※SW調達員を文章にしたものです。駄文注意



俺の職業はSW(縮小女性)調達員。SWをペットとしてお金持ちの依頼に日々応えている。
もちろん違法。それでもこの稼業を続けてるのは、稼ぎがいいのと俺もSWが好きだからだ。
さきほど受信した依頼メールを読む。
差出人は日本の実業家だ
日本の女子大生を指名、反抗的態度から従順になる過程を録画しろというオプション付きだ。
難易度が高い。日本のJDは攫うのに一苦労なんだ。
10年前、この世のあらゆるモノを縮小できる機械が発明された。
詳しくはわからないが、様々な偶然が重なった結果生まれたその物体縮小装置は、科学的技術水準を半世紀以上超えているらしい。
いずれにせよ、現代人の手に余るものだったのだ。
一度縮小したものを元の大きさに戻る方法がないことも含め、機能の凶悪性を恐れた世界各国はこの縮小技術を核の上をいくタブーとして全世界で開発と使用を禁止した。
だが、SWをペットにしたいというお偉いさんや金持ちの欲望は抑えられなかったみたいだ。
俺みたいなやつがいるあたり、SWの存在は政治家や資産家にとって相当お気に入りなんだろう。
今回のターゲットは葉月るり。手にいれた写真を見る。友達とカフェにいる時の写真のようで、可愛らしくピースをしてる。
よく整った顔立ちは大人びているが、完全な大人の女性でではなく、少しの幼さも垣間見える。
綺麗で大きな目をしていて、やや吊り気味、勝ち気な印象を受ける。若々しさのある元気そうな女性。実にに女子大生らしい一枚だ。
彼女の身辺を調査し、入念な誘拐計画を立てる。そして彼女を攫い、苦労して入手した縮小装置で気絶させた彼女を3cmくらいに縮小した――――






―――るり 視点―――





「う…う~ん」
深い眠りから覚める気がした。目を開ける
どれだけ寝ていたんだろ、視界がぼやけてよく見えない。そもそもなんで私寝てたんだっけ


(…………あ!思い出した!大学からの夜の帰り道、突然後ろから身体掴まれて口に何か当てられて……)


急いで自分の胸あたりを触る。


(よ、よかったぁ…服は着たままだ)


目でもしっかりと確認する。知らない男に……ってわけではないと一安心。


(それにしても、いきなり寝かされたってことは誘拐…?じょ、冗談じゃないっ。とりあえずここがどこなのか確認しなきゃ)


こういう時にただ怖がらずに、自分の力でなんとか状況を打破しようとするのは、長所だと思う。
気が強いなんて言われることもあるけど。

ここがどこなのか、把握しようと思って横を向く。と、そこにはあったのは横に大きなテーブル、というか箱のようなもの。
高さは私の腰、横幅はとにかく大きく、10m以上ある。表面は黒く、側面はピンクで塗りつぶされた。なに、これ。
次に前を向くと、赤色の棒に囲まれている巨大な透明の板がある。円形で、私の身長より少し高い。
そして後ろに振り向くとそこには『フルーツガム』と書かれた、私の胸ほどの高さはある箱。見慣れた文字だった。


(ん…これ、いつも見ているような、あ…………このフルーツガム私が好きで、いつも持ち歩いている…あのガム…?にしては大きすぎるような)


嫌な予感がして、前を向く。赤色の棒に囲まれている巨大な透明の板


(これって…もしかして…私のメガネ!?)


嫌な予感を払拭したく、急いで横を向く


(このピンク色…毎日見てる…私の…スマホカバー……もしかして私…小さくなってる?そ、そんな馬鹿な……)


ガチャン!という音が突然した。音の方向をみると、そこには巨大な、超巨大な、人がいた。







―――男性視点―――








別室で飯を食べながらモニタリングをしていたら、彼女が起きたもんだから俺は調教用の部屋に入った。
机の上に散乱した葉月るりの私物。
どの私物よりも小さな女性が真ん中にいる。3cmほどに縮んだ彼女。
こちらを向き、俺を認識した顔は困惑、驚き、恐怖で埋まっていた。

顔を近づける。彼女は逃げるようにこちらを見上げたまま後ずさりする。
更に顔を近づける。彼女さらに後ろに下がる。そして後ろにあったスマートフォンにつまずき


「いたっ」


そのまま画面に背中から倒れる。その様子を見た俺の脳内にいろんな液があふれ出る。
かわいい、たまらない。
身長3cmに満たないその身体のなんと儚く、か弱いことか。
自分が日頃から使っているスマホにつまずいて転んでいるんだ。
身長3cmの女子から発せられる聞こえるか聞こえいか程度の音量の「いたっ」もまたひ弱なでイイ。
本来の大きさであれば液晶が割れてもおかしくない衝撃だが、3cm以下の彼女はスマホに傷ひとつつけられない。
下手すれば、タッチの反応すらしないだろう。

