日常に飽きた

 ある学校に1人の女子高生がいた。彼女は木佐貫奈恵といい、今年で2年生である。奈恵は身長170cmあり、ほ
かの女子よりも大きく存在感のある女子高生だ。制服は、ブレザーでありネクタイは指定されていない。ちなみ
に理恵は黒のネクタイを愛用している。
 理恵は中学の時に公立の受験に失敗し、家から近い私立の高校に入学。他にも狙える高校はあったが、目標に
していた高校に失敗したのをずるずると引きずっており、浪人。もしくは、何もしない子になってしまうのでは
ないかと学校側と両親は心配した。とりあえず、近い高校に受験。そして、合格。
 合格してからというもの、奈恵は元気を取り戻してきていたが学校の授業レベルの低さ。話を聞いていなくて
なんとなくわかってしまう授業。部活は身長をいかし、バレーボール部へ。しかし、これもまたレベルの低いの
なんのと・・・結果的にはバレーボール初心者の奈恵が一番うまくなり、互いに伸びあおうとしない部活動の仲
間に愛想をつき、秋に退部。先輩がいないから部活は緩々なのだろう。

 そんなこんなで、1年が経った。2年生になり奈恵は髪の色を黒からブラウンにした。髪の色を変えれば気分
がかわるかと思ったが、回りの目線からは不良っぽくなったのでは?という眼見られた。いっそ、死んで楽にな
ろうかと奈恵は考えたりもした。
 家に帰るなり、奈恵宛てに1通の封筒がきていた。自室に入り、鋏で切る。中には錠剤と手紙。
「何よ・・・これ・・・」
 若干怖くなってきたが奈恵は手紙の文を読んでみた。

“日常に疲れたあなたへ。日常に飽きたあなたへ。”
“もし、疲れてないのであれば薬と一緒にこの封筒を処分して下さっても結構です。もし、疲れたり、飽きたり
 しているのであれば、是非錠剤を飲んでもらいたい。そして、今までの鬱憤を晴らしてこの腐れきった世の中
 を変えてもらいたい。どう変えるかはこの手紙を読んでいるあなたにお任せします。利用する際はこの手紙の
 □の中に血液を1滴付けてもらいたい。最後に、日常に疲れたり飽きた人が使用してください。
 興味本意で飲んで後悔しないように・・・。
                                            S.R. ”

「・・・ついに、悪魔から手紙が来たのかしら」
 手紙の内容にあきれついた。何?新手の自殺方法検討会でもしてるの?と奈恵は思いつつも裁縫箱から針を取
り出し、左一指し指にチクッとした。小さく浮き出てきた赤い液体を□の中にポトっと垂らした。
「これで契約成立よ。悪魔さん」
 奈恵は台所に向かうなり1粒しか入ってない錠剤を水と一緒に飲んだ。しかし、その日は何事もおきなかった。

 次の日、奈恵は学校に登校し授業を受けた。いつもと変わらない授業だったが、3時限目から急に目眩に襲わ
れた。イスに座っていた奈恵がカクンと頭が下がり机にコツンとぶつけた。奈恵はうつ伏せの状態をとったが、
次に吐き気が襲われた。昨日の薬の成果と奈恵は思った。だが、ここで死ぬのも別に良かったと思った奈恵だっ
たがあまりにそっけない終わり方に奈恵は涙がでそうになった。
 暗闇の中、徐々に目眩と吐き気が引いて楽になってきた。ここでやっと自分の体から魂が抜けていくのかなと
奈恵は思った。すると、ふっと体が軽くなった瞬間だった。クラスが騒がしくなり、奈恵の異状に気づき騒ぎだ
したのかと思えた。
「な、奈恵さん!!どうしたの!」
(気づくのが遅いよ・・・。私はもう、ここにはいなくなるんだから。今、むくりと起きたらみんなびっくりす
 るかな?起きてみよっかな。体動くし。・・・・体が動く?)
 奈恵が頭を上げたときには景色は全然かわってみえていた。

