<登場人物>

・タカナ ナオキ
 19歳 大学1年生
 身長 155cm
 体重 48kg 

・タカスギ カエデ
 20歳 大学2年生
身長 205cm
 体重 90kg





・・・









 高校を卒業し、一人暮らしを始めた。
体の小さい僕は、高校までまともな友達もいなく、いつも一人だったから一人暮らしに不安などなかった。
3階建てのアパート。3階の端から2番の1Kの部屋。最近作られたこのアパートは、とてもきれいな割に安かった。

 早速、隣に住む人に挨拶くらいはと、お菓子を持って行った。
一番端に住む人・・・。タカスギ・・・カエデと書いてあった。女性が住んでいると分かって少し嬉しい。

ピンポーン・・・

インターフォンを鳴らし、呼びかけると、ドアの鍵が開いた。
そこまではよかった。しかし、中から出てきた女性は、ドアよりも大きく、僕は大きく見上げてしまった・・・。

カエデ『はい・・・。』

ナオキ「あ、あの・・・隣に越してきたタナカ ナオキです・・・。詰まらないものですが、
    お菓子を・・・。」

あまりの大きさに、手が震えている。
ドアが完全に開き、彼女の全体が映った。
僕の頭の高さが彼女の胸の下あたりだ・・・。

カエデ『わざわざ、ありがとうございます。』

大きな手で受け取った。

カエデ『ちなみに、隣の隣の部屋には誰もいません。私たちはお互いに、隣人さんですね。』

にっこりと笑った顔が可愛かった。

ナオキ「あ、そうなんですか。よろしくお願いします。」

カエデ『今、お幾つですか?』

ナオキ「18です。大学に入るとと同時に、一人暮らしを・・・。」

カエデ『そうなんですか。私は19歳で、大学2年です。こんなに背が高いから通学以外、ほとんど家を出ません。』

ナオキ「・・・。」

カエデ『とても可愛らしい隣人さんが来て嬉しいです。』

ナオキ「ありがとうございます。そ、それでは。」

一礼して、自分の部屋に戻った。
僕の心拍数が上がってる。女性の前であんなにドキドキしたことはない。
もしかして・・・。いや・・・。












 半年がたち、一人暮らしにも慣れたころ、ちょっとしたアクシデントから僕と彼女の関係が一気に縮まる

それは大学から帰った時のこと。
午後の6時まで授業があった僕は、帰りにコンビニで弁当を買って部屋に着いた。
鍵がない・・・。落としたのか置いてきたのか・・・。家に入れない・・・。

バックの中を徹底的に調べてもなかった。

コツコツコツ・・・

誰かが階段を上ってきている・・・。こんな姿を見られたら恥ずかしい。僕は無いと分かっているのに、探しているふりをした。

カエデ『あら?ナオキさん。』

階段を上っていたのは彼女だった。

ナオキ「カ、カエデさん。」

カエデ『鍵、無いのですか?』

ナオキ「はい・・・どこかに落としてしまって・・・。」

カエデ『新しいカギを貰うには大家さんに電話しないと・・・。でも今日はお出かけする日だったから・・・。
    今日はもう遅いので良かったら私の部屋で過ごしますか?』

