前作、最大の女神と最小の女神 の続きなのです。
前作を読んでないとわけわかめだと思うので、前作をお読みになってから読むことをおすすめするのです。


 女神となったさやかが地球に戻ってからまず行ったことは両親の説得であった。
今までなら帰宅したさやかを迎えるのは母親の、「あらさやか、おかえりなさい」という声だ。
しかし今回はさやかの「ただいまー」に「おかえりなさいませ、さやか様」という言葉が返ってきた。
仕事を終え帰宅した父の言葉は「だだいま」ではなく「ただいま帰りました、さやか様」だった。
自分の娘が女神となった…、それを知って戸惑う気持ちはあるが、人間として女神にひざまづくことは当然だという思いがある。
さやかは涙目になって、今まで通り普通に接してくれるように両親に頼み込んだ。
30分ほどの説得を経て、両親は今まで通りに接してくれるようになった。
それはまさに奇跡であった。
女神であるさやかに平伏せずにいられる人間がいるとは!
奇跡をもたらしたのは、女神になってもさやかは自分たちの愛娘であるという親の愛だった。
さやかは変わらないでいてくれることになった両親に感謝の念を抱きつつその日は眠りについた。
ベッドは変わらずさやかの超長身を収めきれないが我慢する。
一日で体験した様々な出来事がさやかに不思議な夢をもたらしたが、起きたら覚えていなかった。

 多宇宙女神会議のサービスでサイズ変更された下着と制服を身につける。
体型と全く合っていないがこれも我慢。
生活が多少不便でも、スーパーモデル身長になれたことは嬉しいさやかだった。
色香を抑えて両親とあいさつし、朝ご飯を食べ、高校に行く。
今のさやかが高校にそのまま行こうとすると大騒ぎだろうが、今のさやかは女神だ。
行きたいところにどこでもテレポート可能なのだ。
余計なトラブルを避けるためにもさやかは女神の能力を使うつもりだった。
一瞬で高校の校門にテレポートする。
あっという間に大騒ぎになる。
そもそも身長2.4メートルを超える、人の領域を遥かに超えた超絶美少女だ。
目立たずにはいられない。
「我が高校に女神が降臨なされたぞー!!!」
誰かが叫んだ。
さやかは自分が女神である意味を、自分がまだ理解していなかったことを知らされた。
やがて全教員がその事実を知り、全校集会が開かれた。
校長が漢泣きに泣きながら全力で挨拶する。
「我が高校の! 生徒であらせられる! 久光さやか様が! 女神となられました! 私が校長であった代に! この様な素晴らしいできことがおこるとは! 私の功績などでは全くないのですが、それにしてもなんと言う栄誉でありましょうか! 私は随喜の涙を堪えることが…」
校長の話はなかなかに長かったが、生徒たちは皆、校長の横になんとなく立たされていたさやかの美貌に見惚れていたため誰もあまり気にしなかった。
女神は究極のカリスマなのだ。
それだけで話はすまなかった。
我が高校に現人神!
このような驚くべき事実は全人類で共有せねばならぬ。
独占や秘匿は恐るべき許されざる、人類に対する大罪だ。
そう思った一部の生徒が、人類に対する使命感に突き動かされ、さやかをスマートフォンやタブレットで動画撮影し、動画投稿サイトにアップした。
SNSでも喧伝した。
反響は爆発的なものだった。日本国の日付が変わる頃には、その動画は日本でネットに繋げる環境にいる人間のほとんどが共有することとなった。
日本国に女神降臨! 
次の日には世界でそのニュースが知れ渡り、世界中のマスコミ関係者がその事実を知る。
マスコミだけではない。世界中の政治家もこのニュースを知る。
さやかを撮影した動画やフォトのダウンロード数は、最小のものですらすでにギネスに載るレベルに達している。
いくつかサーバーが停止しそうになったが、世界最大の動画投稿サイトを運営するエンジニアたちは有能この上なく、なんとかこの事態に対処し、さやかの動画は安定して全世界に配信されることとなった。

 さやかの日常は激変した。
もはやかつてのクラスメートは対等の友ではない。
彼女らはさやかを崇めるものなのだ。
教員もさやかを上位者として導いてくれない。
彼らは皆等しくさやかにひざまづく。
そんな崩壊した日常においてもさやかは普通に授業を受けることにした。
体育の授業の時にさやかは大活躍した。
内容はバレーボールである。
さやかは身長160センチだった時と同じような感覚で、小回りの効く動きで身長240センチを超える超長身を動かすことができた。
女神にとっては空気を呼吸することも不要なので、息切れすることもない。
スポーツにおいてこれは非常に有用な特性だった。
さやかがアスリートになれば、世界記録がいくつも更新されるだろう。
さやかの入ったチームは圧倒的な得点差で勝利した。
「さやか様、是非とも我が部に!」
それを知った運動系部活の部長たちが、平伏しながらさやかを勧誘しにきたがさやかは丁重に断った。
さやかは帰宅部だった。
そうでなければ、さやかのいる部に入部希望者が殺到していたかもしれない。
とはいえ体育の成績が上がることは嬉しいさやかであった。
さやかにとって、変わらず接してくれる両親、そして知り合った3人の素敵な女神…アリス、リーリス、キャロールは心の支えであった。
特に女神アリスときたら!
最愛の恋人同士となった彼女の凄まじい、途方もない、形容し難い超絶的美しさを思い浮かべるだけでさやかの心には希望が湧く。
次の休日にはアリスとえっちすることを心に誓い、それを励みにさやかは強く生きることを決意した。
アリスがさやかとえっちすることを望まないかもしれないということは心に浮かばないし、実際アリスがさやかにえっちを望まれて断ることなど決してないので問題はない。
さやかは行きたいところに自由にテレポートできるので、放課後でも休み時間でも他の女神に会いに行こうと思えば簡単だったのだが、さやかは他の女神に出会うことは特別な事という意識があったのである。

