※真剣で私に恋しなさい!の二次創作となります。
 ネタバレが含まれる可能性がありますので、回覧される際はご注意ください。



















―秘密基地 PM:5:00―

「暇だーあぁ暇だー……暇だーーーっ!」
秘密基地のソファーを占領している女性が、その細い腕からは想像できない程の力でクッションを引きちぎる。
その拍子に、特徴的な大きな胸が揺れる。
退屈そうにしている、長髪の黒髪を持つこの女性の名を川神百代という。
武家の跡取り娘であり、圧倒的な戦闘力を持つ故に世界各国に名を轟かせている彼女なら
クッションなど豆腐程度にしか感じられないかもしれない。
「お姉様ー?モノは大事にって大和がいってたわよー?」
ダンベルを両手に持ち上げ、ソファーの隣でトレーニングを続ける少女が思い出したように話す。
外見は茶髪でポニーテールをしている。これまた細身な身体をしているが、トレーニングに使用しているダンベルには20kgと刻まれている。
名を川神和一子という。風見ファミリーと呼ばれる幼馴染からマスコットキャラとして愛され
クラスでも同様に愛されている。ちなみにあだ名はワン子。

「可愛い妹よ。時に退屈はどんなことよりも優先してでも消化されないといけない…多分」
適当に返事をしつつ、再びソファーに横になる。
「可愛い舎弟もモロ、キャップと用事、京は部活、クリやまゆっちも帰郷中だしなぁ。ん?誰か忘れてる気がするが別に問題ないだろう」
どこかで筋肉隆々とした少年が、泣きながらくしゃみをした。
「あぁ"-可愛い女の子とイチャイチャしたいぞーー!」
ついには、手足をバタバタさせつつ駄々をこね始める。
「お姉さまー退屈なら特訓につきあってー」
トレーニングを終えた一子が、遊んで欲しい犬のように百代の周りをウロウロし始める。
「んー…まぁ退屈な時間を過ごすよりマシ…か。よし、それじゃあ特別に付き合ってやろー」
「やったー!さすがはお姉様、優しいわぁ」
嬉しそうに抱きついてくる
ソファーから立ち上がる百代
「でもいつも通りじゃちょっと味気ないな…」
できるだけ新鮮で刺激的なものが良い。何かないかと考える。
そしてふと、思い出す
「(そういえば、昨日面白いサイトを見つけたな…。確か巨大な女の子に萌えるというものだったが…)」
ふと一子を見る
「ふむ…よく分からんがやってみるか。ワン子~」
妹に向かっておいでおいでをしてみる
「なぁにー?お姉さま?ひょっとしてお菓子くれるのー?」
犬が嬉しそうに尻尾をパタパタ動かすようにして迫る一子。
「えい」
唐突に一子の背中に回ると、背中を人差し指で軽く押した。
見た目は軽く押したように見えるが、押された一子は勢いよく突き飛ばされたように吹っ飛んでしまう。
そのまま地面に頭から直撃する…かに見えたが、体を一回転させるとストンと綺麗に着地してみせる。
「いたたた…うー…もう特訓は始まっていたのね。油断してたわ…ってあれ?何だか…急に眠たく…なって…すぴー」
そのまま地面に寝てしまう。
「寝たな。それじゃあソファーに移動させてっと」
お姫抱っこをすると、そっとソファーに寝かせてやる。
そして自分も近くにあるもう一つのソファーに横になる
「あとはワン子と手を繋いで…」
片手で一子の手を握り、残った手で一子を押した時と同じ構えを取ると
自分の首を押す
「これで…よし…」
そうして百代は意識を失った。



