7.
 1週間がたち、七海に合う制服がようやく届いた。大きさは若干大きめ
に作ってあった。今月の背の伸び具合で夏服のサイズを考えることであっ
た。七海の背も高いが、その七海が制服を着るではなく、制服を着せられ
るようにダボダボした感覚がある。
 朝食が済み、七海は部屋に戻るなり、携帯電話を確認してみた。すると、
1件のメールが届いていた。メールの送り主は俊介であった。
「『いつも、待ち合わせしている公園で待ってる。よかったら、一緒に学
校にいかないかな?』」
七海はメールの文字を読み上げると急いで鞄を手に取り部屋を出ようとした。
 ガン!
七海は頭をぶった。頭を抑えながらドアをくぐり外にでた。七海は小走り
で公園に向かった。外を歩いている人はみんな七海を見ている。1人だけ
の者はただ七海を見上げて、1人以上の者たちはコソコソ話をするかのよ
うな体勢であった。
(なんで、みんな私をみるのかな〜?服が大きすぎてガボガボすぎるの
目立っているのかな?・・・でも、それは仕方がないよね!大きく
なっちゃったんだし!気にすることでもないか)
っと七海は心の中で会話をして、公園に走っていった。けっして、近所の
人たちはそんなことに目をくれることなどない。七海は気づいていない。
自分が今、どれだけ大きくなっているのか、七海自身気づいていない。

 公園に着くなり、七海はいつも俊介と待ち合わせをしているところにきた。
俊介は七海の姿に気づいて、七海に手を振った。七海も右手を振りながら
俊介のもとに走った。
「俊介く〜〜〜〜ん!!」
七海は1週間ぶりに俊介の顔が見れて嬉しくなり、七海は勢いが止まらなかった
っと言う理由をつけるつもりで俊介に体当たりをしてしまった。
 ドン!
「うわぁ!」
「きゃ!」
倒れる時七海自身この行動がベタだなと思いながら俊介にぶつかってしまった。
 ドサッ!
2人は制服でありながら、そのまま倒れてしまった。このとき、七海は
俊介に乗ってる状態だと思っていたが、実際は七海が俊介に
のしかかっている感じである。
「ゲホォ、ゲホォ。な、七海!とりあえず、どいてくれ!見られたらはずかしいだろ」
「あ、ごめん俊介君・・・」
七海は朝っぱらからおかしな行動を取っている自分が恥ずかしくなり
俊介からどき、2人は一緒に立ち上がった。膝を曲げて膝についている
砂などをはたき、2人は見詰め合った。しかし、どこかおかしいっと
七海は思った。そして、七海はいまさらになって学校を休んだときに
身長を計ったときの身長を思い出したのであった。俊介の身長は
185cmあるが、七海は1週間前ぐらいには、俊介の身長の185cm
より大きくなり、あの時点で七海の身長は190cmあった。
「七海、お前。どんだけ身長伸びてるんだよ!倒れる瞬間七海が前より
大きくなってる感じはしたけど、・・・まさか、俺より大きくなってるとはなぁ」
「わ、私だってびっくりだよ!俊介君!制服小さくなっただけだけど、
まさか、俊介より大きくなってるなんてきづかなかったよ」
七海は両手を合わせて嬉しそうに言った。二人はそれから一緒に学校に向かった。
走っていて周りの景色なんて見ていなかったが、そうとう背が伸びている。
(うわ〜、これが190cmの眺めか〜。すんごい高いな〜)
そう心の中でつぶやくと七海は膝を曲げ始めた。俊介は七海が急に膝を曲げた
のかがわからなかった。七海は俊介を見ながらゆっくりと膝を曲げ、俊介の胸
よりちょっとしたあたりまで膝を曲げた。
「・・・七海。なにやっての?」
「ん〜っとね。私、初めて俊介と合ったときの身長ってだいたい俊介の胸より
下だったじゃん?」
「そうだね。あの頃は小さかったね〜。おもわず中学生が飛び出してきたかと
びっくりしたよ。まさか、高校生だとはね〜」
あはははっと俊介は笑った。七海は眉毛がつりあがりながら
「まさかとはなによ!まさかとは!」
「ごめんごめん」
もーっと七海はいい、一息おいて、話つづけた。
「なんでさがったかというとー、あの頃の身長と今の私の目線が気になってさ。
今やってみたくなったの!」
さっきまで、怒っていた七海であったが、今の七海は楽しそうに笑っていた。
とても、数分前まで怒っていたとは思えないぐらいの笑顔だった。俊介は七海は
自分が背が伸びて嬉しいんだなっと思いながら「よかったね」っとやさしく言った。
「うん」っと七海は言いながら立ち上がった。ゆっくり立ち上がったから俊介の
アングルからは七海がドンドン巨大化しているかのように見えた。二人が学校に
着いたころには生徒はあんまり来ていなかった。七海と俊介は学校に来るのは
早いほうで、今日は、さらに早く来てしまったので、二人は「せっかくだし」
っということで、保健室に言った。

