7+α.
 街中に1人の高校生があるいていた。彼女の名前は永井七海。七海はビキニを身に
まとい街を放浪していた。まだ、夏のシーズンは早いこの時期でビキニ姿で街中を歩
いていた。彼女が街中を歩いている人はその姿にあ然とした。なんせ、彼女はビキニ
姿だからだ!っというの間違っていないが、今はそんなことを気にする暇があるので
あれば、急いで避難するべきであった。別にビキニ姿が問題ではない。問題なのは、
彼女の大きさである。
 今の彼女は人を余裕で跨ぐことのできる大きさを通り越し、普通に家も跨ぐことも
朝飯前である。しかし、今の彼女はそんな優しいことをすることはしなかった。七海
は顔色1つも変えずに、容赦なく破壊活動をしている。その顔には特に喜びもなく、
怒りの表情でもない。顔色1つも変えずに街を歩き、七海の目の前にあるものは七海
の体の一部によって破壊されていった。しかも、あるくたびに七海はどんどん巨大化
している。今の七海は20mのマンションのベランダにおっぱいを乗せるぐらい巨大
化してしまったのだから・・・。

七海はひたすら前に進む、目の前にあるものは踏み潰されるか、体のどこかに当たっ
て運が良くて半壊する。そのビキニ姿の巨人を必死で追いかける一人の学生がいた。
その学生の名前は山井俊介。俊介は七海の後を必死で追いかけていた。
「七海—!!」
俊介は必死に追いかけ、七海に叫ぶ。七海は俊介の声など入ってこない。七海はただ
まっすぐ歩いている。俊介と七海との差がどんどん開いていく。俊介は走っているう
ちに視界がおかしくなっているのを感じた。それだけなく、酷く気持ち悪い。
「七海、止まってくれ・・・」
そういうと、俊介は力つきて道のど真ん中で倒れてしまった。俊介は倒れながら七海
の後ろ姿を見た。距離は明らかにあるが、彼女が大きくなりすぎたためまだ近くにい
るように感じた。
(あの頃は・・・まだ、俺の方が大きかったんだよな・・・でも、今比べてみると、
七海は俺のことを蟻みたいにみえるんだろうな・・・)
そう考えると自分の存在が七海にとって蟻と同様な対処しかしないんだろうなっと
俊介は思い、目を閉じた。