 お尻はイスから段々はみ出し、太もものうえに机が乗り、ギシギシと机の脚は悲鳴を上げていた。前の席の
男子はあ然と後ろを振り向いている。ギシギシ、バタン!とイスの足は折れた瞬間。
「全員、非難しろ!」
 先生はチョークを持ちながら廊下に指を刺した。男女急いで席を離れ廊下に飛び出した。「慌てるんじゃな
 いぞ!」と先生は全員が廊下に出て行くまでを見守った。その間、奈恵の太ももは机の足をグネグネに変えて
いた。そして、先生が近づいてきた。
「木佐貫!何をしている早く行かないか」
「え、でも安藤先生・・・。わ、私・・・何がなんだか・・・」
「つべこべ行ってないでグランドに行かんか!」
 先生に真剣な顔で怒られた。奈恵が立ち上がったときは180cmある安藤先生の頭は胸元に来ていた。この時点で
奈恵の身長は260cmはあった。教室を出る際は扉の天辺はあごぐらいの高さであった。奈恵は扉をくぐる感じで
教室からでた。廊下から階段へ降り、廊下へ。徐々に天井に頭が近づいてきており、昇降口を出る頃にはひざを
まげて、猫背になりながらグランドに出た。

「はぁ・・・はぁ・・・」
 膝を曲げ、肩で息をする奈恵。大きくなる体を曲げて狭い学校から外にでれば体力の消耗は激しい。治まった
と思えた目眩もまた再発してきた。
「大丈夫か?木佐貫?」
「は、はい。大丈夫です・・・・安藤・・・先生・・・」
 気持ち悪い。青ざめながら立ち上がると2階の窓と同じ目線であった。下を見れば安藤先生はさっきより小さ
くなっており、普通に跨げそうだ。その体格差に吐き気がぐっときた。しかし、しかし・・・ここは力を振り
絞り両手でスカートの丈を掴んだ。全校生徒を見る感じで。
「み、見ないでくださね・・・」
 青ざめている顔に必死の笑顔。足は内股となっており、パンツガードの構えを取っている。グラウンドに集ま
った生徒達からゆっくりと後退した。お尻が壁のようなものにぶつかった。その振動で何枚かのガラスが割れた
音がした。
(ちょっと、まずいかも・・・)
 奈恵は気持ちの悪さと視野のぶれる中ずーっと下を向いていたが、巨大化はとまらず、いつの間にか440cm
あった身長は680cmとなっていた。息が上がる中、足がちょっとずれ、ドシン!と足がもたれた。と、同時に
グチャという音がした。奈恵はおそるおそる、不審な音がした足を持ち上げると、言葉を失った。潰したのは、
安藤先生だった・・・。先生は、面倒見のいい先生だった。奈恵を心配し、危険を承知で奈恵に近づいた所を運
悪く、潰してしまったのだ。
「あぅ、わ、私は・・・そんな・・・あ、安藤先生が・・・。あ、ああああ・・・」
 まるで、昇天するかのように後ろに倒れ込み、お尻が2階の教室を襲い、1階まで落ちた。背中から頭までで
3階の教室が襲い掛かり、背もたれになっている。そして、両手はスカートのうえにそえたまま、奈恵は
気を失ってしまった。目は閉じているが、涙1粒零れていた。

<<第2部、7月12日更新>>

「ん・・・ぅうう・・・」
 気を失ってから数時間が経ち、奈恵は意識を取り戻した。体を動かすと何かに擦れているような感覚がする。
右手で目を擦り、ぼやけている視界を取り戻そうとした。

「なに・・・これ・・・」
 視界は、私が倒れる前より高くなっている・・・。しかも、立っている状態ではなく、足を伸ばして倒れてい
る状態。丁度肩辺りが屋上があって・・・時計台は私の頭の上に乗っている。グラウンドには生徒も先生もいな
いし、皆逃げたんだと思う。あは、まぁ、こんなどんどん大きくなるんだもの、普通は逃げるよね。だって、足
の方が体育道具をしまう倉庫より大きいんだよ?多分、足は3mはあるとおもう。で、おへそと胸の間に2階が
あるから・・・2倍以上は確実に大きくなっている。足を伸ばして25mのプールの半分あるかないかだから、
25mぐらいはあるね。あはは、25mか。座ってて野球のフェンスの頂上が胸と同じぐらいの高さだったのか。
 大きくなって初めて知ることってあるもんなんだね。これが薬の効果なのかな・・・。でも、私は後悔なんて
してないよ?ただ、安藤先生には悪いことしちゃったけど・・・仕方ないよね。
「さてと、学校は色々な意味で終わったし、私もかーえろっと」
 そんなわざとらしい言葉を言って私は立ち上がった。ゴゴゴゴォと音を出しながら私は校舎からでると、頭の
上に乗っていた時計台は私の目の前から落ち、Dカップの胸に落ちてさらにバラバラになって地面に落ちていっ
た。よーく見ると制服は校舎の瓦礫がたくさんついているし、靴もなぜかローファーになっている。完全に立ち
あがると、校舎は今の私にとって丁度いい感じのイスの高さになっているが私の目線からみると校舎は凹になっ
ていて背もたれになっていた部分なんてほんとギリギリの状態になっていた。