 保健室に着くなり、七海は身体計の前に来た。メモリを一番上に上げて、七海は
身体計に乗り、背を伸ばした。すると、七海の頭と身体計のメモリがまもなく
ぶつかるところで、
 ガン!
っという鈍い音がした。
「っっいったぁ〜〜〜ぃい!」
七海は右目に涙を浮かべてそのままの状態で固まってしまった。俊介は七海を見て
驚いた。身体計の最高まで何センチかを見てみると2mっと書いてある。
が、今の七海はその2mの身体計に乗り、膝を軽く曲げている状態である。つまり、
七海はこの状態ですでに2m以上あるということだ。
「俊介君、私何センチになってるかわからないよ〜。あと、これ何センチまで計れる
のよ〜〜」
「もーいやー」っと七海は叫びそうな顔をしている。
「七海、お前、スゲェよ。アメリカンサイズだな」
「へ?」
七海は俊介の言っている意味がわからなかった。俊介自身なんか間違っているような
気がするっという顔になったが、気にせず話すことにした。
「いや、この身体計が2mまではかれるんだよ。そして、七海。おまえ、自分の
足見てみろ。たぶんきづいてないだろ?」
七海は自分の足を見てみる。足を曲げているのを確認する。
「わーすご・・・・」
 ゴン!
最後に「い」を言う前にまた七海は頭をぶつけてしまった。頭を抑えながらその場
でうずくまる。
(やった、やったぁ。俊介より大きくなったと思ったら!ウフフフ、
いつの間にか2m越えていたよお!!あ、でも、190cmの身長の
ときの外の景色わからなかったな〜。残念だなぁ〜)
っと七海は思った。その七海の顔を見ていた俊介は喜んだと思ったら急に表情が
曇っていた。本当に七海は顔にでるから面白いなっと俊介は笑った。それから、
七海は保健室の壁に寄りかかり俊介がそっから、メジャーを取り出し計ってみると
俊介は「うは」っといった。
「何?何?私何センチになってた?」
七海は楽しみでウキウキしていて、目が輝いていた。その目からは「俊介君!
早く教えて!!」っといっているかのようだった。
「205cmだよ。俺より20cm高いんだな」
「本当!嘘ついてない!?まじで!まじで!」
もう、俊介から見ると今日の七海は狂っているかのように見えた。七海はメジャーを
片手に抑えて七海の頭の天辺においていた手をそのままメジャーに重ねて七海に見せた。
「ほんとだぁー!ありがとう俊介君!!」
「いや、俺はただ計っただけだし、お礼言われるほどじゃないよ」
七海は自分の身長が205cmあることをしって思わずジャンプをしてしまった。
俊介は思わず「危ない!」っといったが、七海は「どうして?」っと聞いた。
俊介がその時見た光景は七海が嬉しさあまりに本気でジャンプをしたとき、
学校の天井に頭が着きそうなくらいジャンプをしていた。七海は運動が苦手のはず。
しかし、七海自身は実は運動能力が高いことに気づかず、勝手に運動が苦手と
思い込んでいるだけなのかもしれない。今の七海は前まで身長がない頃の七海の
体とは体のバネが違う。だから、今後七海は運動とかするときも、『前よりは〜』
っと思うかもしれない。もしかすると、七海は超人じゃないかっと俊介は思ったが、
急激に身長が伸びている時点で超人かっと俊介は笑った。
「可愛い超人だな」
俊介は小さくつぶやいた。
「え?俊介君。今なんかいった」
「いいやぁ、七海がそこまで表情がとろけていて可愛いなって思っただけだよ」
「うふふふ。ありがとう、俊介君」
俊介が言ったとおり七海の顔は嬉しさゆえ顔がとろけていた。幸せそうな顔を
しているのだった。七海の顔が落ち着くまで七海は椅子に座り、気を落ち着かせて
俊介はたって外の景色を眺めていた。丁度、生徒達が学校に入りはじめたころだった。
「そろそろいこうか、俊介君」
そう七海は言いながら俊介に近寄る。
「そうだな、みんな。七海を見たらびっくりするだろうな」
俊介が振り返ると、俊介はまた疑問を抱いた。七海は朝登校するときよりまた
背が伸びたんじゃないかとおもったことである。念のためにもう一回身長を
計ってみたが、身長は205cmのまま、どうやら登校中に七海はまた背が
伸びていたのかもしれない。最後の核にっということで計った俊介に七海は
「もぅ、俊介君!私最近急成長しているけど、いくらなんでも、たかが数分
で背が伸びるわけないじゃん!まぁ、伸びたほうが嬉しいけどね〜」
あはははっと七海は笑った。俊介は冗談でいっているのか本気で言ってるの
かがわからなかった。

