新しい作品です。




 とある夜。1人の女子高校生が転落死した。
雨で視界が悪く、滝の音がしたため、歩いていくと、そこは崖でそのまま落ちた。
この女子高校生には、両親はいなく、祖父母と、暮らしていたが、ついこの間2人とも亡くなった。
その女子高校生の家が、僕の目の前のアパート。いつも、顔を合わせていたし、遊んだりもした。
僕より1つ年上なのに、敬語を使う心優しい人だ。高校も一緒のところで、成績も優秀。
今日は学校に言ったら、その子のことで話題になっていた。

「3年の女子が転落死したらしいぜ。」

「死んじゃったのはかわいそうだな。」

男女問わず、その話。この学校で1番悲しいのは僕だ。卒業したら、一緒に暮らせるかも、って、言われた。
僕にも、両親はいない。と、言うか自立した。だから、連絡も取っていない。高校2年生の中で1人暮らししているのは僕だけだ。

「おい!コウタ!ニュース見たか?転落死の。お前の仲のいい女子先輩だろ?」

「うるさいな。そうだけど。」

「かわいそうにな。ほぼ毎日お前が笑顔で帰っていたもんな。」

友達の話を聞きながら、窓を見る。外は、雨。雲が厚く太陽光が差し込んでこなく、薄暗い。

「ん?」

「どうした?コウタ?」

「あれなんだ?」

「あれって?」

「あれだよ!」

僕は見える。遠くのほうで、人がいるのを。しかも凄い大きい。服を着ている。それが僕にはっきりと見える。友達にも見えているはずだ。

「見えるだろ!大きい人がいるのを。」

「お前大丈夫か?何もいないぞ。きっと、疲れているんだよ。先輩が亡くなったしな・・・。ゆっくり休めよ。」

友達は去っていった。
まだいる。!。歩いてきた。こっちに。近づくにつれそれが、女の人だと分かる。僕は、急いで傘を持ち、屋上に行く。
雨は小降り。屋上には誰もいない。巨大な人はこっちにどんどん向かってくる。

雨の音の中、それを見た。それは、死んだ女子高校生ミユキちゃんにそっくりだ。


つづく