魔物学園の学舎内自室。
布団の湿気も夜の闇にほとほと散って…
うつらうつらと眠気が頭に刺し迫った幾許か。

キィ…と一筋の寒気と共にドアが開き
夜に紛れた来訪者が訪れた。
ひどく眠たかった自分はその来訪者を認知すれども、

しかして睡魔が「どうでもいいんじゃないか?」と囁き体を起こせない。
泥棒…ではないと思うが、やはり気になる。

けれども…眠い、まぶたも重い。
となると聴覚だろう

すぅー…っと吸って、はぁー…っと吐いて
呼吸音を整え耳をすます。
一拍呼吸を止めて…聞こえたのは…

微かにすれこすれる羽音…
舞い散る鱗粉(リンプン)の砂塵の音…
あぁ…これは、妖精だと合点した。

おそらく屋根裏の妖精達の一匹だろう、たまに勝手に潜り込むのだ。
シャラ…シャラ…と妖精特有の鱗粉音。

その音もグングンと大きく…
呼吸音が聞こえるほど…近付いて来て…。
『おきてますか~』と、囁いた。


耳に直接声をかけられたのだ、少し…こそばゆい。
が、しかし…ここで反応してしまうと…
イタズラっ気な妖精の遊びに巻き込まれそうな気がしてならない。

それに…囁かれて気付いたがこれは同じクラスの小悪魔的な妖精である。
ならば、ここは関わらぬのが吉か。

こちらは布団に身体を全身突っ込んだ身、
可哀想だが睡魔には勝てぬのでここは狸寝入りを決めさせて頂こう。

『よしよし…ちゃんと寝てるみたいね…』

おや?
どうやらこちらが寝てる方が都合が良いらしい。
とすると何なんだろうか?少し好奇心が眠気を晴らす。

けれども…狸寝入りをした手前、今さら体を起こすわけにもいかず…。
耳をすましていると…
ふにっ…と何かが…片手の人差し指に当たり…じんわりと温まる。

…なんだろうこれは。
触って…確かめはできないか。バレてしまう。

また、グッと今度は両側から挟む感触…
次に、ペチペチ…と………そうか、肌と肌が重なる感触がする。

あぁ…するとなんだか分かって来たぞ…
腹のふにっ…とした感触…
太ももでグッと挟む感触…
足でペタッと固定する感触…

この妖精は…指を跨(また)いでいるのではないか?…と。
すると…ズリ…ズリ…と…指を跨いで…抱えて…動き出した。

小さい体を…押し付ける様に…
小さな身体には不釣り合いな…
豊満な胸を押し当て…グッと…前に…のけぞり…

小指にも満たない太ももで…
貼り付き…尻を支えに…後ろに…屈む…
それの、それの繰り返しだった。

関節を狙って…
股を擦り付ける様に前後運動…
関節の骨がちょうど良い硬さをしているのだろう…。
ぱんっ…ぱんっ…と指の皮膚と尻を擦り合わせながら…。

妖精が…自慰をし始めた。



いや…。いや…。
いや、人の体でなにをしているんだこいつ…。

確かに…人外は発情し人間に性欲をぶつける時もあり…。
自分の周りでも静めてあげたという話も聞いた事があるが…。
まさか、自分の指が使われるとは思わなかった。

どうしようか…妖精とはいえ同じクラスのクラスメイト。
ここで起きて、痴態を知ったとバレてしまっては少し気まずくなってしまいそうだ。

あぁ…とすると寝たふりし続けるか。
幸いあちらも今は指に擦り付けるだけで済んでるので特に支障は無い。
………せいぜい人差し指がぬるぬるになってきているくらいか。


すると…気分が落ち着いて来た。
ただ我慢したらいいと分かったからか、どうにも気が抜ける。
性欲をぶつけられた時はどうなるかと思ったが、

妖精並のサイズなら問題は無い。
犬が人間の指を舐めるようなものだ、
チロリチロリとぬたる感触は気持ち良い…かな?


グッグッ…グイッ…と、
人差し指への泥愛もぬかるみを過ぎ、ピクッと体が跳ねた頃だ。
…イッたのだろうか?

