「よしよし。もう大丈夫だよ。」
妹(カンナ)はまたもや、学校でいじめられてきたようだ。
カンナは、体が小さく、力も弱い。
男子にも女子にも、そして1部の先生にもいじめられていた。
カンナが高校1年生で、僕は高校3年だから、カンナをいじめているところを目撃し、
そのたびに、いじめている生徒を追い払っている。今日もこんな感じだった。
「ううう・・・・・。タクミお兄ちゃん・・・。もう、死にたいよ・・・。」
家なので、僕しかいない空間で妹は、心の声を僕に聞かせてくれた。
僕は、もちろん反対した。妹が死ぬなんて、僕が耐えられない。
「泣くなって。俺がいるだろう。」
「うわ~~~~~~~ん!!」
思いっきり泣き、妹は自分の部屋に行ってしまった。
その日から妹の部屋の鍵は掛けっぱなしだった。
食べ物も食べていない。
僕は、学校生活でも妹の事で頭がいっぱいだった。
もしかしたら・・・。
と、思い学校を早退した。
「おい!開けろ!お兄ちゃんだ。もう、学校に行かなくてもいい!だから開けてくれ!」
遅かったのか・・・カンナの声が一切しない。
部屋の中は無音だ。
慌てて思いついた行動をした。
ドアを蹴り破り、部屋に入った。
カンナは、手にビンを持ちながら倒れていた。
ビンには、“クスリ”としか書いていない。
しかし、カンナはまだ暖かかった。生きている。
「しっかりしろ!」
カンナをベットに寝かし、その晩はそばから離れなかった。
次の日は、カンナが心配だったが、学校は学校なので、また早退する事を頭の中に入れて家を出た・・・。
お昼になると、カンナの事で頭がいっぱいになった・・・。
一瞬、窓の外を見た。
校庭で遊んでいる生徒たちが指を指している。指している方向を向いてみると、とてつもなく大きな巨人がいた・・・。
その巨人は立ち上がり、こちらへと向かってきた。
校庭の生徒たちは一目散に校内に入り、校内の生徒は窓の外を見ている。
僕は、口を開けていた。
何故なら、巨人の正体がカンナだからだ。
『お兄ちゃん!大きくなったよ!』
ズウウウウウウウウウウウウウウウウン・・・。
身長は何メートル!?
足だけでも校庭くらいありそうだった。
巨大な存在は、全校生徒の注目となった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・。
カンナがしゃがみ込むと、付近に強風が走る。
窓もガタガタと音がし、1部の女子生徒が悲鳴を上げる。
『お兄ちゃんの教室は・・・ここだ!』
ズゴオオオオオオオン!
一瞬で天井がなくなった・・・。
僕の階は4階で被害があるとすれば、屋上にいた生徒くらいだった。
『お兄ちゃん見っけ!』
ズムッと巨大な指が僕を摘み上げた。
指の幅だけで7mはある・・・。
気が付けば、手の平にいた。カンナの左手だ。
『お兄ちゃん!もうこの世界は私とお兄ちゃんのものだよ。まずは、学校。こんな建物なんていじめの原因だね。』
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
妹が立ち上がると、凄まじいGに襲われた。妹は平然と立ち上がっているのに・・・。
『えへへ~。踏み潰しちゃんだから!』
ズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン・・・・・。
指の間から地面にあった学校が見えた。
学校は、カンナの大きな足によって踏み潰されてしまったのも見えた・・・。
『お兄ちゃん!これから世界を破壊するからね。』
カンナは地面にある街や生きている人を気にせずに待ちの中心部へと向かっていった・・・。
つづく