。

「はぁ…はぁ…、さやかちゃん…、さあ…今度はこちらからいくわよ」
アリスはさやかの入った宇宙を白く輝く右手の、親指と人差し指でつまむ。
今のアリスにとってあまりにも宇宙は小さくて弱い。
宇宙を潰さないようそーっとつまむ。
宇宙を覗き込むアリスからは、宇宙の中に浮かぶさやかがはっきり見える。
さやかは暴力的な色香を発している。
それは女神であれあがらうことはできない。
(さやかちゃん…、貴女はなんて素敵なの? こんなに素敵な女神が存在するなんて、そんなことが許されていいの?)
アリスはさやかの色香に恍惚となる。
アリスは大きくなればなるほど美しく賢くなる。
知性と美しさが人間のサイズとの身長の倍率の3乗倍となるのだ。
それだけの知性をもってしてもさやかの色香は処理できない!
さやかからは宇宙の外からこちらを覗き込む、アリスのさらに美しくなった瞳が見えた。
その美しさだけでさやかもまた気が遠くなる。
互いに互いを恍惚とさせあう2人の女神。
(アリスちゃん…貴女はなんて綺麗なのかしら…)
「いいわ、来て! アリスちゃん!」
アリスの瞳に向かって手を振り、了解を伝える。
アリスは左手で自分の股間の途方もなく美しいピンクの縦すじをくぱぁと開く。
そこにそっと、そーっとさやかの入っている宇宙を挿入する。
アリスは緊張していた。
これほどの快楽の女神…さやかに自分から挑むのだ。
さやかをがっかりさせたらどうしよう。
不安だった。
(さやかちゃん…いくわよ…お願い…感じて!)
さやかからはアリスの途方もなく美しいピンク色の果てしない壁で視界が占められた。
アリスに挿入された宇宙の住人全ては歓喜と共にあった。
これほどに美しすぎる存在に潰されるのだ。
あるものは喜びのあまり歌い踊る。
また、あるものはアリスに崇拝の祈りを捧げる。
別なものは地面に倒れ伏し唯恍惚となる。
彼らはアリスの快感に奉仕できる栄光に涙した。
アリスは、さやかが快楽を感じてくれることを願いながら縦すじを開いていた指を取り去る。
そしてピンクの壁はゆっくりと狭まり、なんの苦労もなく、そこに何もなかったかのように宇宙を潰した。
アリスに潰された人々は歓喜とともに逝った。
不滅の女神であるさやかだけが、宇宙が潰され消し去られても平気でアリスの縦すじの内に存在していた。
圧倒的に強大な、宇宙をやすやすと潰し消し去るアリスの縦すじの力がさやか1人を締め付ける。
さやかの感じる快楽は途方もないものだった。
そしてそれはアリスも同じだった。
アリスからすればさやかは感じられない小さな存在のはずだった。
しかしエロスに特化した女神であるさやかは、ありえざる快楽をアリスに与える。

 さやかとアリスは同時にオーガズムに達した。
アリスはエクスタシーのためさらに爆発的に巨大化した。
今のアリスがどれだけ大きいのか、比較対象となるものが一切ないのでもう誰にもわからなかった。
アリスは大きくなればなるほど美しくなる。
そしてアリスの大きさはもはや表記できないものだ。
アリスのあまりの美しさにさやかはさらに恍惚となった。

 さやかとアリスは宇宙の外で向き合った。
アリスの肌から無数の宇宙が新しく生まれているのがさやかからは感じられた。
宇宙はアリスに比べてあまりにも微細だ。
ましてやアリスから生まれる宇宙は今ビッグバンを起こしたばかりの新宇宙だ。
アリスの全身を見れる距離にいるさやかに一つ一つの新宇宙は見ることができない。
しかしアリスの肌から発生する無数の新宇宙が煙のようにアリスを取り巻き、さやかからはアリスの肌がかすかにくすんで感じられた。
(どうしてアリスちゃんから宇宙が生まれているのかしら? アリスちゃんは大きさと賢さと美しさ特化で創造の女神じゃないはずだし、宇宙を今生み出す理由もないわね)
そしてさやかはその理由に気がついた。
アリスはあまりにも大きい。
彼女の心臓の鼓動が肌を極わずかに振動させる…。
その肌の極僅かな一点の振動エネルギーだけでビックバンを遥かにうわまわる。
アリスに創造の力も意志もなくとも、ただ、大きいというだけで、そこにいるだけで、彼女の心臓が鼓動するだけで彼女から無数の宇宙が新たに発生するのだ。
さやかは改めてアリスの大きさに感銘を受けた。
「アリスちゃん…、それだけ大きくなってもまだ有限の大きさなのね?」
「そうよ、無限になれることはわかっているけど、怖いから実際になったことはないわ。ただのアレフヌルの実無限ですら怖いの。アレフワンや、絶対無限や、絶対無限を超越するってどういうことなのか、怖いわ。無限であるってどんな気分なのかしらね? 無限になるのは有限サイズでやることをやり尽くしたらね」
「そう…、いつか無限になった貴女とやって見たいわね」
そして互いに言い合った「「あなたって、最高ね!」」
「さやかちゃん!」
「アリスちゃん!」
「またやろうね!」
「うん!」

