平和な惑星、「地球」の前に突如現れた超巨大な女の顔。
女というより女の子であるが、その大きさは計り知れない。眼球でさえ地球とほぼ同じサイズであった。

女の子『この星にいるのね・・・。』

何か確信をもって言ったのか、ボソッと言った後に女の子の姿は消えた。










 朝早くから臨時ニュースが流れていた。空一面に移る巨大な女の子の顔。
もはや地球すら飴玉サイズになるくらいの大きさと言われていた。

 そんなこともありながら僕は学校に行った。
僕の名前は「スズキ トキ」。高校2年で、実質1人暮らしである。両親は海外で仕事をしている。
学校では、あまり目立たない方であり、その理由には身長150cmも関係している。
生まれながらに小さくて学校で1番背の高い女子は188cmもあるから横に並ぶと親子みたいといじめられる。
特に友達もいないし、登下校は自転車。お昼は1人屋上で食べる。成績も平均的。と本当に目立たない。

 8時30分。学校のチャイムが校内に流れ、朝の会が始まった。
担任の先生が入ってきて落ち着いた表情で

先生「今日はみんなに紹介する転校生がいる。」

と言った。クラスのみんなが驚いた。転校生の話など聞いていない。
ザワザワとしたくらすに飛びっきり背の高い女子が入ってきた。
黒髪ショートカット、モデルのような体型、そしてほどよい胸。男子はくぎ付けになり、女子は口をポカーンと開けていた。
何しろ高さ2mほどある扉のギリギリを通っていた。

ホノカ『初めまして。イイダ ホノカと言います。』

先生「イイダさんは小さいころからバレーをやっていたとのことです。皆さん、仲良くしてくださいね。
   席はえっと、1番後ろですね。」

僕の席の隣だった。ホノカは自分の席に向かう。足のサイズも大きく、ズシズシと歩く。
椅子のサイズも小さく感じる。

ホノカ『お隣さん、よろしくね。』

ニコッと笑う彼女はとても可愛かった。


 休み時間、ホノカの席にたくさんの男子と女子が集まった。
僕は人混みが嫌いであり、席を離れた。美人であるから大人気だって分かっていた。
でもこんな僕とは釣り合わないだろうと確信していた。
 昼休み、購買でいつものパンを買い、屋上の日影ができる場所に行く。そこにホノカがいた。

僕「え?イイダさん?」

 僕だけの秘密の場所だった。屋上は暑いと有名だけど日影は涼しいということを発見していたのに。

ホノカ『えっと、スズキ トキ君だよね?トキ君でいいかな?』

僕「う、うん。」

ホノカは近づいてきた。僕は完全に彼女の陰に隠れた。肩幅も彼女よりも狭い。

僕「あの・・・座りませんか?」

ホノカ『ん、いいよ。』

僕らは日影に座った。彼女は手にピンク色の巾着を持っていた。
彼女はお弁当があるようだった。

ホノカ『トキ君はいつもパンだけなの?』

僕「そうだよ。親は家にいないからいつも買ってる。」

ホノカ『私の良かったら食べる?』

ホノカはお弁当を開いた。とても大きなお弁当箱であるが彼女のサイズを考えれば頷けるサイズ。
ご飯の量もとんでもない。

ホノカ『これとこれとこれ!』

ソーセージと卵とハンバーグだった。どれも見たことのない大きさ。
それを僕の口に1つずつ運んでくれた。

ホノカ『美味しい?』

物理的にも口いっぱいに広がるおいしさ。いつもパンだったから感動した。

ホノカ『まだ食べる?』

さすがに彼女の分がなくなってしまうからと思い、断った。
彼女は自分の弁当を食べ始める。大きな口と思ってみていた。

僕「そういえば、どうしてここに?」

ホノカ『あなたがここに来ることを知っていたからよ。私はあなたのために転校してきたの。』

僕のために転校?ちょっと分からなかった。しかも彼女は初日なのに僕の秘密の場所を知っていたし。

僕「イイダさんは、身長何cmなんですか?」

ホノカ『今は、191cmかな。』

「今は?」とは一体・・・。引っかかるところが多い。
しかし、女子と一緒にいるのは学校生活で初めて出会った。それに関しては幸せであった。





ホノカはどんな時も誰かがそばにいるほど人気者だった。
191cmはとても大きく遠くにいても目立った。
不思議なことに初日の時から屋上で一緒に昼食を楽しんだ。

ホノカ『私の両親も実は遠くに住んでるの。今は会えないけど、寂しくはないわね。』

僕「僕は時々寂しくなるよ・・・。」

ホノカ『今度の休日に私の家に来ない?』

彼女は僕に顔を近づけた。じっと見つめられた。

ホノカ『一緒に夕飯とかね。どうかしら?』

断れば関係が終わってしまうかもしれないと思った僕は頷いた。
ホノカの顔は少し赤くなった・・・。







 その週の土曜日、彼女の家に行く日だった。
メールも交換して指定された近くの神社の裏で待ち合わせだった。
家からは程よい距離であり歩いて行った。集合場所にはすでに彼女が座って待っていた。

僕「おはよう。」

ホノカ『あ、おはよう!じゃあ、行こうか。』

朝10時の出来事だった。彼女の家には直接行かずにまずは駅前のデパートに行くことにした。
彼女のサイズに合う服なんてあるのか興味があった。

駅前は人がたくさんいた。休日になると若者で群がる。
そして、高身長の彼女はすごく目立ち注目を浴びていた。そしてその隣にいる僕も。
ショッピングモールの有名な服屋に入ると彼女は目を輝かせていた。
しかし、体に合うサイズはなかなかなかった様子。

