今年もこの時季がやってきた。街中の人々がお化けなどの仮装をして楽しむイベント、ハロウィンである。
「トリック・オア・トリート」と本来は言って、イタズラされたくなければお菓子をよこしなさいっという
イベントであるが、その面影はまるでない。皆が自由気ままに仮装大会を楽しんでいる。
 そして、この街では駅の建物を利用してハロウィンのプロジェクションマッピングを行うというイベント
の告知もあり、例年以上に駅前には人間たちで溢れている。そして、ついにそのプロジェクションマッピング
が始まった。駅以外の建物、街頭の灯が消えてあたり一面が暗闇に包まれる。薄っすらと映る駅の姿に人々は
ざわめきを隠せない。一体これから何が始まるのか、スマフォ片手に駅を撮影する者、期待と興奮のあまり謎
の奇声をあげる者から様々だ。 
 ギュインっと、効果音と共に駅全体には赤い眼が現れた。なかなかの迫力、一回瞬きすると一旦画面から瞳
は消え、3Dも兼ねているのか、次に大きな手がまるで駅の壁から飛び出てくるかのような演出が始まった。
最近流行りの巨人映画の宣伝なのか、それを我々に体験させるパフォーマンスなのかとあたり一面歓声が溢れる。
 しかし、どこか様子がおかしい。ライトは一度も駅を照らしていない。それどこか駅の屋上より遥かに大きな
楕円形の青白い光。そして、近づいてくる大きな手はやがて駅の壁面から飛び出し、巨大な右手がまるで駅を
突き破ってきたかのように飛び出てきたのだ。あたり一面がその巨大な手の影に覆われると次の瞬間、その巨大
な手は振り落とされた。
 ズダァン! っという音と同時に多くの人間はプチプチっと潰されたのだ。あたり一面は大騒ぎである。
運良く潰されずに済んだ者、身体が動かせる大勢の人間が悲鳴を上げながら駅から逃げ去っていく。しかし、
被害はこれで収まろうとはしなかった。再び巨大な手がでてきた楕円形の光がもう一つ現れたのだ。そして、
その2つの大きな光はやがて1つの光にまとまり、さらに巨大な光の塊となり、暗闇に包まれていた駅中心から
まるで白昼と変わらない明るさが当たり一面を包み込むと駅に突如現れた巨大な塊。
 四つん這いの姿勢から観察できるのは、金髪のロングヘアーから縦長の三角帽子を被り、肩には黒のマントを
制服の上から身に纏った巨大女子高生の姿が現れたのであった。

 *

 異国の世界の見習い魔法使いは水晶を眺めていた。魔力を集中して、他の世界をちょっと覗いてみるという
ただそれだけの事をしていただけだった。水晶に映し出されるのはこの世界とは多いに異なる世界、あたり一面
城壁や見張り塔並の高層な建物がたくさんあり、映しだされる人間たちはどこかおかしな格好をしているものの、
少女もそれに限りなく近い衣装を身に纏っているわけであり、どことなく親近感が湧き上がってきた。
 やがてその親近感から『この世界に言ってみたい』などと思ったわけである。その好奇心はやがて行動に移り、
お師匠様の書物から『転移』の方法を調べ、勢い任せにやってみると、自分の身体がぽぅっと青白く光始めると
あたり一面、真っ白になったのであった。