 これが多宇宙最大の女神と最小の女神が恋人同士となった瞬間だった。

「とりあえず、キャロールちゃんにお願いして、私の宇宙を復活させてもらわないとね」
「キャロールちゃん?」
「修復の力に特化した女神よ。彼女ならどんなものでも指をパチンと鳴らすくらいの感覚で修復できるわ」
「あ、私も溶けた人を戻してもらうんだったわ(そういえばリーリスちゃんが踏み潰した道路も直してもらおうっと)」

2人は多宇宙女神会議の拠点へテレポートした。
アリスは自分が最小でいられる大きさである12,2165,1354光年に戻っていた。
さやかからは果てしないテーブルの地平線の果て、空の向こうからこちらを見下ろすアリスの姿がはっきりと見えた。
「おはようございます さきほどはおたのしみでしたね(笑)」
身長500メートルのリーリスがさやかを見下ろしていた。
「やだ! もしかして見てたの!?」
「ふふふふふっ。恥ずかしがることはないわ。女神というものは互いの性におおらかなものなの。さやかちゃんもそのうちわかるわ。というかさやかちゃんはエロス特化の女神だから第一人者よ。貴女がこの道の最高権威ね」
「そ、そうなのね。あ、キャロールちゃんに修復をお願いしないと!」
さやかは気恥ずかしさを誤魔化すため声を上げた。

 テレパシーで女神キャロールと接触する。
ずずぅーん。
テーブルの大地の上に新しい女神が出現した。
さやかは身長約500メートルと見当をつけていたリーリスを目安に身長を目測する。
新たな女神は身長が175キロメートルほどもあるだろう、金髪碧眼の超絶美少女だった。
最も女神が超絶的かつ絶対的に美しいのは1+1が2であるよりも当たり前のことではある。
今さやかを見下ろす女神のアリスは、最少状態ですらその904,6256,9716,6532,7767,4664,8320,3803,7428,0103,6717,5520,0316,9065,5826,2375,0618,2132,5312倍の美しさであるが、それは新たな女神の美しさの価値を脅かすものではない。
例えば、世界の総資産は1463,1786,0000,0000円である。
普通の女神がその1無量大数倍の資産を持っているとすると、彼女は世界を買い占めることができて、それでいてそうしてもその資産はほぼ減らない。
アリスがその女神の904,6256,9716,6532,7767,4664,8320,3803,7428,0103,6717,5520,0316,9065,5826,2375,0618,2132,5312倍の資産を持つとする。
世界の全てを買い占めても資産はほぼ減らないということになんという違いもないのであるという理屈であった。
彼女はミニスカートの黒いセーラー服を身につけていた。
「ハーイ、ワタシに依頼がある女神が居ると聴いたわよー」
さやかとアリスは彼女に修復して欲しいものを語った。
「んー、わかったわ。ちょっと待ってね」
キャロールはテレポートしテーブルの上から消えた。
と思ったら数秒後にはもう戻ってきた。
「終わったわよ。もう全部元通り」
「ほんと! すごい! キャロールちゃんありがとう!」
「ありがとう!」
さやかとアリスは礼を言った。
「どういたしませして、でも帰る前にさやかちゃんにお願いがあるの…。アリスちゃんの快楽の叫びはワタシにも聞こえていたわ。ワタシをイかせて?」
「え、ええー?!」
いきなり身も蓋もないことを言われてさやかは驚いた。
「パートナーを独占しようとするのは人間の感情よ? 女神は気にしないわ。むしろさやかちゃんみたいに素敵すぎる女神を1人で独占するなんて重罪よね。どうぞ私にお構いなくね」
テーブルの果て、空の向こうからアリスの声が轟き降り注いだ。
そしてさやかも性に対して抵抗感がなくなっていた。
女神は不滅で子供を産むことも育てることもない。
彼女たちは生殖に関する煩悶から永遠に解き放たれているのだ。
「わかったわ。どうする? ここでやるの?」
「ウーン、どうしようかなー? そうね、ワタシの世界でしましょう」
キャロールとさやかはキャロールの宇宙にテレポートした。

