夕方のことだ。俺は夕方河川敷の方を歩いていたんだ。ここはよく老若男女問わずよくランニングをしている人が
多い場所だ。もちろん、部活動でもここで走りこみをしているみたいだ。耳を澄ませば、前方から女子高校生たちが
元気な声とともに集団で走ってきている。陸上部の方々が走ってきているんだろうと思っていたら、しゅるしゅる
しゅるっと俺の体は急に小さくなってきたのだ。
 マズイってこの状況。服事小さくなったから裸にはなっていないが、前方には女子高生達がこちらに向かって走っ
てきている。早く草むらにでも飛び込んで見の安全を確保せねば!
 しかし、道のど真ん中で小さくなってしまったものだから草むらに入るのも少々時間がかかる。急いで走ろうとす
るが、ドスドスドスという地響きがバランスを崩す。俺はそのまま倒れこみ、気が付けばすぐそこに女子高生達がき
ていた。
 こうなれば、運よく踏みつぶされないことを祈るまで、先頭をはしるキャプテンと思われる影に覆われ、一気に足
が振り下ろされたが、なんとか潰されずにすんだのだが、この後には2,3列になって走る神々の大名行列に俺には
見えたんだ。
 飛んで、跳ねて、飛ばされて、次はどっちに飛べばいいんだ。そう、思った時だ。大きな球体を2つを揺らしなが
ら走る蒼色のロングヘアーは俺の姉だった。体力的にももう限界。心残りだが俺は姉に踏み潰されるであろうことを
覚悟した時だ。もともと、運動神経がよくない姉が陸上部に入ったのはただ走るだけの部活だから入れば少しは運動
神経がよくなるんじゃないかとちょっとお馬鹿な所があって、よくドジる。そのドジがきたのか足元の石に躓いて体
のバランスを崩しこけてしまったのだ。助かった。
 だが、現実は非常であった。背だけは高かった姉。何故バレー部に行かなかった姉の巨体は俺目がけて倒れてきた。
ゆっくり、ゆーっくりと時間がやけに立つのが遅く感じた。
 慌てた表情はやがて大きな球体に顔が隠され、そして―――

 ドテン

「あ、荒川さん大丈夫ですか~?」
「す、すみません。私は大丈夫です」
「大丈夫じゃないじゃないですか。胸の所に赤いシミがついてますわよ!擦りむいたんじゃなくて?」
「え?あ。大丈夫です。多分虫でいたんじゃないですか?えへへ。」 
「そ、そうですか?くれぐれも無理はしないでくださいね」
「はーい」

 そして、女子陸上部の練習は続行されたのだった。