 そして世界中の、概ね法治国家と見做される大体の国家において、さやかを現人神として定める憲法改正の動きがあると知ってさやかは頭を抱えた。
日本はその一つである。
というか筆頭であった。
民主主義の法治国家の動きなんてたいてい鈍いものであるが、それが最大限に素早く動いたのである。
次の季節には日本でも国民投票がおこなわれ、さやかの現人神としての地位が憲法に明記されるだろう。

 さやかは頭を抱えているだけではなかった。
彼女は自分の頭で考え、少しでもこの度し難い事態を軟着陸させようとしている。
とりあえず、お金だ。
お金は必要だ。
資本主義社会の万能リソースだ。
さやかは自分の自由になるお金を手に入れようとした。
(まずは今のスタイルに合った服と下着を調達しないとね。お金が必要だわ)
実際のところ、女神はどんなに胸が大きくても垂れたりせず完璧な形を保つし、絶対無敵なので胸がどんなに揺れても乳首が擦れて痛いなどということもない。
さやかにブラジャーが必要かは疑問であるが、彼女は今のスタイルに合ったブラジャーも望んだ。
さやかにはお金が要る。
それも合法手段で。
女神であるさやかにお金を手に入れることは容易い。
銀行に出かけて頭取に言えばそれでも済む。
その辺の通行人に金銭供出をお願いすれば、彼は有金全てをさやかにさしだすだろう。
さやかはそれでも、そのような手段以外で、正当な手段で合法的にお金を手にすることを望んだし、その手段を幸いにも思い付いた。
地球には歴史上考古学上の未解読文字が多数あるのだ。
女神の無敵の語学力…全ての世界の言語を理解できる特性でそれらを解読する。
世界中の学会や大学に報奨金をせがめば、さやかは報酬を得られるだろう。
学者は探究心を満足させ、学問は進歩し、さやかはお金を得られるのだ!
誰にとってもWin=Win!
なんと素晴らしいことか!
考えついた時、さやかは自分で自分を褒めてやりたいとさえ思った。
(私ってば、意外に賢いわ!)
最初の学者を納得させるのは少しばかり骨が折れた。
学者も日本で女神が覚醒したニュースは知っていたし、動画も見た。
しかし、本当に相手が女神さやかかどうやって証明するのか?
ただのイタズラかもしれないのだ。
「貴方が本当にさやか様であらせられるのか、証明できるのですか?」
しかし、さやかとのオンライン会議がその疑惑を解消した。
女神の美貌はCGやメイクなどでは再現できないのである。
さやかは自分の能力のデモンストレーションも兼ねて、数時間で、ファイストスの円盤の翻訳文と、単語・文法の簡単な解説をまとめて、最初にコンタクトをとった学者に送信した。
学者はパソコンの前で狂喜乱舞し、銀行が開き次第、博物館と自分の研究室の予算から報奨金を振り込む旨を約束した。
これで明日の放課後にはさやかは衣服を注文できるだろう。
しかし、お金があれば服は手に入る、とはいえ特注品はちょっとばかり時間がかかる。
当面の間、さやかは多宇宙女神会議のサービスでサイズ変更した、体型には合わない品で我慢するしかなかった。
最初の1人を納得させた後は簡単だった。
学者たちのネットワークで、無敵の語学力を持つ女神さやかが学者たちに協力することが知れ渡った。
学者たちは歓喜した。
しかしさやかはそうではない。
さやかは1人しかいないのであった。
最後に翻訳を待つ学者は何年待てばいいのであろうか。
今後、さやかは語学無双のその特性で、英語と、漢文と古文、大学に進学してからは第二外国語の勉強を無視出来る分を学者たち相手の翻訳アルバイトにあてるつもりだった。
これからロンゴロンゴ文字等様々な、歴史学上、考古学上の未解読文字が解読され、地球の歴史学と考古学にはかなり大きな進展がもたらされることとなる。
世界の学会や大学から報奨金を手に入れることを概ね約束できたさやかは、今後そのお金で自分に合った服や下着や靴を手に入れる運びとなるのであった。