 キャロールの星の都市はさやかの住んでいた地球とあまり違わなかった。
四角いビルが立ち並び、たぶんアスファルトであろう材質の道路が敷かれている。
地球と同じだろうゴムタイヤを履いた4輪の車が行き来していた。
女神はどんな世界の言葉でも読み書き会話ができる。
見たこともない文字の看板を理解できるのはさやかにとって初めての体験だった。
ジュッ!
ジュジュジュ!
さやかを見た人間たちが、全身が溶け精液か愛液となる。
さやかは色香を抑えることをやめていたことに気がついた。
たぶんアリスと出会った時だ。
慌てて色香を抑える。
さやかのいる場所は薄暗かった。
キャロールだ。
巨大なキャロールの身体が日差しを遮っている。
「さやかちゃん! さあ! いくわよ!」
キャロールはいつの間にか服を脱いで全裸になっていた。
さやかのいる街におっぱいを、乳首を押しつけてくる。
(キャロールちゃんはアリスちゃんと違って積極的だわ!)
グシャァ
さやかのいる街をキャロールの乳首が押しつぶした。
キャロールはそのまま乳首を前後左右に動かし都市を破壊していった。
キャロールは都市を巻き込んだプレイが好みのようだった。
「ああ! いいわ! さやかちゃんを感じるわ!」
キャロールの嬌声が都市に轟く。
さやかは混乱に陥っていた
さやかは不滅の女神だ。
キャロールの乳首に街ごと押しつぶされようが、地中に生き埋めにされようがなんら苦痛があるわけではない。
むしろ同じ女神の乳首に弄ばれるのは快感だ。
とはいえ1キロメートルの堅くなった乳首に街ごと押しつぶされもみくちゃにされて冷静でいるのは難しい。
さやかは地面深くまでめり込んだ。
さやかの全身を快楽が走る。
キャロールもそれは同じだ。
人間の都市を乳首で押し潰し蹂躙する。
そこにも快楽はあった。
だがさやかがいる都市を乳首で押し潰し蹂躙するのは別だ。
ただの人間の都市を蹂躙するのとは比較になどならない快楽が、キャロールの乳首から全身へと伝わる。
(これがさやかちゃん! エロスの女神の実力なのね!)
キャロールは既にさやかの虜になっていた。

 さやかはキャロールに反撃することにした。
(このままキャロールちゃんに主導権をとられるわけにはいかないわ! そうよ、さやか。こちらから攻めるのよ!)
キャロールはうつ伏せとなり、さやかのいる都市に乳房を押し付けていた。
さやかはテレポートし、キャロールの首すじの上に現れた。
巨大女神の皮膚と筋肉が地面を形作っていた。
さやかはエロス女神の直感に従う。
キャロールの肌に舌を這わせる。
「きゃん!!!」
キャロールは嬌声をあげる。
エロスの女神がその気になって味合わせる快楽は想像を絶する。
キャロールはそれだけでイキそうになる。
だがさやかはそれを許さない。
まだまだだ。
エロスの女神を相手にするのかどういうことなのか、キャロールには魂の奥底から教えてあげなければならない。

 さやかはテレポートした。
上空に浮かび、キャロールの全身を視界に収める。
彼女は都市に覆いかぶさっていた。
人間たちは逃げようともしていない。
ただキャロールの美しさに魅了され、彼女の快楽に貢献できる栄光に滂沱と涙を流している。
次はどこを攻めようか…。
さやかは少し悩んだ。
(キャロールちゃんがうつ伏せになっているだけでは決めかねるわ。正面から攻めたいわね)
さやかはキャロールの身体の下にテレポートした。
キャロールの身体の動きによる大震災で、壊滅した都市に立つ。
さやかのいる場所からは空を覆うキャロールの巨体が見えた。
女神には髪と眉毛まつ毛以外に体毛はない。
女神はムダ毛の処理などという人間の些事には悩まされないものなのだ。
キャロールの股間は美しいピンクの縦すじだった。
(アリスちゃんと同じね。…綺麗だわ)
さやかは微笑んだ。

