女子更衣室のベンチの上に1枚のスクール水着が脱ぎ捨てられていた。

雑に置かれていたその水着は裏返しになっており、内側にある胸と股間部分のサポーターである白い布地が丸見えになっていた。

しばらくすると、一人の女子高生が更衣室の中に入ってきた。

「はあ、水泳の補習めんどくさいな…」

彼女の名は由莉。この水着の持ち主であった。

「よかった、やっぱりここに置いてあった。1回くらい洗ってなくても大丈夫だよね…」

由莉は自分の水着を手に取った。

「この白い布地なんか恥ずかしいんだよな、大事な部分を隠すためについてますって感じがして。まあ外からは見えないから良いんだけど…」

思春期真っ只中の由莉は自身の性について悩んでいた。

「今日の補習は私1人だからいいけど、普段の水泳の授業って男子からエッチな目で見られたりしてるのかな…。今のこの制服姿もいやらしいって思われてたらどうしよう…」


彼女は知る由もなかった、

水着の裏の白い布地の上に無数の縮小人間が住み着いているという事実に…


数年前、とある研究所で新たな再生可能エネルギーの開発を目指す研究が行われていた。

この研究が成功すればあらゆる環境問題が解決されることが期待されていたが、実験は大失敗。

研究所から発生した莫大なエネルギーを持つ爆発により、何百万もの人間が姿を消したのだ。

被害を免れた人々は爆発に巻き込まれた人々が死んで跡形も無く消えたと思っているが、実際は違う。

爆発のエネルギーの中に含まれる、物体縮小の作用を持つ電磁波を大量に浴びたせいで、微生物ほどのサイズに縮められてしまったのだ。


男たちは縮小人間(コビト)として第2の人生を歩むことになった。

目に見える細菌のグロテスクさに腰を抜かしたり、時にはミジンコに食べられそうになりながらも一生懸命に生きていた。

このような生活を続けていくうちに人としての理性を失いそうになっていたが、人間の女性を求める本能は残っていた。

そのため、コビトたちは普通サイズの女性の私物や老廃物から醸し出される微かなフェロモンに誘われていた。

リップクリーム、歯ブラシ、リコーダー、下着、絆創膏、鼻をかんだティッシュ、ナプキン、大人のオモチャ、爪、唇の皮、抜け毛、…

湿度の高い部屋にカビが生えるかのごとく、コビトたちはこれらの物に群がるようになった。

人間にとっては目を凝らしてなんとか見える程度の大きさであるので、彼女らに気づかれることは無かった。

仮に私物に付着した細かい汚れを見つけたとしても、その正体が微生物サイズに縮められた人間なんて考えやしないであろう…


10代の若い女の子からは多くのフェロモンが分泌される。

また、恥ずかしいことに女性は自身の性について悩むことで男を魅了させるようなフェロモンを放出する。

さらに、一度使用して放置された水着には大量のフェロモンが残される。

これらの条件により、更衣室に置かれていた由莉の水着はコビトにとって極楽の場所であった。


由莉の水着には何十万ものコビトが住み着いている。

特に胸や股間部分を担う白い布地に集中しており、その他の紺色の部分にもちらほらと生息していた。

この様子はまさに、白の都市部と緑の山間部で表される地図のようであった。

裏返しになった由莉の水着は、もはや縮小都市と化していた。


「さっさと着替えなきゃ」

由莉は制服のリボンを取り、シャツのボタンを一つずつ外していった。


更衣室の天井の蜘蛛の巣に1匹のコビトがひっついていた。

そのコビトは運よく盗撮カメラのような角度で由莉の着替えを眺めることができた。

女性との経験が無いまま縮められてしまったコビトは制服姿の由莉を見ただけでドキドキしてしまい、シャツのボタンが外されるにつれて興奮が止まらなくなっていた。

由莉はシャツとスカートを脱いで下着姿になった。

発育途中の胸、スベスベしてそうな肌、柔らかそうなお腹、プリッとしたお尻、…

コビトは、由莉というエッチでいやらしい超巨大生命体が遥か遠くで佇んでいるという事実に欲情していた。

いつしか、そんな由莉のカラダに住みたいという気持ちでいっぱいになっていた。

コビトからみた由莉は世界最高峰であるエレベストを遥かに凌ぐ大きさ。

一生をかけてカラダを探検しても冒険は終わりを迎えることは無いであろう。


もし由莉が自分のカラダの上を這う俺の存在に気づいてくれたらぞんざいに扱ってほしい。

普段は耳の中に閉じ込めてほしい。

俺は由莉の耳垢にむしゃぶりつく事で必死に飢えを凌ごうとするだろう。

思い出した頃には耳の中から解放して様々な部位に案内させてほしい。

機嫌がいい日にはご褒美と称してブラジャーやパンツの中に入れてほしい。

由莉の胸やアソコの上で走り回ってる俺を「変態」と罵ってほしい。


コビトがそんな妄想をしている内に、由莉はブラジャーとパンツをゆっくりと脱いだ。

一糸まとわぬ由莉の姿を目の前にしたコビトは身体全体がアツくなった。

「ハア…ハア……」

欲望を抑えきれなくなったコビトは自分の股間を刺激し始めた。

「ハア………ッ、ハアッ、ッ…………ァハア……………………」

コビトは射精した。

由莉のカラダのこの上ないエロティックさに、射精した後も股間をいじる手を止めなかった。

2発目,3発目,4発目,…と、コビトの射精が留まることは無かった。


コビトは死んだ。

「男子からエッチな目で見られたらどうしよう」と悩んでいる由莉が、かつて人間であったコビトが自分のカラダに欲情するあまり命を落とした事を知ったらなんて思うだろうか…


由莉は裏返しになった水着をゆっくりと戻した。

コビトたちの上から、高層ビルを優に超える巨大な指が降りかかってきた。

多くのコビトが指の下敷きになってしまったが、運よく生き延びた集団はそのまま指の上で移住することに成功した。

今まで水着などの私物で間接的にフェロモンを味わっていたコビトたちは、生き生きとした指から直接的に"女の子"を感じ取れることに喜びを感じた。

由莉は水着の足を入れる所に片足ずつ突っ込み、股間と白い布地をフィットさせた。

水着の股間部分に住んでいたコビトたちは、遥か上空から超巨大なアソコが現れたことに驚きを感じた。

少しずつ水着を伸ばしていって腕を入れる所に片腕ずつ通そうとする由莉。

コビトたちは、自分たちの住む都市と由莉という存在が少しずつ馴染んいく様子を感じ取っていた。

由莉は水着に着替え終わった。

まるで、惑星サイズの生命体が地球と合体して完全に一つとなった感覚に近かった。


「ちゃんと洗っておいた方が良かったかな、カラダのあちこちがムズムズする…」

水着におびただしい数のコビトが付着してることも知らずに、プールの中を泳ぎ続けた。


無事に補習が終わり、由莉は制服に着替えて更衣室の外を出た。


彼女は知る由もなかった、

かつて自分の水着に住んでいた無数の縮小人間が、今度は自分のカラダの上を満遍なく住み着いているという事実に…