 さて、さやかの日常は大きく変化したが、それはさやかだけではない。
さやかの父母も同様である。
現人神の父、母となった今、今までと同様の日常が送れるわけもない。
とは言えさやかの母は専業主婦であり、子育てと家事に専念していたのでそこまで隔絶を感じずには済んだ。
さやかの父は違う。
さやかの父の上司は、現人神の尊父であらせられるいとも尊き御方の上司という誰もどう対処すればいいのかわからない立場に悩まされることとなった。
さやかの父の務める企業の社長もまた同じ立場に立たされる。
しかし、それらの問題はなんとか解決することとなった。
さやかの家は別に新築することとなったためだ。
今や身長2.4メートルを超えるさやか、彼女は多くを望まなかったが、自分が快適に住める住宅は望んだ。
日本の一般家屋というものは身長2.4メートル超の超長身の少女の生活には適していないのだ。
さやかは世界中の学会と大学から報奨金を得る身…、学者が多額のお金を持っているかはどうかとして、大学の背後の各国政府は女神さやかに報奨金をケチることを許さないのである。
身長2.4メートルに合わせた家を新築するには十分であった。
女神は飲食不要で排泄もしない。
そのためトイレは普通サイズであった。
さやかは使わないのである。
女神は汚れず穢れないので実は風呂も普通サイズで充分であったのだが、さやかの希望で、身長2.4メートル強のさやかが足を伸ばして入れる浴槽と風呂場が設置された。
人間だった頃から、さやかは風呂が好きだったのである。
ベッドやソファ、椅子などは家具メーカーへの特注だ。
天井も戸口も高さ3メートルは超えている。
さて、そうすれば、古い家はどうなるか。
女神さやかの旧宅は、世界中の富裕層の間でオークションにかけられたのである。
さやかの旧宅は百億を超える価格で売却され、さやかの父はそれを元手に株の売買で概ね一生を楽して過ごせる額を稼いだのであった。
会社は円満退職だったそうである。
無職は格好つかないので、個人投資家を称している。

 しかしさやかを悩ませる物事は続く。
さやかに政治的陳情をするものたちが現れたのだ。
究極のカリスマと言える女神さやかを害そうとする地球人はいないと言って良いが、さやかを害しないなら自分の目的のため利用することは別に問題はない。
実際悪くないアイディアではある。
さやかの一声で世界は動くのだ。
地球はネットもマスメディアも整備されている星だ。
さやかの言葉を世界に届けるインフラはすでに整っている。
政治家に陳情して回るよりも、多額のお金を注ぎ込みロビー活動するよりも、さやか1人を説得すればそれですむ。
非常に効率的だった。
(ただの平凡な女子高生に何を期待しているのよ)
結果としてはさやかは自分に、人前で意見…特に政治的なそれは一切口にしないというルールを課すこととなった。
人の中で暮らす女神は意見一つもそうそう軽々しくは言えないのである。
好きな芸能人ですら迂闊に名前は挙げられない。
さやかは好き勝手に自分の意見を述べる手段として、SNSで匿名アカウントを作り、好きに呟くことにした。
女神さやかの匿名アカウントの存在は、世界中で噂されており、なりすましもでてきたが、全てネット特定班により嘘だとバラされ大炎上した。
さやかの匿名アカウントは今までにバレたことはないとのこととは、女神たちの話題で出るさやか本人からの話である。

