4.
 風邪をひいてから1週間がたち、七海の風邪も
治り今日から学校に通うことができるようになった。
七海はこの1週間ずっと自分の部屋で寝ているか、
本を読んでいるかのどっちかであった。七海は
ベットから体をおこし、顔を洗い、制服を着た。
母が買ってきた制服は小さすぎず、大きすぎない
大きさであった。着替えが終わると七海は台所に
向かった。
「おはよう、七海」
「おはよう〜」
朝の挨拶を済ませ、朝ごはんをとった。食事中に
母が七海を見て気づいた。風邪を引く1週間前より
また七海が大きくなったのではないかっと思い、
七海に立たせた。立たせてみると母の目線には
七海の口があった。1週間前は母の目の位置に
は七海のおでこにあったが、七海は1週間の間に
また、身長が伸びたようだ。
「あれ?私お母さんよりも身長が大きくなってる!?」
今になって七海が自分の身長に気づく。母の身長は
162cmあるが、今の七海の身長は173cm
はあった。風邪で寝込んでいた七海であったが、
寝込んでいる間の七海は成長していて母はどこか
安心したような顔であった。
「七海、大きくなったわね〜。サイズを間違えて
買ったときは七海に怒られると思ったんだけど、
七海が大きくなったから結果オーライね」
「お母さん・・・また、サイズ間違えたのね・・・」
そんな母を七海は呆れていた。サイズ間違えはよくする
母であった。前に俊介とデートした時のスカートも実は
母が買ってきたものであった。理由は安かったからである。
朝ごはんを済まし、七海は家をでた。久しぶりに七海は外にでた。
やはり、部屋で寝ているより外に出た方が気持ちがいいな〜っと
思い両手を上に伸ばした。七海はさらに、1週間前のことを
考えてた。もし、あの時俊介がいなかったら七海はどうなって
いたのか・・・。
「学校で俊介とあったら、お礼いわなくっちゃ」
七海は学校に向かう際に七海は1週間前とは目線が違うな〜っと
感じながら学校に向かった。

 学校に着くと七海のクラスの生徒は七海の急成長にびっくり
していた。2週間前は140cm代の中学生と間違うぐらい
小さい七海が170cm代にまで成長していたのだ。前までは
クラスで1番小さかった七海であったが、一気に逆転した。
クラスの女子からは
「なっちゃん!どうしたのその身長!?」
「寝る子は育つんだにゃー」
っと、身長のことでいわれた。七海は身長が伸びたことが嬉しかった。
今ではクラスの中で身長が大きいランク5に乗るぐらい大きくなった
のであった。女子では一番大きい子が170cmあったが、今では
七海の方が大きい。
  キーンコーンカーンコーン
朝の予鈴が鳴り、生徒は席に着いた。七海の周りに集まった女子が
席に戻り隣の席にいる俊介を見た。が、俊介はまだ学校に来ていなかった。
七海にとって、今の自分の姿を俊介に一番見てもらいたかった気持ちが
あった。担任が着て、俊介は少し遅れるとのことだった。
2時間目の授業が終わり、俊介が学校にやってきた。俊介が周りの男子と
話しているのを盗み聞きしてみると、俊介は病院にいっていたらしい。
(俊介君・・・どこか悪いのかな・・・)
七海は不安になった。1週間ぶりに元気な俊介を見れると思った七海で
あったが、俊介の身体のどこかが悪いのかが心配になった。授業が
始まっても七海はそのことばかりを考えていた。結局七海は学校で
俊介の話すことなく放課後までなってしまった。
 学校の帰り道。七海はあることを思い出した。それは、1週間前に
借りたバックと俊介の服を返すのを忘れていたことだ。
「俊介君の服どうしよぅ・・・家わかんないしなぁ・・・」
はぁ、っとため息をした。あの時は俊介がいなかったらいったいどうなって
いたことだろう。そのことばかり七海は考えていた。すると後ろのほうから
「永井さんどーしたの?」
その声は俊介の声であった。七海はあわてて後ろを振り向いた。
俊介は七海を見ていた。
「あ、しゅ、俊介君・・・」
七海は動揺してしまった。いざ、会いたいっと思っているときにいきなり
俊介の声が耳に入ってきて頭の整理がつかなくなってしまった。
(あ〜〜〜、俊介君がいるのに・・・何を言おうとしたんだっけが
・・・なんだっけ・・・思い出すのよ七海!・・・)
七海の頭から今にも頭からピィーっとやかんの蒸気みたいな音がでそうな
くらい赤くなっていた。
「永井さん、体の調子どうだい?」
ふと、俊介が七海に問いかけた。
「え、もう、大丈夫だよ。俊介君は今日どうして学校遅れたの?」
さり気なく七海は俊介に聞いてみた。
「通院だよ。別にたいしたことじゃないけどね」
「そ、そうなんだ・・・」
七海は俊介がどうして通院しているかが聞きたくなったが、あえて聞かない
ことにした。「たいしたことじゃない」っと聞いたわけだし、無理に聞く
ことはないだろうっと七海は思った。
「あ、あの・・・あの時はありがとう・・・俊介君・・・」
「あぁ、別にいいよ。困ったときはお互い様だしさ」
しばらく沈黙が続いた。七海はどうやってバックの話に持ち出せばいいのか
七海は悩んでしまった。すると、俊介が
「永井さんって考えてみればすんごい身長伸びてるね。1週間見てなくても
また大きくなったね」
何気なく言った俊介の言葉。改めて七海は俊介のほうを向いてみると確かに
俊介との目線の位置が変わっていた。初めて会ったときははるか上から俊介は
七海を見下ろしていた。が、今の七海はそれほど俊介を見上げる必要は
なくなっていた。
「本当だぁ!いつの間にか俊介君と目線が同じぐらいまでになっている」
七海は思わず声を出してしまった。嬉しさのあまり声も大きくなってしまった。
だが、俊介の方が身長はもちろん高い。俊介と再び目が会うと七海は思い出した。
「あ、俊介君。その・・・少しだけ時間ないかな?」
「ん?・・・まぁ、時間はあいているかな」
「それじゃあさ、前公園でデー・・・じゃなくて、前の待ち合わせ場所で
待っていてくれないかな?」
「わかった。待ってるよ」
そう俊介は言うと俊介と七海は別れた。俊介を見送ると七海は急いで
家に走り出した。