 ズシン、ズシンと奈恵が1歩1歩動くと地響きがなる。校門を意識もせず跨いだ。それも其のはずだ奈恵から
みれば校門は足首ぐらいの大きさしかないのだ。奈恵は学校の敷地内をでるとあたりは住宅街だが、奈恵より大
きい建物はもう少し歩かないとでてこなさそうだ。奈恵にとって家の大きさは股かお尻にあたるぐらいの高さで
あり、その気になれば家というものは跨げそうだ。また、太もも付近には電線が張りめぐられている。
「私、本当に大きくなっちゃったなぁ・・・」
 奈恵はなにとなく、近くにあった家の屋根を摘んでベリベリベリっと剥いでみると廊下、部屋と別れているの
がよくわかり、大工さんの凄さを思い知った。こうやって家はできているんだ!という感じに。しかし、奈恵は
顔を近づけては息をふぅーっと息をかけるとその家にあった家具という家具は宙を舞い、タンスからはお洋服が
とびでるぐらいだ。若干強めに息をかけてしまったので顔まで舞い上がってうっと後ろに下がってしまった。
 それが若干楽しかったらしく、奈恵は膝を曲げて家で遊んでいたが、今度は膝立ちになって遊び始めた。散ら
かった2階のフロアの真ん中に一指し指をズンっと突き刺すと糸もあっさり、1階まで突き刺さった。その後、
道路に座りながら何回か突き刺しているとこの家だけ隕石が落ちてきたかのような感じになってしまった。
「あらら、遊びすぎちゃったね。可愛そうですからこうしますね」
 そう言うと、奈恵は手の平でその家をハエでも叩くかのようにたたきつけてしまった。ズドォンという轟音と
共に家を破壊した。ついでに隣の家もズドォンとたたきつける。
「あ、思わずやっちゃった。でも、人居なかったし・・・大丈夫だよね」
 
 でも、どうしてこんなことになったんだろう。昨日飲んだ薬の効果が今の症状ってことなのかな・・・。それ
に、“日常に疲れた人”が飲む薬が巨大化ってのはおかしいよね。それなら、いっそうのことぽっくり殺せばい
いと思う私は残酷なのかなぁ?・・・あ!確か“日ごろの鬱憤を晴らせ”とも言っていたような気がするから
巨大化して破壊行動をしてストレスを吹っ飛ばせってこと・・・なのかな・・・。でも、そうすると人によって
は破壊なんてできないし・・・私はしたけど・・・。それに、なんで血印までする必要があるんだろう?してな
かったらどうなってたんだろ?う〜〜〜〜〜ん・・・