 *

 ひんやりとした夜風に反応して目を開けると、私はどうやら本当に『転移』してしまったようだ。四つん這いの
姿勢から下をむいてみると、石畳とは違う材質の地面をグシャグシャに砕いていた。一体どういうことなのか、
私はあたり一面を見渡すと、無事に『転移』には成功したようだが、水晶に映されていた巨大な建物は存在せず、
どれもこれも私より遥かに小さい。四つん這いのこの姿勢でも私と同じぐらいかそれ以下か。立ち上がってしまっ
たら、私よりは大きな建物はないであろう。この世界が元々小さいものなのか、それとも『転移』する際に尺を
間違えてしまったか。どっちにせよ、私はこの世界では魔法学校に通う学生、というよりかは少し魔法が使える
大巨人、怪物みたいなところであろうか。その証拠に右手がやけにヌルっとした気持ち悪い液体の様なものを
触れたようで、恐る恐る手を開いてみると、どす黒く汚れた血肉の汁。潰されてしまったこの世界の数百の人間で
あろうか。適当に近くにある建物にその血肉の汁を擦り付ける。
 しかし、どうしてしまおうか。この最悪の登場に、私達の世界にもこの世界にも存在しているであろう『ハロウィン』
という文化を異国を跨いで体験するという事は恐らく出来ないであろう。
 トリック・オア・トリート、お菓子をよこさないとイタズラしちゃうぞ! という可愛らしいイベントなのに、
この状況ではそんな事は出来ないであろう。
 なら、どうするか。普段味わえる様な立場ではないこの状況、人間に悪さをするモンスターの様なポジションに
私は今立っている。ならばこの状況を楽しむのも1つの手なのではないだろうか。これも1つのハロウィン、お菓子を
くれないとイタズラをするというルールに則っているのではないだろうか?
 私から逃げる小さな小さな人間、小人達を見つめ、ニヤリと笑い私は高らかに宣言をした。
「トリック・オア・トリート! お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ~」

 *

 突如現れた巨大な女子高生。おそらく、魔女の仮装をしているんだろうが、規模が桁違いすぎる。何故なら彼女は
未だ立ち上がっておらず、四つん這いの姿勢でも彼女より大きな建物は数知れず。立ち上がってしまったら本当に
どのぐらい大きさになるのかも気になる所だが、恐らくこの街に存在する300mある電波塔よりかは遥かに大きく、
展望台の高さぐらいからなら彼女の尻と同じ高さぐらいでパンツの見放題であろう。更に先程多くの人間が彼女の
巨大な右手に叩き潰された。手の大きさは市民プールに設置されている50mプール以上はあるであろう。幅は25mの
プールが横になったぐらいの大きさだ。潰された人には悪いが、彼女の手の真下にいなくて本当に良かったと今は
思っている。
 そして、パニックに襲われている人々を更に追い打ちをかける言葉を彼女は言った。

「トリック・オア・トリート」

冗談じゃない。何がトリック・オア・トリートだ! あんなに大きな女子高生、トリック・オア・デリートの間違い
じゃないか? もしくは、この破壊と殺略をイタズラと謳っているのか。そもそもお菓子を渡しに行った所で気づいて
貰えるのか? 気づかれずに彼女にすり潰されるのではないだろうか?誰もそんな危険な行為をしようなどと思わない。
少しでも彼女から遠ざかるよう全力でひたすら走り逃げるのだ。
 やがて、一定のリズムで地響きがなる。彼女が動き出したのだろうか。ズドォン! ズドォン! と隕石でも落ちて
きているような轟音を打ち鳴らす。後ろ振り向けば、彼女は四つん這いでこちらに向かって進んでいる。振り上げた
手のひら楽々と小さな建物を叩き潰し、半壊で済んだとしても彼女が前進をやめない限り、肩に触れただけで脆く崩れ
落ち、そのまま腕を突き出せば前の方へと押し倒し、倒れた建物に飲まれ絶命した人間も多数いるであろう。
 また、彼女の手に叩き潰されなくても結局は同じだ。第一ボタンのブレザーのボタンを外しているのか、ブレザーから
発育の酔い豊満な胸がブレザー越しから大きく飛び出し、重力に惹かれてゆっさゆっさと彼女の動きに合わせて揺れて
いる。柔らかいであろうおっぱいも今では重機が振り回す鉄球と同等のものだ。高層ビルの上層部分を意図もたやすく
突き破ったり、押し倒し、残りの残骸は彼女の膝にすり潰され、彼女が通り過ぎたらものは全て更地になって何も
残らない。早く逃げないと彼女に食われてしまうという表現もあるのかも知れない。
 こうして必死に彼女から逃げてはいるものの、やはり体格に差がありすぎる。揺れ、轟音、衝撃波。全てが段違いに
跳ね上がっていき、ついに彼女は上空に存在し、次の瞬間、アスファルトが砕け散る轟音と共に多くの人間が命を
断ったのであった。