 嵐のような一週間が過ぎ、日曜日である。
もちろん学校は休みだ。
女神となったさやかにとっても休日というものは嬉しいものである。
エロス特化の女神であるさやか、常に意識のどこかで気をつけていないとさやかを見た人間は全身が精液か愛液となり溶けて死ぬ。
常に色香を抑えることを意識し続けることにはそれなりの疲れはあるのである。
(今日はアリスちゃんの宇宙に遊びに行こうっと)
さやかは楽しみで仕方なかった。
ジュッ!
脱衣所で洗濯していたさやかの母の全身が愛液となって溶ける。
原因はさやかの服だった。
女神は老廃物など出さないので、下着なども着たきりで問題ないのだが、人間の習慣として、さやかは下着を毎日かえているし、洗濯もしている。
さやかの服を洗濯しようとした母は、うっかりその残り香を嗅いでしまったのだ。
エロス特化の女神であるさやか、彼女は衣服の残り香ですら人間を精液や愛液にして溶かし殺すには充分である。
「えっと…、そう! こんな時にはキャロールちゃん!」
修復の力を持つ女神を思い浮かべる。
目を瞑り、テレパシーでキャロールとの接触を試みる。
『あら? ワタシに話しかけるのは誰かしら?』
『あ、キャロールちゃん? 私さやかよ』
『さやかちゃん、どうしたの? 何か壊した?』
キャロールは修復の女神として、他の女神に依頼されることが多く、そのため察しが良かった。
『私のお母さんが溶けちゃったので戻して欲しいのよ』
『いいわよ』
ごごごごご
重低音が街に轟く。
キャロールだ。
テレポートして一瞬のうちに現れた。
身長175キロメートルの超巨大なキャロールの、壮大な美が街の上空を支配している。
(キャロールちゃんったらどうしたのかしら)
キャロールは何故か、以前の黒いミニスカセーラー服ではなく全裸だった。
(もしかして、お風呂にでも入るところだったのかしら。だったら悪いことしちゃったかしら。でもキャロールちゃんが入れるお風呂なんてないわよね?)
(あのあたりにキャロールちゃんが足を置けるスペースなんてあったかしら?)
キャロールの足の長さは20キロメートルを超えている。
小さな街などひと踏みでキャロールの足跡と化すだろう。
さやかの頭に疑問が浮かぶ。
(まあ大丈夫よね。キャロールちゃんならどんな破壊も殺戮も元通りよ)
気をつけていれば、という但し書きがつくが、さやかが色香を抑えて人間の中で暮らしているように、女神はある程度までなら破壊力を抑えることができるものである。
そうでなければ、例えば女神アリスなどは指一本動かすだけで銀河がいくつも消滅する大殺戮となるであろう。
とはいえ、女神たち、特に大きすぎる女神たちは、僅かに気を抜いただけで大破壊をしてしまうため、破壊神であることを好まない女神はキャロールにしばしばお世話になっていた。
キャロールは女神たちの中でも顔の広い女神なのだ。
彼女の顔の広さは、女神界の案内女神であるリーリスに次ぐ。
キャロールの両足は彼女の感覚では僅かに地面に対し浮かんでいた。
彼女の両足の下にある街は、日差しが遮られ夜が訪れていた。
朝だというのに街灯が灯る。
女神の足の素晴らしい芳香が大気に漂う。
女神は足の臭いですら人間の想像を絶する芳香なのである。
キャロールの体の僅かな動きによる重低音が轟く。
キャロールの足の下にいる人間たちは、キャロールの足裏を伏し拝んでいた。
「きたわよ、さやかちゃん。ワタシにまかせて」
その一言で、人間たちはキャロールが女神さやかの友人であることを改めて知った。
「ああ…、さやか様のお友達もなんとお美しい…」
とはいえキャロールを一目見れば、さやかと同等の存在であることは判るのだが。
パチン。
キャロールが指を鳴らす。
「さあ、これで全て元通りよ」
「キャロールちゃん! ありがとう!」
さやかはキャロールに感謝しかなかった。
「さやかちゃん、まだまだ充分に女神慣れしてないみたいね? イイところを紹介してあげる。ちょっとしたストレスなんて一撃必殺ヨ?」
「服を脱いで、ワタシと一緒にテレポートして?」
さやかはキャロールがそこまで言うならすごくいい所なのだろうと思い、素直に従うとことにする。
「ちょっと待ってね」
自分の部屋で服を脱ぐ。
「さあ、準備はできたわ」
「ナラ、行きましょうか」

 さやかとキャロールがテレポートすると、そこは奇妙なところだった。
そこは不思議な液体を湛えた果てしない海だった。
空は宇宙だ。
銀河が見える。
海の底は銀色で柔らかな、とてつもなく美しい光を放っているようだった。
さやかとキャロールは液体に浮かんでいる。
さやかからはキャロールの巨体が振幅数キロのゆったりした大きなうねりを巻き起こしているのが感じられた。
さやかは波に乗る。
さやかの女神としての感覚は、海の底の銀色の光まで数千光年を遥かに超える深さがあることを彼女に知らせていた。
手のひらに液体を掬う。
手にあるそれは、一見水と同じくらいの透明度、無色透明の液体だ。
数千光年以上の深さを隔てて底が見えるわけがない。
しかし、不可解なことにさやかには、コップの水を隔てるほどの感覚で、謎の液体の海の底を見ることができた。
それだけではなかった。
液体からは清らかな感じがする。
それはどんな清水でもこれほどに清くはないとすら思わせた。
神聖さ、尊さを漂わせている。
(ファンタジーな世界に持っていけば、聖水として売れるかもね)
さやかは俗なことを考えた。
さやかは液体に浮かぶも沈むも思うがままだ。
しかしそれが女神の能力なのか液体の不思議な性質なのかさやかにもよくわからない。
液体からは不思議な温もりも感じられる。
液体に首まで浸かるさやかは、その温もりに何か途方もなく巨大なモノに抱きしめられているような不思議な心地よさを感じていた。
「ここは一体?」
「ドコだと思う?」
「…、このとてつもない美しさは見覚えがあるわ。…、そう! アリスちゃん! この海からはアリスちゃんを感じるわ!」