 さやかはキャロールのクリトリスのそばにテレポートする。
宙に浮かび、直径600メートルを超える肉のドームに接近する。
凄まじい迫力だ。
キャロールのクリトリスの大きさはドーム球場すら遥かに超える。
サッカーの試合も野球の試合も、観客ごと彼女のクリトリスの上で行えるのだ。
そんな巨大ドームが逆さになって天空を支配している。
(少し早いかもしれないけれど、一気にカタをつけるわよ)
街の被害が拡大し続けるのを見るのは、人間の感性を残しているさやかにとって精神的にあまりよろしくなかった。
エロスの女神としてはこんなに早く決着をつけるのは業腹だったが街の被害を抑えるため、仕方がないと思っていた。
そして巨大なクリトリスをそっと甘噛みする。
「きゃああああー!!!」
キャロールの嬌声が轟きわたる。
都市でまだ無事だったビルの窓ガラスが、キャロールの声による振動で全て割れ、地面に降り注いだ。
膨大な量の愛液がキャロールの女陰から都市に降り注ぎ、ビルを粉砕する。
キャロールの身体の震えによる大震災が都市を襲う。
もはや都市に無事な建物など一つもなかった。
無事な人間も、また1人もいなかった。
街の人間たちは、皆キャロールの快感に奉仕できる喜びのもとに逝っていた。
さやかは相手の女神に与えた快楽を自分の快楽として得る。
さやかもキャロールと共に絶頂に達した。

キャロールは破壊し尽くされた都市に仰向けになり、途方もない快楽の余韻に喘いでいた。
「さやかちゃん…、あなたって素晴らしいわ」
「うふふふふ」
さやかは不滅の女神だが、立て続けにアリス、キャロールと連戦したのだ。
エロスの女神である彼女にそれによる肉体疲労などはない。
さやかの精力は無尽蔵であり尽きることなどない。
しかし精神的に一息つきたかったさやかは、曖昧に答えた。

「さて」
キャロールは指をパチンと鳴らす。
するとキャロールにより破壊されたはずの都市、死んだはずの人間たちは何事もなかったかのように蘇った。
さやかを見て溶けた人間も復活した。
「え? すごい!」
「いや、ワタシ修復の女神だし。アリスちゃんが潰した宇宙だって指パッチンだけで元通りよ?」
実際には指を鳴らす必要すらないのだが、キャロール的にこれは能力を使うための合図みたいなものであった。
「そういえばそうだったわね…」
(被害を減らそうと一気にカタをつけた意味なんてなかったわ。もっとじっくり攻めたほうがよかったかしら?)
いろんなことが起こったが、さやかが女神として覚醒してからまだ1日経っていないのだ。
彼女が人としての常識で物を考えるのは当然である。

「またワタシと遊んでね」
「ええ、もちろんよ」

 さやかは多宇宙女神会議のテーブルの上へ再びテレポートした。
「おはようございます さきほどはおたのしみでしたね(笑)」
リーリスが言った。
天丼は基本である。
「次は私の番ね」
リーリスがサラリという。
「え? えええっ?!」
さやかは慄いた。
「案内役の仕事はおしまい! 今度は私がさやかちゃんを味わう時間よ! あれだけ暴力的な色香を撒き散らしておあずけなんてヒドイこと言わないわよね!」
「え、えーと」
「私のことは風景と思って無視していいわ」
アリスの声が果てしないテーブルの遥か上空から轟く。
どうやらアリスは見ているつもりらしい。

 リーリスはテーブルの上で事におよぶつもりらしい。
アリスに見られることは気にしないようだ。
リーリスは服を脱ぎ全裸になる。
三メートルを超える太さのリーリスの指が、さやかを摘み上げた。