 奈恵がそんなことを考えている間に巨大化は進んでいた。ぺたりと座っていた奈恵だったが膝が住宅に侵入し
壁を破壊していたが、奈恵にはなにも感じなかったようだ。腕を組みながら考え、しばらくすると異変に気づい
た。奈恵は立ち上がるとさっきまで股やお尻の高さに屋根がきていたのだがいつしか余裕が生まれたぐらいだ。
「私、また大きくなってる・・・」
 時間がたつごとに自分の巨大化している。はたして、自分はどこまで巨大化するのかがだんだん怖くなってき
た。奈恵はこの怖くなる感情をあの手紙の“興味本意で飲んで後悔しないように”という意味なのだと思った。
行く場所は特にきまってはいないが奈恵は移動することにした。
 奈恵はしばらく歩いていると道路が自分の足で覆われているのに気づいた。平均台を歩いているような感覚で
はないが、そんな風になるのも時間の問題だろう。足元に乗り捨てられている自動車は奈恵の足によって踏まれ
ていった。奈恵はいつしか身長は42mぐらいになっており体重843tの体重で車を踏めば鈍い音と共に爆発するか
薄くなるか、つま先に当たって蹴っ飛ばされて爆発するかのどっちかであった。建物も大きさによるが奈恵膝の
位置が3階ぐらいなのである程度の建物は跨げるようになった。
 しばらくあるくと、奈恵は膝に看板をぶつけた。膝を曲げて看板をみてみるとこの建物がスーパーだというこ
とがわかった。時間帯もお昼を過ぎた頃だろう。お昼という時間を思い出し、おもわずぐぅ〜っとお腹が鳴った。
奈恵は赤面し、右手をお腹に添えてあたりをみわたした。すると1台のトラックを見つけ、右手でトラックを持
ち上げ、自分の膝の上に置いた。
「うわぁ、まるで弁当箱みたい。・・・食べ物とか入ってないかなぁ」
 そういうと奈恵は爪でトラックの後ろに穴を開けるとダンボールがゴロゴロっと転がってきた。目を凝らして
確認すると野菜の入ったダンボールのようだ。奈恵は食べる方法を考えたが奈恵からみればサイコロ位の大きさ
だ。一々あけて食べるのは神経を使うので奈恵はダンボールごと口に運んでしまった。1箱のダンボールを噛み、
何とも問題がないのを確認すると、トラックから全部のダンボールを手のひらに乗せそれらを一気に口に運んだ。

 うん。大丈夫、大丈夫。テレビの人もお金がないときダンボールを食べていたって言うしね。まさか、それが
ここでいかされるとはね・・・。でも、これだけじゃ正直いってたりない・・・。まだ、トラックあるし、こう
やって、ガリガリっとやって、薬を飲むように一気にガブっと!うん。微妙だけどシャキシャキしてる。

 数台のトラックの中身を食べつくした奈恵はトラックをポイっと後ろに投げ捨てた。しばらくして、建物とぶ
つかった音がしたが、奈恵は気にしなかった。続いて奈恵はスーパーの屋根を手でベリベリベリと剥いだ。数々
の品がおいてあるのに若干感動した。スーパーとかには何回かいったけど食材について本気でみたことはなかっ
たと思いながらも食品関連のところに手を伸ばし掴めるだけのものを掴んで口に運んだ。奈恵は気づいていない
だろうが、もはやダンボール事とかではない。棚ごとである。その中にはビン類やアルコール類もあったと思う
が奈恵は気にせず食べ物という食べ物を食らいつくした。

<<第3部、8月13日更新>>

 奈恵は数分間でスーパーのモノを食べてしまった。その中には食べ物以外のものも含まれているが、奈恵には
関係なさそうだ。しかし、まだまだ足りない感じがするがここまで大きくなったんだから仕方が無いと自分にい
い聞かせていた。奈恵はスーパーを後にしてどこかへ移動した。これといってやはり目的はない。歩いている内
に奈恵自信気づいたようで、食事中にも大きくなったようだ。奈恵は足元にある市民プール50mの長さをみてわか
ったようだ。水面に浮かぶ奈恵。そのまま倒れればプールと同じぐらいにも見えるが、水溜りに飛び込むなんて
いう人は普通いない。時間帯はだいたいお昼の3時頃だろうか。お昼前から自分はどのぐらい大きくなったんだ
ろうか?大体30倍だろうかなど考えていた。
 そんな中だった。偶然家と家との塀を乗り越えている人間を発見してしまった。

 家と家との間を乗り越える人間、泥棒か。あれ?おかしいなぁ。私も人間なのになんで人間っていったんだろ?
人でもよかったのになんで人間っていったのかな・・・。よくあるとおもうけどね。・・・でも、今の私は人間
かな?化け物?怪獣・・・。あはは・・・、そうだよね。こんなに大きい人間いるわけないよね。地球外生命体
か何かだよ。この規格は・・・。もう、人間じゃない。私は怪獣。人の形をした怪獣なんだ。時間が経つに連れ
て大きくなる化け物なんだ。ワタシハモウ、コノホシノニンゲンデハナイ。
 
“腐れきった世の中を直して欲しい”
 
