「まあ・・・。大きくなったわね・・・。」

ミユキちゃんのお母さんはビックリしてはいなかった。

『少しは驚いてよ、お母さん!大きくなっちゃったんだよ私!』

「まあ少しは驚いたわ。でもサユキも大きいからね・・・。」

サユキちゃん・・・。ミユキちゃんの妹。長身で学校では男子に大人気の美人らしい。
サユキちゃんは僕よりも大きいはず。

『皆で集まって何やっているの?』

来たのは噂をしていたサユキちゃん。いつの間に帰ってきていたのか。しかも下着姿。

『きゃ!男?あれ?ケイちゃんだ!』

サユキちゃんは僕に抱きついてきた。それはいつもの事。でも大きくなった体は僕を強く抱きしめる。

「一体、何cmになったのだ?」

『えっとね!2m30cmになったね!学校1大きいよ!』

「でしょうね・・・。」

2m30cmか・・・。女子にしては大きすぎだけどミユキちゃんのほうが圧倒的に大きい。

『そんなことよりも私はどうなるのよ・・・!』

『あっ!お姉ちゃん・・・。大きくなったわね・・・。』

「どうしましょうかね・・・。まずドアを通れない大きさだし・・・。うーん・・・。」

「じゃあ、天井を高くして過ごすのはどうでしょうか?僕が面倒を見ます!」

思いついた無理なことを言ってしまった・・・。面倒を見るのはいいが、天井を高くするのは・・・。

バキバキバキバキバキ・・・と大きな音がした。それはミユキちゃんが部屋の天井を破壊している音だった。
白い壁が崩れていく光景に僕らはポカーンとしていた・・・。








『終わった!これで大丈夫!』

「あら!いいアイデアね!これでいいわ。」

『頭いいね!お姉ちゃん!』

家族は皆感心していたが僕には感心する気持ちが分からなかった。
それから僕らは天井の崩れ落ちた破片を取り除き部屋を切れにした後、僕とミユキちゃんだけになった。
天井を取り除き意外と高くなった天井は、ミユキちゃんが立っても支障はなかった。

『ゴホッゴホッ!埃っぽい!』

今まで暗かった天井の上の空間は埃だらけ。
立つと埃を吸うから座ったミユキちゃん。

「これで一安心だね!」

ミユキちゃんは笑いながら僕に手を伸ばし僕を持ち上げ太ももの上に乗せた。
暖かくて柔らかい太ももだった。

『一安心じゃないよ!私だってこれからどうすればいいか分からないしさ!でもね、ケイちゃんがいれば安心よ!』

「あらそう・・・。僕もそれなりに頑張るよ。だって僕・・・。」

『だって僕?』


つづく