さやかはリーリスの口の中に放り込まれた。
リーリスの巨大な舌がさやかを舐め回す。
(…リーリスちゃんはアリスちゃんよりキャロールちゃんよりさらに積極的だわ。女神って小さい方が積極的なのかしらね)
さやかはリーリスの口の中の芳香に恍惚となりながらそんなことを思った。
人間なら臭い匂いがするところも女神は途方もない芳香となるのだ。
口臭、脇の臭い、足の臭い、肛門の臭い、女陰の臭い…、そんな所の香りも想像を絶する素晴らしい芳香となる。
特にさやかはエロス特化の女神であり、その身体の芳香だけでも人間を精液や愛液にして溶かし殺すには十分なのだったが、彼女はまだ気がついていなかった。
女神として覚醒してから、1日も経っていないし、同じ女神を相手にする時間の方が長かったのでそれは仕方がない。
実際はリーリスのサイズは可変で最大で10万キロ、キャロールより大きいのだがリーリスの口で弄ばれるさやかの頭にそんなことは思いつかなかった。
リーリスは快楽に悶えていた。
さやかに触れている口の中の部分に途方もない快楽が走る。
人間を口の中で弄んでみたことはあるが、さやかを口の中で弄ぶ快楽とは比較にならない。
リーリスはこのままずっと、絶頂するまでさやかを口の中で弄んでいたいと思っていた。
しかしさやかの方がそれを許さない。
リーリスの舌の力はさやかが人間なら全身を複雑骨折しているほどのものだ。
しかしさやかは不滅の女神だ。
ただ気持ちいいだけだ。
さやかはリーリスの舌に口をあて、舐める。
そして吸う。
リーリスに走った快楽をなんと例えれば良いのか。
もはや形容できない快楽がリーリスの脳髄を襲う。
あまりのことに硬直し動きを止めたリーリス。
さやかはその隙にテレポートする。
リーリスの口から脱出したさやかはリーリスの上空に浮かび、どこを攻めようかエロスの女神の本能に問う。
(キャロールちゃんとは、街の被害が気になったから早く終わらせたけれど、テーブルの上でリーリスちゃんを相手にするのに気にする必要はなさそうね。アリスちゃんを相手にしたみたいにじっくりいこうっと)
さやかはリーリスをじっくりとねちっこく攻めることにした。
「さ、さやかちゃん…、これから私をどうするの?」
リーリスの声が響く。
全ての女神は永遠不滅で絶対無敵。
しかし、さやかはエロスに特化した特別な女神だ。
ならばリーリスの精神にダメージを与えられるほどの快楽を齎せるのではないだろうか?
そんな考えがリーリスの脳裏をよぎった。

 さやかはその問いに応えず、リーリスの左乳首のそばにテレポートする。
リーリスは身構える。
さやかの与える快楽に自分は耐えなければならないのだ。
 リーリスの乳房はガスタンクよりもずっと大きい。
そしてその先っぽにあるリーリスの乳首は乳輪から高さ3メートルまで聳え立っている。
そしてさやかの身長は2.4メートルほどだ。
リーリスの乳首の方がさやかの身長より高い。
さやかは全身でリーリスの乳首に抱きついた。
リーリスの乳首、さやかの全身に凄まじい快楽が走る!
リーリスの全身が震える。
さやかは揺れる乳房から振り落とされないよう、リーリスの乳首にしがみつく。
それがまたリーリスに快楽をもたらす!
しかしそれでもリーリスはさやかに対し主導権を握ることを諦めてはいなかった。
リーリスの左手がさやかに向かう。
女神の指先、そのさらに先の爪一枚ですら人間にとっては魅了され絶対の服従の姿勢となる美しさなのだ。
そんなリーリスの人差し指がさやかを乳首に押し付けた。
そのままリーリスの親指が反対側から乳首を摘む。
リーリスはさやかだけに頼らず、自分でも自分の乳首を刺激するつもりであった。
リーリスの強大な指の力が、彼女の乳首にさやかを押し付けた。
さやかとリーリスにとてつもない快楽が走る!
「あああああーんっ!!!!」
リーリスは絶叫した。
所詮快楽の女神であるさやかに性で勝てるものなどいないのだ。
しかし、リーリスは最後までさやかに挑戦し続けることを決めた。
自分の両手で自分の両胸を揉みしだく。
しかし、さやかはもうリーリスの胸にはいなかった。
「さやかちゃん! 私負けないわ! いくわよ!」

