リアム・イーサン・・・主人公。20歳。家族は昔にいなくなり1人で貧しく暮らしている。
姫・・・この国の巨大な姫様。
死刑囚「くそ・・・どこに連れて行く気だ!」
憲兵「いいから来い!」
2人の憲兵が今日、死刑される囚人を引きずって行った。
死刑囚「嫌だ・・・死にたくねぇ。」
死刑囚の声は僕からだんだんと離れて行った。
―処刑場―
そこには一本の太くて長い板があった。
たとえるなら飛び込み台。憲兵は囚人をそこの先端に置いた。
そして、怯える囚人の目に現れた巨大な顔。
女の顔であり、囚人はそれがこの国の姫様であることが分かった。
姫の大きさは180m。人間の100倍もあるのだ。
姫『それでは。』
姫はすぐに舌を囚人に伸ばし、唾液の粘着で舌に囚人をくっ付けてそのまま口に運んだ。
ごっくん・・・
と、すぐに音がした。
姫『今日はあと何人いるのかしら?』
憲兵「あと1人でございます。」
姫『早く連れてきなさい。』
憲兵「かしこまりました。」
僕の牢屋の前に先ほどの2人の憲兵がたっていた。
僕を捕まえた憲兵たちである。
憲兵「お前の死刑は早まった!」
憲兵たちは僕を取り押さえ、どこかに連れて行く。
3日前・・・
僕の住むこの国では、盗みは死刑だった。
貧しく家族もいない僕だったが、盗みは1度もしたころがなかった。
しかし、罪を着せられた。何者かによってパックの中にパンが入っており、その場で捕まったのだ。
言い訳をしても誰も耳を貸さず、僕は死刑囚となった。
―処刑場―
薄暗かったがいい匂いがした。
憲兵たちは一本の板に僕を放り投げた。
どんな処刑がされるのか想像もつかない。
ゴゴゴゴ・・・と唸りが板の下から聞こえてきた。
現れたのはこの国の姫様の巨大な顔だった。
姫『若いわね。私と同じくらいかしら。』
巨大な目が僕をじっと見ていた。
しばらくすると口が開きピンク色の舌が出てきた。
僕は反射的に逃げた。
だが、僕の後ろでは剣を構えた憲兵たちがいた。
憲兵「これが死刑だ。この国の姫様の食料となるのだ。」
僕は逃げ場を失いその場で固まってしまった。
姫様の舌が僕をくっ付けてそのまま口に運んだ。
口の中は、暑くてネトネトしていた。
ごっくん・・・
姫『あなた達、憲兵はこんな若い子が盗みをするとでも?』
憲兵「え?・・・。あ、はい。そいつはパンを盗みました。」
姫『その現場を見たのか?』
憲兵「いえ・・・。」
姫『私には分かる。この子は盗みの罪を着せられたのだ。それも分からぬクズ共め。』
姫様は指を使い、憲兵たちを摘まみ、口の中に入れた。
そして、そのまま飲み込む。
姫『ん・・・』
口の中に飲み込まれないでいた僕はすぐに出された。
姫『大丈夫かしら?』
僕「ゲホッゲホッ!」
大量の唾液を飲み込んでしまい、せき込む僕の背中を人差し指でさする。
僕「どうして・・・分かったのですか?」
姫『私は、こころの中を無ることができるの。あなたの心は綺麗で盗みなんかしてないのがハッキリわかったわ。』
僕「でも、僕は死刑されたことになるんですか?」
姫『そうね。一応、ここは私の部屋であって死刑囚の処刑場なの。ここで何百人もの死刑囚を食べてきたわ。』
僕は体がぞっとした。僕の100倍もある姫様。
食べられたらどうなるのか・・・。
姫『私は何人もの貴族を見てきたけど、あなたが1番素敵よ。私の王子様にならない?』
僕「こんな平民以下の存在ですが・・・。」
姫『いいのよ。私は恋をしちゃったの。』
僕「・・・・。」
姫『嫌なら、噛み砕いて飲み込んじゃうわよ。』
僕「ヒッ!」
姫『嘘よ。』
僕はしばらく考えたが、答えは決まった。
僕「一緒に暮らさせてください。」
姫『嬉しいわ。毎日一緒にいられるなんて。』
姫様は僕をほっぺたに押し付けた。
柔らかいく暖かい。それは記憶の中のお母さんみたいな・・・・・。
姫『皆、私のことを姫様って呼ぶけど、私の名前はエリ・イーサンよ。
思い出せないかしら?私はあなたの妹よ。』
僕はその名前を聞いたとき、すべての記憶がもとに戻った。
小さいころ、父親が僕と妹、母親に暴力を振った。
母は僕と妹を連れて森に逃げ込み、その間、僕はいつの間には1人になっていた。
そして、数年たって来たのが今の国。
僕「どうして、そんなに大きく・・・。」
妹『お兄ちゃんと別れたあと、私とお母さんが大きくなってね。
どうやらお母さんは巨人族の血を持ってたみたいで私も遺伝で大きくなったのよ。』
僕「それでこの国の姫様に?」
妹『そう。大きくなった後、2人とも気を失っていて、森を出たら大きな国があってね。
ここの支配者になったの。』
僕「そう・・・か・・・・。」
僕は話は分かるが現実にあり得ることなのか疑問に思った。
しかし、今、目の前に巨人となった妹がいるのだ。
妹『もうお兄ちゃんのことは絶対に離さないから。お母さんも喜ぶと思うわ。』
僕「お母さんは?」
妹『今、国の外に出かけてるわ。』
僕「そうか・・・。」
頭の中がごっちゃになりながらも、妹の手のひらに包まれ、僕は眠った・・・。
おわり