 *

 四つん這いでイタズラという名の破壊と殺略を楽しんでいる私。最初の方は実は固くて壊れないものなのかと思いきや、
期待は大きくいい方向へと転がっていった様で、小人達が作った建築物を次々と破壊していく。ある程度進んだ所で
ある程度大きな建物は減り、あたり一面住宅街といったような所まで進んできたようだ。
 このぐらいの大きさなら、もしかしたら? っと思い私はブレザーのボタンを全て外し、ブラウスのボタンを1つ、2つ
と次々と外していくとブラウスの中から私のおっぱいが飛び出してきた。学年でも結構大きい方だと思う私のおっぱいを
地面を這いつくばる様に進んで見る。
「あっ! できた」
 なんと、この世界の小人さんが住む家を挟む事に成功。でも、挟んだ所でもうお家がボロボロだよね。私は挟んだ家を
両方の胸を押し付けることによってぐちゃぐちゃ破壊してあげた。直接肌に触れるからチクリとくるかと思いきや、
そんな痛みは然程感じなかった。調子にのって再び地面を這いつくばるように前進する私、もう挟むとか関係ない。
この世界の乗り物だろうが、小人、家もみんなみんな私の胸に吸い込まれて行くように吸い寄せられ、潰されていく。
中々の光景だ。女の子のおっぱいよりも弱いなんてね。やがて、姿勢に無理があるのか身体が痛くなってきた。
 いったん、ぺたりと女の子座りをして当たりを見渡すと目に留まる建物を発見。私はついに立ち上がって、その建物に
近づこうとして改めて小さく感じる小人達の建物。直接、肌に触れても問題ないならローファーも履かなくても大丈夫だよね。
私は黒のニーハイを履いているけど、踏んでみても全然余裕だった。
 ドシン、ドシンっと地響きを鳴らしながらその建物に近づいてみる。若干、地響きの音に私って重いのかな? と思ったり。
そんなこんなしているとお目当ての建物の目の前に立つ私。今まで見た中で立派な塔である。三角形に高々と伸びるこの塔。
高さは私の方が圧倒的に大きいし、跨げそうだ。しゃがんでみると途中に四角い部屋の様な部分があり、中には小人が何十人、
何百人といるのかな? このまま自慢の胸で特別にご奉仕してあげてもいいが、中々の立派なものであって、色々と勿体無い。
長々と破壊活動をして身体も充分火照っている。
 そして、小人に対して自分の圧倒的な立場。やりたい放題の破壊活動に気分も高まっている。ヤってしまっても構わない
だろうか? 別に、いいよね?
「もう、小人さんが私にお菓子を与えてくれないのでこの塔にもイタズラしちゃいますので覚悟してくださいね」
 そう言って、私はマント、ブレザー、ブラウス、スカートと次々と小人の住宅街へと投げ捨てていくと、何十との住宅が
下敷きになって潰されてしまったみたいだ。やれやれ、どれだけ小人の建物脆いのかと、思わず呆れてしまう。そして、
最後にパンツを脱いで、小人の乗り物がたくさん停まっている所置き、塔を跨ぐ。塔の先端と股との距離は跨ぐ事によって
普通に立っている時よりも近くなる。
「それじゃ、どんな味がするか試してみるね」
 そう言うと私は小人が作った塔でイケナイのイタズラをしたのであった。

 なかなか悪くはなかったよ。  

 おしまい。