 アリスの声が轟いた。
「うふふふふっ! 正解よ! さやかちゃん。私の眼の上にようこそー!」
「眼の上!?」
「正確には、さやかちゃんとキャロールちゃんがいるのは私の眼の涙の層の上ね。ちょうど、右の瞳の中央辺りよ」
果てしない海、深さ数千光年を超える海は、アリスの眼を覆う涙の海だった!
銀色の海底はアリスの瞳、銀色の光はアリスの瞳の光だった。
キャロールがさやかに話しかけた。
「どう? 驚いたかしら、さやかちゃん。アリスちゃんの眼は、大きすぎて海で泳ぐことのできない女神が、液体の中で泳ぐという感覚を懐かしむ時、訪れるリゾートなのヨ。この、アリスちゃんの瞳の美しさを鑑賞しながら、アリスちゃんの涙の海に浮かび、とてつもなく巨大なものに抱かれる感覚に身を委ねるのがたまらないって評判なのヨ。普段はアリスちゃんに一言言ってから入らせてもらうんだけど、今日はさやかちゃんを驚かせるためのサプライズね」
身長175キロメートルの巨体のキャロールは普通の海で泳ぐことなどできはしない。
お風呂も無理だ。
しかし、アリスの眼の涙の海なら好きに泳ぐことができる。
そして、どれほど大きすぎる女神でも、途方もなく大きい、あまりにも大きすぎるアリスにとってはとてつもなく小さい。
アリスに何か目に入った感覚を与えることなど決してないのである。
そしてどれほど大きすぎる女神にとってもアリスの眼は果てしなく広く深い。
存分に泳ぎ潜り遊ぶことができた。
さやかは以前のように、アリスの美しさと大きさに感銘を受けた。
アリスの視線を感じる。
アリスは自分の右目に浮かぶさやかとキャロールに目の焦点を合わせているようだ。
さやかはアリスの瞳の美しさと、涙の海に浮かぶキャロールの巨体の美しさを認識する。
キャロールは涙の海に浮かんでいる部分だけでも地球最高の山岳を超える高さまで、海面から聳えている。
キャロールの壮大な美しさが天に聳える有様を愛でる。
アリスの瞳の果てしない美しさを愛でる。
「絶景かな、絶景かな…」
そんなセリフがさやかの口から出る。
アリスの不思議な涙に抱かれる感触、果てしなく巨大なものに抱かれる心地よさに身を任せる。
「究極の癒しリゾートね…」
さやかには温泉旅行の経験があったが、癒し効果はこれには遥かに及ばない。
女神のみが味わえる特権だった。
「これだけでも女神になれてよかったわ…」
さやかは、今後何があってもこの思い出さえあれば乗り越えられるとまで思った。
「ゆっくりしていってね!」
アリスの声が轟いた。
さやかがアリスとキャロールを愛でているように、キャロールもまたアリスとさやかの姿を、アリスもまたさやかとキャロールの姿をそれぞれに愛でていた。
女神は互いに互いを魅了するものだ。
多宇宙女神会議の女神たちの関係はすごぶる良いのである。
3者の女神の心が至福で満たされる。
そして、アリスの顔を見ることのできる位置に偶然いた、アリスの宇宙の住人たちもまた至福で満たされていた。
途方もなく美しいアリスの最高に幸せそうな表情を目の当たりにする幸運に恵まれたのだ。
別に彼らはアリスを見ればそれだけで至福になるのだが、アリスの最高に幸せそうな表情はさらに別格だ。
惑星の影に隠れてアリスの顔が見られなかった者たちは残念だった。
充分に情報網の発達した文明なら、惑星の影に隠れていてもアリスの最高に幸せそうな表情の映像を伝えてもらうことができたのだが、そこまで発達していない文明はどうにもならない。
アリスの最高に幸せそうな笑顔の目撃譚を、ただ伝え聴いて自分がそれを目の当たりにすることのできなかった己の不運を嘆いた。
誰にとっても幸福な、癒しの時間がゆっくりと流れた。

「アリスちゃんはものすごく大きいし、キャロールちゃんもとっても大きいわ…。大きいってどんな気分がするのかしらね」
「あら? そう? さやかちゃんもキャロールちゃんの気分なら味わえる方法があるわよ」
アリスが言う。
キャロールが続ける。
「多宇宙女神会議のサイズ変更能力者たちは、大きくするだけじゃなく小さくすることもできるのヨ。女神は縮小できないけれど。彼らに頼めば人間を縮小して小人にして弄んだり、都市を縮めたり、惑星をビー玉サイズくらいに縮めたりできるわ。銀河までは流石に力が及ばないからアリスちゃんの気分は無理だけど、これで都市を縮めて弄べばさやかちゃんもワタシの気分を味わえるわね。破壊神になることを好まないなら、さやかちゃんはそのようだけど、ワタシがいくらでもなおしてあげるわよ」
「うーん、なるほどね。」
地球人にとって幸いなことに、さやかは大きな女神の気分に興味がないわけではなかったが、そのために人間に迷惑をかけるのは不本意だったため、サイズ変更能力者に縮小依頼をすることはなかった。
最も女神さやかのちょっとしたイタズラのために、縮小されて弄ばれることを嫌がる地球人もいないし、死んでもさやかの喜びに奉仕した栄光に涙して逝くだろうが。
「女神は飲食不要だけど、アリスちゃんなら銀河だって一口で食べちゃえるわね」
と、さやか。
「食べたことあるわよ」
「どんな味なのかしら?」

