24日の夜、俺が起きていると、開いてないはずの窓からサンタの格好をした女性が部屋に入ってきた。
「な、なんだお前?」
「はーい、私はね、サンタさんだよー。君の欲しいものは何?」
(サンタ?嘘だろ、適当なことを言ってみるか)
「そうだな、じゃあ君が欲しいかな」
そういうと、サンタさんは顔を真っ赤にして手をぶんぶんと振った。
「そ、そんなのだめですよ!そんな悪い事いう子にはお仕置きです!」
サンタさんはそういうと俺に向かって何かを唱えた。
すると、俺の意識は途絶えてしまった。
・・・
同じ日の夜、先程の男の子と同じぐらい年の女の子の家
その女の子も起きていた。
サンタの格好の女性はまたも開いていない窓から女の子の部屋に入り込んだ。
「はーい、メリークリスマース。」
「え、何、あなた誰!?」
「私はね、サンタさんだよー。君の欲しいもの何?」
「私?私はね・・・彼氏が欲しいかな?」
「・・・どんな大きさでも?」
サンタの目が怪しく光る。
女の子はその問いの意味がよく分からなかった。
「ま、まあ。彼氏になれる人ならば誰でも・・・いい、かな」
(自分で頼んでおきながら言うのも何だけど、恥ずかしいこと言っちゃった。でも、無理だよね)
顔を真っ赤にしながら女の子は言う。
「オッケーオッケーいいよいいよ!!ちょうどい・・・、君にぴったりの彼氏がいるよー!」
サンタさんはどこからか出した白い袋の中をあさり、白い箱を出した。
「箱?」
「そう、この中に君が驚く彼氏がいるんだよ!」
女の子は渡された白い箱を不思議そうにみる。
「それはね、もう君だけの彼氏だから君の好きにするといいよ!じゃあね!」
サンタさんは女の子にそう言うと入ってきた窓から開けるそぶりも見せずに出て行った。
あっけにとられていた女の子は急いで窓に近寄るが先程のサンタ服の女性の姿は見当たらなかった。
急にいなくなったサンタさんを不思議に思いながら、女の子は白い箱を見回す。
「まさかフィギュアだったりしてね、それなら納得でき・・・、何これ?」
箱を開けた中にいたのはなんと小さくなった男の子だった。
「ん、ふわぁ~、さっきのは夢だったかな」
さっきまで寝ていた男の子は何事もなかったかのように起きた。
「しかし、ここは・・・、って、うわっ、なんだお前!?でかっ!?」
男の子は女の子をみるなり、驚いた。
(何、この小さな男の子。私をみて驚いたの?可愛い)
「私、私はミホよ。あなたは?」
「お、俺か?ま、まあ俺の名前はエタカだ。じゃなくて、何この状況、何で俺はこんな大きな箱の中に入ってたんだ!?」
「それはね、今日からあなたは私の彼氏になるからなの」
「は?何それ、何で急にそうなるんだよ」
(訳が分からない。あの女に急に変なことを聞かれて答えたらこんなことになるなんて誰が予想できるかよ)
「よろしくね!」
(だけどまあ、こんな大きな女子にこんな笑顔で見られたらまあ、多少のことはいいか)
「ま、まあよろしく・・・」

奇妙なことで一緒になった二人がいる部屋の窓から見える月にはトナカイを連れたサンタが飛んでいた。