ナオキ「え!?いや・・・いいんですか?」

カエデ『2人くらいは入れるし、問題ないですよ。』

彼女は笑顔だった。
僕は立ち上がり、頭を下げて言った。

ナオキ「そうさせてください。」

カエデ『え・・・頭を下げることないです。』

彼女は、カバンから鍵を取り出し、僕の腕をつかみ、部屋に入れた。
女の子っぽい香り。部屋はきれいに片づけられていた。

ナオキ「お邪魔します・・・。」

カエデ『どうぞ。』

彼女が先に上がり、僕は後に続いた。
靴を見たとき、彼女の靴は30cmよりも大きいような気がした。

彼女は、僕のために座椅子を押し入れから出し、座るように促した。
彼女サイズに作られた特注品らしい。大きいけど、座り心地はいい。

カエデ『持っている袋は何ですか?』

ナオキ「これは、今日食べようと思った夕飯のコンビニ弁当です。」

カエデ『貸してください。それを使って夕飯を作りますから。』

ナオキ「僕はこれでいいんですよ?」

カエデ『コンビニ弁当なんて、体に悪いです。』

彼女は怒ったように言った。
彼女が怖く感じたので、僕は中身を渡した。
待つこと20分・・・。キッチンで料理する彼女はサイズが合わないのか窮屈に感じる。

カエデ『お待たせしました。一緒に食べましょう。』

炊いた白米と、みそ汁、弁当に入っていたチーズハンバーグに手作りのタレを掛けて、
ハンバーグの3倍の面積のサラダ。

ナオキ「こっちに来て、ちゃんとした食事はしていなかったです。」

カエデ『そう・・・。でもこの機会に食べて。ナオキさんは、とても可愛いからいつか食事に招待しようとしたのだけど、
    都合が合わなくて・・・。』

ナオキ「そうなんですか・・・。ぱくっ!おいしいです。」

カエデ『良かった!』

食事中、彼女と大学の話や、過去の話をしたりした。

ナオキ「あの・・・身長はいくつですか?」

カエデ『ナオキさんだけには本当のことを教えてあげましょう。私は205cmあります。』

ナオキ「お、大きいですね。僕は155cmなので、50cmの差がありますね・・・。」

カエデ『私は身長のことを聞かれるのが小さいころから大っ嫌いで、身長を聞く人を叩いたりしていました。
    一人暮らしをしたり理由は、あまり知られたくないからです。でも、ナオキさんは
    なんか特別な感じです。初めて見た時から・・・。』

ナオキ「僕も初めて会った時から実はドキドキしています・・・。」

カエデ『お互い・・・好きなのかな・・・。』

彼女と僕の顔は真っ赤になった。身長差50cmあるのに。

ナオキ「あ、あの・・・ごちそうさまでした。」

僕は彼女の分も食器を片して、流しで洗った。
彼女は僕を止めることなく、座りながら見つめていた。




夜10時・・・。
それまであまり話さなかった。

カエデ『布団が一つしかないんです。だから私は床で寝ますからどうぞ使ってください。』

ナオキ「いや、ここはカエデさんの部屋なんだからカエデさんが寝てください。」

カエデ『・・・分かりました。風邪をひかないよう、バスタオルをかけてください。』

バスタオルを持ってきた彼女は僕に渡し、彼女は浴室で着替えていた。
ピンク色の上下のパジャマに着替えてきた彼女は、押し入れから大きな布団を出し、床に敷いた。



カエデ『では、お休みなさい。』

ナオキ「お休みです。」

2人が寝れる体勢になると、リモコンで消灯した。



ナオキ「寒いな・・・。」

僕の些細な声を聞いたのか彼女が暗闇の中立ち上がったと思うと、僕を持ち上げ、
自分の布団に入れて彼女も布団に入った。

カエデ『これなら暖かいでしょ?』

ナオキ「カエデさん?」

カエデ『本当はこうして寝たかったの。ごめんね。』

彼女は、僕の体をギュッと抱きしめた。
彼女の胸が柔らかく、脚で僕の脚に絡めて逃げないようにした。
当然、僕は逃げる気もないのに。

カエデ『ちょっと考えたんだけど、2人暮らししない?』

ナオキ「はい・・・。」

彼女の香りのする布団で、彼女と一緒に一晩過ごした。





 朝起きると、彼女は朝ごはんの支度をしていた。

カエデ『あら、おはよう。』

ナオキ「おはよう。なんか夢を見ていたいようだ。」

カエデ『なんの夢かしら?』

ナオキ「カエデと初めて過ごした一晩の時の夢を。」

カエデ『ああ、あの時はとても恥ずかしかったわ。今と身長が変わらないあなたと過ごしたものね。』

ナオキ「身長の悪口は言うな!!」

僕は寝起きにもかかわらず、起き上がり、朝ごはんを作っている彼女に突進した。
僕の体は跳ね返され、彼女はビクともしなかった。

カエデ『ああ。私に突進しないでって言ったのに~』

この時、僕は25歳。近所のカフェでアルバイトしている。
彼女は210cmという長身でモデルをやっている。



おわり