 数分後、七海は公園にやってきた。俊介はベンチでノートを片手に
何かを書いていた。
「はぁ・・・はぁ・・・お待たせ〜、待った?」
息があがりながらも七海は俊介に言った。俊介は七海の存在に気づいて
七海を見た。思っていたより七海が早く来たので俊介は驚いていた。
「どうしたの?もっとゆっくりきてもよかったのにさ」
そう言うと俊介はパタンとノートを閉じた。
「何してたの?」
七海は俊介に聞いた。俊介が何をしていたのか七海は少し気になっていた。
ノートと筆記用具をバックにしまいながら俊介は答えた。
「絵を描いていただけさ」
俊介は笑顔で言った。すると、今度は俊介が七海が後ろに隠しているものが
チラっと見えた。
「永井さん。後ろのものは?」
「えっとね・・・。これ、1週間前俊介君が私に貸してくれたバックなの」
七海はしゃべりながらバックを俊介に見せた。「あぁ〜」っと俊介は思い出した
かのように手をポンっと叩いた。バックの中には俊介の私服が入っている。
「だからね、いつまでも持っているわけにも行かないからさ、俊介君に
返そうと思って後援に誘ってみたの。あのときは本当にありがとう、俊介君」
七海は両手でバックを俊介に渡した。俊介は七海からバックを受け取り、
中身を確認した。
「いいって、気にしなくていいよ」
っと俊介は言った。すると俊介はベンチから立ち上がりまじめな顔になり、
七海に聞いてみた。
「あの、永井さん。1週間前の裏山の帰り道で俺に話したこと覚えてるかな?」
「う、うん。覚えてるよ」
少し俊介は目をそらす。人差し指でほほをかいて、七海を見る。俊介が真剣な顔
をしているのは始めてみたかもしれない。七海の知っている俊介はいつも笑顔が
欠かせない人で困ったときはお互い様っという俊介しかしらなかった。
「あのさ、変なこと言うかもしれないけどさ」
また、沈黙。たった5秒ぐらいの沈黙だが、5秒の沈黙が長く感じた。
「永井さん。いや、七海さん。俺と・・・・・付き合ってくれないかな」
最後あたりの俊介の声は頼りなかったが、七海は嬉しかった。七海も俊介のことが
好きだったし、俊介も七海のことが好きだったことが七海にとって泣きたくなるぐらい
嬉しかった。
「俊介君。ありがとう。私もね、俊介君のこと気になって・・・俊介君のこと
好きだったんだよいたんだよ」
俊介の顔は一瞬にして赤くなった。おもわず俊介は笑ってしまった。相当緊張
していたから、その緊張が一瞬にして緩くなり俊介は笑ってしまった。もし、
七海に断られたら俊介は酷く落ち込んでいただろう。七海も俊介につられる
かのように笑った。2人しかいない公園で2人だけの笑い声だけが聞こえていた。