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『う~ん…まさか不意打ちだなんて』
一子がゆっくりと目を開け、立ち上がる。
『いたたた…一突きあの威力だなんて、さすがお姉様だわ………ってあれ?ここどこ?』
周りを見渡すと見慣れない風景があった。
『うーん…気絶している間にお姉様にどこかへ運ばれたのかしら?でも…お姉様が見当たらないわ』
キョロキョロと辺りを見渡すも姉はいない
『うーん…とりあえず歩いて探してみようかしら』
と一歩踏み出したその時
『うわっ』
何かに足を引っ掛けて転んでしまった
『いたたた…何か引っ掛けちゃったみたい…。うーん…小さくてよくわからなかったけど…
 コレに躓いたみたいね」
とく見ると足元に消しゴムサイズの箱がたくさん落ちているようだった。
先ほど躓い所は積み木を崩した時のように、倒れてしまっている。
『うーん…でもかなり脆いみたいね。倒れるというよりは壊しちゃってるわ
 まぁ、これだけたくさんあるし…ちょっとくらい壊しても大丈夫よね』
ポンポンと埃をはらうように、体操着をたたく。
『うーん…それにしても、この風景…どこかで見たことあるような…どこだっけ…』
首を傾げながら、改めて周りを見渡してみる。
『あっ、あれは小川かしら。少し喉が渇いたから飲んでみようかしら』
そうして小川と思われる場所まで小走りで近づいていく。
その間にある箱は無残にも一子の足によって破壊されていった。
川まで来ると早速両手で水を掬い、口に運ぶ
『コクコク…ぷはぁ…美味しいわぁ。まるで多馬川で飲んだ時みたい』
喉も潤ったところで、ふと近くにある小さなものに気付く
『あはは、こんな小さな川に橋がたってる。でも幅が小さい気がするわ。だって2センチもないもの。
 でも…こんな小さな川に橋だなんて可愛いわ。』
思わずクスリと微笑んでしまう一子
『それにしても…この川といい橋といい、何だかアタシが住んでいる川神市みたいだわ。
 だって、この橋なんか多馬大橋にそっくりだもの』
そうして少し指でつついてみると、すぐに折れてしまった。
『あはは、この橋も脆いのね。うー…でも知らないものを勝手に壊すと大和に
 怒られちゃうわ。これ以上はやめておこうっと』



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一子が橋を壊す数分前―


「うーん…ここは…そうか。成功したのか」
覚醒した百代は街の広場にいた。
「さて、身体的接触をしつつ、気を通じて精神を一時的にリンクさせ、夢の世界に来たわけだが…まさか成功するとはな」
エネルギー砲や爆発、炎を生み出すことなど容易い百代だが
物理的なこと以外で力を使ったことはない。
しかし、今回は上手くいったようだった。
「いやー我ながら人外だなぁ。本当に何でもできそうd…おっと」
突然の地震に思わずよろめく百代。
「大きい地震だったな。…さて、予定通りなら一子がどこかにいるはずだが…………あぁ、居た」
探す必要などなかった。
あれなら、どの場所にいても見つかるだろう。
何故なら、見上げるとそこには1000倍にも巨大化した一子がいたのだから。
『うーん…とりあえず歩いて探してみようかしら』
「……っ!」
瞬間、周辺のビルの窓が割れる。
咄嗟に耳を塞ぐ百代。でなければ鼓膜が破れそうな程の大音量だった。
「まぁ破れても自然回復するからいいか」
とりあえず気を耳に押し込み、耳栓のようにする。
「さて…どれくらいまで大きくすればいいか分からなくて1000倍にしたが…やりすぎたか」
見上げると、一子の健康的な足が二つの巨大な柱となって天を突くように伸び
その先は雲を超えて広大な黒いブルマへと繋がっている。
「それにしても…体操服の状態で来させたのは良かった…!」
一子の美脚がビルを次々となぎ倒し、小さなお尻…といっても今のサイズでは巨大になった尻肉が
雲をかき分けながら遠くへと行っていく。
「ブルマによって強調されたお尻がまた…そして、うっすらと見える恥丘…!
巨大娘フェチ…良い発見をしたかもしれん」
親指を立てた百代は何故か鼻血を出していた