 テレポートで移動し上空に浮かぶさやかにリーリスの手がのびる。
さやかは逃れることもできたが、あえてリーリスの指に摘まれることにした。
(リーリスちゃんは次にどうするつもりなのかしらね?)
リーリスは片手でさやかをつまみ。反対側の手で自分の縦すじをくぱぁと開く。
そしてさやかを中に指ごと入れた。
(ちょ、ちょっと、いきなり!? それって性急すぎじゃないかしら!)
リーリスの中からさやかごと指が出し入れされる。
リーリスの膣壁とさやかの体が擦れ、素晴らしい快楽を2人にもたらす。
「はぁ…はぁ…さやかちゃん…どうかしら?」
リーリスは可能な限り、自分は絶頂しないよう、心をしっかり保つよう己を律しようとしていた。
(私からは大きさの差でさやかちゃんの性感帯だけを攻めるなんてできないけれど、全身を私のアソコで擦れば問題ないよね! さやかちゃんをイかせるのよ!)
それは実際その通りだった。
エロス特化女神であるさやかは特別であるが、女神同士はお互い快楽を与え合うものだ。
通常の女神同士で与え合う快楽を1とするなら、さやかとの快楽は…途方もない。
特にさやかが色香を増すよう気を入れない最小の状態で904,6256,9716,6532,7767,4664,8320,3803,7428,0103,6717,5520,0316,9065,5826,2375,0618,2132,5312となる。
アリスの美しさと賢さも最小の状態で通常の女神の904,6256,9716,6532,7767,4664,8320,3803,7428,0103,6717,5520,0316,9065,5826,2375,0618,2132,5312倍であり奇しくも同じである。
実はキャロールも、全く気を入れずに適当に修復できる宇宙の数も904,6256,9716,6532,7767,4664,8320,3803,7428,0103,6717,5520,0316,9065,5826,2375,0618,2132,5312個であり、あるいは904,6256,9716,6532,7767,4664,8320,3803,7428,0103,6717,5520,0316,9065,5826,2375,0618,2132,5312という数は女神にとってなんらかの下限を示すマジックナンバーなのであろうかもしれない。
ちなみにさやかの気合による色香の増大にも上限という物は無く、彼女が望むだけ際限無く上昇するし、キャロールの修復能力も同様だ。
しかし、そのような女神であるさやかとHしたからといって、他の女神とのHが物足りなくなるかというとそんなことはない。
それはお猪口に水を注ぐのに、徳利から注いでも、大海から水を汲んでもお猪口は等しく満たされるというのと同じ理屈だと言えばお分かりいただけるだろうか。
さやかはリーリスから途方もない快楽を与えられ、また与える。
恍惚となりつつもさやかは考えた。
リーリスは早期決着を望んでいるようだ。
(いいわ! その愛、応えてあげる!)
今回は焦らさずに一気にイかせてあげよう。
じっくりプレイは次でもできる。

 リーリスの望みを叶えるつもりになったさやか。
僅かな距離をテレポートしリーリスの指から逃れる。
リーリスのクリトリスの間近に現れ、脈打つ肉の美しいそれに全身で抱きつく。

「あああああ! さやかちゃん!!!」
リーリスは絶頂し女陰から愛液が溢れ出す。
さやかもまた絶頂する。
さやかは吹き出す愛液と共に、テーブルの上へと流れ落ちた。

 リーリスはテーブルの上に座り直し、自分の愛液の池にいるさやかに喘ぎながら言った。
「さやかちゃん…、あなたってなんて素敵なの…」
「うふふふふっ」
さやかは曖昧に応える。
「お願い…、また私とも遊んでね…」
「もちろんよ」

「おはようございます さきほどはおたのしみでしたね(笑)」
天空にアリスの声が轟いた。
彼女はずっと見ていたらしい。
先ほどの最小サイズよりも途方もなく大きくなっている。
頬が赤い。
どうやらさやかとリーリスを見て興奮し、自分で自分を慰めて、その快楽のあまりまた巨大化したらしい。
(アリスちゃんったら…)
さやかは少し恥ずかしかった。
少しで済むあたりが彼女がエロスの女神として覚醒した証左ではある。

「それじゃ、用事は全て完了したので私は帰るわ。またね!」
リーリスは服を身につけた。
フッ。
すっかり満足したリーリスの姿がテーブルから消える。
「私もね。さやかちゃんまたね!」
アリスのとてつもない巨体も何もなかったかのように消えた。
「私も帰ろうっと」
さやかも服を身につけ地球へと帰り、女神は誰もいなくなった。
最もリーリスとアリスは用が済んで元の宇宙に戻ったで済むのだが、さやかは平凡な女子高生の日常から、これから世界の支配者として、現人神として人間たちの間で暮らす日常に慣れねばならないという面倒が立ちはだかっている。
さやかはそれを思い出していた。
「まあ、なんとかなるわよね」
今日で最高な関係を持った、3人のそれぞれに素敵な、素敵すぎる女神たちとの愛の交歓の記憶がさやかに楽観をもたらしていた。

(完)
























さやかは自分の宇宙に戻っていった。