それはアリスのある日のお話。
宇宙空間を泳ぐ、身長12,2165,1354光年のアリスの目の前に直径約1600,0000光年ほどの巨大銀河が漂っていた。
地球の存在する天の川銀河の直径の、実に150倍を超える大きな銀河だ。
この、アリスの感覚にとっては1.6センチ程にもならんとする超巨大な銀河はアリスにとっても魅力的に見えた。
アリスの銀色の瞳が巨大銀河を覗き込んだ。
生物が発生している星も多いし、知的生物もかなりの割合で存在しているようだ。
巨大銀河の住人は歓喜の渦に包まれていた。
途方もなく大きい、美しい、余りにも美しすぎる女神アリスがこちらを見てくれている!
アリスの瞳を直接見ることのできた者、文明が発達している星で、惑星の影にアリスの瞳が隠れていても映像を伝えてもらうことのできた者は全てアリスに崇拝の祈りを捧げていた。
その崇拝の思念は、アリスの、女神としての能力にも微かに感じられた。
(ふふっ、この銀河の人たちって可愛い!)
アリスには銀河を可愛がる気持ちが芽生えていた。
ちょっとした間、銀河からの崇拝を受け止めているうちに、アリスにムクムクとイタズラ心が湧いてきた。
「食べちゃうわよ?」
あーん。
口を開けて、銀河に近づけていく。
アリスの上下の唇の間を銀河が通り抜け、前歯の間を抜け口の中の空間に到達する。
アリスはそっと口を閉じた。
銀河からの視界が全てアリスの口の中で占められる。
アリスは大きさと美しさと賢さに特化した女神だ。
最小の状態ですら通常の女神の904,6256,9716,6532,7767,4664,8320,3803,7428,0103,6717,5520,0316,9065,5826,2375,0618,2132,5312倍の美しさを持つ。
歯の一枚、舌先、口蓋、そんな口の中の僅かな一部分ですら魂を消し飛ばすほどの途方もない美しさだ。
銀河の住人は狂喜乱舞していた。
余りにも美しすぎるものが銀河を包んでいる。
アリスの途方もなく美しい声、「食べちゃうわよ?」の言葉を魂が理解する。
この美しい存在に食べられ吸収されその一部となる!
なんという喜び、なんという栄光、なんという素晴らしいことか!
銀河の住人の期待の思念がアリスを微かに刺激した。
(なあに? そんなに私に食べて欲しいのかしら?)
アリスの舌が口の中の銀河を襲った。
アリスは舌先に神経を集中した。
アリスの舌先は、彼女の感覚では唾液でわずかに湿っているが、それは人間にとって厚さ数千光年を遥かに超える唾液の層である。
銀河を構成する星々はそこに何もなかったかのように余りにも分厚い唾液の層に衝突し消し去られる。
銀河は希薄すぎるのだ。
アリスは舌先に何か触れたような感触を感じることもなく、味を感じることもなかった。
銀河はアリスの舌によりただ消滅した。
女神は飲食不要である。
銀河が吸収され、彼女の一部になるようなこともない。
ただ消えただけだ。
アリスの味覚にも、何も貢献などしていない。
アリスは味など感じていなかった。
銀河を食べたアリスの心には慚愧の念が湧き起こった。
喜びのもと逝ったとはいえ彼らは無意味に逝ったのだ。
これは何の意味もない大殺戮だ。
アリスは自分の行動を後悔し、すぐにキャロールと連絡をとってきてもらい、食べた銀河を元に戻してもらった。
「…、と言うわけで銀河には味も食感も匂いもなかったわ。私はそれからイタズラで銀河を食べたことはないわね」
「そうなんだー」
「あの時アリスちゃんはちょっと涙目だったわネ」
アリスならではの、巨大な規模の食レポに感心するさやかだった。