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『うわっ』
ズゥウゥウウウウウウウン
大音量の声も、耳栓のおかげで何とかしているものの
声と同時に起こった地震には驚いた。
どうやら一子が転んだようだった。
転んだ体勢でに姿が見えるのだから、本当にでかいものだと
百代は内心思った。
「さて、一子の一歩は数百mまでになりそうだから、追いかけないと…おっと」
ガララ…という音と共に両側からビルが百代に向かって倒れてくる。
どうやら地震の影響で倒壊したらしい。
「んー…色んなものを破壊したことがあるが、ビルは初めてだなぁ。……はぁあああああ!
 見よう見真似かわかみ波ー!」
 百代の両手に強大なエネルギーが溜り、やがてビーム状となってビルに向かっていく。
 次の瞬間、ビルは粉塵と化して消滅した。
「ふぅ、人は存在しないような夢にしたから、心置きなく壊せるな。
 まぁ夢であろうと人を踏みつぶした、なんて聞いたら一子もショックだろうしな…。
 さて、妹想いな姉のアピールも済んだし一子を追いかけるか」

そうして地面をけると、次の瞬間には倒壊していないビルの屋上へ登っていった。
「おぉ…なんという絶景…」
屋上に辿りつくと、一子がお尻をこちらに向けた状態で転んでいた。
「なんという美尻。さすがは我が妹!ブルマによって強調されるお尻がこんなにもいいとは…!
 そして白い太ももが眩しい…!」
再び親指を立てながら血涙を流す百代であった。


『あっ、あれは小川かしら。少し喉が渇いたから飲んでみようかしら』
ようやく立ち上がった一子が何か見つけたようだった。
「あの方向は…多馬川か。流域面積1240kmの川を小川とは…。っとこのままじゃまた置いてけぼりだな」
目標を定めた一子は一目散に走っていく。
巨大な足に踏まれていくビルには目もくれずに。
一子が走る度に地震が発生したが、百代は怯まずに一子を追いかけて行った。
やがて川に辿りついた一子は、川の水を飲もうと両手に水を掬い始める。
百代はその場所から少し離れた場所で、様子を見ていた。

ザバアァアアアアアアアアアアア
一子の両手から零れ落ちる川水が、滝のように降り注いでいる。
「いや、比喩じゃなくて、あれはもう滝だな。あれほどの量を飲むとは…」
学校のプール10杯分は超えているだろうその量を
一子は美味しそうに飲み干す。
ゴク…ゴク…ゴク…
水を飲み干す音がここまで聞こえてくる。
水の量といい、音といい大迫力の場面だった。
『コクコク…ぷはぁ…美味しいわぁ』
「…くっ…」
ぷはぁと一子が一息ついた瞬間に、猛烈な突風が百代を襲った。
「危うく力も使わずに空を飛ぶところだった…。我が妹ながら恐ろしい…」
何とか地面にへばりつき耐えたものの
数m後退してしまうほどの突風だった。
『まるで多馬川で飲んだ時みたい』
「おっ、珍しく感がいいな。」
『あはは、こんな小さな川に橋がたってる。でも幅が小さい気がするわ。だって2センチもないもの。
 でも…こんな小さな川に橋だなんて可愛いわ。』
そうして橋に近づいていく一子
「結構大きい橋なんだがなぁ…」
ズシンズシンと地面を揺らせながら、橋の前までくる一子
そして何を思ったか、橋を指でつついている。
ズドォオオン…バシャバシャ…
巨大な質量の衝突に耐えきれなかった橋は
無残にも分断され、そのまま重力に従って多馬川へと落ちていった。

『あははっ、この橋も脆いのね。うー…でも知らないものを勝手に壊すと
大和に怒られちゃうわ。これ以上はやめておこうっと』

大和の教育が行き届いていて
姉としては大変感心である。
「そのままくっつけば良いのになぁ…あの二人」
ふと思いにふける姉であった。

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―あとがき―

拙い文章を最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
もし需要があれば他のキャラでも続編を書いていきたいと思っていますので
ご要望や感想があれば、是非掲示板までどうぞ。