身体を支えていた腰も股も腕も太もももダラリと垂れて、
チリチリと羽をこすり合わせ人差し指にすがるよう余韻に浸っている…
あぁ…やっと終わったか…
巻きこまれた側だが…少し…愛着を持ち始めていた気はあった。

けれども夜は更けて行くもの。
さて、それではお開きか…と、そんな心境で…あった。

しかしだ、この妖精は…。
『あぁ…小さくなっちゃう…』と、ポツリ…つぶやいたかと思えば…。
チリ…チリ…と…羽をこすり合わせたのだ。

すると…。
ふわり…まぶたの奥から光源が湧いて来る。

淡く…散発的に…チリ…チリ…と温く暖かく…身体に融けて…。
つー…と、布団の空気が身体に乗っかり…敷き布団へと押し付ける。
重くはないが…けれども押し返すには少々力が必要な圧迫感を感じる。


するとだ、
手の平にぶにっとしたものが乗っかった。
肉まんほどに広がった蒸れた双丘の肉…
手の平にとぷとぷと垂れる粘つく何か。

言うまでもなく妖精の身体であった。
大きくなった?いや違う。
確か、妖精の魔法であったハズだ。
『気に入った相手を小さくして持ち帰る』その魔法、縮小化魔法である。
話には聞いていたが本当に人間を小さくするとは恐れ入った。

いやそれどころではない!
『小さくしたい』と本能が望み魔力が漏れ出たのだ、
この妖精の性欲は未だ満たされておらず…『小さくして』何かをしたいと思っている…!


『あ…あぁ…小さくしちゃった…ごめんね…ごめんね…』
と、謝罪しながらも…ズルズルと…
腕に手をかけ跨(また)がり這いずり…反転、
今度は手首のくるぶし目掛けて腰を下ろして来た…!

なんと図々しい…!
そんな気持ちも露(つゆ)知らず、
どっこらしょっと、
グッと上げた腰を打ち付け、
たぷ…たぷ…とピストン運動、ここまでは前と同じ。

けれども今度は腰を振るごとに漏れ出る妖精の羽の鱗粉がチリ…チリ…舞い…
ひと擦り…ふた擦り…
擦られるたび…熱を帯びた箇所から身長が小さくなって行く感覚を感じる…!

腕を跨ぐ感触から…
ギュッギュッっと抱き枕に下腹部を押し当てる感触…
ビクッといったかと思えば、溶けるように背が縮み…
ついには腕が妖精の尻の肉に埋まる大きさまで…小さくなって行き…
『あはっ…♡あぁ…私と同じ身長になっちゃったね…』
と、妖精の支配する世界まで来てしまった。


こうにもなると、今まで感じていた布団の感触はもはや無く…
ただ、体液で蒸れた布を背に、ドーム型に反響する妖精の声と熱を受けるばかり。
むらむらと布団内を蒸し暑くしているのは今まで大きかった自分の体温か、妖精の厚みか。

いつの間にか、妖精から逆転される立場になってしまった。
ジワリ…と、冷や汗が滲み出る。
初めて訪れた小さな世界、布団の中、
今はまだ布団の中で安心できているが…外の世界はどうなっているか?と考えると…
矮小なこの身の上ではあまりに過酷で…無性に妖精に縋り付く他、道は無い。

けれども…
『私…ね、私…ここから更に小さくするのが好きなの…ゴメンね…』
あまりに一方的な縮小宣言。


もはやこれ以上なにをするか、
ぽっと想像を膨らませるだけで呑まれてしまいそうになる。

抵抗するか、
いや、小人が妖精に勝てるものか。
妖精の自慰が終わるまで耐えなければ。



妖精が………自慰を始めだした。
使うは勿論ここまで愛用品としてきた人間の手。

つっ………と、位置を確かめるよう…手の指を導き…
ねばつく粘液が滴る下の口へと突っ込んだ…。
こちらの…指を…くるぶしを…手を…ねばつく粘液洞窟へと入れる入れる…。

手をすっぽり納められてふと、と気付く。
元々妖精は人間の精を受け入れる為に身体が尋常に無いほど柔らかく…
妖精の身長大ほどの人間のモノを納めるそれはまさにオナホ妖精とも言わしめるほど…。
ならば…妖精の身長ほどの人間も納められるのではないか…?

予感は的中した。
手を呑み込み…腕をすすり…関節も呑み込まれ…
最早腕が丸々呑まれるのも秒読み段階。


このままではマズイ…!
と、寝返りをうつフリをして引き抜いてみる…!
慎重に…起きているとバレずに…ぬるりと下の口から引き抜く…。
寝返りが露骨過ぎて気付かれないだろうか?