 たぶん。それが私の使命なのかな。何者かが、それを望んで私にそんな手紙がきたんだ。これは、運命。自殺
ではなく、世界を変えるという運命。あはは、もうわけわからないや。とりあえず、人間ってちっちゃいね。
ぴょこっと見えた程度だったけど、私の小指より小さかったよ。そして、私の出現により住人は非難している中
危険を犯しての行動。まぁ、私には関係のない話だから野放しにしとくけどね。

 それからしばらく進むと、ついに見つけちゃった。大量の人間が非難しているところを。その間に私も大きく
なったみたいで今では人間が住む家の屋根の高さが私の膝よりもないの。幅5mぐらいの道路も今では平均台み
たいな感じだから、私は気にしないで道路と家を踏みながら歩いています。家に座ったらぺしゃんこにさせれそ
うです。それに、ヘリコプターやら戦闘機と思われる人間が開発した空飛ぶ機械の数も増えてきたみたい。
 ズシン、ズシンと私が歩くだけで地響きが鳴り、非難していた人間も奇声を発してた。ふふふ、私が怖いのか
な?そんな分けないよね。だって、私もあなた達人間と同じ姿をしているのだもの。それに対して悲鳴を上げて
逃げてくなんて失礼じゃない?前の私より酷いしうちだよ?それに、逃げるのも遅いのね。もう、追いついちゃ
ったよ。最後尾、私も一緒に非難しちゃおっかな?な〜んてね、そんなことしてたらいつの間にか大通り。ビル
というビルが立ち並んでいるけど、私より小さいのもあるけど大きいのもあるね。道路も広くなったから家を踏
みながら進まなくてもいいみたい。
「ほらほら〜早く進まないと潰しちゃうぞ〜」
 ちょっと意地悪っぽい顔をしながら足元の人間に警告する。ためしに、右足で足踏みを強めに踏んでみると足
元はもちろん沈没し、数mの亀裂がはいる。ドゴォンという足音と共に吹っ飛ばされた人間もいたよ。そしたら、
ヘリやら戦闘機から攻撃をうけちゃった。あと、攻撃うけてから気づいたんだけど、警官も銃撃してたみたい。
攻撃受けっぱなしってのも嫌だけど、この小さなのを相手にしてるのもダルイからなぁ。ならば・・・。
「私、ちょっと建物で遊んでみたいんだよね〜。でも、非難している逆側で遊ぶから遊んでる間に貴方達は避難
 のお手伝いをしなさい」
 よし。これで、私に攻撃はしてこないはず。後ろを振り向き、非難している人たちとは逆の方を歩く。これで、
攻撃を止めればいいのに、懲りずに私に攻撃してくる。初めは無視しようと思ったんだけど、一定のテンポで
攻撃をしてくる。プチンとね。私は目の前を通過した戦闘機を蝿でも叩くかのように両手でバシーン!と叩いて
やった。そしたら、手の中でボン!と爆発。後ろを振り返り。
「あんた達!せっかくのチャンスを無駄にする気なの!?言葉わからなかったのかな?」
 すると、攻撃はピタリと止んだ。
「みんな、死んじゃうよ?・・・いいの?」
 一瞬の沈黙。すると、戦闘機等々は撤退していった。まったく。攻撃でも聞いてるとでも思ったのかな?私だ
ってこんなこと言いたくなかったよ。

