ズウウウウウウウウウウウン・・・ズウウウウウウウウウウウン・・・

「しまった・・・。来たぞ。散るんだ!」

僕らはリーダーの言うとおり、散らばる。
相手は自分たちの1000倍はあり自分と同じくらいの年の女の子たちだ。

『ふー疲れたー。』

僕らでは、絶対に開くことの出来ない扉が軽々と開かれる。
そして女の子たちがぞろぞろと入ってくる。ここは、バレー部専用の部室だ。

『ん?何かいるわよ。』

『きゃー。小人だわ!』

1人・・・また1人と女の子たちに見つかっていき、踏み潰されていく。

「わあああああ!!」

『死ね!!』

ズウウウウウウウウウウン・・・。

僕が見える範囲内で仲間が踏み潰された。
白いスポーツ用の靴下は部活後なので相当汗で湿っているだろう。靴下に近づいただけで死んでしまうかもしれない。

「はぁはぁ・・・。」

ドスッ!!

何かに当たった。
僕は尻餅をついてしまった・・・。
見上げるとそれは巨大な女の子だった。

『小人さん・・・。』

しかし、彼女は僕を踏み潰す殺気すらなかった。

『ホノカ?足元に小人いるけど?潰さないの?』

『えっ!でも・・・小人さんが可愛そうだよ・・・。』

『じゃあ、私が変わりに踏み潰すよ!!』

ズンズンと地面が揺れ、もう1人の女の子が向かってきた。
足を上げようとした時、

『や、やっぱり潰す。』

と言い、200メートルを超える靴下に包まれた足が僕を踏んだ。

『どう?潰した感覚は?』

『う・・・うん。ぷちっ!って感触だったわ。』

『フフフ・・・。みんなのお陰で小人たちは全滅ね。着替えましょう。』

何事もなかったかのように、10人以上いるバレー部は着替えを始めた。
生存者は・・・・・僕だけだった。
なぜなら僕を踏んだ女の子は踏み潰してはいなかったのだ。
足の指の付け根にある小さな隙間に僕はいた。これは多分、彼女の意志だと思う。

バレー部が部室から出て行き、残ったのは彼女だけだった。
そのころ僕は、足のあまりの臭いで気を失っていた。

『ああ・・・。ごめんね、小人さん・・・。でも大丈夫。私が保護してあげるわ。』

僕にまだ意識があることが分かり、彼女は僕を胸ポケットに入れた。


つづく