しかし妖精はというと、
たん…たん…と下の口に含んだ腕に腰を振るのに夢中で気付きそうにもない…
今がチャンスだ…!

ぬるり…ぬるりと…引き抜く腕を
たん…たん…離さまじと腰を押し付け自慰の玩具にする妖精。
鱗粉もちらちら降りかかり少し…少しずつと身体が小さくなっていく…と、

もちろん抵抗する力も弱くなるわけで…
さらに妖精は『食べ頃か』となった小人の肩を掴み…無理矢理入れようと捕食しに来る…!

これ以上は無理だ…!
思わず腕を肉壁に押し付け、グッと力を入れて反動で引き抜く…!

けれども妖精の絶頂の方が早かったみたいだ。
肉壁をグッと押したのが悪かったかそこが絶頂のポイントだったらしく
妖精はビクッと一瞬跳ねた後、腕をきゅーっと咥え込む。

妖精による縮小の最終目標は子宮内に人間を挿入する為の縮小だという。
その、子宮へと収めるものを、収める為の収縮が始まった。
…絶頂により魔力が増したのだろう一際(ひときわ)輝いた鱗粉が降りかかり…

視界がぐらりと歪んで空気がグワッと大きく広がり
布団に埋もれ、もちろん妖精も大きくなる。
「あ、あははっ…ちっちゃく…今日もちっちゃくしちゃった…」

空から言葉が降り掛かってくる。
元は布団を被って寝ていたのに、今では洞窟のように妖精の声が反響し
この身を震わせ…何も見ずとも自分の小ささがありありと理解させられた。

あぁ…しまった…これではもう、なにも抵抗できないぞ…
不安2割、期待8割でただただ妖精の自慰を聞くだけの時間。
今か今かとしかと掴まれ挿入される覚悟でいたのだが…どうにも動きが無い。


くち…くち…と粘液を練る音は聞こえども…こちらに何かするでもなく…
くちゅっ…と、一際淫靡な音が流れたと思えば『は〜っ』と長いため息が吹きかけられ…

薄目を開けると…ティッシュに擦り付け、事が済んだというように
余韻を残しながらだらだらと着替える妖精の姿があった。
気怠そうに使用済みのティッシュを
ベッド横のゴミ箱へと足蹴に蹴り捨て四つん這いの姿勢で欠伸を呑む。

「今日もごめんね、また使わせてね」
と、ひとこと添えてちゅっと、
ほほにくちびるが添えられ…ピューっと飛び去ってしまった。

え…これで終わりなのか…?
抑えられぬ気持ちで布団洞窟を抜け顔を出すと…そこには巨人の世界があった。

妖精の甘爪程度の小人サイズから見た巨人の世界。
布団の外は暗く…冷たく…
ドアの隙間から溢れる光からは…ギシリ…ギシリ…と
巨大な影と廊下を歩く音が聞こえるのみ。

思わず布団に籠もり直した。

けれども布団洞窟の中も、妖精という巨人の爪痕を残していて…
汗と愛液が湿度を底上げ…尻の形にへこんだクレーターからは
確かな体温の残り香がありありと感じられた。

最初は尻の形の縁(ふち)に沿って、冷えた身体を暖かい場所まで動かしていたのだが、
なんせ薄暗い布団の中だ。
足を踏み外しコロッと転げ落ち…モロに妖精の体温に包まれてしまった。

むっと冷えた体が溶け出し、体をひろげ五体を巨大な尻と比べると
どうにも情欲が湧いてくる。

く、くそっ…!
なんだよ…!人の事勝手に玩具に使っておいて満足したらポイかよっ…!
くそっ…くそっ…!だったら俺もお前を使ってやるよ…!

まだ体温が十分に残る布団に顔をこすり合わせ、
ぐーっと手を伸ばしたり…引き寄せたり…
自分とへこんだクレーターの大きさを比較して…
あぁ…あそこで踏まれてたらここまで圧迫されてたのだろうなと腰を押し付ける。

小人にとってはあまりにも凍える寒空の下、
布団に呑まれて小時間、
ゴミ箱には生温かなティッシュがあり、身体を堕とすにはそう時間がかからなかった。