ホノカ『んー。これは可愛いんだけどな。』

店員さんにもサイズはどこにもないと言われたのでショックを受けていた。

ホノカ『さあ、トキ君、他の所行こう・・・。』

ホノカに腕を掴まれ、僕はレストランに連れていかれた。
そこのレストランは美味しいのだが値段は高い。

僕「あの・・・僕、お金を持ってないよ。」

ホノカ『大丈夫、私持ってるから。』

女子に奢られるのはちょっと恥だけど、予約までしていたみたいだから昼食はそこにした。

ホノカ『ここの日替わり定食美味しいわよ。』

ホノカと僕は日替わり定食を頼んだ。
出てきた定食は結構な量だった。彼女はパクパクと食べるが小さな僕にとっては、
おかずだけでもいっぱいだった。

ホノカ『ここはご飯とお味噌汁のお変りもできるんだよ!』

僕「あ、そうなんだ。」

お変りも何も食事が進まない。
僕は食べれなさそうな食べ物を彼女にあげた。

ホノカ『ごちそうさま!』

ホノカは食べ終わると僕が食べ終わるのをじっと見つめていた。
食べる姿を見られるのは恥ずかしいし、彼女よりも食べる速さが遅いのも恥かもしれない。

僕「ごちそうさま・・・。」

僕らは立ち上がり、ホノカが全額を払ってくれた。

僕「ありがとう・・・。」

ホノカ『いえいえ、トキ君のためならいくらでも出せるよ!』

彼女はお金持ちなんだなっと感じた。
その後ショッピングモールを出て、彼女の家に向かった。
15時と長い間、出かけていた。
彼女の家は集合した神社の近く。歩いてすぐの所だった。

ホノカ『ここよ。』

2階建ての立派な建物だった。
玄関や家の作りは彼女の大きさに合わせて作られており、僕からすれば大きすぎた。
彼女の履いていた靴はやっぱり大きかった。僕の靴が入ってしまうくらい。

リビングに案内され背の高い椅子に座った。
彼女はジュースを用意してくれた。

ホノカ『疲れたでしょう?』

僕「うん。」

ホノカの歩幅は広くて追いつくのに苦労した。足も痛いししばらく休みたい。
気が付かぬうちに僕は眠ってしまった。







起きたらベットに寝ていた。彼女のベットかもしれない。僕が2人いても余りある大きさだった。

ホノカ『起きたのね。』

部屋には彼女もいた。僕は起き上がると彼女の方を向いた。

ホノカ『ねえ、トキ君って好きな人とかいる?』

ホノカはモジモジして話した。
僕に好きな以前に話す女子さえもいないと彼女に伝えた。

ホノカ『じゃあ、私のことは?』

僕はドキッとした。正直言うと彼女のことは初めて見たときから好きだった。
僕なんか眼中にないと思ったが彼女は僕に優しく接してくれて今日はデートっぽいこともした。

僕「イイダさんのことは好きですよ。」

ホノカ『じゃあ、私と付き合ってください!!』

彼女は大きな声で言った。そして迫ってきて僕を押し倒した。
彼女の巨体が僕を抱きしめて彼女はベットに寝転がった。
腕の強さと言い大きさと言い、僕には逆らえなかった。

僕「えっと、いいですよ。」

否定する理由はない。むしろ嬉しかった。
抱きしめる力は増し、絶対に離れられなかった。

ホノカ『じゃあ、ちょっと大きくなるわね。』

その言葉の意味はよく分からなかったが、彼女の体が大きくなるのが実感できた。
腕に包まれていたが、まるで体に包まれているようになった。

ホノカ『今は3mくらいよ。ふふふ。』

彼女は僕をベットに寝かせた。
彼女の体は人間とは思えないほど大きかった。
立てば天井にぶつかるから膝立ちしているが、それでも僕より大きい。

ホノカ『本当のことを言うわ。私は人間じゃないの。この地球で生まれてないってことね。
    私の目的は地球に住んでいるトキ君を生涯の夫にすること。私の惑星はね、男がいないから他の星から見つけるの。』

僕「僕を?」

ホノカ『先週くらいにニュースになったでしょ?私のこと。私は一回大きくなってあなたを宇宙から見ていたの。』

あの巨大な女の子の顔は彼女自身だったんだ。
僕は一体、どれほどの大きさの彼女を見ることになるんだと不安になった。

ホノカ『私は決めたことをすぐに絶対にやる性格なの。だからね、今すぐ私と故郷に来て!!』

ホノカは僕の両脇に手を置いて顔を近づけた。
今となっては巨大胸も迫力があった。
僕は頷いた。彼女は覚悟を決めたようだった。

ホノカ『じゃあ、私は本当の大きさに戻るわね。あとでトキ君をテレポートさせるから力抜いててね。』

すると彼女の体は消えた。

1分も経たないうちに僕は謎の場所に来た。
一面が肌色。凸凹や無数の穴もあった。

ホノカ『成功したようね。今、トキ君は私のお腹にいるの。お臍の上あたりに。
    私の体の表面に空気の層とか重力とか地球に合わせて幕を張ったりしたわ。
    そして、穴とのコピーを地球に置いてきたの。あなたと全く一緒だから心配しないで。』

はるか遠くから彼女の声が聞こえた。無数の穴は毛穴か何かだろう。
彼女からしたら僕はどんなに小さいのだろう。僕は彼女の体を上に向かって歩き始めた。
彼女は宇宙を移動している。無数の星がよく見える。

ホノカ『人を大きくすることはできないの。私の故郷に戻ったらさっそく子作りしましょ❤』

彼女の体からちょっと熱が出てきたのを感じた。
子作り・・・。ちょっと楽しみだ。



おわり