 しばらく、逃げ惑う人間とは逆の方向に進んでから数分。私の視野からならまだ見えるけど非難はちゃんとし
てるみたい。そして、私のいるところには恐らく人間はいないだろう。あれだけのことをいったんだから。あと、
時間が経てば、私も大きくなっている。さっきまで同じぐらいだった建物は胸を置くことだってできそう。車も
挟めそうだよ。私の大きいから。じゃあ、そろそろ遊んでみようかな。
 手始めに3階建ての建物に座ってみると、一瞬ピシッと音がたったけど、大丈夫そうだったか重心をかけたら
あっけなく、潰れちゃった。ドシンと尻が地面についたら建物の敷地は綺麗に平地になり、両足も踵で道路を抉
りながら、向こう側の建物に貫通し、その裏の建物にも届いたみたい。両肘は隣にあった建物に肘打ちをするよ
うにブツかって、下の階に沈み、両手で玄関を粉砕。後ろに倒れたから背中2件破壊しつつ、頭でゴツンと1件
壊してしまった。肩でも建物を丸く削り取ったものもあった。
「いたたたぁ・・・」
 改めて自分の大きさを知る。こんなに大きいと建物にも凄い影響をだしてしまうんだと。すると、何か大きい
影に覆われている感じがした。太陽が雲に覆うような感じ?なんか、それも違う気がする。顔にぱらぱらとゴミ
が落ちてくるもん。目をそ〜っと空けてみると、ゆらゆら動く建物がある。あっ、私が頭でぶつけた建物は私よ
り大きくて、頭で建物の一部を壊してバランスを崩していると、なるほどね・・・って、えぇええ!!
 私を覆うぐらいの巨大な建物はゆらゆらとバランスを崩し、私の顔に落ち、胸に落ち、腹に落ち、頂上部分は
股の方まで大きかった。
 ドシャアァアアン!
「へべぇ!!」

 変な声と共に奈恵は大きな建物の下敷きになってしまった。直撃した際に反射的に両手両足も宙を舞い、破壊
されていなかった建物に落ちた。幅は奈恵の方が大きく、この程度で奈恵は死なないと思えたが意識がもうろう
として、そのまま「きゅぅ〜」と一言鳴いて意識が飛んだのであった。

<<最終章、9月13日更新>>
  
 奈恵が気絶している間にも奈恵は徐々に大きくなっていた。本人は気絶しておりわかっていないという時間に
大地は地響きを上げながら奈恵の巨大化を教えていた。巨大化をし、股の部分は道路を横断し、向かいの建物に
も襲い掛かり、次第に奈恵のパンツの下敷きになっている。大胆にも大の字で気絶しているからだ。

「う〜・・・ん・・・」
 奈恵が起きたの次の日だった。上半身を起こして東の空に太陽が昇っているのを確認すると、自分は朝まで
気絶していたんだなと思ったのであった。同時に体も大きく成長しているようだ。まず、体が半分しか起きてい
ないのに他の建物が明らかに小さくなっているのだ。2倍とか3倍とかそんな数字ではない。したを見てみると
お尻は道路を完全に横断していた。
「また・・・大きくなってるし・・・。暴れながら街を破壊とかじゃなくて・・・寝ている私の体で街が破壊さ
 れていたのね・・・・。」
 奈恵は手短にあったビルを引っこ抜いてみることにした。ビルは奈恵の手の平にすっぽり収まりそのままビル
を上昇させた。ガラガラっという音とともに奈恵は自分の目の前にもってきたが、相当小さい。じーっと見つめ
ていると急に顔が真っ赤になった。ただ反射的にこう思ったのかもしれない。
 “私のアレより小さいじゃん”っと。

 大きくなったのは仕方がない。巨大化の割合は加速しているとしか思えない。とりあえず、奈恵が立ち上がる
と街全体が見渡せるような気がした。上半身を起こしているだけでも結構遠くのところも見えたが、立ち上がっ
た今、その視野は2倍以上になっているからだ。奈恵の足元にある建物も昨日までは跨ぐ程度だったが今は建物
を潰すぐらいまで大きくなっている。しかも、一気に100mぐらい踏み潰せそうだ。この高さならわかる。この街
一番高い建物の大きさは400mであり、今の奈恵と比べると半分あるかないかだ。
 

 もう、ここまで大きいと何が何だかわからないね。道路ももう、足の幅から余裕ではみ出しちゃうし・・・。
遊んでから本格的にやっちゃおうとおもってたんだけど・・・もう、いいよね。こんなに大きいと。私、どこま
で大きくなるのかな?
 あはは・・・、半分楽しみで・・・半分不安だなぁ。でも、もうどうでもいいよ。今までありがとう。ここの
星の人には悪いけど最終的には私の方が大きくなるから。なんとなくわかるの。うん。じゃあ、あんまり私のこ
とを刺激しないでね。長く行きたかったら。
 あれ?どうしてだろう。涙がでてきたよ。半端な覚悟で使ったわけじゃないけど・・・これより大きくなった
私はどこにいくのかな?結局は死ぬ・・・ってことなのかな。





 私の人生、つまらなかったなぁ。