無限広がる宇宙には、地球以外にも知的生物がいた。
地球人は宇宙技術を発展させ、宇宙にも文明を発展させた。

 とある星は太陽の100倍近い大きさがあった。地球と同様、雲と海と緑の大地があり、地球人と全く同じ人間が住んでいた。
しかし、その星の住民は地球人の10~1000倍の大きさがあり、すべて女であった。
地球人はその星を「巨女星」と名付けた。







 宇宙飛行士の免許を取った僕(トオル)は、宇宙の旅に出た。
ただ広い宇宙に行先など特に決めていなかったが、どこか星に着陸して観光をしたかった。
ある地点からある地点までワープできる技術を使い、僕は地球から遠く離れた地点に来た。
星がちょくちょく見え、見たこともないような星ばかりだった。

 と、その時、機体のエンジンに不具合が発生し、推力がなくなった。
もはや慣性で動いている状態であり、急いでエンジンのマニュアルを見直した。
運がいいことに目の前に惑星が見えた。調べてもまだ地球人が誰も見つけていない星だったので情報はなかったが、機体に搭載されているAIは、
空気があることを告げた。あの惑星に降り立ち、エンジンの修理をすることに決めた。

 惑星の大気圏に突入し、雲を抜けた。
そこには、信じられないような光景があった。宇宙からは雲に隠れて見えなかったが、
地面に横たわる巨大な女がいた。その大きさからして2km近くあった。
推力が失われている今、その巨体の腹に着陸するしかなかった。
タイヤを出し、出来るだけ速度を落とし、女の腹の上に着陸した。

 その着陸を神経で感じ取ったのか、巨大な女は目が覚めて、お腹の方を見た。
僕は死ぬのではないかと思った。

女『何かしら?』

 機体の中にいるにもかかわらず、すごい音の振動であった。
女は機体に手を伸ばし、摘まんだ。
15トン程度ある機体を指先だけで摘まんで顔の前に持ってきた。

女『中に何かいるわね・・・。』

 女は上半身を起こし、左手に機体を乗せた。

女『出ておいで、怖くないから。』

 女はじっと機体を見ていた。あまりにも大きな女の手のひらにいるのだが、恐怖心はなく、
僕は言われた通り機体の外に出た。機体の下から伸びた梯子を下り、手のひらに立った。
そして女の見えるところに出た。

女『あら可愛い。小人さんじゃない。』

 宇宙服で身を包んでいてもその声は大きく聞こえた。

女『どこから来たのかしら?』

 その問いに答えても果たして女に聞こえるのだろうか。ダメもとで答えた。

僕「地球です。」

女『地球?聞いたことのない名前ね。どうしてここに来たのかしら?』

 なぜだか分からないが聞こえていたみたいだ。

僕「エンジンの故障で着陸しようとしたら、その・・・あなたのお腹の上に・・・。」

 僕は申し訳なく思いながら言った。
女はクスクスと笑い、
 
女『よく私のお腹に着陸したわね。お臍の穴に落ちたりしたら大変だったわね。』

 僕は苦笑いした。

女『私はマリーよ。ここの星は私のような女が1000人くらい住んでいるの。
  あなたからしたらとても大きいけど、ここの星ではこれくらいのサイズなのよ。』

 宇宙には人間よりも大きな生物がいたのが分かった。

マリー『あなたのお名前は?』

僕「トオルです。」

マリー『トオルね。可愛い名前ね。これからどうするわけ?』

僕「エンジンを修理したら地球に戻ろうかと・・・。

マリー『え?帰っちゃうの?ずっとここにいることはできないのかしら?』

 僕はその言葉の回答に少々迷った。地球に帰っても家族や友人は僕にはいない。
そのために地球を出たのも理由なのだから。
このマリーはとても優しそうで、おまけに大きい。昔らから巨大生物に興味のあった僕は、
今まさに理想の生き物が目の前にいるのだ。

僕「いいですよ。ここにいても。」

マリー『本当~!嬉しいわ。私、トオルちゃんを初めてみたら好きになっちゃって・・・。』

 年齢は20代後半に見え、とても可愛い。
ずっと気になっているが彼女は服を着ていなかった。

僕「あの、服を着ないで寒くないのですか?」

マリー『ええ。寒くないわ。そもそも服って何かしら?』

僕「服って言うのは、体に身に着けるものです。大事なところを隠す役割だってあります。」

マリー『ふーん。で、トオルちゃんが身に着けているのが服なのかしら?』

 僕は今、宇宙服を着ていた。空気もあるようなのでそれを脱ぎ、下着姿になった。

マリー『確かに体に身に着けるものなのね。でも、私たちの大きさじゃ、そんなものは無いわよ・・・。』

 言われてみればサイズが大きすぎてあるわけがなかった。

マリー『そういえば、トオルちゃんの住むお家を作らなきゃね。』

 マリーは僕を地面に置いた。しかし、そこは股間の目の前で、陰毛の生い茂った女性器が目の前にあった。

マリー『ちょっと待っててね。』

 マリーは近くの木々を抜き取って、指先で作業をしていた。
完成したのはツリーハウス。彼女のくるぶしにも届かない高さの木に家を作ったのだ。
指先はとても器用なことが分かった。

マリー『ここに住んでね。ここなら私も分かるし。』

僕「あ、ありがとう・・・。」

 彼女は立ち上がり、僕がツリーハウスに行くのを見ていた。
ツリーハウスの中はとてもきれいで短時間で作ったものとは思えなかった。
四つん這いになり、小さな木のツリーハウスを一生懸命見ようとしていたマリー、

マリー『周りの木が邪魔ね。』

 マリーは指で僕のいる木の周りの木をなぎ倒し、平地にした。

マリー『これならよく見える。』

地響きのような音と振動が過ぎ去った。
マリーにとって軽いことでも僕にとっては相当なものだった。

マリー『で、家の近くにこれ、置いておくわね。』

 ツリーハウスの近くに僕の機体が置かれた。
マリーはこれから僕になんでもしてくれそうだった。

僕「これから、よろしくお願いします。」

マリー『こちらこそよろしくね。それと今日の夜は私の体の上で寝ない?きっと風が涼しいわよ。』

僕は頷いた。
2kmの彼女との生活が始まった・・・。

おわり