 時間が経過した。俊介が目を覚ましたときには回りはカーテンで前が隠れている
状態だった。俊介はここは病院だなっとわかった。体を起こすとフラフラになりなが
らカーテンを開け、窓を見ると窓から太陽の日が刺していた。
「気がついたかね?山井君」
俊介は振り返るとそこには白衣を身にまとった若い医師がいた。
「君は道路で倒れているところを近所の人が連絡をしてくれてね、
君はここにいるんだよ」
「そうだったんですか・・・」
俊介はそういうとさっきまで自分が寝ていたベットに腰をかけると医師は話続けた。
「君は、本来無理をしちゃいけない体なのは知っているよね?」
「はい・・・」
「じゃあ、何故君は全身が動かなくなるぐらい体を動かしたのかね?」
「・・・・」
俊介はうつむいたまま黙ってしまった。医師ははぁーっとため息をつき俊介を見下ろ
すかのように
「まぁ、いい。この騒ぎが収まるまで、君はここで安静にしてもらうよ」
「騒ぎ?何かあったんですか?」
「おや?君は何も知らんのかね?・・・あぁ、なるほど。君もあの騒ぎの被害者だっ
たのか」
医師は理解したかのように頭をうなずかした。そういうと、俊介のベットの隣におい
てあるリモコンでテレビを付けた。
「嘘だろ・・・」
「いや、本当だ。君は彼女の被害者だ。家を踏み潰されるとき、君だけ奇跡的に助か
ったんだろう」
俊介はテレビに映っている七海が信じられなかった。昨日最後に七海を見たときより
も大きくなっていた。テレビに映っている七海は体を小さく丸めて目を閉じてどうや
ら眠っているようだ。テレビ画面左上に書かれている文字は『謎の巨人現る』っとで
てあった。しかし、最後に七海を見たときよりも大きくなっているのが良くわかった。
この生中継はヘリコプターから撮っており、近くにある小学校の25mプールに七海
のお尻を入れてしまえば、プール一杯が七海のお尻で埋め尽くされるように見えた。
『なお、この巨大な女性はご覧のとおりビキニ姿をしています。専門家の話によれば、
年齢はだいたい高校生ぐらいであり、身長はおよそ45mあるとのことです。現在謎
のビキニ姿の女性は眠っているようですが、目を覚まし住宅街等の破壊活動を開始し
た場合は自衛隊が動きだすとのことです』
「自衛隊が動くんですか!?」
「そうみたいだね。まぁ、状況が状況だから仕方あるまい。今はあの謎の生き物がど
うでるかだね」
「・・・攻撃開始もありえるんですよね・・・」
「そうだね。でも、彼女が歩くたびに死人がでるほど危険なんだ。本来さっさと
攻撃してしまえっといっている者もいるが・・・相手が人型に近いからね。自衛隊に
しては我慢しているほうだよ」
俊介は絶望を知ったかのように首を下げた。膝上には握りこぶしが震えている。この
ままでは、七海は目を覚ましてまたどこかに歩き出すだろう。歩くだけで人間が作り
出した物がその大きくなった足で無意識に潰されて、自衛隊から集中砲火され、七海
が死んでしまうのではないかと俊介は思った。七海の笑顔がもう二度と見れなくなる
んじゃないか・・・
だが、どうやって七海をとめればいいだろうか。

自分は無力だ

俊介は自分の無力さに目から涙がこぼれ、俊介の拳に落ちた。涙が拳に当たったとき
俊介は七海とであったことを思い出した。角から何かを考えて自分の胸に飛び込んで
きたときから七海と知り合った。土曜日、七海は最初のころより大きくなっていたが、
まだ俊介の方が大きかった。七海は俊介に色々教えた。ここの、団子がおいしいとか、
遅刻しそうになったらここの道を使っているなど色々な裏道をしっていた。その夜は、
誰もが予想していなかっただろう。服が七海の体の大きさに耐え切れずに無残にも
破けた。そのあと、七海を助けて、1週間風邪でダウン。学校に来たときは七海は
大きくなっていた。1週間であそこまで大きくなるとは思いもしなかった。5月にな
ると七海は181cmになっていた。俊介自身が読み上げたからよく覚えている。
そして、また1週間休んだ。今回は制服が危ないからという理由でまた1週間休んだ。
そして、昨日。七海と一緒に学校に行く際に公園で待ち合わせをして、七海が俊介と
会ったときは七海の方が大きかった。学校に行く際に七海は巨大化し、七海の後を
必死で追いかけ、途中で力尽きた・・・。

 泣いていても仕方がない。七海に会って話そう。七海は急な出来事にどうしていい
かわからない状態なんだ。俊介は目をこすると立ち上がった。
「山井君?どこにいくんです?」
「ちょっと、あの女の子と会ってきます」
「だめだ。彼女は危険すぎる。行ったところで警察に捕まる。
それに、君の体は無理をしちゃいけないのに無理をした。
医師として、行かせるわけにはいかない」
「僕のことはいいんです!以前にも体を走らせましたが、そのときは大丈夫でした」
「今度ばかりはダメだ。死ぬぞ!」
俊介は病室の扉の前に立ち止まった。自分のことは別にどうでもいい。もし、
このまま病院にいて七海がテレビを通して力尽きるのを見届けたくない。
「このまま、七海が死ぬのは嫌です。たとえ、僕の命が危なくとも七海に・・・」
そう言い切る前に俊介は膝がカクンと倒れた。倒れてたまるかと俊介は立ち上がり、
最後まで言い切らずにそのまま病室から出た。