>>248
遅レスですが、こんなのどうでしょう?

遺書と靴を揃えて屋上から下を見下ろす・・・今日はやけに静かだ。
家族には逃げられ、社会的地位は取り上げられ、会社に尽くした私の人生は、その会社に裏切られた。
兵器の輸出、機密の漏洩・・・会社の指示でやった事は全て私の責任になっていた。
せめて本社ビルからのダイビング・・・蟷螂の斧かもしれないが。
手を合わせ下を覗き込む、これまでの人生が次々に私の脳裏をかすめる。
ふと気づくと、さっきまで日に照らされていたビルの屋上に大きな影が落ちている。
雲が出てきたのか?・・・いや、空は明るいぞ?
私が顔を上げると30階近い本社ビルを見下ろす大きな顔があった・・・少女の顔だ。
年の頃は私の娘と同じくらい、白昼夢という奴だろうか?
ポカンと見上げていると少女が口を開いた。
「やい、おチビ! 私が恐くないの? 他のおチビ達はみんな逃げちゃったわよ」
そういうと電柱ほどもある大きな指が伸びてきて私の前のコンクリートの屋上を簡単に陥没させた。
「恐くないと言えば嘘になるけど、どうせ死ぬから・・・恐くない・・・。」
少女は私の予想外の言葉に戸惑っているようだった・・・。
癇癪を起こしたように屋上をブスブスと次々にクレーターに変えていく。
「どうよ、恐いんでしょう・・・泣きながら許してくださいって言えば?」
揃えた靴と遺書は少女の開けた大穴の中に消えていた。
少女の後ろには幅50mにも及ぶ巨大なガレキの道が続いていた。
ひしゃげた自動車やビルだったコンクリートの固まりがひっくり返したオモチャ箱のようだ。

(続き)
「殺して・・・ください。」
「ちょ,ちょっと−・・・やりにくいなあ・・・。」
少女は少し屈むようにして私に目線を合わせてきた。
「どうしたの・・・何かあったの?」
圧倒的な破壊力とは裏腹に、何処か能天気な娘だな。
私は独り言のように、死を決意するに至った経緯を話して聞かせた。
ボタリ・・・生暖かい液体が私の全身に浴びせられた・・・巨大な少女が少女が泣いている。
バケツで水を浴びせられたような感覚・・・少女の涙の滴が私を全身ずぶぬれにしていた。
「おじさん、可哀想!」
そう言って私を摘み上げ肩に乗せると少女はさっきまで私がいたビルを拳で一瞬にして消滅させていた。
ひっくひっくと少女はまだ泣いている・・・鳴咽を上げるたびに私は絶叫マシンに乗せられた気分になった。
その時自衛隊の戦車が少女に攻撃を開始した。
少女は「ウルサイ!」と一喝すると足の一撃で数十両の戦車を沈黙させてしまった。
涙をぬぐいながらニッコリと微笑んでみせる少女。
「おじさん、悪い奴はみんなやっつけたよ!」
まあ、放っておいてもビルは少女に踏み潰されていただろうけど・・・。
「あの・・・君・・・。」
私はそれまで思っていた事を口にしてみた。
「なあに?」
「君・・・服着た方が良いよ・・・。」
少女の瞳が真ん丸になったかと思うと視線が彼女自信の全身をオドオドと走り回った。
「イヤ〜、恥ずかしい〜!」
次の瞬間、少女は巨大な地響きを立てながら街を突進していた。
その巨大な肉体でビルを圧壊させ、自動車を宙に巻き上げながら・・・。