今の彼女は弱い、弱すぎる存在なのだ。
そのか弱い女の子のハムスターよりも小さいその身体は俺に縮められるまで、遊び勉強し恋をして、現代人としての生活を享受してきたれっきもした人間だった。
昨日も、自分で好きな服を選び、化粧をして髪型をセットして、お気に入りのカバンに色々と詰めて家を出たんだろうに。
そんな彼女が今やこのか弱く儚げな存在である事実。
このサイズとなった今やもう

1人では道路ひとつ横断できずに踏まれて死んでしまう。

犬に猫に鳥に、虫に襲われてしまう。

階段ひとつ登れない。

人間ではない、ただの小動物。その事実が縮小女性の人気の秘密なのだろう。

「…また戻ってくる」

小声で彼女にそう告げ、俺は部屋を出た。つくづく俺はこの仕事向いていない





―――るり 視点―――




巨人…大男…そいつは部屋をでていった。
私が後ろずさみながつまずいたのは、目を覚まして最初に確認したテーブルみたいなもの。
やはりこれはどう見ても私のスマートフォンを巨大化したものだ。
黒い表面を包んでいるピンクのスマホカバーは毎日何回も触っているからわかるし、表面の端には見慣れたボタンもある。
周りが大きくなているのかと思ったけど、私の私物も大きいのだから、たぶん私が小さいんだ。
受け入れたくない現実が目の前に広がっていた。


(そうだ!とにかく電話をすればいいかなっ!?)


この状況、現実から逃げるべく、通話という手段を思いつく。
だれかと電話すれば相談すれば助けを求めれば、この状況も解決するかも知れない!体が軽くなり、走ってボタンのほうへ向かった。
スマホにのぼりボタンの上でジャンプする。ピョン!
足からボタンに衝撃を伝え、画面を見る。つかない。もう一回ジャンプする…今度は強めにボタンを踏み込む。つかない。
もっと高く飛べばいいのか?ピョン!……つかない。
十数回飛んで諦めた。スマホから降りて、電源ボタンも押してみようと頑張ったけど、ボタンが固すぎて押せない。
どうやら電話で誰かと連絡をとることはできないみたい。
私は普段こんな質量のあるものを片手でもち、操作していたのか……
私の全体重をかけても押せないボタンを片手で押していた……私が小さくなってる…………という現実が頭に舞い戻ってきた。
この状況に頭を思いっきり悩ませる。
赤色棒に囲まれた透明な板は、私が授業中にかける赤縁のメガネだ。
高価ではないけどデザインが好きでいつも大学へ持っていくお気に入り。
改めて目の前に広がるメガネを見るととにかく大きい。
メガネをみながら
(私の顔って本当はこれくらい大きいんだ…)
と目の大きさ鼻の大きさ顔全体の大きさを意識して今の虫みたいなサイズの自分と比較してしまう。
「フルーツガム」と書かれた箱も、いつも私が持ち歩いているガムだった。
一度にいろんな種類のフルーツ味が楽しめる人気のやつで、週に2,3回は買ってる。
ガムを改めてみると、箱の中に私の身体が余裕で入ってしまう。そもそもガムを噛みちぎることもできないだろう。
メガネとガム、ふたつの所有物を見てると自分の矮小さを痛感してしまう。
そして孤独さも。ホール会場なみに天井が高く、広いこの部屋は私以外だれもいないし静かだ。

だめっ…このままでは
ちっぽけな自分と孤独、不安で押しつぶされる…

目を瞑って現実から逃げようと思った。でも、スマホに座ってる自分をイメージしてしまう。


(……薄さを売りにしていたスマホ、その薄さに座れてしまう身長…)


けど、目を開け自分の着ている服を見つめたら、少しながらも不安が薄れてきた。自分の身体に唯一縮尺が合っているものだから。

(私は、誘拐されて小さくされたのかな…だとしたらさっきの大男が犯人?)

少しずつ冷静になってきた。そしてらなんか…

こうやってぐじぐじ悩むのは私らしくないな、って

(……うん。落ち込んでいる場合じゃない。誘拐、事件だもの。警察が動いて、見つけてくれるはずっ)

そうよ、ニュースでいつも誘拐事件の犯人が最終的に捕まっているじゃない。
気持ちが切り替わってくる。

(第一、許せない!人をこんな目にあわせるなんて。私を小さくすれば思い通りになりと思ったのかな?……そうはさせない)
ガチャ!遠くに遠くにあるくせに縮尺はいつも通りの、憎らしいドアが開いた