「あれからさやかちゃんがどう過ごしたのか聴きたいわ」
「ワタシも聴きたいな」
「私の日常なんか面白いことなんてないわよ?」
「さやかちゃんは唯一人間の中で暮らせる特別な女神なのよ? さやかちゃんとその世界の毎日のお話は女神は喜んできくわね。さやかちゃんとその世界を知った女神たちは間違いなくさやかちゃんに注目するわね」
とアリス。
そこでさやかは激変の一週間を、2人に語った。
アリスとキャロールは興味深そうに聴き入っていた。
女神はそれぞれ出身の世界が異なる。
何なら、さやかが昨日のお昼に食べたお弁当について話題にしたとしても、アリスとキャロールにとってはそれは未知の食材・食文化のレポートとなるのである。
さやかが父母を説得して今まで通り普通に接してくれるようになったエピソードは、特に関心を持たれた。
「すごーい! なんてすごいお父様とお母様なの!」
「ホント、奇跡だワ!」
女神に普通に接せられる人間など、アリスもキャロールも聞いたことがなかった。
どれだけの娘への愛が奇跡を起こしたのか…、アリスとキャロールはありえざる事実に感動していた。
さやかがバレーボールの授業で大活躍した話も、2人の女神には関心の深い物だった。
人間とスポーツで試合できる女神などと言うものも、またさやかだけなのである。
さやかが人間の学者から報奨金を貰う約束をしたエピソードもまた大変に興味深い物だった。
「「さやかちゃん、頭いいわ!」」
アリスとキャロールの声がキレイにハモった。
アリスとキャロールはお金で買い物をするには大きすぎるし、お金を自力で稼ぐこともまた同様に大きすぎる。
彼女らにはお金を稼ごうという発想はなかった。
アリスは大きすぎて人間たちが彼女にできることは何も無く、アリスから人間にできることもほとんどない。
キャロールもまた、お金は意味を持たず、人間からただ捧げ物を受け取るのみである。
とはいえあまりにも大きすぎるアリスと異なり、キャロールは支配下の人間に対し、自分からも具体的な恩恵をもたらしている。
アリスは超絶的美しさと超絶的大きさで宇宙を闊歩し、自分の宇宙に崇拝対象を提供するという恩恵をもたらしているが、キャロールは崇拝対象の提供以外に、もっと実際的な恩恵も、もたらしているのである。
「ワタシはお金はもらってないけれど、ワタシも人間たちの仕事を手伝うことはあるわ」
キャロールが話す。
キャロールはその巨体で惑星改造規模の超大規模土木工事を手伝っていた。
身長175キロメートルの巨大女神が協力するのだ。
砂漠の緑化くらいは簡単である。
どこでもテレポートできる女神のキャロールにとっては、宇宙空間にテレポートしてそこで寝ても良いのだが、キャロールは惑星の上で眠ることを好んだのである。
今やキャロールの惑星に残された砂漠は、キャロールの棲家として残された唯1箇所となっていた。
キャロールは放射性廃棄物の廃棄の手伝いもしている。
サイズ変更能力者に依頼して、容器ごと塵サイズまで縮小してもらってそれで完了である。
ちなみにキャロールは、女神にしてはという但し書きがつくが、なかなかに忙しいほうでもある。
同じ女神からだけではなく、彼女の支配下にある人間からも、修復を頼まれることがあるからである。
女神であるキャロールの手を煩わせるのは心苦しいというキャロールの惑星の住人の一念は、地球に比べて事故そのものを極度に減らす自動システムを社会に実装していた。
今やキャロールの星では全車両が自動運転車であり、交通事故などは惑星レベルでも滅多にない珍事である
それでも全世界規模で見れば何らかの事故は起こるのである。
そしてキャロールは極めて有用な力を備えた女神なのであった。
キャロールにとっても、自分を崇める人間たちはかわいいのである。
とはいえ、いささか小さすぎるとは思うが。
キャロールは自分の力や女神の特権を、自分を崇めるかわいい人間たちのために使うことを惜しむ気はなかった。
とはいえ他の女神とのえっちや、ひとりえっちに人間たちの都市を巻き込むことを自重するつもりもなかったのだが。
どうせ指パッチンで元通りであるのだし、実際には指パッチンすら不要であるのでそれは問題ではない。
キャロールの惑星において、人間たちは超巨大なキャロールと共生する術を身につけていた。
「…とはいえ、お金をもらっているわけでも買い物をするわけでもないけれど、人間に何か物品を要求すれば捧げ物という形でもらえるから、サイズ変更能力者にワタシのサイズに変えてもらっているのよ」
「キャロールちゃんは働き者なのね」
とさやか。
「サイズ変更サービスを受けられるのは、私には羨ましいわね」
「大きすぎるのも大変なのね」
「でも、大きいから私の眼で他の女神たちを喜ばせてあげられるの。私は大きくなれてよかった。一番大きい女神でよかったわ」
「私もアリスちゃんの眼という素敵な場所を知れて今日は本当によかったわ」
「さやかちゃん…」
さやかの言葉に感激を覚え、僅かに涙目になるアリス。
「「きゃあ! アリスちゃん!」」
アリスが僅かに涙目になる。
それは彼女の眼にいるさやかとキャロールにとって、果てしない海の水位が無限とも言えるほどに上がり、溢れそうになるという超絶天変地異なのであった。