 しばらくして、2人は公園を出た。公園で別れる際に七海は俊介のメルアドと
電話番号を聞いていた。七海が家につくと玄関の扉を開け
「ただいまぁーー」
っと玄関で七海の声が元気よく聞こえた。今日という日は七海にとってはいいこと
ばかりだ。学校に着けば、クラスで1番背の高い女子よりも大きくなったこと、
公園で俊介から借りていたバックを返して俊介から告白されたこと、帰るときに、
俊介のメルアドと電話番号をおしえてもらったこと。七海にとっていいこと尽くし
だった。台所では母が夜ごはんの準備をしており父は新聞に目を通していた。
「おかえり、七海」
母は台所で料理しながら言った。
「おかえり、七海。今日は偉く機嫌がいいな」
父はそういうと新聞を折り、テーブルの上に置いた。七海は自分の席に座り
夕飯を待った。座ってみて父は疑問に感じたのか七海に聞いてみた。
「あれ?七海って身長何センチぐらいだっけ?」
「ん〜、クラスで170cmの女子がいるんだけどさ、今日比べてみたら私の
方が大きかったよ〜」
七海のご機嫌理由その1がさっそくでた。今日の出来事を話せて嬉しがっていた。
しかし、父は顔を傾けた。どこかおかしだろっと顔が言っていた。
「七海、お前立ってみろ」
そういわれて、七海は立った。七海のもとに父がよってくる。母がテーブルに
お皿を並べているときに2人を見てみた。母は驚いた。父と七海を比べると
七海の方が大きくなっていたのだ。父の身長は175cmあるが、七海の方が
少し大きかった。
「七海、父さんより大きくなったんじゃないか?母さん、どっちが大きく見える?」
「ん〜、難しいところね〜。でも、私は七海の方が大きく見えるわ」
そういわれて、七海は父を見てみた。目線が微妙に七海の方が高かった。七海の方が
背が高いと七海は確信した。
「お父さんって確か175cmだよね〜」
「そうだよ。・・・しかし、前までちっこかったのに今じゃここまで育つとはな〜
2m行くんじゃないか?」
そういうと父は自分の席に着いた。父が席に着いたと同時に夕飯の支度ができた。
(175cm越えか〜、俊介君とまもなく並ぶのか・・・よ〜ぅし、俊介君と並ぶぞー)
七海は心の中に喜びをしまい。普段以上に箸が進み、気がつけば七海は
ごはんを5回おかわりしていた。

 翌日、七海は学校の保健室で身長を測ってみた。身長は177cmあった。
俊介との身長差は8cmであった。ついでだから、座高も測ってみた。
座高は88cmあった。ふと七海は気づいた。4月に計ったときは座高の方が
高かった七海であったがいつの間にか足の方が長くなっていた。
「うわ〜、1cm差だけど足の方が長くなってる〜」
よっし!っと七海はいつの間にか小さくガッツポーズをとっていた。気がつけば
4月もまもなく終わるところだった。ノートに自分の4月の身長の伸び具合を
書いてみた。4月最初に測った身長141cm。4月の最終日の今現時点の
身長は177cm。七海の4月の身長は36cmも伸びたのだ。改めて驚く。
小さく身長が伸びていたようだ。4月は30日まであるから1日に伸びる
平均が約1.2cmだった。
しかし、1日にに1.2cm身長が伸びている実感は七海にはなかった。
俊介と初デートしたときなんか特に急成長していた。考えてみれば
あの日が4月1番で身長が伸びたのだろう。
「4月でこれだけ背が伸びるのか〜5月になったら俊介君より
大きくなるかな?5月が楽しみ〜♪」
七海は相当ご機嫌であった。5月は31日まであるから、
31日に4月の平均身長1.2cmを掛けてみた。37.2cm伸びるので
1ヵ月後の七海の身長はおよそ214cm。この結果が七海は驚いた。
ノートには小学生レベルの掛け算がかいてあるが・・・今の七海は
そんなことはどうでもよかった。
「うわ〜、1ヵ月後は214cm!?2m越えはないよね〜。
俊介君よりも大きく・・・なれるのかな・・・」
七海は胸に手を当て目をつぶった。最初俊介と会ったときはそうとう
大きく見えたが、今ではそんなに大きく見えない。
「!?」
七海はびくっとした。思わず目を開けた。七海は自分の体を触ってみた。
顔が赤くなってきた。
「お、おお、大きくなってる・・・」
七海の声は震えていた。七海は胸に手を乗せて感じていた。
小さかった胸が大きくなっていたことを七海は今気づいた。
考えてみると七海は自分の身長に気をとられていた女の魅力の
部分の存在を忘れていた。思わず七海は笑った。
「あははは、ど〜して、気づかなかったんだろ。笑っちゃうよね」
保健室においてある鏡で自分を見た。胸もいい感じになってきた。
4月のはじめは「胸は?」っといいたくなるぐらい小さかった。

七海自信5月で自分はどこまで大きくせいちょうするかが楽しみになった。