―――男性視点―――







部屋に入るなり、スマホに座っていた彼女は立ち上がりこちらを向かって叫んできた。

「ちょっと、どういうことはこれは!?元の大きさに戻してっ!」

叫んでいるとはいっても音量はとても小さい。聞き逃してしまいそうなほどだ。だが声量はなくともその強気な姿勢は伝わってきた
。不安を無理やり怒りに変えているのだろうか。
彼女にとってとてつもなく巨大な俺に対してビビらずに命令調のセリフを吐けるとはさすがだ。
さすがに変な注文をつけてくる依頼人だ、ターゲットのメンタルも織り込み済みなのだろう。この娘は本当に強い。
が、残念ながら未だ健気で、自分の未来が閉ざされていることに気づいてない。
小さくされた時点で自らの将来、人生は終了していることに気づかないまま、時間が経てば経つほど、あとから苦しくなるものだ。
今すぐ教えてあげたい。もう戻れないと。でも依頼主の要望を忘れるわけにはいかない。
依頼主は彼女が、

自分の人生が終わってしまったことに気づき、
それを取り戻せないと気づき、1人では生きることすらままならない、
一生を終えるまで虫よりも弱い存在であり続けなければならないことに気づいて

絶望する顔が見たいのだ。

もっとじっくり料理しなければ。まずは服が邪魔だな。
俺は彼女を固定するための、ピンセットのようなものをを取り出す。
先っぽがU字型になっており、そこで彼女を掴むのだ。
背中の方からピンセットを近づけ、彼女を掴む。

「な、なにこれは!?やだっ…はなしてっ……!!」

掴んだ後もまだ暴れているが構わずもうひとつの細長い棒を取り出す。
先っぽに小さな小さなアームがあるSW専用タイプだ。これで服を掴み服を脱がせるのだ。






―――るり 視点―――







さきっぽに万力のような形状をした棒を取り出した大男は、その棒で私を捕まえ固定した。
先っぽは柔らかいのに、身体を思いっきり動かしてもビクともしない。離してっ…!!
その想いむなしく別のアームが迫ってきた。もしかして……
アームは私のスカートを掴んだかと思えば、信じられないくらいの力でスカートが引っ張られた。

「いっ……いたぁっ!!いい」

無理やり引っ張られたスカートは足に引っかかり、そして脱げた。
スカートを脱がされた屈辱よりも、痛さが強い。アームは続いて上着を剥がしにきた。

「きゃっ!?な、なにしてるのよやめてっ!!」

これまた凄まじい力だった。大男はさらにもう一本アームを取り出し、二本のアームで下着やブーツも脱がしていく。
抵抗しようにも身体は固定されていてあまり動けないし、迫り来るアームは太くて恐怖を覚える。
服を脱がされないよう腕を折りたむなりしても結局は圧倒的なパワーに負けて、痛さを感じながら脱がされていく。
私は、ただ叫ぶことしかできなかった。
全裸になった私はピンセットから解放された。痛さが残る上に叫び疲れたためか屈辱はあまりない。
身体が自由になった喜びすらあった。



(……痛い…痛いよ…なんでこんなこと…いい加減にし、してほしい…)


こんな仕打ちひどい。怒りが残る。


(人を小さくして……痛めつけて……女の子の…服を脱がすなんて)


私は無意識に片手で胸を、もう片手で大事なところを隠していた。大男は奥のほうでなにか探していた。
はやく戻しなさいよ…


ドンッ


大男は私の前になにかを突き刺した。それには、数字が書いてあった。

1,2,3,………、定規だ。

メガネとかスマホとかガムを見ていて、自分の今の小ささはだいたいわかっていたけど、数字を見るのははじめて。
みれば、私の身長のやや上あたりに3という数字が書かれていた。


(このメモリ…3……さ、3センチ……私、3センチもないの……?)


いざ数字を見るとショックだった。
思わず小指を見つめる。幼いころから小指の横幅が約1センチだと私は教わってきた。
手を、小指を見ながら、私自身の大きさを私自身の視点からイメージする。ちっちゃい……

もっとも、この小指の横幅は実際は0.02mmしかない。未知の小ささだ。
私のサイズが、非人道的であるかを思い知らされる。ひどい、やっぱりひどい。大男を睨む。


だが大男の手には、またべつのものがあった。
それを確認する前に大男の人差し指に押し倒され、首から下まるまるがなにかに覆われる。
今度はなに、いったい私になにをかぶせたの!?けど、身体を動こうとしても、まるで動けない。
胸からおなか、足にかけてはふわふわとしてるけど、首元と足首がべたべたしてる。
横をみるかぎり、覆っているものは横幅が以上に長く、私の身体以外のところは机にべったりくっついている。


……テープで机に張り付けられた…?


かろうじて動く首をあげ周りを見回すとそれはテープではなかった。でもみたことあるカタチをしていた。


「なにこれ…絆創膏?」


女子力という言葉に吊られ毎日カバンに入れている絆創膏だった。
以前指を切った時に使った時は、指にグルグルまけたのに、私はばんそうこうの縦幅より少し大きいくらい。
いやでも自分のサイズを比較してしまう。


(さっきみつめた私の小指にグルグルできるもの。
ばんそうこうなんて数日でとれちゃうし、指で剥がせるはずなのに、今は全身の力を使っても、まったく動けない私…)


思考が、不安でいっぱうだった頃に戻りかける。いや、屈するわけには…
いったいいつ戻れるの……