「さア! リフレッシュもしたことだし…、さやかちゃん、アリスちゃん。えっちしよ?」
サラリとキャロールが言った。
「ええーっ!」
驚くさやか。
「そうね、3人でえっちしましょう? でも私1対1しか経験ないけれどどうするの?」
と返すアリス。
さやかもアリスとのえっちに異存はない。
元々そのつもりだったのだ。
キャロールもまた素敵な、素敵すぎる女神だ。
キャロールとのえっちにも異存はない。
しかし2人同時相手!
戸惑うさやかであった。
しかし、戸惑いつつもえっちそのものには異存ないさやか。
「わかったわ。しましょう?」
(ウンウン、予定通りね。ワタシの大きさなら、さやかちゃんとアリスちゃんを同時に愛撫できるわ。でも4人だと方法が思いつかないわね。思いついてたらリーリスちゃんも誘うんだけど)
キャロールには3人でえっちする方法が思いついていたが、4人でえっちする方法は思いつかなかった。
「それじゃさやかちゃん、テレポートしましょうか」
アリスの眼から、さやかとキャロールはテレポートした。
2人はアリスの全身を見ることのできる位置に現れた。
アリスの途方もなく美しい、幼く完璧に均整の取れた肢体が宇宙空間に浮かんでいる。
さやかからは、キャロールのやはり完璧に均整の取れた、こちらは17、8歳程度に見える美しい肢体もまたくっきり見える。
「キャロールちゃん…これからどうするの?」
さやかのエロス特化女神の特性が告げている。
キャロールに任せろと。
キャロールは指を口に入れて出す。
そして、そばに浮かんでいるさやかに向けてのばす。
キャロールの、太さ1キロメートルにならんとするほっそりとした美しい指先に、さやかははりついた。
その指を自分の唇に当てるキャロール。
さやかはキャロールの唇に、はりついた。
そのままキャロールはアリスの唇にテレポートし着地する。
キャロールはアリスの唇という果てしない大地に身を投げ出し、自分の唇にいるさやかを押しつぶしながらキスをした。
キャロールからはさやかとアリスを同時に感じられる。
さやかはアリスとキャロールを同時に感じられる。
アリスからはキャロールとさやかを同時に感じられる。
さやかからは桁外れに大きく、アリスからはとてつもなく小さいサイズのキャロールはこれにより2人を同時に愛撫することができるのである。
3人の女神が快楽を与え合う。
このままキスだけでも絶頂に達しそうだった。
不滅の女神であるさやかにとって、巨大なキャロールの唇と、果てしない大地であるアリスの唇の間で押しつぶされることはなんら苦痛でなく凄まじい快楽があるだけだ。
さやかはこのままキャロールに身を委ねることにした。
キャロールは吸うだけではなく舌も這わせる。
さやかはアリスの唇とキャロールの舌の間でもみくちゃにされた。
ひたすらに快楽である。
さやかとアリスとのキスを堪能したキャロールは、次にまた指先をなめ、そこにさやかを貼りつける。
ごごごごご
宇宙が揺れる。
アリスの唇が開き、その間から途方もなく巨大な舌先が、キャロールへと向かってくる。
アリスは舌を絡めることを望んでいた。
キャロールはアリスの唇で舌を待ち構える。
自分の舌にさやかを貼りつける。
アリスの舌が唇のキャロールを舐めとる。
キャロールはアリスの舌を覆う唾液の層の底、舌の表面まで僅かな距離をテレポートし、さやかを貼り付けた自分の舌をアリスの舌に絡めた。
さやかはアリスとキャロールの巨大な舌の間で弄ばれる。
また快楽が与えあわれる。
キャロールはたまらず十億光年ほどをテレポートし、アリスの全身を視界におさめる。
(さやかちゃんは小さすぎるし、アリスちゃんは大きすぎるわ。3人えっちはワタシが主導権を握っているのよ)
キャロールの心に精神的快楽が湧き起こった。
そしてさやかはこのままキャロールに身を委ね、アリスとキャロールの巨体の間で押しつぶされ続ける。
キャロールはアリスを愛撫する際、乳首には乳首で、クリトリスにはクリトリスで臨んだ。
さやかを自分の乳首に貼りつけ、アリスの乳首を愛撫する。
さやかにとっては高さ、直径とも1キロメートルを超えるキャロールの乳首に貼りつけられ、果てしない大地であるアリスの乳首との間で押し潰される。
乳首だけではない。
1キロメートルの乳首の後ろには、地球最高峰を遥かに超える大きさの乳房が控えている。
なんと凄まじい圧力か。
さやかが与えられ、また与えた快楽は、人間なら魂が消滅している。
もっとも人間なら、アリスとキャロールの乳首の間で、その体が赤いペーストになっているだろうが。
アリスの乳首を堪能したキャロールが次にテレポートしたのは、アリスのクリトリスだった。
キャロールは自分の乳首にはりついているさやかを、舐めた指先に貼りつけて、自分のクリトリスに貼りつける。
そして無限とも言えるような美しい肉の大平原であるアリスのクリトリスに、さやかを貼り付けた自分のクリトリスを擦り付けた。
さやか、キャロール、アリスの体に途方もない快楽が走る。
彼女たちは絶頂に達した。
アリスはたまらず有限倍であるにもかかわらず、無限倍とすら言える巨大化をし、その衝撃で宇宙を消しとばす。
今回のアリスには、宇宙を消しとばす前に宇宙の外にテレポートする余裕はなかった。
さやか、キャロール、アリスは宇宙の外で向き合った。
アリスは大きくなればなるほど美しくなるため、キャロールとさやかはその美しさに恍惚となる。
「3人は初めてだったけれど、たまには悪くないわね」
「ワタシは3人も結構好きよ?」
「たまになら、一方的に弄ばれるのもいいわね」
とはさやかの弁。
「それじゃ、アリスちゃんの宇宙を戻すわね」
そして満足した3人の女神はそれぞれの宇宙に戻っていった。

 自分の部屋に戻ったさやか、彼女は先ほどの思い出を反芻しながら、学校の宿題を行なっていた。
彼女は凡庸な成績なりに真面目なのである。
多分側から見れば、顔がツヤツヤではないだろうか。
最も女神は、いつでもサイズにもかかわらずどんな人間も敵わない究極美肌であるのだが。
女神となって戸惑うことも多いが、よかったことも多い。
さやかは女神になれて幸せだった。

 なお、久光家の決まり事として、さやかの衣服を洗濯するのは他人には危険なので、家族の衣類を洗濯して干すのはさやかの仕事に決まった。