 俊介と七海がクラスに戻り、クラスメイト達が教室に入ってきた。七海の
席は一番後ろの窓際で、俊介はちょうどその隣にいる。七海は朝のテンション
のたかかったから机にぐったりと倒れていた。七海はホームルームがきても
横に倒れていた。一部のクラスメイトはまだ本調子じゃないのかな?
っと思うぐらいで俊介以外七海の背の高さに気づくものはいなかった。
 月曜日は最初っから体育がある。朝のホームルームが終わるなりに七海は
体を起こした。体育着に着替えるときに七海が席から立ち上がったとき誰も
があ然とした。七海が立ち上がるのを見えていた者はびっくりしただろう。
七海がどんどん大きくなるかのように立ち上がる隣には一番背が高かった
俊介よりもはるかに大きい。七海と俊介を比べると、七海はたった状態で
俊介のおでこに口がある感じまでになっていた。
「うぉ、デケー」
「あれ?山井よりデカクね!?」
っと男子は山井と比べて七海を見る。一方女子は、
「なっちゃん、デカすぎ!どうしちゃったの!?」
「なっちゃんはでかくなったにゃ〜、うまいものでもたべたかにゃ〜?」
っと、七海の元によって背を比べて見るが、七海の肩より上に頭を位置している
女子は1人もいなかった、みんな七海の胸の下にいる。
(うわ〜、みんな小さく見える〜。大体小学生ぐらいにみえるな〜)
っと七海は驚いた。前まで、一番小さかった七海が1ヶ月とちょっとで、
クラスで一番背が高い女子になってしまったからだ。もちろん、他のクラスで
七海と互角にでかい人はいない。
「七海ちゃん、はいつか巨人になっちゃうんじゃない?」
っと一部の女子が何気なく言った言葉。七海は、思わず妄想してみた。
夢で巨人になる夢は何回かある。が、それが現実に起きたらどうなるん
だろうっと思ったが、流石にそこまでいかないっと思い、七海は小さな体育着
を身に着けた。
 七海は1週間学校を休んでいたので先にスポーツテストの残りをおわすことに
なった。ほぼ家に引きこもっている状態で体はなまっていた。結果的やはり、
去年より若干いいんじゃない?の程度であった。七海が計り終わると時間も
余ったので、残った時間でバスケをすることにした。七海がジャンプボールを
するときには誰も七海からジャンプボールを奪うことはできなかった。
身長を生かして、先生があげたトスボールよりも高く飛んでしまったのもしばしば
あった。女子もがんばって手を出してみるが、ボールには届かず、良くて七海
の胸に手が当たる程度であった。次第に、試合数が進むと女子達はジャンプ
ボールは七海の胸に誰が手が届くか!の競争もなっていた。七海がドリブル
するとバスケ部が阻止に回るがそのボールを七海は両手で高く持ち上げ、
パスを狙う。もはや、だれも七海を止めれるものはいなかった。そのほかにも、
七海にパスしたボールが暴投した場合も身長が伸びた分リーチもあるからボール
をらくらくキャッチしていた。
(あれ〜?去年とかボール奪われまくっていたのにな〜。身長があるかないかで
ここまで変わるんだ〜。なんか、気分がいいな〜)
っと七海は嬉しさに満ちていた。ただ、贅沢をいえるのであれば、体育着がちゃん
としたサイズにしてほしかったことである。七海は制服は合わせたが、
体育着はあわせていなかったのであった。きついながら七海は動き回った。
ときおり、ダンクシュートもした。
「おぉ〜」
っと見ていた女子が驚く。先生も驚く。七海自身も驚く。デカイわりには動く
今日の七海は相手に威圧を与えていたのかもしれない。そんなこんなで、
体育の授業は終わった。

 体育着が終わり、次の授業とかも、七海は今日は体をうごかしまくったな〜
っと思いつつ授業に参加した。ここで、七海はまた、背が伸びて嬉しく思うことが
あった。それは、まえまで前の席の人で黒板の文字とかがみえなかったのが、
すんなり見えるのであった。授業環境も良くなっていた。ただ、七海が寝ている
ときは七海がいないということで、七海はすぐ注意されてしまうのであった。

そんなこんなで七海にとって長い1日が終わった。
家に着き、自分の部屋に着くと、朝ぶったが、また、頭を扉にぶつけてしまった。
七海は扉の長さを測ってみると195cmだった。つまり、七海は家を出るときには
すでに195cmを超えていたのであった。だが、七海はそんなことは、今の身長
205cmあるからどうでもよくなっていた。
「もぅ、何で今日はこんなに頭を打つ日なのよ!」
っと七海は頭を打つたびにつぶやいた。