『休暇中はどこへ行くつもりなんだ?』

「日本です!調査しているうちに観光をしたくなってしまって・・・。」

『そうか。戻るべき日に戻れば何の文句も無い。楽しめ!』

「ありがとうございます!」

日本か・・・。どこを観光しようかしら?都会がいいわね。





日本。
1分の1サイズで入国し観光を始める。
私は服が好きなので服を売っている店に入ってみる。
いろいろな種類があるわ。ピンクの可愛い上着から、おしゃれなパンツまで!
なんてステキな国なのかしら。

「ちょっと失礼!」

何よ!折角人が選んでいる最中にこんな狭い道を通るなんて・・・。遠回りしていきなさいよ。
ん?見たことがある顔だわ。たしか、TKS社の女社長・・・だわ。
すぐに持っている端末で確認すると同一人物だった。
これは、尾行しようと思い後ろをついて行く。
向かった場所はトイレ。
個室に入った。なのでその隣の個室に入り、小さくなって壁の下の隙間から女社長がいる個室へと侵入する。
私のサイズは100万分の1。人間にはすぐには見えないしゴミに見えるので心配ない。
床にいると踏み潰されてしまうかもしれないので、この巨体を登ることにした。
いつもやっているし、訓練もしているので問題はない!
しかも、顔を見ていると、相当踏ん張っている気がする。まだトイレにいると言う事なのでゆっくり登れば長い髪に移れる距離まで行ける。
1分後、髪の先に掴まり、女社長が立ち上がる。ちょっと髪が揺れるだけでも私にとってはブランコ以上に振り回されている。掴まっていないと落ちてしまう。
何とか掴まりながら辿り着いた場所は、この社長の日本にある別荘だ。
高級マンションに住んでいるらしい。

部屋に入った。さすが高級マンション・・・。
しばらく歩くと、女社長の部屋っぽいところに入り、女社長は椅子に座りパソコンを開いた。
パソコンを見たいため、ちょっと登りパソコンの見える位置まで移動する。
でも、髪の上はなんとなく危険な感じがしたので、机に触れている髪をつたって机に移動した。
この間に女社長はパソコンを見ながら笑っていた。
何を見ているのかと言うと、私の情報だった。
その顔写真をコピーしている。そして、メールに貼り付けている。
もしかして、私の処分を考えているのではないかな。誰かが私は自由にサイズを変えられることを掴んで邪魔だから消す。と、考えているかもしれない。
そうしてら買い物も出来ないじゃない!
我々の会社にもあるが、1億分の1サイズの注射でも1分の1サイズの人間を殺せる液体がある。
全く知らぬ間に殺されるのは嫌だわ。今すぐ取り消さないと・・・。
どうしようかと考えていると、女社長の携帯が鳴り響き、それを取り、部屋を出て行った。
盗聴を気にしているのだろう。
ここでチャンス!100分の1になり、送信取り消しと、私の情報を削除する行動に移る。
でかいキーボードを1つずつ押していき、やっとの思いでミッションを完了した。

ガチャ!

するとちょうど帰ってきた女社長に見られてしまった。

『きゃ!虫!私の机を汚すな!』

巨大な指が舞い降りてきて瞬時に1億分の1になる。指紋の間に入り潰れなかったが、

『もしかして小さくなれる虫かしら?潰した感触が無いからね。ここらへん?』

ズウウウウウウウウウウンン・・・・。

手が振ってきた。急いで逃げないと死ぬかもしれない。
でも、虫と勘違いしてくれて良かった!

『あれ?あいつのデータが・・・。』

どうやら気付いたらしく、パソコンを見る。虫潰しはもう終わっている。




女社長の家を出て人目のつかない場所で1分の1に戻る。
戻った後、しばらく歩いていると犬を見つけた。散歩をしている。
そう言えば以前犬が私になついていた。
私は犬を見たいのでペットショップに行く事にした。

着くと、10匹くらいの犬が檻にいた。
そこで私は、小さくなり檻の中に入った。
犬は感じたらしく、こっちを向いて立ち上がりさらに私のそばで寝転がった。

クウウウウウウウウウン・・・。

なんて可愛いのだ・・・。あの時と一緒だわ。犬と私は心が通じ合っているみたい!

他の犬も見てみたいので、1階檻を出て隣の檻に入る。
こちらも先程と同様に同じなつき方をしてきたわ。

また、他の犬は、人が見ていると私の前に立ち大きく吠えていた。私を守っているみたいに感じた。

どの犬も欲しくなってきたが、一気に買うのは止めておこう。なので1番最初にみた白い犬にしよう。種類はわからないがオオカミみたい。
また檻の中に入り、近づく。私はこのふわふわの毛の中に行きたいと思い、毛の中に入る。
犬は私のことを賢そうにずっと見ている。
やっぱりふわふわだわ。毛1本1本は太くても軟らかく感じる。

ズズズズズズズズ・・・・

何の音?後ろを振り向くと奴がいた。犬には絶対にいるノミだわ!
ノミに食われるのは嫌だと思い逃げようとするも4匹に囲まれていた。
すると突然影に包まれた。

ズズズズズズズズ・・・・プチプチプチプチ・・・。

大きなものが去った後ノミは全部潰されていた。
その大きなものはこの犬の前足。私を助けてくれた。ノミがいるからずっと見ていてくれたのかしら。で、ノミがいたら排除する。なんて優しい犬なのでしょう!
この犬を飼いたいわ。

大きくなりこの犬を買う。
犬はすぐに体を預けてきた。
立つと私の腰くらいの大きさ。結構大きい方だわね。






『何でわしの部屋に犬が!?』

私の犬は、机に前足を掛けて立ち、机の上にあった私用のマイクを口で銜え、社長に渡した。

『え?マイク?ん?この小さい粒見たいのが・・・。』

社長は私に見事に気が付きマイクを向けた。

「社長犬です!犬ですよ!今日からいつでもどこでもパートナーです!」

社長はまったくと言った顔だったが、気にしないで家に帰った。





私の能力で犬も縮めることが出来るのを知った。
なんというか可愛すぎて、毛のノミを排除したのを確認したうえで、毛の森に入り、この犬と散歩する。
時には、肉きゅう登りをしたりして楽しい休暇を過ごした。



おわり